中村祐司の研究論文概要
<著書>
共著14:「日本スポーツ法学のこれまでの課題とこれからの課題」(『スポーツ法と文化』、日本スポーツ法学会年報第
10号、トスエンタープライズ、2003年12月)22〜42頁。
<概要>本稿では日本スポーツ法学会年報第1号(1994年12月)から第9号(2002年12月)の諸論文の内容を、「関係法」研究、
「理論」研究、「権利・義務」研究、「事故対応」研究、「当事者関係」研究という五つの問題群として整理・把握し、
「関係法」研究以外の四つの問題群に焦点を当て、そこから見出される日本スポーツ法学の課題と今後の研究の方向性につ
いて考察した。
共著13:「スポーツ振興法の改正によるスポーツ行政をめぐる『分権』の課題」(『アマチュアスポーツをめぐる法律問題』
日本スポーツ法学会年報第9号、トスエンタープライズ、2002年12月)129〜138頁。
<概要>地方分権推進一括法の施行以後、「分権型社会」に向けた歯車が回り始めたという共通認識はなされてはいるものの、
その執行サービスの実際の進捗状況をめぐる評価は研究者や実務者レベルにおいても一様ではない。本研究では、このような認
識のもと、分権委によるスポーツ行政に関わる勧告は、体育指導員とスポーツ振興審議会をめぐる必置規制の緩和においてはスポ
ーツ振興法の改正をもたらし、社会体育施設整備費における一般財源化と補助対象の重点化の点では財政措置の変更をもたらした
ことを指摘した。
共著12:「スポーツ事業における公民協働の可能性―アイスホッケーチーム<日光バックス>の設立運動を素材にして―」
(『市民主権の地方自治―公共を支える民』、コモンズ、2001年2月)208〜232頁。
<概要>1999年1月から同年9月までにおける「日光バックス」の設立経過や運営をめぐる諸問題を対象として、市民やファン
とその団体、日光市や栃木県、議員、日本アイスホッケー連盟、栃木県アイスホッケー連盟、古河電工、スポンサー企業など
といった諸アクターの動態や相互作用を描き出し、公民の協働とその限界および課題について考察した。
共著11:「現代日本の政治とスポーツ」(『スポーツの政治学』講座・スポーツの社会科学第4巻、杏林書院、1999年10月)
43〜62頁。
<概要>現代日本の政治とスポーツを論じるための格好の素材としてサッカーくじの導入をめぐる議論を取り上げ,導入
の背景,法案の国会提出に至るまでの政治過程,賛成論と反対論のポイント,他の政治課題の絡みなどについて描写し,そ
の特質について考察した。「小さな政府」という時代的潮流においては国家・地方行政サービスの市場化とサービス提供主
体やサービス形態の多元化が政府によって追求され,市民や民間企業,公私混合組織の活動が自己責任を伴う形で促され,
政府を含めたこれらセクター間のパートナーシップの構築が喫緊の国家的課題となっている。こうした公的セクターによる
直轄的なサービス形態の修正とサービス量の縮小が図られる中で,サッカーくじの導入は国の租税や予算にもとづかない国
家サービスの新しい在り方の一つではないかと指摘した。
共著10:"Decentralization and Local Government" in Ulrich Kloti and Katsumi Yorimoto ed., Institutional change and Public
Policy in Japan and Switzerland, Papaers presented at the joint Japanese-Swiss
seminar at Waseda University, September 1998
(Zurich, Institute of Political Science, 1999), 83-96.
<Abstract>
In conclusion, I have, in general, a comparatively high opinion of the Recommendation Reports submitted by the Committee for the Promotion of
Decentralization and of the Comprehensive Plan for Decentralization, with the one reservation against the promotion measures of mergers. I think that
the Recommendations of the CPD provide an essential opportunity for regional prefectures and municipalities to achieve " Resident's autonomy".
共著9:「地方分権と行政」(『現代法学と憲法』北樹出版、1999年4月)309〜317頁。
<概要>地方分権は、「中央省庁主導の縦割りの画一行政システム」から「住民主導の個性的で総合的な行政システム」への変
革として認識され、国の役割は、国家の存立に関わる政策や全国的規模・視点で行われることが必要不可欠な施策・事業に限定さ
れることとなる。本稿では「地方分権推進法」を分権型社会への転換点となる契機を提供した法律としてとらえ、地方分権推進委
員会の勧告内容のポイントと評価の提示を行った。
共著8:「イギリス文化省のスポーツ政策の動向と関連法令」(『スポーツ法の理念とスポーツ事故問題』日本スポーツ
法学会年報第5号、早稲田大学出版部、1998年12月) 145〜154頁。
<概要>現代国家における政治・経済状況の変容に対応する形でのスポーツ政策の変更や修正が喫緊の課題となっており、こうし
た視点からイギリススポーツ政策の動向を把握し、過去の政策との連動や異相について考察した。1997年5月以降の労働党政権下
でのイギリス文化省のスポーツ政策動向に注目し、主に「報道発表」(press release)を題材として、関連法令への言及も含めて検討
した。
共著7:「イギリス文化行政をめぐる政策ネットワークの研究―博物館・図書館・スポーツ行政をめぐる政策、制度、
管理―」(『年報行政研究33号 行政責任の明確化―レスポンシビリティとアカウンタビリティ』ぎょうせい、1998年5月)153
〜170頁。
<概要>本研究は日本行政学会の公募論文として掲載されたもので,イギリス文化行政を対象に博物館,図書館,スポーツの3つのサブ
政策領域において形成されているところの政策ネットワークの態様と作動,変容を実証的に明らかにし,制度,管理、その特質について
論じた。ネットワークの特質として,(1)従来の文化行政サービス領域への私的セクター,ボランタリーセクター,市民セクターの参入増
加を伴う諸アクターの多元化・拡散化,(2)諸アクターに対するコントロールを維持しつつ,自らの戦略に合わせてネットワークを変容さ
せる文化省の強力な政策意図の存在,(3)非政府直属公的機関(NDPB)に対する政府の強力なコントロール,(4)NDPBがネットワ
ーク変容に及ぼす影響力,(5)諸アクターを連結させるアクターの活性化と国営籤収益金の配分をめぐる文化サブ政策領域間の競合の増大,
といった知見を提示した。
共著6:「イギリスのFLAをめぐる諸規程についての一考察 ―サッカー競技場の安全政策におけるライセンス機関、
地方行政機関、クラブの機能的連携―」(『スポーツの権利性と文化性』日本スポーツ法学会年報第4号、早稲田大
学出版部、1997年12月)43〜51頁。
<概要>1990年の「テーラー」報告以後のイギリスにおけるサッカー競技場の安全性の改善に注目し,この過程で「サッカーライセン
ス機関」(FLA)がどのような役割を果たしたのかを他の関連諸アクターとの機能的連携から明らかにした。FLAの構成や役割をめ ぐ
る法的な位置づけと実際的な役割変容,地方行政機関やクラブに対する指導・助言を,2002年のサッカーワールドカップ日韓共催をめ
ぐる諸課題を念頭に置きつつ検証した。
共著5:「イギリスにおけるスポーツ市場をめぐる関連法規の検討」(『スポーツをめぐる契約の諸問題』日本スポーツ
法学会年報第3号、早稲田大学出版部、1996年12月)88〜96頁。
<概要> イギリスにおけるスポーツ市場の存在を把握した上で,関連する諸法規を概括的に提示し,さらにスポーツ政策領域の法的効力をめぐる近
年の新しい動態について検討した。特に「強制競争入札制度」(CCT)において,政府 が意図したのは地方自治体のスポーツ施設が提供するサービス
領域に「民」の参入を可能とするような市場環境の醸成であった。
共著4: "Sports policy in Japan" in A. T. Johnson and L. Chalip ed., National Sports Policies, An International Handbook
(Westport,Greenwood,1996), 286-316.
<概要>各国スポーツ政策研究の日本担当者として,文部省体育局のスポーツ政策を中心にその歴史的変遷,施策内容,予算,
関連団体,近年の環境問題などについて政府政策との関連で論じた。さらに,都道府県や市町村の自治体スポーツ,市民文化
活動としてのスポーツ,企業によるスポーツ産業活動やメセナ活動について,最新のデータを整理・提供した後に,政府,企
業,市民のパートナーシップの在り方について考察した。
共著3:「諸外国におけるスポーツ法 ―イギリス― 」(『スポーツ法学入門』体育施設出版、1995年12月)71〜84頁。
<概要>近年,大陸法との融合の必要から法典化の作業が進められているイギリスの制定法について,特にスポーツ関連法に
注目し,公衆衛生法,フィジカルトレーニング・レクリエーション法,教育法,サッカー観戦者法などについての概説を試みた。
また,枢密院令,勅 許状,命令,規則,条例といった法令文書,さらには,政府関連の委員会報告や,政府担当局,特殊法人
の年次報告を法律内容との関連で理解する事の必要性にも言及した。
共著2:「イギリスにおけるサッカーフーリガンをめぐる法的対応」(『スポーツにおける紛争と事故』日本スポーツ法
学会年報第2号、早稲田大学出版部、1995年12月)138〜146頁。
<概要>1980年代の終わりにイギリスにおいて危機的な政治課題として認識されたサッカーフーリガンについて,政府の法的対応
を明らかにし,さらに,法律と政策との整合性という視点から考察を行った。テイラー最終報告を起点として,法律の政策化と政策の法
律化が同時並行的に,しかし内容においては融合しながら 展開された。また,サッカー観戦者法により,課題環境の変動に対応する法律
の在り方を再考する契機が提供された。
共著1:「イギリスにおけるスポーツ行政組織の移管をめぐる法的検討」(『スポーツにおける当事者関係の特質』日本
スポーツ法学会年報第1号、早稲田大学出版部、1994年12月) 155〜163頁。
<概要>イギリスにおける新省としてのDNHの設置とそれに伴うSARDの移管に注目し,こうした行政組織の編成を大臣機能の移管
として捉える「国務大臣法」の内容を提示した。さらにこの法律の委任を受けた「国民文化財産の機能移管に関する枢密院令」について,
スポーツ行政に関連する2項目を抽出・紹介した。そして,DNH所管のSARDのスポーツ行政施策の特徴を挙げ,これと枢密院令との
関連について考察を行った。
<単著論文>
論文40:「都道府県におけるローカルガバナンスの諸相と関係諸アクター協働の課題―栃木県における総合型地域スポーツクラ
ブの設立・運営を素材にして」(『宇都宮大学国際学部研究論集』16号、2003年10月)1〜13頁。
<概要>萌芽期にある県内の総合型地域スポーツクラブ設立の動きに注目し、関係者へのインタビュー調査等から読み取れるところのポ
イントを提示し、クラブの設立および運営をめぐる現実の課題を浮き彫りにしつつ、地域住民を主体としたこの種のNPO法人の今後の方
向性をローカルガバナンスの視点から探った。
論文39:「都道府県における政策評価をめぐる課題―栃木県『政策マネジメントシステム』の運用を事例として―」(『行政苦情救済&オンブズ
マン』11号、2003年10月)56〜62頁。
<概要>01年度から政策評価に乗り出した栃木県を事例として取り上げ、制度の概要を把握し、立案や実施をめぐる現状の課題や今後の方向性を検
討した。政策評価は単純化された指標と、行政サービスをめぐる多面的な評価の「制度」を追及する、といった二律背反的な目標を同時に達成しようとす
る類のものである。しかし、その「副産物」として、行政職員に対する格好のOJT(職場研修)の場を提供しつつあり、また、行政サービスに対する一方通
行的な県民の受益者意識を変容させる契機となる可能性も内包している。
論文38:「スポーツ行政をめぐる政策ネットワークの研究」(博士論文(政治学)、早稲田大学大学院政治学研究科、2003年2月)。
<概要>論文博士(政治学)申請論文である。本文A4版で315頁(400字換算で1260枚に相当)、参考文献等13頁から構成され
ており、総328頁に及ぶ。本論文は、日本およびイギリスを中心とするスポーツ行政をめぐる政策ネットワークの動態と特質を分析・
考察する研究であり、その構成を列挙すれば、以下の通りである。
はじめに/第1章政策過程研究の理論課題/第2章政策ネットワーク研究の射程とネットワーク波及モデル/第3章イギリス文化行政を
めぐる政策ネットワークの構造と作動―博物館・図書館・スポーツ行政をめぐる政策、制度、管理―/第4章イギリススポーツ行政を
めぐるネットワーク戦略の態様と作動/第5章スポーツのサブ政策領域におけるネットワークの形成―イギリスサッカーフーリガン対
策をめぐる諸アクター間の関係変容―/第6章日本戦時期体育行政における集権統治型ネットワークの原型/第7章現代日本スポーツ
行政をめぐる政策ネットワークの特性と作動/第8章地方自治体におけるスポーツ行政の展開とネットワーク変容/第9章大規模国際
スポーツイベントをめぐる諸アクター間のパートナーシップ形成の課題/第10章スポーツ事業における諸アクター間のネットワーク形
成をめぐる新潮流/おわりに/あとがき/参考文献。
論文37:「ナショナリズムとメガ・イベント―2002年W杯における商業セクターの戦略と社会現象に注目して―」(『現代スポー
ツ評論 メガ・イベントの思惑』7号、2002年11月)8〜22頁。
<概要>サッカーの2002年ワールドカップ日韓共催大会を素材に、先行研究を整理した上で、大会を支えた諸アクターの戦略やこのメ
ガ・イベントがもたらしたところの社会的諸現象、大会をめぐる新聞報道から読み取れる特質について検討した。ナショナリズムと2002
年W杯とは相互に単線的に連結しているものでなく、グローバリゼーションの潮流やメディア、スポンサービジネス、広告代理店、FIFA、
政府といった諸アクターの戦略が複雑に絡み合った、産軍複合体ならぬ「産官」複合体が提供するメガ・イベントサービスとこのサービス
の受け手との間での相乗効果として、ナショナリズムの雰囲気が醸し出されたといえる。
論文36:「2002年サッカーワールドカップ大会開催自治体における諸アクター関係とボランタリーセクターの登場」(『宇都
宮大学国際学部研究論集』14号、2002年10月)35〜50頁。
<概要>2002年ワールドカップ大会開催自治体でのインタビュー調査をもとに、取組みをめぐる進捗状況や力点の相違、開催自治体と
組織委員会・支部との間の協調の度合い、地元住民のワールドカップ開催の受け止め方や盛り上がり、関係市民団体相互や行政―団体
間での協力関係、スタジアム建設、キャンプ候補地申請など、当該開催地固有の環境条件と連動した個別・固有な様相を明らかにした。
そして、ワールドカップ大会が、市場のメカニズムに支えられた世界規模での巨大アクターとボランタリズに支えられた黎明期の草の根
アクターとが、公的セクターを巻き込む形で接触する機会を提供したことを指摘した。
論文35:「オーストラリア州・地方政府におけるガバナンスの諸相と政策ネットワークの形成 ―スポーツ振興戦略と地域ス
ポーツクラブ運営の事例から―」(『季刊行政管理研究』98号、2002年6月)、56〜70頁。
<概要>オーストラリア・ゴールドコースト市におけるスポーツ活動にかかわる諸アクター間の政策ネットワーク構造とその態様につ
いて、州と市によるガバナンスの浸透戦略という地方政府レベルからの提示と、地域社会におけるスポーツクラブスタッフとのインタ
ビュー活動というミクロレベルからのアプローチを通じて検討した。クウィーンズランド州政府が産業発展のツールとして優先的に重
視する政策戦略の中身とその特質、ゴールドコースト市が採用する「購買者/提供者モデル」、州・地方政府による草の根レベルの地域
スポーツクラブ運営への影響を実証的に明らかにした。そして、この領域での政策ネットワーク形成におけるガバナンスの特性を、公
的セクター、私的セクター、ボランタリーセクター間のパートナーシップ構築をめぐる課題にも言及しつつまとめた。
論文34:「イギリススポーツ政策における公的セクターとボランタリーセクターの協働と課題」(『宇都宮大学国際学部研究論
集』12号、2001年10月)1〜16頁。
<概要>労働党政権下(2001年5月現在)にあるイギリス文化省の「スポーツのための政府プラン」(Government Plan for Sport)とスポーツイングラン
ド、UKスポーツ、「身体レクリエーション中央カウンシル」(CCPR=Central Council of
Physical Recreation)の政策表明や諸提言に焦点を当て、イギ
リススポーツ政策における執行サービスの特徴とそれに呼応するボランタリーセクターの対応の動態を明らかにした。文化省による「スポーツのため
の政府プラン」とコミュニティスポーツ戦略、スポーツイングランド及びUKスポーツの政策戦略、CCPRの対応戦略と課題を把握し、市場と自己責任
にもとづいた文化省のスポーツ振興策の特質を浮き彫りにした。
論文33:「アイルランドの地方自治制度―中央政府主導の制度変容―」(『地方財務』2001年7月号)208〜215頁。
<概要>アイルランドの地方自治体別の歳出と歳入について補足した上で、環境省による対地方自治体戦略を、「政策戦略
1998-2001」、業務遂行指標(Performance Indicators)、2000年地方政府法案、地方自治体をめぐるその他の政策変容と
いった項目を設定し記述した。確かにここ数年のアイルランドにおける地方自治体改革は、分権型システムの設計と制度運
用に向かっている。しかし、イギリスモデルを模倣した形での分権諸政策を作成・主導し、これを地方自治体に実施させる
中心アクターはあくまでも環境省であり、まさに中央政府による分権政策の「上からの」強力な誘引・誘導が地方自治体シ
ステム変容の原動力・推進力となっているのである。その意味で、アイルランドでは新しい集権型の「地方統治」が進捗・
深化しつつある側面も否定できないように思われる。
論文32:「アイルランドの地方自治制度―その概要と特徴―」(『地方財務』2001年6月号)226〜235頁。
<概要>大幅な改革が進行中であるアイルランドの地方自治制度について、国の概要、地方自治体の概要、自治体組織と住
民参加(審議機関、執行機関)、行政サービスの内容、財源の仕組みといった項目を設定し、制度の現況を把握した。
論文31:「2002年ワールドカップサッカー誘致・開催と地方自治体の対応戦略―アクターとしての栃木県・宇都宮市、県サッカー
協会に注目して―」(『宇都宮大学国際学部研究論集』11号、2001年3月)37〜52頁。
<概要>ワールドカップ開催がもたらす国内への多大な影響力を認識した上で、ハードの側面、とりわけスタジアム建設や
キャンプ候補地の整備に注目し、これとの関連で地方自治体がサッカー関係団体との相互作用や調整の中でどのような対応
戦略をとっていったのかを、関連諸アクターの意図や資源(リソース)を把握しつつ、明らかにした。
論文30:「イギリス文化省のスポーツ政策アクターに関する一考察」(『宇都宮大学国際学部研究論集』10号、2002年10月)1〜13頁。
<概要>ブレア労働党政権のスポーツ政策の特質について、キーとなる政策アクターとしてのスポーツイングランドに注目すれ
ば、草の根スポーツをコミュニティの再生と連動させつつ、エリートスポーツとの連結・結合を図ろうとしていることが指摘で
きる。また、社会における新しいスポーツの価値創造を行っていこうとする政府姿勢の明確化がなされている。
論文:29:「政策ネットワーク論とイギリス行政学の再構築」「第50回日本行政学会研究会分科会B『比較行政システム―
ヨーロッパの場合』提出論文。場所:明治大学・駿河台校舎、2000年5月14日。
<概要>従来の行政学体系の再構成を迫る素材が政策ネットワーク論に散りばめられているという認識のもと、イギリスを中心とする近
年の分権を検討することを通じて、その認識枠組み、分析視覚、論者間の差異、モデル、派生課題について考察した。ロウズモデルの意義、
他の研究者による政策ネットワーク論の展開、既存のモデル提示、イギリス行政学の課題を把握した上で、ネットワーク波及モデルを提示
した。そして、政策ネットワーク論がその学問的立場において政府との「距離」を置きつつ、世界各国と国家間において共通の趨勢になり
つつあるネットワーク化の中で、実証研究を土台とした政策過程の動態メカニズムの把握を積み重ねていくことが、イギリス行政学のみな
らず、各国の行政学の再構成、すなわち、縦割りの行政学と横割りの行政学、あるいは政策学、制度学、管理学の合成に向けた一つの切り
札となるのではないかという結論に達した。
論文28:「分権化時代におけるスポーツ行政をめぐる自治体職員と地方議員の意識調査研究」(『宇都宮大学国際学部研
究論集』9号、2000年3月)29~42頁。
<概要>本研究では、スポーツ行政に関わる地方分権推進委員会の第2次、地方分権推進計画、そしてスポーツ振興法の一部改
正に注目し、これを整理・解釈した上で、こうした分権化が今後迫られる時期において、地方自治体職員と地方議員に対して行
ったスポーツ行政に関わる意識調査の結果を提示し、分析を加えた。
(論文27): ”A Study of Recommendation Reports submitted by the Committee for the Promotion of Decentralization in Japan,”
Journal of the Faculty of International Studies Utsunomiya University, VIII(1999), 23-38.
<概要>*本論文の内容は共著10に転載されたため、省略。
論文26:「都市行政における市民参加システムの課題」(『都市問題研究』50巻4号、1998年4月)86〜96頁。
<概要>中核市の宇都宮市を対象に,市が設定しているところの市民参加システムを整理・提示し,これをめぐり行政と市民の
間で今後派生するであろう諸課題について考察した。市の総合計画策定と世論調査,自治会活動,都市計画(地区計画),情報
公開を取り上げ,各々の施策や制度の概要を提示した。さらに廃棄物処理と文化行政を例に,総合計画で言及される分野別計画
の中身とそれが市民へのサービスとして提供される際の課題について明らかにし,市民参加システムの今後の方向性についても
言及した。
論文25:「行政サービスの市場化論と政策ネットワーク論」(『宇都宮大学国際学部研究論集』4号、1997年10月)19
〜32頁。
<概要>従来,国家が提供していたサービス領域に私的セクター(民間企業)や非営利セクターが参入し,サービス提供の主体が限定され
なくなるという行政サービス の市場化が世界的趨勢となっている。本研究ではこのような状況認識を前提にして,アメリカの「新行政経営論」
と「政府刷新論」,イギリスの政策ネットワーク論について,今後の分析研究をめぐる基準をも含めて考察した。
論文24:「イギリス地方自治体の文化行政サービスをめぐる『公』と『民』の競合過程―公共図書館サービス領域への
競争入札制導入の試み―」(『月刊自治研』39巻452号、1997年5月)73〜79頁。
<概要>イギリスにおけるロンドンバラ33区の一つであるブレンドカウンシルの図書館行政サービスを対象に,ここで試みられ
た「自発的競争入札制度」(VCT)について,その過程や評価の中身を明らかにした。博物館と並んで図書館サービスはイギリ
スの文化行政領域において伝統的な蓄積がなされてきた「聖域」とも言える政策領域であり,この領域への市場原理の導入を把握
することは,日本の地方行政改革を考察する際にも重要であると考えた。
論文23:「開発と環境をめぐる広域的自治体行政の対応 ―山梨県と栃木県におけるゴルフ場造成を事例に―」(『都
市問題』88巻4号、1997年4月)97〜115頁。
<概要>リゾートブーム後のゴルフ場開発に焦点を当て,これに行政が規制・助成の側面でどのように対応しているのかを,山梨
県と栃木県の事例をもとに検討した。さらに,その時々の社会・経済状況のもとでのゴルフ場開発の動態,開発をめぐる自治体政
策の体系,環境行政における知事,担当部局,開発企業・シンクタンクの連携などを把握した。そして,ゴルフ場造成をめぐる開
発行政と環境行政の調整や統合的な連動について考察した。
論文22:「政策過程研究の理論課題」(『宇都宮大学国際学部研究論集』3号、1997年3月)41〜58頁。
<概要>政策過程研究に関わる近年の理論課題を提示し,政策ネットワークの理論研究上の位置づけを行った。行政学者によって
展開されるネットワーク論に対する政治学者からの問題提起,ネットワーク分析そのものの見直し論,官僚行動論と政策ネットワ
ーク論との関係,比較研究上の視点,政策分析の限界、政策ネットワークへの市民参加論といった今後の理論研究上の課題を明ら
かにした。
論文21:「イギリスにおける地方行政サービスをめぐる環境変容とその特質 ―文化行政領域における強制競争入札制
度の導入を中心に―」(『季刊行政管理研究』75号、1996年9月)26〜35頁。
<概要>イギリスにおける地方行政サービスを取り巻く環境変容の主要因として強制競争入札制度(CCT)を取り上げ,CCT
のメカニズム,浸透,公的セクターによるサービス態様の変容,行政サービスの捉え方の転換などについて,特に文化行政領域と
の関連で整理・考証した。CCTは集権化・分権化という相反するベクトルを統合する動的要因もしくは原動力となる可能性があ
り,日英の行政改革をめぐる比較考察においても注目すべき制度である。
論文20:「サッカーフーリガンをめぐる法的措置と政策課題」(『季刊教育法』105号、1996年3月)84〜89頁。
<概要>1960年代末のイギリスにおけるサッカー・フーリガン対策について,当時の政府・大臣の諮問を受けたサッカー関係
者による報告内容を法的措置として提示し,さらにこれを当時の課題環境をめぐる環境変容の中で位置づけた。具体的には,「サ
ッカー試合における観衆行動についての報告」をめぐる政策課題状況として,(1)政府による認識の脆弱性,(2)サッカー協会の
指導性の弱さとクラブの危機意識の薄さ,(3)フーリガンに対するマスメディアの扇情的な取り扱い,(4)政府当局の一面的な強
行措置,(5)若年失業者の増大や労働者層の変質によるフーリガンの形態変容,を指摘した。
論文19:「政策過程分析をめぐる一試論 ―政策ネットワークの枠組モデル構築の試み―」(『宇都宮大学国際学部研究
論集』創刊号、1996年3月)47〜67頁。
<概要>政策過程研究における分析視角として,政策ネットワークの枠組モデルの構築を試みた。ネットワークの分析次元につい
てはワーゲンモデルを,政策類型については山口モデルを採用した。さらに,イギリスにおける政策ネットワーク研究の課題が日
本における政策過程の実証研究にも該当することを示しつつ,筆者が提示した枠組モデルの有用性を確認すると同時に残された検
討課題を明らかにした。
論文18:「大都市におけるスポーツ行政組織をめぐる一考察」(『地方自治の窓』56号、1995年6月)18頁〜23頁。
<概要>市民の余暇・スポーツニーズを吸収し,市民活動や企業活動との連携・役割分担を自覚しつつ,スポーツ振興策を立案・実施してい
くためのスポーツ行政組織の在り方を考察した。予算及び施策内容,組織間コミ ュニケーション,行政組織の基礎単位との関連で大都市に
おけるスポーツ行政組織の課題を明らかにした。 特に,今後は地方自治体の自主法である条例において, スポーツ行政の在り方も含めた,
スポーツ振興に向け た行政の基本的認識が多様な形で明示されることの必要性を指摘した。
論文17:「スポーツ産業行政における<政策ネットワーク>の研究」(『スポーツ産業学研究』5巻1号、1995年3月)
13〜21頁。
<概要>イギリスの文献研究から政策ネットワークの視点を提示した上で,日本のスポーツ産業行政における諸アクターを明示し,各々の
諸関係について考察した。通産省産業政策局はスポーツ産業団体連合会やスポーツ産業学会の設立を産業戦略として打ち出し,文部省と
の共官行政領域へと所管を広げ,緩やかな形でネットワークを主導しているという知見が得られた。
論文16:「行政における<政策ネットワーク>についての一考察」(『宇都宮大学教育学部紀要』45巻、1995年3月) 25
〜39頁。
<概要>政策ネットワークは各々の有する権力・権限を基盤とした影響力の相互作用の検討では明白にならない諸アクターの機
能的展開に焦点をしぼることにより,行政における制度作用の実態と政策過程の動態を明確にし得る分析枠組である。本研究で
は,ミラーとプラチェットの政策ネットワーク論を要約・提示し,実証研究に基づく両者の異相を検討した。
論文15:「戦時下の女子体力章検定」(『女性スポーツ研究』6号、1994年5月)1頁〜11頁。
<概要>1938年1月に厚生省設立と同時に設置された体力局は明治神宮大会,国民体力管理制度(1940年以降実施の国
民体力法),体力章検定,体育施設整備,体育委員の設置等を所管し,軍部の意向に沿う形で「国民体育」施策を実施していっ
た。本稿では女子体力章検定の制定過程及び実施をめぐる特質を,「実施要綱」の作成経過,予算措置,実施主体,文部省・大
日本体育会との連関,検定対象といった政治行政的側面から浮彫にした。
論文14:「行政組織における所管をめぐる比較考察 −イギリスのSARDと日本の文部省体育局を事例として−」
(『宇都宮大学教育学部紀要』44巻、1994年3月) 11〜18頁。
<概要>行政組織研究を古典的組織理論および現代的組織理論という理論枠組との関連で捉えた上で,イギリスと日本におけ
る中央政府レベルの行政担当部局および関連省庁の所管事項を提示し,比較考察を行った。そして,行政組織編成をめぐる弾
力性・柔軟性,行政体系に占める機能的位置づけ,担当省の変容と固定性,多元化する関連省庁への対応,担当省による行政
対応の限界,といった課題をめぐる差異を指摘した。
論文13:「スポーツ行政施策をめぐる補助事業の検討」(『体育・スポーツ行政研究』3巻1号、1994年3月) 37〜46頁。
<概要>補助金の作用を事例的に検討するために「社会体育施設設備補助金」をめぐる事務手続と運用を取り上げ,前者につい
ては補助金に対する否定的見解,後者については肯定的見解といった枠組みから分析視角の提供を試みた。その際には,行政監
察局の監察結果の内容ではなく,国−自治体間の関係を視野に入れた行政事務の性質を判断基準とした。
論文12:「スポーツ産業行政における政府間関係」(『スポーツ産業学研究第3回学会大会号』1993年9月)61〜64頁。
<概要>政府間関係という概念を明らかにした上で、この分析枠組みを援用する形で、リゾート政策における「基本構想」の承
認、開発助成行政、環境アセスメントについて整理した。
論文11:「大日本体育会の組織機構と事業について」(『早稲田大学人間科学研究』6巻1号、1993年3月)169〜176頁。
<概要> 19424月8日に発足した大日本体育会の組織機構および事業について,特に道府県支部(当時)の設置に関する資料を中心
に提示した。国→都道府県→市 町村→町内会レベルへの「国民体育」施策の浸透については当時の国家主導の「国民体育」を構造化す
るためには不可欠の問題設定と捉えた。さらに、厚生省 (人口局)・文部省(体育局)の「国民体育」施策との関連,体育会組織機構の戦
後への連続性など,今後の検討課題を明確にした。
論文10:「スポーツリゾート開発をめぐる政策決定過程」(『スポーツ産業学研究第2回学会大会号』1993年1月)87〜90
頁。
<概要>事例として埼玉県の「秩父リゾート地域整備構想」について,基礎調査の承認に至るまでの政策過程の研究の枠組とな
る中央省庁と埼玉県の相互作用を中心にその概要を示した。基本構造承認の前段階における国と道府県との関係軸を基本方針に
よる「基礎調査」・「立地可能性調査」の枠づけと捉え、これにスポーツ施設の例を挙げつつ,国による「熟度」の判定基準を
提示した。
論文9:「横浜市におけるスポーツ行政の現状と課題」(『体育・スポーツ行政研究会 第2回大会号』1992年11月)10
〜11頁(作成資料5枚添付)。
<概要>横浜市におけるスポーツ行政の予算や事業を市体育課やそれ以外の担当部局(企画財政局,市民局,緑政局等),事業団,ス
ポーツ団体等も含めてヒアリングを中心に体系的に把握した。体育課による委託事業や補助事業を通じた指導・監督、スポーツ行政の多
元化などを指摘し、さらに予算配分・事業内容の見直しやスポーツ行政システムの再構築に向けた「市民文化局市民スポーツ課」の設置
を提言した。
論文8:「イギリスにおけるスポーツ政策をめぐる諸組織の連関」(『東京体育学研究 1992年度報告』、1992年5月) 55
〜59頁。
<概要>イギリス特にイングランドとウェールズ)における中央・地方政府レベルのスポーツ政策について,政策をめぐる諸組織間の連関
をスポーツカウンシル(中央政府レベル)と地方行政機関(地方政府)レベルを中心に検討した。さらに,地方行政機関やスポーツ団体相
互の水平的関係,垂直的政府間関係におけるスポーツ予算や法制度的側面,スポーツサービスの民営化,コミュニティレベルのスポーツ
政策等について体系化した。
論文7:「戦時下の<国民体育>行政」(『早稲田大学人間科学研究』5巻1号、1992年3月)123〜139頁。
<概要>15年戦争における軍事的=官僚的統治構造と,「修練」・「練成」といった国民教化とを前提的な枠組として,厚
生省体力局による「人的資源の確立」や「国民体位向上」施策を予算措置,神宮大会,国民体力法,武道奨励,体力章検定,
体育委員の設置に焦点を当てることで当時の〈国民体育〉の特質を明らかにした。さらに体育運動主事会議,体力局長から地
方長官宛の通牒,文部省との管轄問題などを指摘した。
論文6:「スポーツ行政をめぐる<参加>の基本的課題」(『早稲田政治公法研究』32号、1990年10月) 41〜57頁。
<概要>市民文化活動の一要素としてスポーツ活動を取り上げ,(1)行政のサービス供給形態をめぐる市民参加,(2)施
設をめぐる市民参加,という2つの課題について実証研究を起点とした理論展開を行った。すなわち,行政の政策立案および
実現過程への市民を主体とする批判や参画は未発達・未成熟な段階にあるため,既存の社会教育行政の廃止が市民文化の成熟
には直結しないことを指摘した。
論文5:「地域総合スポーツセンターの設立をめぐる意思決定過程」(『早稲田政治公法研究』29号、1989年10月) 103
〜126頁。
<概要> 横浜市の「港南スポーツセンター」を対象に当時のセンターの設立を市体育課職員(課長,担当職員,指導主事)や組合書記
長等へのヒアリングを中心に,行政内部アクター (「新5ヵ年計画」,市長,市民局,組合等)及び行政外部アクター(県,文部省,市議会,
市民等)と体育課との「絡み合い」を追う中で,スポーツ施設建設 をめぐる意思決定過程における「体育課(行政)主導型」の事例を明ら
かにした。
論文4:「スポーツ行政をめぐる<公>と<民>の役割」(『月刊自治研』)31巻360号、1989年9月)78〜82頁。
<概要>スポーツ行政において「民」の発想を導入した横浜市(間接方式)と「公」を維持している川崎市(直轄方式)につ
いて考察した。両者の「役割相乗型」を求める立場から言えば,市民・議会・組合等を巻き込んだ形での「公」の内部的諸問
題の改革があって初めて「民」のメリットの強調が正当性を持つことになると指摘した。
論文3:「横浜・川崎・藤沢のレクリエーションスポーツ行政をめぐる比較視座」(『早稲田政治公法研究』28号、1989
年3月)1〜43頁。
<概要>比較視座として,(1)総合計画審議会(提言内容や市民参加等),(2)行政組織(教育委員会体育課)、 (3)スポーツ行政予算,
(4)スポーツ行政関連予算をめぐる議会対応,(5)スポーツセンター建設をめぐる議会対応,の5つを設定した。例えば,(5)の予算委員
会審議において,藤沢市の議員から建設着手以前の設計図公表や建設内容についての市民意見の導入といった論点が提供された。
論文2:「川崎市・藤沢市におけるレクリエーションスポーツ行政」(『早稲田政治公法研究』27号、1989年1月) 71
〜118頁。
<概要> 事業団方式を採用せずに直営方式によりスポーツ施策を展開している自治体のうち川崎市と藤沢市を取り上げ,主にスポーツ
行政予算をめぐる議会対応という 視点から両市のスポーツ行政を比較も含め把握することに努めた。議会対応に焦点を当てた理由は,
地方議会が首長や執行部に対して監視・統制機能を持つこと や,地方議員が市民の声を吸収する上で最も身近な存 在であることを重
視したためである。
論文1:「横浜市におけるレクリエーションスポーツ行政」(『早稲田政治公法研究』26号、1988年10月) 1〜55頁。
<概要>財団法人「横浜市スポーツ振興事業団」について,その設立経過と設立後の横浜市におけるスポーツ行政の変化を,
「横浜市スポーツ振興調査会」の提言,議会対応,行政組織,予算等の視点から分析した。
<調査報告書>
報告書4:『次期ごみ処理施設の立地調査及び新施設の研究報告書』(塩谷広域行政組合と宇都宮大学との共同研究。研究分担
者として、第3章「現在に至るまでの立地選定経緯と今後の評価項目設定―高根沢、喜連川町、塩谷町における廃
棄物処理施設立地候補地区選定に関する検討―」を執筆。2003年3月)15〜25頁。→報告書(担当分)こちら
<概要>塩谷広域行政地区におけるごみ処理施設をめぐる一連の経緯から、施設立地場所を検討する際の重要なヒントが見えてくる。第1に、
地元住民および1市4町の住民に対する本研究会の検討過程とその内容を原則公開とすることが不可欠である。第2に、上記取組み以外にも
「ごみ処理検討委員会」の活動こそを住民により開かれたものとする必要がある。第3に、立地場所の選定にあたっては、どのような諸条件をも
とに判断したのか、その優先順位ないしは諸条件の組み合わせを明らかにすることである。
報告書3:『コミュニティ組織運営をめぐる地域連携の課題―総合型地域スポーツ・文化クラブを素材にして―』(2002年度
地域連携総合センター研究プロジェクト活動報告―都市再生・まちづくり研究部門―。研究代表者として、「本研究
の目的と方法」及び「3.栃木県における地域クラブ設立の課題」を執筆。2003年2月)2頁、11〜13頁。→報告書全文はこちら
<概要>本研究は、コミュニティ組織のなかでもとくに総合型地域スポーツ・文化クラブ(以下地域クラブと略)を取り上げ、その立ち上げや運
営に住民や地方自治体がどのような役割を果たしているのか、地域クラブを取り巻く社会的環境はどのように変容しているのか、さらには大学が
その知的資源を活用して、こうした地域活動とどのような連携を構築していけるのかといった諸課題に、4学部1センターに属する5名の教員が、
各々の専門領域の視点から取り組んだものである。
近年、地域社会では、行政の側からも住民の側からも、そして企業の側からも諸課題に対する独占的な対応には限界があるという認識が定
着しつつある。各セクターが財源の獲得、専門知識の保有、人材の供給、手続きの正当化、ルール作成といった側面での得意分野を生かしつつ、
互いに議論を重ね利害関係を調整し、妥当な解決策を生み出す知恵こそが求められている。
報告書2:『分権・規制緩和社会における政策・経済分析と市民的諸権利に関する共同研究』(1999〜2000年
度学内共同研究事業(宇都宮大学プロジェクト交流研究。研究代表者として「本研究の趣旨と概要」
及び第1章「当該地域社会に生きる個人を起点とした政策分析の可能性」を執筆。2001年3月)3〜11頁。
<概要>現代日本社会に内在する社会病理的側面に注目し、地方分権・規制緩和社会の特質を自己責任、競争性、パートナー
シップというキーワードから把握した。そして、近年のコンピュータ技術の飛躍的な発展に伴う電子情報の氾濫を敢えて肯定的
な側面から捉え直し、電子情報をフルに活用した「個人発」の政策分析の必要性を強調した。さらに各々の個人が持つ関心の高
い3つの政策項目を設定し、これに対する知識を深化させていくことと、居住地という「現場」におけるコミュニティ実践活動
の積み重ねが、政策分析主体者としての個人アクターには不可欠であるという認識が提示された。→報告書全文はこちら
報告書1:『地方公共団体におけるオンブズマン制度に関する調査研究結果報告書』全国行政相談委員連合協議会、
pp.12-49.執筆(制度の概要と宮城県、沖縄県、川崎市、藤沢市のオンブズマン制度を担当)、1999年3月。
<概要>本調査研究では、地方公共団体において既存の苦情救済制度とは別に何故オンブズマン制度が採用されたのか、制度
導入の背景や経緯等の調査とともに、県民相談や市民相談制度とオンブズマン制度の違いは何か、導入の効果はどうかなど運
用状況等の調査分析を通じ、今後における行政相談制度の在り方について検討した。
<事例報告>
事例報告8:「シンガポール政府によるスポーツ振興政策の特徴」(『セキュリティス ポーツライフ』28号、2003年3月)40〜43頁。
<概要>シンガポール政府によるスポーツ振興政策は、学校との連携による草の根スポーツ活動の活性化、スポーツ産業の創出、エリー
トスポーツ選手の養成、といった三大目標を互いに連結させる形で達成しようとしている点で、大枠ではイギリス、アイルランド、オース
トラリアが採用しているスポーツ振興モデルないしはその基本型と一致している。
事例報告7:「アメリカにおける都市スポーツ行政の展開」(『セキュリティス ポーツライフ』27号、2003年1月)38〜41頁。
<概要>ボルティモア市におけるスポーツ行政担当部局は、「レクリエーション・公園局」である。この局の任務は、@ボルティモア市
民のスポーツニーズに応じることAボルティモア市民の肉体的精神的健康を増進させる方途として、市内公園地や公共緑地を保持・拡大す
ることB市の自然・スポーツ資源を維持する努力を続けるなかで、個人、家族、学校、企業、そして他のコミュニティグループとの間でパ
ートナーシップ関係を構築すること、となっている。
事例報告6:「イギリスにおけるスポーツ振興政策の特徴」(『セキュリティス ポーツライフ』26号、2002年11月)34〜37頁。
<概要>イギリスでは50以上の公的機関が文化省から資金提供を受け、これらがスポーツ・文化活動のサポートを行っている。文化省は
日本の体育協会に相当する「スポーツイングランド」とJOCに相当する「UKスポーツ」を監督し、学校スポーツ政策から国際スポーツ政策
に至るまで一連の包括的なスポーツ諸課題をめぐる政府の戦略設定の枠組みを設定している。
事例報告5:「アイルランドにおけるスポーツ行政サービスの現状」(『セキュリティス ポーツライフ』25号、2002年9月)36〜39頁。
<概要>アイルランドでは、1997年6月に国レベルのスポーツ行政の担当省として、「観光・スポーツ・レクリエーション省」(DTSR)が
設置された。地方自治体において、例えばダブリン市では、市内すべてのコミュニティに地域生活の拠点となる近隣公園を設ける計画が
ある。また、8つのスイミングプールと2つのスポーツセンターの設備内容と利用条件、ラグビー・サッカー広場を使用するクラブ間配分
の取り決めについて定めている。
事例報告4:「ニュージーランドにおける新しい地域スポーツ振興政策の試み」(『セキュリティス ポーツライフ』24号、
2002年7月)、32〜34頁。
<概要>ニュージーランドでは、2002年2月に「スポーツ・レクリエーションニュージーランド」(SPARC)というスポーツ担当機関が文化省
所管の下に誕生した。スポーツ担当大臣が所管するSPARCの委員会の下に執行部があり、「ニュージーランド・アカデミー・オブ・スポー
ツ」「スポーツ振興」「フィジカル・レクリエーション」の3つの部局が存在する。そして、SPARCの政策意図を受け、あたかもその手足と
なって草の根レベルのへスポーツ振興策を浸透させようとする実施機関が国内17地域で展開する「地域スポーツトラスト」である。
事例報告3:「オーストラリアにおける地域スポーツクラブ運営の展開と課題」(『セキュリティスポーツライフ』23号、
2002年5月)、43〜46頁。
<概要>オーストラリアにおける地域スポーツ活動の事例を紹介した。特にクラブマネジメントの土台がボランティア活動によって支えら
れている点が指摘された。クラブを存続させていくには、保険、施設のメンテナンス、会員確保、食事・酒類の提供、試合等スケジュールの
設定、コーチの確保、スポンサーの獲得、クラブの広報、補助金の獲得申請作業や市への支援要請など、多方面に気を配り、なおかつ根気と
忍耐と地道な取り組みが要求されるのである。
事例報告2:「サッカーフーリガン対策の新展開―イギリスの2000年サッカー(違法行為)法を素材にして」(『セキュリティス
ポーツライフ』13号、2000年8月)36〜39頁。
<概要>2000年7月現在のフーリガン対策法である「サッカー(違反行為法)」を取り上げ、その内容の骨格を法律誕生の背景
を押さえながら提示した。最近のフーリガンの行為をみると、競技場外へと問題の発生場所が移動してきていることが分かる。
さらにイングランド代表に付いて回る形で国外の先々で問題を引き起こすイングランドフーリガンは、その暴力行為を各国に輸
出・派生しているかのごとく状況を生み出している。法律の執行面における他国との協力と調整をめぐるイギリス政府の活動に
注目される。
事例報告1:「英国サッカーフーリガンの法的対策の変容」(『セキュリティスポーツライフ』5巻4号、1999年4月)29〜32頁。
<概要>フーリガンの特定化がますます困難になってきている中で、イギリス政府は人種や性別などに関わる一部の人々の差別
意識を変えていく方策こそが、物理的な治安対策以上に有効な暴動抑制策になり得るという認識を示している。フーリガンの組
織化の態様や行動の特質が時代とともに変容していく中で、これに対応する法律や政策の執行を不断に見直していくこともまた
不可欠となっている。
<翻訳>
翻訳3:「地方行政とスポーツ―マイナーリーグ誘致の実際―」(Arthur
T. Johnson, Minor League Baseball and Local
Economic Development,
Urbania and Chicago, University of Illinois Press の10章〜15章担当)(印刷中)。
<概要>アメリカのマイナーリーグ野球を対象に、地方都市によるチームの誘致活動とこれによって意図されるダウン
タウンの活性化の事例を紹介した。チームの本拠地となったことで、スタジアムへの交通手段や道路がスタジアム以外
のレクリエーション施設の建設,それに伴う商店街の活性化、都市財政の好転、誘致をめぐる政治過程などを丹念に追
うことで、スポーツが地方都市に及ぼす経済的社会的影響を実証した。
翻訳2:「第3回アジアオンブズマン会議録およびアジアオンブズマン規約」(全国行政相談委員連合協議会編『第3回
アジアオンブズマン会議録』。ペーパーの "Settlement of Disputes by means of intermediaries", "The
Protector of the Nation as Illustrated in Latin America", "The Ombudsman as a Conflict Mediator", "The
Ombudsman as a Tool in Fighting Corruption", Speech by the High Commissioner Against Corruption and
Administration Illegality of Macao, Speech by the President of the Legislative Assembly of Macao,
Bye-Laws of the Asian Ombudsman Association,を担当(合計35頁分), 1999年4月。(Ombudsman of
Pakistan, First Asian Ombudsman Conference Macao, 3-7 May, 1998 Asian Ombudsman Association
(Macao, 1998).
<概要>1997年3月25日から27日にかけて韓国のソウルでなされたイランと韓国との会議の内容に沿って、パキスタンが上記
の草案を提案した。中国が代表を送らなかったために、討議は延長された。準備委員会のメンバーは97年11月10日と11日にパ
キスタンのイスラマバードで会議を開催した。上記会議において、アジアオンブズマン協会の創立メンバーによる採択に向け
て規約案の提言がなされた。
翻訳1:「第1回アジアオンブズマン会議録」(全国行政相談委員連合協議会編『第1回アジアオンブズマン会議』pp.1-71.
担当),1999年3月。(Ombudsman of Pakistan, First Asian Ombudsman Conference Islamabad, Pakistan, 15-16 April,
1996, Asian Ombudsman Association (Islamabad, 1996).
<概要>アジアオンブズマン会議は1996年4月15日から4月16日にかけてイスラマバードで開催され、18カ国から40名の代表者
が参加した。会議では様々な国々からの代表者が当該国において運営されている制度について説明し、ペーパーの提出もなさ
れた。その目的として、アジアにおけるオンブズマンおよびその発展についての考えを普及促進することなどが明確にされた。
<書評>
書評4:「Barrie Houlihan, Sport, Policy and Politics, a Comparative Analysis」(『競技者をめぐる法律問題』日本スポーツ
法学会年報第7号、早稲田大学出版部)。
<概要>本書『スポーツ、政策、政治 ―比較分析―』は、イギリスにとどまらず近年のヨーロッパのスポーツ政策研究に新
たな地平を拓いたといえるバリエ・フーリアンが、比較の視点から、豊富な資料をもとにオーストラリア、カナダ、アイルラ
ンド、イギリス、アメリカの五カ国のスポーツ政策を俎上に、各国におけるスポーツをめぐる制度や個別政策を特に政府の意
図との関連で縦横に論じた好著である。「民主主義国家であろうと、権威主義国家であろうと今やほとんどの政府は中央行政
においてスポーツを重視し、スポーツ全般の発展、特にエリートスポーツを重視している」のは何故なのか。その根本理由を
問う姿勢を一貫して維持しながら、問題の視覚をスポーツをめぐる中央政府もしくは連邦政府の責任、州政府の責任、地方行
政機関の責任およびそれらの相互関係に置いている。そして各論として、競技者による薬物の乱用、学校におけるスポーツ・
体育というサービス提供の意義、国内スポーツ団体の役割などを取り上げ、スポーツの発展が政府の資源(リソース)にます
ます依存することの危険性を指摘するのである。
書評3:「Barrie Houlihan, Sport and International Politics」(『スポーツにおける違法性阻却』日本スポーツ法学会年
報第6号、早稲田大学出版部、1999年12月)174-176頁。
<概要>本書では政治、企業、スポーツの利害関係者の相互浸透(interpenetration)が国家間の枠組みを超越した事象とし
て分析されている。国際スポーツの役割と意義についての検討が急速でグローバルな政治変化というコンテクストを基軸に置
く形でなされ、とくにスポーツの商業主義の拡大や巨額な資金が動くW杯サッカーやオリンピックそのものが国家におけるス
ポーツと政府の関係を変容させると同時に、国内スポーツが国際組織間のネットワーク関係にますます組み込まれつつあると
いう構図が見事に描き出されるのである。
書評2:「宮本憲一著『環境と自治』」(日本地方自治学会編『地方自治叢書10』敬文堂、1997年11月)247~351頁。
<概要>災害,基地,公害といった環境の根幹に関わる諸問題の「現場」に身を置き,そこから問題解決の糸口を見出そうと
する筆者の研究姿勢を紹介した。阪神大震災,沖縄基地問題,明治地方自治制度,企業社会,公害と住民運動,諸外国の環境
問題などをめぐる筆者の研究歴を整理した上で,開発行政や環境行政の「現場」に足を踏み入れる程度が,この領域で研究者
が設計する制度,調整,政策の制度にそのまま連動していくことを指摘した。
書評1:「”The Government and Politics of Sport”について」(日本スポーツ社会学会編『スポーツ社会学研究』1巻、
1993年3月)97~100頁。
<概要> 筆者のフーリアンはスポーツをめぐる個々の政府機関や関連諸組織について,歴史的変遷や機能及び役割,諸組織の
相互作用を明示しているが,本書全体の基底 にある問題関心は,政策過程におけるスポーツカウンシルを中心とした諸組織の
相互作用のパターンを「政策共同体」(policy community)という分析概念枠組を用いて把握したという点にあることを指摘
した。
<学会発表>
発表13:「オーストラリア州・地方政府のスポーツ産業振興をめぐる官民協働の課題―大規模スポーツ大会の開催および地域
スポーツクラブ運営の事例から―」「第11回日本スポーツ産業学会」場所:早稲田大学国際会議場、2002年7月30日。
(日本スポーツ産業学会「学会大会賞」受賞)。
<概要>論文35を参照。
発表12:「スポーツ振興法改正によるスポーツ行政をめぐる『分権』の課題」「第9回日本スポーツ法学会大会」場所:早稲田大学国際会
議場、2001年12月15日。
<概要>共著13を参照。
発表11:"Sports Promotion Policies and
the Formation of Policy Networks in Gold Coast City: The
Penetration
of City and State Government Policy Strategies into Grass Roots Level
Sport",
First
RHD Seminar Series Presentations at School of Marketing and Management, Gold
Coast Campus, Griffith
University
in Australia. March 15th, 2002.
<概要>ゴールドコースト市とクウィーンズランド州のスポーツ振興政策をめぐる相互作用関係およびコミュニティレベルのスポーツクラブ運
営の特質について、ガバナンスの視点からゴールドコースト滞在中におけるインタビュー調査や収集資料の分析結果をまとめた。
発表10:「政策ネットワーク論とイギリス行政学の再構築」「第50回日本行政学会研究会分科会B『比較行政システム―
ヨーロッパの場合―』場所:明治大学・駿河台校舎、2000年5月14日。
<概要>例えばロウズ(R. A. W. Rhodes)は、『統治の理解』(Understanding Governance― Policy Networks, Governance, Reflexivity
and Accountability―、1997年)の中で、イギリスの政策過程の特質を政策ネットワークとして位置づけ、「分断化された」政府・
行政部は公的セクター、私的セクター、ボランタリーセクターなどから構成される自己制御的な組織間ネットワークに直面せざ
るを得ないと指摘している。結果として、政策は「直線的」にではなく「反復的」に形成され、政府は組織化されたネットワー
ク(社会的複合体)を直接にではなく間接にコントロールする能力を問われることとなる。このようなロウズの慧眼ともいうべ
き研究視覚をブレア労働党政権(1997年5月〜)以降の政策の形成・執行分析にも適用可能であるという前提のもとで、発表で
は事例的考察も提示しつつ、イギリス行政研究における政策ネットワーク論を洗練化させることをねらいとした。
発表9:”Decentralization and Local
Government in Japan”, Papers Presented at the Joint Japanese-Swiss Seminar
at Waseda University,
September 21th,2002.
<概要>日本における地方分権をめぐる動きについて、地方分権推進委員会の諸勧告を分析し、加えて市町村合併との関わりに
ついて政治的な側面も考察しつつ発表した。共著10参照。
発表8:「イギリスにおけるスポーツ振興をめぐる法律・政策関係の変容と課題」「第5回日本スポーツ法学会大会」場所:早稲
田大学国際会議場、1997年12月20日。
<概要>共著8を参照。
発表7:「イギリスのFLAをめぐる諸規程についての一考察」「第4回日本スポーツ法学会大会」場所:早稲田大学国際会議場、
1996年12月21日。
<概要>共著6を参照。
発表6:「環境と開発」「日韓地方自治学会交流研究大会」場所:韓国済州島大韓航空ホテル、1996年10月。
<概要>論文23を参照。
発表5:「イギリスにおけるスポーツ市場をめぐる関連法規の検討」「第3回日本スポーツ法学会大会」場所:早稲田大学国際会議場、
1995年12月16日。
<概要>共著5を参照。
発表4:「イギリスにおけるサッカーフーリガンをめぐる法的対応」「第2回日本スポーツ法学会大会」場所:早稲田大学国際会議場、
1994年12月7日。
<概要>共著2を参照。
発表3:「イギリスにおけるスポーツ行政組織の移管をめぐる法的検討」「第1回日本スポーツ法学会大会」場所:早稲田大学国
際会議場、1993年12月。
<概要>共著1を参照。
発表2:「スポーツ産業行政における政府間関係」「スポーツ産業学研究第3回学会大会」場所:目黒雅叙園、1993年9月30日。
<概要>論文12を参照。
発表1:「スポーツリゾート開発をめぐる政策決定過程」「スポーツ産業学研究第2回学会大会」場所:パシフィックホテル沖縄、
1993年1月22日。
<概要>論文10を参照。