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食中毒
002575M 三井綾
1.食中毒とは
食中毒とは、食品に食中毒菌が付着して増殖したり、有害物質が含まれていたり、有害・有害物質が混入したりしたものを食べて発生する健康障害です。症状は主に下痢、腹痛、嘔吐などで、急性の胃腸障害を主体としたものですが、ときには呼吸麻痺、脱水、腎臓障害などで死亡することもあります。
2.主な食中毒の種類
腸炎ビブリオ菌
学名 Vibrio papahemolytics
以前は日本の食中毒の原因の首位を占めていたが、最近は減少している
潜伏期間は10−20時間、解熱、発熱、嘔吐、腹痛などを起こす
4度以下の低温、60度以上の高熱で死滅する
黄色ブドウ球菌
学名 Staphylococcus aureus
食中毒はこの菌が食品中で増殖し、エントロトキシンというタンパク質を産生することにより起こる
菌自体は70度、30分の加熱で失活するが、エントロトキシンは、100度、1時間の加熱でも失活しない
酸、アルカリにも強く、通常の調理条件や、消化によって分解されることはない
潜伏期間は短く、2−6時間で発症し、激しい嘔吐を引き起こす。
サルモネラ菌
学名 Salmonella enteritidis
元来動物の病原菌で人畜共通の疾病原因菌である
熱に弱く60度程度の加熱で死滅する
潜伏期は12−24時間で、下痢、悪心、腹痛などを起こす
感染源はネズミ、家畜類、人の排泄物である場合が多い
ウェルシュ菌
学名 Clostridium perfringens
産生する毒素によりA〜Eに分類され、食中毒を起こすのはA型菌
下痢を起こす引き起こすエントロトキシンを小腸内で産生する
A型の芽胞は耐熱性で、100度、1時間の加熱でも生存する
3. 食中毒事件はここ数年急激に増加しています。
近年,食中毒の発生件数は年間1000件以内におさまっていたのですが,腸管出血性大腸菌O-157による食中毒が猛威をふるった1996年以降食中毒の発生件数が急激にのび,1998年には3000件を超えてしまいました。1999年は約2700件ですが,これは決して少ない数ではありません。まだまだ注意は必要です。
* 食中毒菌別に見てみますと,件数ではサルモネラが1位,次いで腸炎ビブリオ,カンピロバクターの順になっています。サルモネラ菌による食中毒は加熱不十分な食肉や卵,腸炎ビブリオはさしみ,たたき,すしなど海産魚介類の生食,カンピロバクターは加熱不十分な鶏肉などが原因となります。したがって,鶏肉,豚肉,牛肉などの食肉や卵は十分に加熱する,さしみなど生ものは短時間であっても必ず冷蔵庫に保存するなどの注意が必要です。特に,7月から10月にかけては食中毒が多発する季節ですから注意が必要です。また,患者数ではサルモネラ,腸炎ビブリオについで小型球形ウイルスがあがっています。小型球形ウイルスによる食中毒は,生がきやホタテのさしみなどが原因となって起りますが,人から人への二次感染も起りますので,注意が必要です。また,発生時期が11月〜3月という点が特徴です。
*4.発生事例
*ウルシュ菌
* **クリームスパゲティー**
* <発生状況>
* 平成@年8月,ある刑務所の昼食で提供された冷製のクリームスパゲティーを食べた収容者および職員683人中412人が下痢,腹痛などの症状を訴えた。
* <原因食品>
* 昼食で提供されたクリームスパゲティーからウェルシュ菌が検出されたことから,原因食品はクリームスパゲティー,原因物質はウェルシュ菌と断定された。
* <汚染経路>
* ウェルシュ菌は,酸素のない環境で増殖する食中毒菌(偏性嫌気性菌)で,シチューなど加熱調理された食品が徐々に冷却される時,生き残った芽胞が発芽して食中毒を引き起こすことが多い。今回の食中毒は,その典型的な例で,クリームスパゲティーのクリームは前日に調理され,32℃の室温で2時間,18℃で15時間放冷されたもので,この間にウェルシュ菌が増殖したものと推測される。加熱されたクリームの内部は,嫌気状態であり,また共存する他の細菌が死滅した状態であることから,ウェルシュ菌にとっては増殖に最適の条件であった。このような食中毒を防ぐには,食品の保存は10℃で行う,加熱調理は十分に行うなど食中毒菌を完全に死滅させ,増殖させない工夫が必要である。
* サルモネラ菌
* **イカ乾製品**
* <発生状況>
* 平成@年12月19日〜翌年5月にかけて,全国各地で「いかの珍味」による食中毒が発生した。患者数は1,634名で,主症状は下痢,発熱,腹痛,嘔吐などであった。
* <原因食品>
* 調査の結果,原因食品はA水産が製造したソウメン状,板状,短冊状のイカをいくつかの会社が加工した「いかの珍味」などで,A水産の従業員の便,施設のふき取り調査,製品などからSalmonella OranienburgおよびSalmonella
Chesterが検出された。
* <汚染経路>
* 原料,運搬車両,従業員の靴などにSalmonella OranienburgおよびSalmonella
Chesterが付着して工場内に持ち込まれたと推定される。また,手洗い施設に石鹸がない,器具を床に直に置く,器具の洗浄に洗剤や消毒剤を使用しないなど衛生上の問題があり,これらの要因により工場内が汚染されたものと考えられる。さらに,製造工程では,汚染作業区と清潔作業区の区別がなく,解凍および調味工程での汚染,乾燥工程での増殖,殺菌工程がない,製品検査の不備など様々な要因が重なった。
5.食中毒予防の3原則
(1) 付けない
食品衛生の基本は「手洗い」です。調理や食事の前に必ず手を洗いましょう。食品の保管中・調理中に、食品どうしで汚染をしないように、食品ごとに区分して、容器に入れて保管しましょう。調理に使用する器具は、清潔なものを使用し、食品の種類ごとに使い分けましょう。
清潔な容器に盛り付けましょう。
(2) 増やさない
新鮮なものを購入し、できるだけその日のうちに食べましょう。食品は適切な方法・温度で保管します。調理後の食品はできるだけ早く食べましょう。残った食品の取り扱いは特に注意しましょう。時間がたち過ぎたら、思い切って捨てましょう。
(3) 殺す
加熱して調理する食品は、十分に加熱しましょう。
http://www.jfha.or.jp/ 社団法人 日本食品衛生協会
http://www.tokyo-eiken.go.jp/shokuhin/index.html 食品衛生の窓
http://www1.odn.ne.jp/~cak40870/ MOTTO! 食品衛生
http://www.mhw.go.jp/o-157/ 厚生省食中毒関連情報
http://www.pref.tochigi.jp/shokuhin/ 栃木県環境衛生課 食品衛生