在日外国人の子供達が抱える問題〜日本語教育と母語保障〜 

010126M 菅原 径子

日本語教育 子供たちにとって日本で生活するうえ、特に日本の学校で生活するうえで日本語を学ぶことは必須である。日本語が話せないと様々な問題に直面することになる。

「問題点」     

     日本の学校生活にとけこめない・・・学校の教員や、周りの日本人生徒にもよりけりだが、日本語が話せない、外国人だという理由でいじめを受け登校拒否になる場合もある。

     進学、就職・・・日本語能力が不十分であるために、希望の高校や会社に就職できない。高校進学支援もあるがまだまだ高校進学率も低く、その結果就職も学歴を必要とするような会社では働けない。

「行政の対策」

神奈川県・・・入試特例措置―来日五年以内の場合は希望すれば、1試験時間の延長(50~70分)、2、拡大した文字の問題、3、漢字のルビうちという特別措置が受けられる。

栃木県・・・教育委員会義務教育課

・ポルトガル語等の習得のための内地留学派遣―外国人生徒の増加に対応し、外国語の習得や外国文化の理解を図り、外国人児童生徒教育に対応した教員の資質や能力の向上を図る。

・外国人児童生徒教育拠点校の指定―外国人生と就学の受け入れの中心となり、生徒に対する教育の研究や実践を行う学校を指定する。指定期間 1年 指定校数 小学校27校 中学校 11校 

     外国人児童生徒・等教育相談事業−外国人生徒の主要な母語をひとつ以上理解できるものを派遣し、学校面や生活面の適応等に関して外国人児童生徒や保護者からの教育相談を行うほか必要に応じて教育の活動に教育する等きめ細やかな指導を行う。期間1年間

(文部省予算)

母語保障 外国人児童にとって日本語を学ぶことも重要であるが、自分の母国の言葉や文化を学ぶことも同じくらい大切である。

「母語教育の重要性」

     アイデンティティの確立―在日外国人の子供たちは日本の文化や習慣をみにつけていないし、また母国の文化なども完全にみにつけているわけではない。そのように中途半端な状況になりアイデンティティが確立されず自分に自信がなくなる。

     両親とのコミュニケーションー子供は日本語を話せるようになるが、母語は忘れていく。そのため日本語ができない両親とうまくコミュニケーションをとることができなくなったり、また日本語を話せない両親を恥ずかしく思い親との関係に溝ができる場合がある。

     帰国したときの準備―将来帰国するときのために母国語を話せるようにしておかなければいけない。

「母語教育の現状」・・・母語教育は日本語教育ほど重要視されておらずまだまだ制度は整っていないようである。

神奈川県・・・母語教室の総数42団体 外国人学校(12)県や各市町村教育委員会による公立学校(8)A,国際教室の一部としての設置B,独立した授業として設置

     地域のボランティア教室(21)A日本人による運営B当事者による運営・商業ベースによる教室(1)公文

財政面に関しては外国人学校もボランティア教室もほぼ自助の形をとっているため、困難をかかえているようだ。外国人学校は一部を除いて授業料と寄付に頼っている。特にボランティア教室は国際交流協会から助成金をうけているところはわずかで、教師や運営者がポケットマネーでまかなっているところもあるという。そのため教育委員会などからの援助を望む声もおおいという。神奈川県教育委員会では、母語教育について基本的にその意義を認めている。教育委員会の刊行物である「いっしょに学ぼうー外国人児童・生徒のための日本語指導資料―」(1994)にも「母国語の保持は帰国後の再適応につながるものであり、出身国民としてのアイデンティティの保持という点からも重要である。」と記述されている。