初期セミナー(インターネットと政府情報)

          「 インターネット暴力 〜匿名サービスとネット爆弾〜 」

                                             鈴木 友義 (t002950)

◆はじめに

パソコンの売り上げがテレビを上回り、インターネットの普及率もどんどん上昇している現在、インターネット通信は私たちの生活にどんどん浸透して今やその存在はなくてはならないものになってきつつあると感じられる。そんな中、嫌がらせ、中傷、ストーキングなどの現実世界で行なわれてきた陰湿な手法はインターネットを使ったより過激なものに移行し始めている。

私は今回、特に最近利用する機会が多くなった電子メールに関するインターネット暴力に関して調べてみたいと思う。

(インターネット暴力:インターネットで行なわれる匿名個人攻撃の総称 注:巨大企業のシステム破壊などのテロや匿名でない論争などはインターネット暴力に含まれない)

犯罪を助長する匿名サービス

 

電話は日常よく使われるコミュニケーションの道具である。親しい人と電話番号を交換すればいつでも話ができる。一方、陰険で卑しい人間に電話番号を知られてしまった場合、いたずら電話などの被害にあってしまう。

電話の場合、悪質ないたずらは摘発できる。犯罪性が強いものになれば警察が介入することで犯人を捕まえることも可能である。

インターネットの世界で電話番号にあたるのが電子メールアドレスである。もともと電子メールアドレスは匿名で取得することはできなかった。ニュースグループなどへの投稿は、現実の名前と同じ意味をもつ電子メールアドレスを記入する。自分の発言に責任を持つわけだ。

本来、現実世界の電話と違い電子メールのやりとりは、お互いのアドレスがはっきりした形で行なわれた。正々堂々と会話が交わされるオープンな世界であったわけだ。そんなせかいに金の亡者が参入した結果が悪質な無料メールサービスである。(サービスの問題性を黙認している無料サービスは無数に存在する。最近になって悪質な匿名性のみを売りにするサーバーも登場している。)

 

ユーザーに無料の電子メールアドレスを提供することで、ホームページ上の広告料金を徴収する。インターネットビジネスの新しい流行だ。全ての無料サービスが悪いとはいわない。しかし、匿名メールアドレスがずさんに管理されると、犯罪が行なわれてしまう。

個人の誹謗中傷、商品の偽注文、ネット詐欺、個人情報の売買、嫌がらせ、電子メールの大量送付、さらにはインターネットで個人の電話番号や住所を公開して悦んでいるような人間も少なくは無い。これらのインターネット暴力を行なう人間に共通して言えることが、自己のアイデンティティを明らかにしないということである。匿名性と現実世界からの隔絶感が、倫理感の欠如や悪質度を高めていると言っても過言ではない。逆をいえば、卑怯な匿名性さえ無ければこういった犯罪はありえないといえるだろう。

 

 

 

アダルトサイトの勧誘メール、売春斡旋のメーリングリスト、ドラックのディスカウント情報、死体の画像・・・・。こういった電子メールがある日突然大量に送られてくる。インターネットで古くから行なわれている、簡単にできる嫌がらせとして有名なメール爆弾というものだ。

 

ネットワークエンジニアは、電子メールと区別するためにポストに投函するはがきや手紙を郵政省メールと呼ぶ。悪戯メールは電子メールに限らず郵政省メールでも昔から行なわれてきた。しかし電子メールを使った悪戯メールとの違いは、ポストにはがきや手紙を投函して同様のことをしようとすれば加害者にも相応の労力が必要となる点だろう。まず、一枚50円のはがきを購入する。たくさん送るとすれば購入枚数も増える。1000通出そうとすれば5万円にもなる。さらにこのはがき一枚一枚に宛名と文面を書くとすればかなりの労力になるだろう。パソコンを使って印刷したとしても手間には違いない。

一方電子メールにおいて、宛名を書き込む手間は無い、文面も簡単に大量生産できる。ファイルをコピーする要領だ。さらに高機能のメールソフトやフリーウェアで出回っている同時発送プログラムを利用すれば、数千通ものメールを10分もしないうちに送付することができる。かかるコストも電話代程度にすぎない。

 

メール爆弾は送付方法により分けて考えることができる。巨大メール爆弾とウィルスメール爆弾は添付ファイルを使ったスタイルだ。ファイルの添付自体は簡単なのでさほど作るのが難しくない。メールマガジン爆弾とレジストメール爆弾はWeb上で他人の電子メールアドレスを勝手に登録することで行なわれる。メールマガジンは大量登録、レジストメールは解除が困難だった時代に被害者が続出した。

 

【大量メール爆弾】

最もポピュラーと言えるメール爆弾。単純な文面の電子メールを数百、数千単位で特定のメールアドレスに送りつけることによりメールサーバーをダウンさせる。一般的なメールソフトではこのような使い方ができないようになっている物が多いが、フリーウェアで出回っているメール爆弾用ソフトウェアにより簡単に送付できるようになってしまっている。

【巨大メール爆弾】

送付するメールのサイズを巨大にして、嫌がらせをする。電子メールに無意味な巨大画像データなどを添付するだけで作成できてしまう。普通にこのメールをダウンロードした場合、数時間にかかって送られてきた無意味なデータを取り除かなくてはならなくなる。現在、このようなメールをダウンロードせずに削除するには特殊なツールが必要である。

【ウィルスメール爆弾】

メール爆弾というよりも、コンピュータウィルスの感染経路として電子メールが利用される場合である。おもにマイクロソフト・オフィスなどのマクロウィルスが添付されて送られてくる。ウィルス自体はインターネット上でいくらでも入手できてしまうため、ウィルスを作成するための知識がなくても、入手したファイルを添付するといった簡単な作業でできてしまう。メールを受け取っただけなら感染しないが、プログラムやドキュメントを展開した時点でシステムが損傷する恐れがある。感染した場合、アンチウィルスソフトによりある程度のものは修復可能である。アンチウィルスソフトのメーカーは常に新種のウィルスに対応できるようにインターネットでサポートを行なっているので定期的に利用してほしい。

【メールマガジン爆弾】

メールマガジンサーバーを利用して、無作為または相手が嫌がるメールマガジンを大量に申し込む。数千以上のメールマガジンの配送を行なうサービスページでは、多数のメールマガジンを簡単に登録できてしまうため悪用されやすい。メールマガジンサーバーも一応申し込み確認のための返信メールを送ってはくるのだが、申し込んでいない旨の返送メールを送らなければ解除できない。申し込みの便利さを逆手に取った悪質なメール爆弾である。メールマガジンサーバーに登録解除の手続きを行なうことで比較的簡単に解除できる。

【レジストメール爆弾】

懸賞アンケートや会員サービスに勝手に登録されることによって、覚えの無いダイレクトメールが大量に送付される。一般的な発送元であれば、送付の中止をすることで被害を防ぐことができる。アンケート項目に自分とまったく関係ない書き込みが行なわれる場合が多いため、でっち上げの顧客データがいろいろな場所に出回る可能性がある。このためトラブルが長期にわたって尾を引いてしまいやすい。

 

            

共通して言えることだが、一般のメールソフトの標準の表示では電子メールの転送経路などはわからない。しかし、メニューからヘッダーの表示、またはソースの表示を行なうことで電子メールの発信、中継、受信サイト、日時を明らかにすることができる。

メール爆弾の発信側は、さまざまな送信方法を利用して自分の身元が分からないようにしている。しかし、犯人の特定が不可能というわけではない。メール爆弾の送信方法から犯人を特定することが可能である。

  

【メーリングリスト送信】

Web上で攻撃先を登録するため、発信者のアドレスを追跡しにくい。普通にプロバイダを介してアクセスしているのであれば、システムの管理者がログを調べることで犯人の絞込みができる。しかし、プリペイドカード加入のプロバイダ等が使用されていた場合犯人を特定するのは至難の技である。

【匿名メールサーバー送信】

匿名メールサーバーのサイトはこういったことにたいしてガードが固い。メール爆弾のような明らかな犯罪行為については、対処してもらうことも不可能ではない。根気強く抗議する必要がある。

【無料メールサーバー送信】

マイクロソフトのHotmailをはじめ、大手企業が広告収益を得るために始めたサービスを利用する。運営会社によっては、個人認証がいいかげんなところがあるため、犯人の追跡には警察の協力が必須になる。登録事項が虚偽であった場合、犯人が電話でアクセスしてきた瞬間に電話の発信元を特定することが可能である。

【盗用アカウント送信】

インターネットなどで不正に入手できる盗用アカウントを使ってメール爆弾を送信する。この場合も、警察による電話発信元の特定が必要だ。盗用アカウントの入手ルートは限られるため、入手した過程で犯人を特定することもできる。

 

             

◆感想

今回電子メールに関するインターネット暴力についてインターネットを使って調べてみたが、こういったことをする人はどう考えても愉快犯いがいの何者でもないということがはっきりと感じられる。自分がされて嫌なことは他人にしないというくらいのモラルは最低限持って欲しいと思う。

無料プロバイダサービスが悪いとは言わないが登録時に確実な本人確認をすることでこういった犯罪はかなり減らせると思うし、こういったインターネット暴力には断固とした法的措置が必要だと思う。社会レベルのサイバーテロ対策もいいが、やはり個人レベルに目を向けてネットワークに関する法律を考えていくことも重要であると思う。これから21世紀になるにあたってインターネットはより重要になっていくだろうし、ネットワークの安全性は必要不可欠である。誰もが安全に利用できるネットワークが一日も早く確立することを強く願うばかりである。

◆URL紹介

http://www.hi-ho.ne.jp/takayoshi/

電子メール安全推進委員会

電子メールの現在の問題点や対策が分かりやすく掲載されている。

http://www.so-net.ne.jp/fresh/dojo/siryokan/spam.html

メール道場別館 資料館

Eメールをする上でのエチケットや、メール爆弾の被害例など、Eメールに関することがたくさん掲載されているので一見の価値がある。

 

今回この他にもたくさんのホームページを参照してレポートを作りました。ヤフーを使って検索しましたので、そのほかメール爆弾についていろいろ知りたい人はキーワードに「 Eメール爆弾 」または「 メールボム 」と入力して検索してみてください。

注:UG(アンダーグラウンド)のメール爆弾作成ツール等のサイトがヒットしてしまうことがあるので見つけても行かないようにして下さい。