初期セミナー(インターネットと政府情報)
進む少子化
国際学部国際文化学科
k000509U
大城
英美子
現在少子化は、私達が身近に感じられる問題となってきています。実際、私の通っていた小学校では入学者が少ないためにクラスが一つ減ってしまいました。また、テレビやニュースでも少子化問題はとりあげられています。
では少子化がこのまま進んでいくと、一体どうなってしまうのでしょうか? そして、その原因は? …そのようなことに興味を持った私は、少子化について詳しく調べてみることにしました。
少子化問題とは、その名の通り日本において生まれる子どもの数が減少し、現在の人口を維持できないばかりか、経済全般、社会保障(特に年金問題)、労働市場に大きな影響を与える深刻な問題です。
上の図は、日本における出生数と合計特殊出生率の推移を表したグラフです。これをみてわかるように、日本はずっと前から少子化傾向が始まり、第二次ベビーブームを終えた頃から確実に進んでいます。
一般に少子化は合計特殊出生率で表され、その数値が2,08を下回ると少子化(もしくは少子化が進んでいる)と言われます。合計特殊出生率とは、一人の女性が一生涯に平均して何人の子どもを産むか、というのを示したものです。理論的に、2,00であれば現在の人口を維持することが可能だと言われていますが、子どもを産む女性が出産年齢に達する前に死亡してしまったり、何らかの事情で出産できない方もおられたりするので、最低2,08は必要であると言われています。
少子化が進んできた理由として、
@女性の高学歴化 A晩婚化 B住環境の問題
などがあげられています。一般的には女性の高学歴化が進み、男女の所得の格差が小さくなったことにより、女性が職場を離れる=生活水準の低下につながるようになりました。結果として晩婚化が進み、初産年齢がそれに伴って上昇し、少子化が進んだと言われています。
もちろん、少子化の原因は女性にばかりあるのではありません。
「子育てをしない男を父親とは呼ばない。」
衝撃的だった厚生省のポスターに象徴されるように、男性の育児参加が不十分であるために、女性の子育てに対する負担が過度になり、「育児の楽しさ」を満喫する前に「苦痛」のみを女性が感じるようになり、「あと一人…」「もう少しは二人きりで…」と出産・子育てに踏み切れないでおられる方も多いのではないかと思われます。
実際、既に結婚していても2人が共に働いているという事情にある私の知り合いは、
「子供は欲しいけど、今は二人とも忙しくて産んだらきっと子育てがおろそかになってしまうから、そうなるとその子がかわいそう。」
と言っていました。この話を聞いて、私はこれもひとつの少子化の原因なのではないだろうかと感じました。男女雇用機会均等法のもとで女性が徐々に社会に進出してきている今の世の中においては、このように考える人も決して少なくはないと思います。
では、少子化は国に対してどのような問題を引き起こすのでしょうか?
…など、少子化が引き起こす問題点は様々なものがあります。ただ、一概に悪いことばかりが起こるわけでもありません。例えば、Aの労働力人口のことについていえば、不景気である現在の日本が労働力を求めるようになれば、それは深刻な失業者問題の解決につながります。また、子供達の受験戦争の緩和にもおそらくつながっていくでしょう。「日本の人口密度は高すぎるから減ってちょうどいいぐらいだ」とか、「地球規模で考えれば人口は爆発的に増えているんだから、日本の少子化など問題ではない」などといった意見もあるようです。確かにそうかもしれませんが、だからといってこのまま日本の人口が減りつづけるのはやはりいけないことです。何故なら、このまま少子化が進んでいけば、日本という国がなくなってしまうのですから。
・少子化問題に対する解決策は?
平成6年12月16日、文部・厚生・建設・労働の4大臣によって合意を得た「今後の子育て支援のための施策の基本方向について」というのが、いわゆるエンゼルプランと呼ばれているものです。
策定のねらい (1)社会全体の子育てに対する気運を醸成し、企業・職場・地域社会などの子育て支援の取り組みを推進する。
(2)今後10年間において、文部省・厚生省・労働省・建設省が事業官庁として子育て支援の取り組みを推進する。
基本的視点 (1)子供を持ちたい人が、安心して子供を産み育てることができるような環境を整備する。
(2)家庭における子育てが基本であるが、家庭における子育てを支えるため、あらゆる社会の構成メンバーが協
力していくシステムを構築する。
(3)子育て支援システムは、子供の利益が最大限尊重されるよう配慮する。
一般的な対策 ・国民生活に関するもの (1)結婚・出産・育児支援
(2)年金・医療保険・税金等の支援措置
(3)教育機会の充実
(4)住宅環境の向上
(5)地域社会への積極的(男女の)共同参画
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経済全般に関するもの (1)高齢者・女性の雇用促進
(2)賃金体系の変革
(3)企業の福利厚生システムの変革
(4)労働時間短縮による、男性の育児への積極的参画
確かに、これらの案は少子化対策としてはもっともなものであると思います。私達は、それが実際にどう進められていっているのかに注意を向ける必要があるのではないでしょうか。
・最後に
今回少子化問題に取り組んでみて、実に色々な発見がありました。少子化問題という言葉を聞いたことがある人はたくさんいると思います。でも、私がそうであったようにそれが具体的には何が原因で、どのような問題点を引き起こすのかなど、その内面を知らない人もきっと多いはずです。そんな人に、これを見てもっと少子化について深く知って欲しいと思います。
少子化を解決するために、ただ「子供をどんどん産みましょう!」というのはよくないことだと思います。子供を産む・産まないを実際に決めるのはその当人であって、決して政府ではないからです。ですから、少子化問題を解決していくためには、子供を産み育てる人々を政府が出来る限りサポートしていくことが最も重要であると私は思います。そしてこれから社会へとすすんでいく私達一人一人も、将来をになう子供のことを真剣に考え、この問題を自覚すべきではないでしょうか。
参考HP:http://www.pat.hi-ho.ne.jp/musashi/