202211月 中村祐司の教育日誌

 

---

 

22/11/07. Mon.

 

外国語文献講読

月曜朝いちばんの授業では日に日に寒くなってくるのを実感する。”The Japan-Australian alliance is even more important in today’s geopolitical environment””Unpaid labor can harm mental health”を読む。今回で受講生はほぼ定着か。前者では今後の日豪関係を、後者では無報酬家事労働をめぐるジェンダー問題について考えさせられた。最初の予習の段階で内容把握がしっくりこなくても、繰り返しにより必ず理解度は深まると思う。

 

スポーツ・余暇政策

400字のテーマ別レポートにしても200字の新聞雑感コメントにしても、前々回ぐらいから匿名での統合版を授業当日に提示することで、グループ討議の深みが増す傾向にある。締切が前日17時なので、それ以降の統合作業は少し辛いが、授業の中身に資すると思えば大したことはない。今回の内容は先日の峰キャンパスでの授業「SDGs入門」の深堀版。これによりサステナ起業をめぐる意識付けが図れたのでは。新聞雑感コメントとなるとまた趣が異なってくる。若い世代特有の感性の鋭さに刺激を受けた。

 

ゼミ論・卒論・修論・博論指導

 

個々に伝えることがあったので、珍しく少し早めに入るとすでにほぼ全員が揃っている。3コマが実質的なサブゼミになっているようなのが嬉しいし、やる気もわく。学部3年生と10月入学の修士1年生からの報告。いずれの報告も930日締切のものが土台である点に当初気付かなかった。冷静に考えればそれはそうだろう。10月以降今日までの慌ただしさは、教員に限ったことではないのだ。いずれも後期ゼミ論に向け期待が高まった報告だった。

 

政策形成と協働(大学院修士授業)

一瞬この授業は3コマに入れておいた方がよかったかも、との思いが頭をよぎったが、そうなると朝から4コマ続き、逆にめりはりが付かなくなるだろう。授業も既に後半に入った。3名から報告。今回から受講生全員から質問・意見をもらうようにする。面と向き合ったやり取りは、言葉の壁を超える力があると思った。

 

---

 

22/11/14. Mon.

 

外国語文献講読

受講生は当初より減ったが「精鋭」が残った形となって逆に奮起できた。“Britain’s Rishi Sunak is a new and old-fashioned Tory”を実質指名の2人で読み切る。前半の人物像も興味深かったが、とくに後半の政策スタンスについては読み応えがあった。こうしたネイティブライターによる社説を今後も取り上げるようにしよう。時事英語を正確に読むという地味な積み重ねが求められる授業だが、得るものはそれだけ大きいと思う。

 

スポーツ・余暇政策

統合ファイルの作成が朝となり、1コマ目の授業開始時間が迫り焦りながら、作成。いわゆる「タイパ」と「余白」がキーワード。受講生の受け止め方や対処の仕方、さらには価値観などが多様で、感性鋭いものもあり、逆に教員が学ばせてもらった。そのことは雑感ファイルにもいえる。受講生が事前にレポートを提出した上でのテーマをめぐり授業中の対話というのは思いのほか重要なのかもしれない。

 

ゼミ論・卒論・修論・博論指導

後期の研究室活動が佳境に入ってきた(卒論、修論、ゼミ論、研究小論、まちづくり提案原稿など)。開始時間前にほぼ全員が揃っていて、教員からすれば開始前の個別連絡事項を伝えられるなど非常にありがたい。報告が早めに終わったとしても、残りの時間を自然なりゆきでできる複数メンバーの間での情報共有などに有効に使っていきたい。

 

政策形成と協働(大学院修士授業)

3名から報告。大切なのは情報源を記載のまとまり(段落など)ごとに付けること。しかし、これが意外と克服できない指導上の難関になってしまっている。「ガラガラポン」で最後に複数の資料文献を並べ、本文にはほとんど自分が作成した文章がないとなると、その質は自分だけが使うノートよりも劣る代物になってしまうし、それ以上その先が続かなくなり、行き詰るのは必至だ。

 

---

 

22/11/21. Mon.

 

外国語文献講読

“Midterms help Democrats, Biden and U.S.democracy”Government to scrap nondigital health insurance cards in 2024”を読む。前者のアメリカの中間選挙は取り上げなければならないテーマだし、マイナンバーへの保険証機能の合体についても、分量こそ少ないものの、英語表現の格好の素材になると思った。受講生の訳の進め方にもリズム感が出てきたような気がする。

 

スポーツ・余暇政策

県内で起業も含めた草の根のまちづくりを継続している実践者をゲストスピーカーに招き、受講生とのやりとりを行った。進め方一つをとっても、最初に付箋紙を配布し、回収の合い間に自己紹介するなど、教員にとっても貴重な機会となった。新聞情報の活用のさらに先を行く現場での活動についての話は非常に濃かった。地実T・U以外にもこうした機会を12回は取り入れてもいい。

 

卒論・修論・博論指導

3コマはまちづくり提案原稿の最終チェック。そのまま4コマに入る。修論作成者3名を中心に報告。残り3週間で完成原稿を目指すことになる。研究生と修士1年生の報告について、まずは資料・文献からの引用やまとめの箇所と自分記載の箇所との峻別が大前提となるよう指導していきたい。

 

政策形成と協働(大学院修士授業)

博士後期の授業履修生4名に参加してもらい、現時点での研究内容やこれまでのキャリア(社会人院生)を説明してもらったりした。とくに最後のパワポ報告は、ファイルの充実度と内容に圧倒された。教員はもちろん、日本人院生や留学生院生の枠を超えて大変な刺激を受けたに違いない。次回最終回は修論の目次案の提出。

 

---

 

22/11/28. Mon.

 

外国語文献講読

“Polluted waterways: Examining the health of Japan’s rivers”を読む。暗渠の箇所で引っ掛かったものの、マイクロプラスチック汚染の深刻さと対策の難しさがわかった。いいペースになってきた。次回以降は、もう一度“サラ”から訳すつもりで、皆で共有しつつ進んでいくスタイルでいきたい。

 

スポーツ・余暇政策

おじさん構文作成に教員がこれだけ苦労するとは。匿名での統合ファイルの提示は対話の格好の素材となったはずだ。やはり文は人なりで、受講生の書きぶりもさまざまだった。軽やかにしかし一生懸命、長文と絵文字を組み合わせた力作が相当あった。新聞雑感感想の統合ファイルについても、対話では異なる雰囲気が醸成されていて頼もしかった。継続していきたい。

 

卒論・修論・博論指導

11月ラストのゼミ。まちづくり提案も含め論文重視でやってきたことは間違っていない、と改めて感じた。また本来、考察や展開、課題把握と提案などに学年、学部生、院生は関係ないのだ。本質的なコアの部分を追求しようとする真摯な向き合い方こそが大切だ。1(教員)対多(研究室メンバー)のやり取りも、視点や情報の共有という点では相乗効果につながる。

 

政策形成と協働(大学院授業)

後期前半のこの授業も何とか最終回まで来ることができた。全員から修論目次案の提示。節が記載しきれなかったり、ある章が空白だったり、要するに書き切れていないものもあった。しかし、それでいいと思った。目次作成は意外と難関だし、執筆途中で変化するものである。異なる分野だからといって、「わからない」で済ませるのでなく、この研究科のあらゆる授業を複眼・複合的な思考力獲得のためにぜひ生かしてほしい。

 

---

 

研究室トップへ