2021年5月 中村祐司の教育日誌

 

コロナ禍のため、2021年度前期は、本務校の宇都宮大学も、非常勤校の白鴎大学も、対面授業とオンライン(遠隔)授業の併用で臨むこととなった。ただし、宇大の「地域デザイン実務T」と「地域の姿と課題U」は対面かオンラインかにかからず、毎週ゲストスピーカーをZoom上で招くオンタイムにより実施し、「コミュニティデザイン演習」と「修士・博士課程指導」は、毎週対面で行うこととなった。そこで、以下、「行政学」「地方自治論」「現代政治の理論と実際」「スポーツ社会学」「スポーツ行政論」については隔週で、それ以外については毎週作成することとした。

 

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21/05/08. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

昨年はいっさい対面授業ができなかったので、1昨年7月以来となった。授業資料をどうするか悩んだ末、自分が作成した東京五輪関係の未定稿を用いることに決めた。東京五輪に集中した授業はもう二度とできないと思われるからである。反転授業の意図は受講生に伝わったのではないか。マスク越しとはいえ、授業の合間に楽しそうに言葉を交わす学生たちの姿を見て、ほっとしたような嬉しいような気持ちとなった。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

教室が変わり、社会学よりは少ない人数で向き合った。オンラインの授業を挟んで次回対面授業で、どのようにグループ討議ができる工夫しなければいけないが。とにかく飛沫防止のルールを守りつつ、まずはいきなり議論から入るのではなく、対話からスタートしたいと思った。テーマの中心はやはり東京五輪だ。

 

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21/04/12.Mon.

コミュニティデザイン演習

宇大の場合は、授業科目の進捗をA日程とB日程に分けて、受講生がキャンパスに集中しないよう工夫しながら、交互に対面とオンラインで行う。行政学と現代政治の理論と実際(現政)はB日程のため、来週が対面授業となる。ゼミは毎回対面で行えるので、迷わずそのやり方を選択した。3年生ゼミ生とは昨年度は一度も会っていないし、1昨年度も担当授業の関係でほとんど会っていない。やはり直に向き合うのはいいものだ。ただ、対面にブランクがあるのはゼミ生も同じ。急ぎ過ぎないよう注意した。ゼミ論作成に注力するのは5月の連休明けでいい。

 

地方自治論

担当教員については、まさに肝を冷やす対面授業であった。というのは、何を勘違いしたのか、A日程であるのに、事前に掲載した資料にはB日程を前提とした記載を組んでしまっていた。おそらく、B日程の行政学か現政の資料作りが終わり、そのままファイル名をこの科目に変えた際に、基盤教育のA日程については、例外として初回はオンラインとするに引きずられ、専門科目に当てはめてしまったのだ。救われたのは早い時間帯での複数の学生からの指摘があったことだ。慌てて作成し直し、数時間前には訂正したものを掲載でき、事なきを得た。老害現象の典型例かもしれない。

 

修士課程・博士後期課程指導

修士2年生は就活に直面している。社会人院生は仕事があったり、遠方だったりと全員揃うのは難しい。また社会人院生には研究前で待たせてしまった。確かに研究指導と聞けば、研究室で行うとイメージするのが自然だろう。それでも、1月下旬に出した課題についての報告を行い、Microsoft Teams使用の出だしも予想外に順調に行った。研究室のメンバーはすぐに使いこなすのではないか。国外の研究生とのオンタイムのやり取りもできたし、履修科目についてもみなで助け合っていた。修士・博士の手続き(とくに後者)に振り回されたものの、それらは研究に集中するソフト面での環境づくりに不可欠ものだと思う。良いスタートが切れて良かった。

 

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21/04/15.Thurs.

 

地域デザイン実務T

ゲストスピーカーによる話題提供と受講生とのやり取りの授業が、今回の場合、対面とオンラインが交互なのでかなり複雑な対応が迫られる。受講生に直接説明できたので、初回が対面なのは大きかった。自分の担当は次回以降3回。オンラインだがゲストスピーカーが研究室に来て行うのが次回。受講生と教員とが教室で対面し、スクリーンを使ってゲストスピーカーとやり取りするのが、その次。そして3回目が教員、ゲストスピーカー、受講生が各々の居場所からつなぐ純粋なオンライン。慌てるとミスしそうな気がする。

 

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21/04/19.Mon.

 

行政学

対面授業は1昨年の7月以来。勝手知った教室のはずが、感覚がなかなか戻らずに戸惑う。マイクを出す鍵の受け取り場所も変わっていた。窓とドアを開け、空調(換気)をして、初回の対面授業に臨んだ。受講生同士のやり取りはどうにかなりそうだ。マイクは自分だけにして、受講生の小さめの言葉を教員が拾う形で共有した。コミュ学科2年生の担任のため、この時間の最後の方を使って、提出物の受け取りと配布を行う。

 

現代政治の理論と実際

1テーブルに2人が着席。高級アクリル板なのか、厚さがあって互いの声が通りにくいのには驚いた。それでも2人から4人へ、さらに移動してもらったりして、北朝鮮の東京五輪不参加や来年2月の北京冬季五輪をめぐるボイコット論など、事前に提示した新聞記事を資料に話し合う。次回(対面)のテーマは日米首脳会談。実質2週間分の資料を事前に用意するのは、かなりの労力を要する。

 

コミュニティデザイン演習

1993年に赴任して以来、手ぶらでゼミ(授業も)に参加したのは初めてだと思う。少人数だからこそ、こうしたことができる。各自が現時点で考えているゼミ論のテーマについて、15分で話してもらう。何百年に1度といわれるコロナ禍に大学も翻弄されているからこそ、こうしたやり取りは貴重だと感じた。

 

修士課程・博士後期課程指導

WiFIが弱く、国外の研究生とのやり取りに支障が生じた。結局、この対策に振り回される。事務スタッフの協力を得て、最後にLANケーブルを直接つなぎ、設定し直す形で解決できた。しかし、後になってこれでは院生所有のノートパソコンが使えないことに気が付く。あくまでも手段についての課題なので、前向きに捉えていこう。ほぼメンバーが揃ったのは収穫。

 

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21/04/22.Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

早めに出たものの、車が結構込んで、830頃(授業開始は9時)に大学に到着。ところが、体温検査のボックスに学生はほとんど並んでいない。そうか、バスの到着時に込むのかと納得した。授業のテーマは、東京五輪招致過程と、コロナ禍に直面しなかった場合の国内外からの集い空間などの展開(未定稿1章と3章)。対話型授業ははじめての試みで、受講生には当初こそ戸惑いが見られたが、やはり直接的なコミュニケーションはリモートにはない息づかいのある環境だった。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

最初に思い切って、座席移動を行う。こうしたことで、対話が進めやすくなった。東京五輪を通じた共生社会の実現と、東京五輪事業による国際平和貢献をテーマに対話型授業を進めた。途中、各グループ(1グループ4人)間の間隔を取った形での配置にした方がいいと気が付いたが、次回以降試みることとした。遠隔と対面のリズムが少しずつ掴めてきた。コロナ禍を何とかしのぎ、このやり方でいきたいと強く思った。

 

地域デザイン実務T

この科目のオンライン授業の日。ゲストスピーカー1人目は、研究室に来てもらい、マスクを付けながら、受講生は自宅などからZoomにアクセスする形で実施した。広域自治体職員の仕事がどういうものなのか、息吹を伴った形での熱い語りは、受講生に大きな刺激となったはずだ。質疑応答もスムーズに進んだ。操作についても、まずはやってみることで、学ぶことは大きい。失敗を恐れてはいけないと思った。しかしそれでも、ネット回線のみが頼りのこのような形でのZoom授業は緊張するものだ。

 

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21/04/26.Mon.

 

コミュニティデザイン演習

ゼミ論の問題意識について、文章化(中にはレジメも)したものを提示し、一人一人から報告した。連休明け以降の執筆報告スケジュールを、機器操作担当者も含めて、決める。いよいよ本格執筆に入っていく。WiFi対策は次回のゼミ開始前と終了後の時間を使って、全員を対象に行う予定だ。まだ3回目だが、少しずつ一体感が増していく雰囲気だ。

 

修士課程・博士後期課程指導

WiFI対策を行う。ダウンロード・インストール後も改善が見られず焦るが、終盤になって「WiFi2」の存在を突き止めてからは、一気に進んだ。ほぼ全員が対策を済ませた。このままでは有線でつなぐ教員以外はネット活用が難しかったので、大きな改善だ。連休明けのスケジュールを固める。とくに紀要への投稿者が4名いて、初めてのチャレンジなので教員も緊張する。その他の研究室メンバーもしっかりと前に進んでほしい。3年生ゼミと同様、対面あっての研究室活動だと改めて痛感。

 

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21/04/30.Fri.

 

地域デザイン実務T

連休合間の金曜日だが、木曜授業を対面で行う。C-Learning経由のメールが入っていて、8名ほど急遽、自宅待機になったのこと。幸い、本人たちがコロナ感染したのではなく、濃厚接触者としての待機扱いとのこと。対応について一瞬、焦ったが慌てずにゲストスピーカーと国外受講の留学生2名と同じZoomURLを送信。出席とブレイクアウト、報告のやり方を変えなければならないが、何とかなるだろう。オンラインはこうした点でも融通が効く。しかしその後試練が。開始12時間前になって濃厚接触のため自宅待機を指示された受講生が続出。結局、対面、Zoomが入り交じった授業で、一人も取り残さず乗り切った。冷静かつ熱く語ってくれたゲストスピーカーの魅力にも助けられ、無事終わることができ、心底ほっとした。冊子を配布を引き受けてくれた受講生にも助けられた。ありがとう!

 

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