2021年6月 中村祐司の教育日誌

 

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21/06/03. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

スポーツ団体ガバナンスと東京五輪大会経費の二つがテーマ。ちょうど開幕(の可否はどもかく)まで50日の時点で、冷静に3年前の不祥事の続発や、大会経費をめぐる会計検査院報告、それに対する政府の特異な対応を振り返った。東京五輪の可否論、是非論は次回も行う予定。事前に書いてきたノートの内容を互いに紹介することから始めたのはよかった。迅速に元気よく嬉しそうに対話を始めた受講生に力付けられた。たとえ行動は起こさなくても、一人一人が考え抜く大切さを訴えたつもりだ。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

スポーツ団体の自治と競技施設の後利用の二つがテーマ。受講生が作成するノートの相互紹介から始めるべきところをうっかりしてしまった。また、二つのテーマとも受講生の胸にすとんと落ちる感じではなかったようだ。学生スポーツ団体や再度新国立競技場の後利用について話題を振った。東京五輪の可否論、是非論では、是非を論じること自体に冷めていて、何ともいえないあきらめの気持ちが若者の間には「まん延」している、との貴重な指摘があった。

 

地域デザイン実務T

最終回は1ルーム3人ないしは4人で、10分弱の間、とにかく対話するよう促す。まだまだ面識がなく、気詰まりがしたとの感想もあったが、総じて好評であった。教員側には初回からやるべきことを丁寧に積み重ねてきた自負があったし、受講生はそれに真摯に応えてくれた。準備が大変だった分、終わりにあたって充実感が増した。

 

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21/06/07.Mon.

 

行政学

課題を重視して授業を進める。刊行後数年たって、ようやく自分で書いた教科書を落ち着いてじっくり読み返すことができるようになった。対象は6章と7章。ただ対話となると少し難しさを感じた。それに対してコラム(6,7)では受講生同士の話し合いが弾んだ。レジメについては前回課題の解答例の記載忘れを今朝になって気付いた。ここでいったん一区切りを付けて、次回は東京五輪をめぐる話し合いの場を持つこととした。

 

現代政治の理論と実際

地方自治論と同じく日光市の公共施設マネジメントを取り上げたが、1年生には荷が重かったか。しかしこちらの問題意識や授業資料準備の都合もある。その場の受講生の反応をいちいち気にしていても仕方がない面はある。3年生や4年生、いや卒業後にふと思い出した時、貴重な素材を取り扱ったと思い直してもらえばそれでいいと思い直した。受講生がほぼ地デザ(それもコミュニティ)の学生というは珍しい(国際の学生は必修と重なったようだ)。

 

コミュニティデザイン演習

ほとんど小走りで旧研究室に置いておいた荷物を持って、自転車で陽東に向かう。日差しが強い。着替えて機材を持って、ぎりぎりでゼミへ。研究室HP掲載作業を全員でやる。“Z世代”のアプローチの仕方に個性を感じた。一方で、寡黙に笑顔で温かく見守っているゼミ生も印象に残った。足りない環境を嘆くのではなく、可能な範囲で教員が機会を提供することの大切さを再確認できた。

 

修士課程・博士後期課程指導

コロナ禍のおかげといっては不謹慎だが、4コマ地方自治論のオンデマンドに救われた。綱渡りのようだ。今回でどうにか研究室メンバー全員の報告に至った。また、電子図書(とくに欧米文献)へのアクセスについて、院生の発見のおかげで大きな収穫を得ることができた。Teamsでのオンタイム会議における共有ファイル提示の仕方がわからないままだ。次回までにはこれを何とかしたい。

 

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21/06/14.Mon

 

コミュニティデザイン演習

毎週対面でできるゼミがつくづくありがたい。今回はリモート参加も含め院生が3コマに集まり、ゼミ論の研究室内合同発表会。研究室全体の雰囲気を互いに感じてもらうことができたのが大きかった。ネット環境と機材操作もここに来てようやく慣れてきた。残り10数分で今後のゼミ活動の予定を提示する。日程については今のところ未定だが、現段階では「さらに深めるゼミ論テーマ」を設定したい。

 

地方自治論

東京五輪をテーマに取り上げる。ここに来てワクチン提供と絡めた形での五輪開催に向かう潮目が変わり、それに沿ったかのように観客制限あるいは無観客での開催支持が多数派となった。正直驚いたし、少しショックだった。各種メディアの影響も大きいのではないか。開催決定以降、このテーマで研究を進めてきた者にとって、あたかもその立ち位置が揺さぶられるようであった。

 

修士課程・博士後期課程指導

ローテーションでの各自の報告がプラットフォームとなってこの時間を成り立たせている。留学生院生による現地調査からわずか中2日での文章作成には目を見張った。単著論文はとにかく自分がやるしかないのだ。周囲はあくまでも間接的な側面支援しかできない。教員のせっかちさを肯定するつもりはないが、研究は、のんびりと構えていては、あっという間に1年、2年と経過してしまう厳しい世界でもある。結局は本人次第なのだ。

 

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21/06/16.Wed.

 

地域の姿と課題U

前期前半の地域デザイン実務Tが終わりほっとしたのも束の間、地域Uがスタートして初回はガイダンス。説明しながら実感したのが、教員も受講生もC-LearningZoom授業に相当に慣れてきたということ。4月に自分なりに抜かりのないよう丁寧に作ったつもりの操作説明が、いやに間延びして感じられた。随所で省略しても何の問題もないようだった。ただ、対面でもオンラインでもゲストスピーカーを招いてとなると、予期せぬことが毎回起こる。準備に油断は禁物だ。

 

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21/06/17.Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

この2週間で様相が変わってきた。開催は当たり前で最悪でも無観客といった雰囲気が醸し出されるようになった。今回は最初に2本の論文のキーワードを板書した上で、各自が作成したノートの共有。五輪をめぐる環境の風向きが刻々と変わる中で、受講生がどう受け止めているのかを話し合いを経た後に把握しようとした。やはり中止論は激減した。ただ、学生の冷めた視線は益々強くなってきたようだ。考え続けることは無力ではないと信じたい。次回対面の資料は単著3冊目の原稿の4章と直近の未定稿1本目。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

対象2本のキーワードを書き出した後、昨年10月以降の動きを口頭で補足し、そのまま是非論に進む。子ども世代や学生など若者を優先した観戦のあり方を探ったらどうかといった意見や、中止となっても開催となっても問題の続出が予想されるので、後者を選択して被害をできるだけ少なくするべきといった意見が印象に残った。対話型授業ならではの収穫だった。いよいよ玉も尽きてきた。次回対面の資料は単著3冊目の原稿5章と直近の未定稿2本目。小論文を除けば今のところ自分のストックはこれがすべてだ。

 

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21/06/21.Mon.

 

行政学

C-Learningでの出席取扱もここに来てようやく慣れてきた。出席カードを配布して集めてエクセルに打ち込んでいたかつての労力は、一体何だったのだろうかとさえ思う。コロナ対策で席替えはできないものの、大教室を逆的に取って、緩やかなグループで東京五輪の可否と是非をみんなで考えた。ここに来てワクチン接種の進行やチケットの取扱など一気に身近な問題としても迫ってきた。意見も活発で、特別テーマを設定した意味はあった。

 

現代政治の理論と実際

同様のテーマで対話型重視の授業を行う。微妙に席をずらす形で後半からは、互いの距離を保った形で何とか1グループ3-4人で知恵を集める環境ができた。各グループ意見を板書して、さらに全体の統一見解を目指した。東京五輪を取り巻く目下のそして今後予想される環境では、最終的には無観客開催がベストとの結論に達した。

 

コミュニティデザイン演習

峰から陽東への移動と機材の運び、さらに着替えで精一杯。今回は二人の社会人院生を招き、座談会を開催。ゼミ生には刺激の満ちた機会となった。いかんせん時間が一人30分程度と短かったのが残念。また別の機会を探したい。来週、再来週の予定を説明すると残り10数分。来週の地方自治論対面授業(peer to peer)の準備を丸投げしたが、何と楽しそうに遊び活動のように、わいわいやり合いながらシナリオをまとめたのには驚いた。ロートルにとってはまさに異次元の眼前の進め方に感心した

 

修士課程・博士後期課程指導

もう出るだけで精一杯という感じだったが、先の週末に峰資料室に新規パソコンを搬入したので、今後の院生HP作成への期待を込めて最初に力説。その後は3人から報告(研究生はオンライン参加)。やはりこの時間の基礎活動は何と言っても各自の報告だ。Teamsの共有ファイルの使い方が未だにわからず、使いこなす博士院生を横目に、自分の頭の固さに情けなくなる。要するに画面に表示される「赤枠」の意味が理解できていないのだ。そのせいか機材の戻しも億劫になる。ただ、今日は夏至で日中の長さを窓越しの風景と空気から感じ取ることができ、癒やされる思いもした。

 

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21/06/23.Wed.

 

地域の姿と課題U

テーマはLRTとまちづくり。オンラインのオンタイム授業。ゲストスピーカーには研究室に来てもらって、講話、各グループでの質問用意、質疑応答、メッセージと順調に進む。教員が進行役(ある意味で裏方役)として臨んで感じたのは。90分という時間が長いようで短く、また、ゲストスピーカーの卓越した力量と熱意に直に接するありがたさだ。確かに直接対面でしか得られない共有空間の妙には欠けるが、たとえモニター越しではあっても、受講生に伝わるものは伝わるのだ。

 

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21/06/28.Mon

 

コミュニティデザイン演習

気がつけば今月も残すところあと3日。午前がオンラインであっても、午後からの3コマ連続にどうしても身構えてしまう。腰痛もあるし自分の体力に年々自信が持てなくなってくるからだろう。4名の院生と学部ゼミ生との座談会。後者は人見知りしたかのように前半は雰囲気が固かったが、それでも出身地や出身国のこと、進路や就活などで話しがはずむ場面も見られた。残りの時間で次の地方自治論peer to peer 授業の打合せ。何だか教員も緊張してきた。

 

地方自治論

ゼミ論8本を対象としたpeer to peer授業の実施。6名のゼミ生の各々の持ち味が良く出ていた。受講生も正面から応答した。持ち時間半々のはずが1時間5分使ったのも嬉しい誤算だった。残りの20分で教員作成原稿(地方創生2本)を対象に、教員からの問題提起の後、提案に絞って考えさせる。ここを拠点に事業をスタートしたら何ができるか。教員発案の「足元地方創生」を学生はどう考えているのかを知りたかった。結果的に教員担当の時間帯がpeer to peer授業の発展的展開の場となった。

 

修士課程・博士後期課程指導

3名から報告。とにかく皆で前に進んでいければ。研究生のオンライン参加も常態化してきた。社会人院生の仕事の関係などで、なかなか全員が揃うことはないが、この時間が研究指導の基本的プラットフォームであり、死守していきたい。研究室HPへのファイル掲載手順の肝について説明。我流といえばそれまでだが、院生による関わりでいえば、10年どころか20数年ぶりに新しいスタートを切ったことになる。今後の「大学院生の部屋」の積極的な構築を大いに期待したい。

 

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21/06/30.Wed.

 

地域の姿と課題U

教員と受講生は教室で対面し、ゲストスピーカーはZoomで参加。前のコマで教室が撮影か何かで使われていて入り口二つに鍵がかかっており、また、ネット接続に多少手間取り焦るが、どうにか無事授業開始。大型モニターのすぐ向こう側に等身大のゲストスピーカーがいるかのような良質な映像と音声であった。また、受講生とのやり取りでも急遽、ゲストスピーカーと向き合うポジションに変えたことも功を奏した。講話や応答などで、経験談を客観的かかつ多面的に見つめるかつての教え子と今の学生とのやり取りに感銘を受けた。準備は大変だがこの授業の意義を再確認した。

 

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