030622都市再開発〜六本木ヒルズ〜          k010117 菊地史子

 621日再度六本木ヒルズを訪れた。最初目に付いたのが、六本木ヒルズツアー…六本木ヒルズに精通したガイドが施設を効率よく案内してくれるというもの。料金がかかったので、敢え無く断念。その辺を見ているとオープニングフィルムが無料上映していたので、そこに入ってみた。そのフィルムは六本木ヒルズがどんな目的で建てられて、こんなに素敵なものだということを謳っていた。

 六本木ヒルズタワーというヒルズ内で一番高いタワーがあるのだが、その上部には世界に類を見ないらしい文化施設がある。美術館や図書館などがある。生涯教育を目的としているという。しかし一般に公開されているといっても入場料を取るので、誰もが入れるというわけではない。

 六本木ヒルズのターゲットは誰であろうか。都市機能と居住空間の共存を目指し、新たな都市の形を目指す。私が見て、感じたものとはまったくの矛盾があるような気がしてならない。オフィスビルと商業空間を一体として、労働空間に潤いを持たすということは成功しているのかもしれないが、少なくとも住民があのヒルズ内の店舗で軽く買い物するとは思えない。また、見た感じ住居棟に住民は少ししか入っていないようだった。

 住居棟の事を少し調べたが、賃貸マンションであった。しかし、一般の人がとてもじゃないが簡単に借りられる金額ではないように思う。ということは結局六本木ヒルズという街に住む人は限定的になってしまうのではないかという疑問も沸いてくる。

 はたして、ヒルズができたことは地域一帯の活性化には繋がっていくのであろうか。また、ヒルズ、その周辺の経済効果はあがっているのであろうか。

 まず、ヒルズ内を行き交う人々をよく観察してみると共通の事が分かった。誰一人紙袋、買い物袋をさげてないのである。これだけヒルズ内に店舗があるのに、誰も買い物には来てない。ただ見学しにくるだけなのか。映画を見に来たと言う見方もあるかもしれないが、それにしても誰も買い物に来てるという風ではなかった。200余りあるせっかくの店舗もこれでは不景気である。 

 六本木ヒルズ周辺の商店街の人に話を聞いてみた。

喫茶店をやっている人

六本木ヒルズができてお客さんは増えましたか。

>土日は増えたが平日はそんなに変わらない。

変わったことはありますか。

>人通りが増えた事くらい。

パンや雑貨を売っている人

>人は増えたけど、みんな通りすぎるだけ。だれもお金を使ってはくれないよ。特に生活で変わったというところはない。

 

2つの店の人にしか話が聞けなかったが、両方の人に共通しているのは、六本木ヒルズができたからといって何か変わった、ここが良くなった、悪くなったというような事がないということだ。いってしまえば、どうでもいいことのように感じられた。喫茶店のように人が疲れたから休むといったところには少しは利益がもたらされたかもしれないが、特に周りの商店街に変化はないのかもしれないという感じがした。

 今回、周辺の人の話も併せて六本木ヒルズという街を考えてみたが、いまいちこの地域一帯の活性化には繋がっていないのではないかと思った。新たな都市の形というよりも、テーマパーク的になってしまっている。都市に居住空間を増やし、新たな未来の都市の在り方を目指したコンセプトは理解できるが、その概念だけが先走りしているような気がしてならない。また、利益を追求しているようなところがあり、民間主導でやる(補助金は総事業費の2)ということがこのようなところに表れているのかもしれないと思った。

 今後の都市再開発はどうなっていくのだろうか。やはり都市再開発というものは必要であるが、それが地域に根ざしたもので、地域住民が住みやすく活性化するようなものでなければならないと思う。それには広い地域の人々の理解が必要であり、またどのような地域にしたいかと言う住民の意識や協力が大切になると思う。今の六本木ヒルズにはその辺の周辺住民の意識と言うものが欠けているように見える。単なる森ビルの事業ですよといった空気が感じられなくもない。今は観光気分の客でにぎわっているが、この一過性の人気が過ぎてしまえば、閑散としてしまうかもしれない。これから六本木ヒルズはどうなるのか。その結果は今後の都市再開発の方向性に大きな影響をもたらすものだと思う。