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 日本の人口問題と家庭機能の変化  002552u

近年の急速に進む人口の高齢化や出生率の低下など人口動態の変化、また、単独世帯、夫婦世帯の増加、女性の社会進出による共働き家庭の変化により、日本の家庭は、機能を変化させてきている。21世紀に本格的な超高齢化社会を迎えるわが国にとって、子育て老親扶養などの家庭機能の変化要因や動向を正確に把握することがますます重要になっている。

 

  日本の世帯数の将来推計の概要【2000年3月推計】高齢世帯総数

                                                             高齢世帯総数(世帯主が65歳以上の世帯)は1995年〜2020年で全ての都道府県で増加し、埼玉など13府県では増加率が100%を超える。(図4)

                                                             高齢世帯が一般世帯に占める割合も1995年〜2020年荷は全ての都道府県で上昇し、2020年には全ての都道府県で30%以上となる。東京や大阪など大都市圏中心部が目立つ。

 世帯主が75歳以上の世帯も1995年〜2020年に全ての都道府県で増加し、高齢世帯に占める割合も全ての都道府県上昇する。2020年には全ての都道府県で40%以上となる。

 この結果と、次に示す平均世帯人員とを見比べることによって、高齢者の孤立化をみることができる。

 

  平均世帯人員の推移

平均世帯人員は全ての都道府県で一貫して減少して,1995年の2.35人(東京)〜3.45人山形から2020年には2.06(東京)〜2.97人(山形)へと全体的に低下する。2020年には全ての都道府県で3人未満となる。 

 

 

 1995年〜2020年に,単独世帯は東京を除く46道府県で,夫婦のみの世帯、一人親と子供からなる世帯は全ての都道府県で増加する。夫婦と子供からなる世帯は埼玉・沖縄・子が・山梨・茨城以外で減少する。その他の一般世帯は埼玉・沖縄・千葉・神奈川・滋賀以外の42都道府県で減少する。

夫婦の役割関係

 家事や育児の人的資源が比較的乏しい妻にとって、夫の家事参加はより重要な意味を持つ。先ず、妻の家事時間について調べてみると、                   

                               平日の場合、妻の年齢別にみると、1日に6時間を超える割合が高いのは30代20代の順であり、それぞれ3割弱が、ついで60代40代50代となっている。平均家事時間もこの順になっており、30代と50代では60分以上の開きとなっている。新たな子どもの誕生による家族の拡大・成長によって派生する種種の家事時間が、30代,20代で多いことと符合する。休日の場合は、多少平日とは年齢別の家事量に差異がみられる。1日に6時間を超える割合が最も高いのは、平日と同様30代の妻でほぼ3割であるが、続いて40代で、20代と50代が拮抗し2割強程度である。1日平均の家事時間もこの年代順に並んでおり、20代と30代の妻ではほぼ50分の差がある。平日と休日では20,60代で家事量が軽減されるのに対し、逆に、40,50代の妻で増加している。パートなどで働く妻が多いこの世代で、平日分の家 事をカバーしていることが考えられる。20代で日曜日に短縮されるのは、夫の家事協力の度合いとも関係があるかもしれない。

夫の家事参加の実態と変化

 夫が、6つの家事関連項目(「ゴミ出し」、「日常の買い物」、「掃除」、「洗濯」、「炊事」および「風呂洗い」について、「週1-2回」以上遂行している者の割合をみてみる。日常の買い物やゴミ出しといった軽微な内容のもので増加幅が大きく、掃除、洗濯、炊事などの本来の家事領域ではわずかな伸びである。これらの項目では、「週1-2回」の余数である「月1〜2回」「やったことがない」を合わせると7〜8割を占めている。

 この他に、興味深い調査結果が幾つか見られた。                                       

@)40歳代の夫の家事遂行率が最も低い。

⇒この世代の夫が社会的地位の変化とともに、家庭より仕事に重きをおくことが原因と思われる。

A)60歳台の夫の家事遂行率が最も高い。

⇒退職もしくはそれに近づきゆとりが生じ、家庭に回帰するためと思われる。

B)親と同居している夫は、家事参加が低い。

⇒親との同居によって本来夫が分担すべき家事役割を親が代行しているためと思われる。

             C)共働きでも夫の家事参加は3割弱である。

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考察・まとめ

 日本の家庭機能は調査結果からもわかるようにかなり特殊であり、複雑である。これは、他の国の家庭機能と比較することからもうかがえる。つまり、高齢化問題,社会福祉・介護問題を扱う際は日本よりも先に高齢社会を迎えた諸外国を手本にしていたのでは、上手くいかないのではないだろうか。事実、今現在の妻が家事と介護を両立しているかというと、こなせていないという結果ばかりが目立っている。日本特有の家庭構造に見合った対策、または家庭構造そのものの改造が必要だと思う。ここでいう改造とは、家族一人一人が超高齢化社会への突入を自覚し、家庭内での自分の役割を再確認することで比較的簡単に行えるものである。特に夫は、まだまだ家事参加や育児参加の度合いが低いことがわかっているし、家事参加で与える影響が最も大きいことは明らかであるから、積極的に取り組むべきである。今、意外にも若い世代の家庭から高齢化社会に見合った家庭環境を作りつつあることも今回つきとめた。次が自分たちの世代である以上、私たちが家庭のあり方を考えることは当然のことだと思う。扶養することになる両親の意見を聞いたり、家庭の社会的価値観を考えることから始めてみてはどうだろうか。

                                       

                                       

                                      

                                     

 

                                      

 

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