2021年5月 中村祐司の教育日誌

 

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21/05/06. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

日本におけるスポーツ界やその関係組織の抱える課題やあり方という大きなテーマを設定して、対話型授業を行った。また、東京五輪の行く末についても時間を取った。やはり教員にとってもキャンパスにわざわざ行って、学生と直に接し、対話を行うことの意味は、教員控え室での他教員とのちょっとしたやり取りも含め大切だと実感した。対面と遠隔をうまく使い分けたり融合させたりするやり方は、コロナ禍後の大学授業として定着するかもしれない。次回対面では最初に友達同士が敢えてばらばらになって着席してほしい旨を伝えて終了。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

新国立競技場をめぐる課題と五輪後の活用策について、話し合う。教育実習や対外試合などで受講生が相当減ってしまったのは残念だったが、一方で緩やかなグループ分けがうまくいき、率直に話し合いやすい雰囲気ができた。東京五輪をどうすべきかについても急遽テーマに取り上げた。受講生全体での結論は出なかったものの、中止すべきとの応答が多く、スポーツにこだわりのある受講生の出した結論に少しショックを受けた。

 

地域デザイン実務T

3人目のゲストスピーカーを招いての授業は、完全Zoomでの方式となった。最初に音声が聞こえずかなり焦ったが、いったんノートパソコン電源を落として、再度つなぎ合わせてもらうとうまくいき一安心。開き直り気味で言えば、受講生にとっても最初のドタバタぶりは参考になったのでは。講話も質疑応答もきびきびと進む感じで、少し時間に余裕ができるほどだった。そのおかげで担当教員からも質問を出せてよかった。モニター越しであっても、ゲストスピーカーを迎える受講生の態度はまっすぐで感銘を受けた。このひたむきさを忘れないでほしい。次回以降の3回は同僚教員にバトンタッチ。

 

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21/05/10.Mon.

 

行政学

前回よりも進め方のコツが掴めてきた。レジメで出した問への解答例をもとに体系的な説明を行う。その後教科書の課題に沿って、本文については解説、コラムについては対話を促した。対面授業では、リモートでは得られない臨場的なやり取りができる。反転授業の輪郭がようやく浮かんできた思いだ。コロナ禍(とくに変異株)の感染拡大は心配だが、少なくともこうしたやり方の軸はぶらさないつもりだ。

 

現代政治の理論と実際

2週間ほど前の日米首脳会談をめぐるかなりの量に及ぶ新聞記事を切り抜き、スキャナにかけたPDFファイルを資料としたが、受講生は読み込めたのだろうか。最初にキーワード(Quad、ファイブアイズ、2プラス2など)を板書しながら、やり取りしたのが後で生きた。分け方について教員の方が混乱する場面もあったが、受講生の助けを得て三つのグループに分かれて対話を行う。対面授業の際はとにかく受講生同士、教員と受講生の直接コミュニケーションを重視していきたい。

 

コミュニティデザイン演習

少し早めに教室(ワークショップ2)に入るとすでにほとんどのゼミ生が来ていた。昨日の夕方に急遽出したメールに反応してくれたのだ。早速Wi-Fiをつなぎやすくする設定を行う。感心したのは予めダウンロードしてくれていたことで、各々のノートパソコンの種類や性能によって時間差はあったものの、結局報告と一緒に作業を進め、ゼミ終了時にはほとんどがインストールできた。このことは今後のゼミ活動にとって非常に大きい。報告内容も予想外といってはゼミ生に失礼だが、踏み込んだ形で原稿完成に果敢に取り組んでいて、何だかこちらが力付けられた。

 

修士課程・博士後期課程指導

4コマの地方自治論が今週はオンライン(オンデマンド)で救われた。コロナ禍がなければ、連続対面授業で、果たして体力的にもったかどうか。おかげで遅めの昼食を終え、メールにも対応することができた。全員の共通項は原稿を書くということ。このことがメンバー間の結節点となっている。中国からの研究生のTeamsによるオンタイム参加もここに来て安定してきた。デジタル技術の急速な発達を体感する。メンバーが全員揃うことはなかなかないが、Teamsのファイルに共通のプラットフォームができたのがとても大きい。

 

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21/05/17.Mon

 

コミュニティデザイン演習

先週でネット環境の改善ができたと思いきや、ゼミ生が用いるノートパソコンの相性(性能など)問題に直面。こうなると可能な範囲でやっていくしかない。原稿作成途中報告1回目の後半で4人から説明があった。今日はフリートーキングの時間を多めに取ることができた。ゼミは毎週だがコロナ禍における直接対話を大切にしていきたい。あと1週間が目途。「調べて書く」の真骨頂を発揮する時だ。

 

地方自治論

対面授業だが、ゼミで使ったケーブル類の片付けなどで、慌てて教室に入るもマイクが機能しない!何と大元の電源が落とされていた!(いや、これがまっとうな授業後の措置かも)。複数人利用の難しさだ。新聞雑感の話をした後で、31組で、ノート記載の相互紹介、改善点の出し合い、最も愛着のある自治体で何をやるかについて、その都度メンバーを代えて、対話中心の授業を行う。途中、時間配分に苦慮した時もあったが、最後はやはりこのやり方にこだわって良かったと思った。リモートとの決定的な違いは、対話の名残がポジティブな形で心に残る点だ。ただし、梅雨本番のような湿気にはまいった。

 

修士課程・博士後期課程指導

機材を教員が持ちこまなければならない。確かに面倒だが、オンタイムでの研究生の遠隔指導という良い意味での外圧が後押ししてくれると考え直した。原稿執筆のプレッシャーに動揺する教員の姿に、落ち着いた雰囲気をなくした責任を痛感する。それでも、書くといことで研究室のメンバーはつながっているのだし、対話を通じた化学反応が生じる予兆も感じ取れた。4月以降、最もメンバーが揃ったのも嬉しかった。それにしても午前がオンデマンドで、だいぶ楽なるかと思ったが、午後の対面・濃密な時間の連続で一気に疲れが襲ってきた。

 

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21/05/20. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

東京五輪の行方がさらに混沌としてきた。当時の都知事による競技施設のコスト分担見直し問題(20169-10月)と当時の大会経費と大会関連経費の線引き問題を対象とした。対話型授業も以前よりはスムーズ感も出てきたが、やはり最初の着席位置がポイントになりそうだ。開催の可否をめぐっては、受講生の大半は中止論に傾いているようだ。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

スポーツガバナンスの海外研究の紹介は簡単にとどめておき、大会経費の費用分担をめぐる課題を指摘した。会場地自治体にも焦点を当てた。また、現状のホストタウン事業や聖火リレーについても考えた。開催か中止かの二択ではなく、もう一つの選択肢である再延期論がなぜ退けられるかとの受講生からの疑問提示に、不意を突かれた思いがした。これからの1カ月弱、いや2-3週間かもしれないが、行く末を考えるとどうしても心がざわつく。

 

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21/05/24.Mon.

 

行政学

失敗連続の授業となったが収穫は多かった。まずはコロナ禍対策での座席表記入で電子ファイルを使い受講生に入力してもらうやり方を入念に準備したつもりだったが、うまくいかず。結局紙を回すことに。ところがこれがスムーズに行きかえって驚く。次に消毒液を吹き付けたペーパーでその都度マイクを拭いて受講生が発言できるようにするつもりが、マイクの手渡しや消毒の仕方・段取りが思いの外複雑で混乱。動き回ったのと焦りから汗びっしょりとなる。結局あきらめるも、かえってマイクを受講生には向けずに教員による復唱効果の方が高いことがわかった。授業を課題順に進めたが、コラムと論文を混ぜるのは無理があり次回は見直したい。次の対面授業につながる貴重な経験をいろいろとさせてもらった。

 

現代政治の理論と実際

最初から紙を配布。あっさりと座席表記入が終わった。児童労働やその派生問題をめぐって、2人ないし3人での対話形式。座席替えができないのが痛いが、次回までに相互コミュニケーションの工夫の仕方を考えておきたい。やはり対話が重要だと痛感。モニター越しがだめとはいわないが、電源を介さないで他者と向き合うのは相互伝達や人間作法の原型ではないかと思った。終了後慌てて陽東キャンパスへ。

 

コミュニティデザイン演習

荷物を教室に置いたり、研究室で着替えたりしているとほとんど時間がなくなり、開始間際に教室に入る。ゼミ論途中報告の2巡目。受講生間で対話に重きを置いた進め方。ゼミ論は来週で一区切りとなり、その後最終チェックとなる。自分と院生の論文の締め切りは来週で、ゼミ論締め切りと1週間ずれたのは幸運だった。重なっていたら物理的にどうしようもなくなっていただろう。スケジュール設定の重要さと同時に、一連の流れの中での運の大切さを痛感した。

 

修士課程・博士後期課程指導

4コマの地方自治論がオンデマンドのため、この時間に遅い昼食。コロナ禍に感謝など決してしないが、もし対面授業がずっと続いていたら、体力的・精神的にまずい状況に陥った可能性がある。後が辛くなるので、どうにか新聞5紙に目を通し、ぎりぎりで教室に入る。本日出席の2名の投稿原稿提出予定者を中心に報告。残った時間でオンライン(オンタイム)でつないでいる研究生も含め、他の院生から授業の進み具合や就活状況の報告を行った。大学の授業がすべてがオンラインになるのだけはどうしても避けたい。ゼミと研究指導が最後の砦といった感じだ。

 

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21/05/31.Mon

 

コミュニティデザイン演習

1週間後が最終原稿提出なのでということで、前期ゼミ前半の佳境に入ってきた。偶然ではあったが、先週の院生の原稿締切日と1週間ずれたことで、教員チェックの予定を入れることができた。4名から報告。その後、個別の原稿チェックの日程調整。学生は思いの外忙しい。それでも何とか一人2030分の時間を確保できた。ケーブルの接触不良かパソコン不調か、研究室でのスクリーン提示に不安材料があるものの、ここまで来たら中央突破の気持ちでいきたい。

 

地方自治論

対面授業だが、2週間前の前回対面授業後に、コロナ禍対策で座席の把握が教員に義務付けられるようになった。そのため授業途中での席替えやテーブルの移動ができなくなったのは痛手だったが、あきらめるわけにはいかない。少し時間は掛かったが最初にできるだけ知らない人同士、それも男子1名・女子1名かその逆で座ってもらってから、授業を始めた。公共施設マネジメントについて対話中心のやり取り。受講生の反応は掴みかねたが、今すぐにではなくても、人と人との直接のやり取りがコミュニケーションの原点であることにいつかは気付いてくれるはずだ。

 

修士課程・博士後期課程指導

3コマ、4コマときて最後の連続の5コマ目となるとやはり疲れる(2週間毎に同じことを書いている)。午前対面二つの授業と午後対面三つを、1昨年はよくこなすことができたと信じられない思いだ。先週の院生原稿の最終提出にほっとした反動か、6月と7月の研究室活動のスケジュールを組むのに四苦八苦した。動きながら、また、院生から知恵をもらいながら、その都度ローリング方式で見直していけばいいと気付き、急に気持ちが楽になった。

 

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