20197月(8月も少し) 中村祐司の教育日誌

 

 

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19/07/01. Tue.

行政学

レジメは官僚制組織の作動様式における情報経路の太さのところ。できるだけ実際の現場に即した説明を心掛ける。テキストは首長と地方議会の関係をめぐる論考。コラムの関連で、新聞の山折り・谷折りを、受講生にはうけないと分かりつつ実演。授業終了後TAの体調悪化とスマホの忘れものがあり、E5階の臨時的な基盤教育事務室に向かうも、廊下に学生が溢れ身動きが取れず、這うように進んだ。1階のメリットを痛感した。

 

現代政治の理論と実際

老朽化する公共施設について受講生に問いかける。峰キャンパスの「元祖」ラーニングコモンズは本当にありがたいのだが、スクリーンがないのと、入り口にある照明スイッチを消しに行ったり来たりしなければならない。ぜいたくなレベルだろうが、陽東のプロジェクターの性能が良いせいか、どうしても違いが目立つ。授業環境についても両教室の比較から学ぶことは多いと思った。

 

コミュニティデザイン演習

頭では分かっているものの、体がついて行かない。峰から陽東までの距離は微妙といえば微妙だ。信号の運にもよる。学生ならともかく、コマが昼休みを挟まずに連続するとしたら、若い頃ならともかく、今の自分では続かないだろう。少し遅れてスタート。ゼミ論の共有と意見交換。ゼミ活動でこれをはずすわけにはいかない。少し時間を取って参院選をめぐる学生座談会の調整。これについても逃げるわけにはいかない。

 

地方自治論

参院選の学生座談会参加メンバーの調整がこの時間の最初にずれ込んだものの、記者の熱意と協力に助けられ、スムーズに決着。公共施設をめぐる課題解決案に向けて、いずれのグループもテンションの高い話し合いが続いた。毎回、熱気が継続する、こうした雰囲気でのグループ討議の展開になれば。現政もそうだが、次回には課題を提示しなければ。

 

卒論・修論指導

体調不良、自転車事故、就活で3名が欠席。それでも愚直に研究室活動を続けた。人数が少ない分、率直な話し合いや確認ができたのはよかった。梅雨が本格的になり、湿気が体に堪える。ただ、7月というのはもう夏の時期だ。今月を乗り切ればという期待を抱かせてくれる時期だ。

 

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19/07/03. Wed.

 

地域の姿と課題U

ゲストスピーカー3人目は地域包括ケアシステムにおいて、身を粉にして高齢者問題に奮闘しているコーディネーターをお招きしての講話、質疑応答、ご助言といった内容で進めた。行政資料からは分からない、まさに地べたを這うように収拾した情報をもとにしたいくつもの貴重な資料の提示があった。世代間ギャップなど吹っ飛んでしまうようなお話で、受講生の心に響いたはずである。自分が担当したゲストスピーカーの方がいずれも誠意を持って尽力してくださり感謝。

 

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19/07/04. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

インドのスポーツとカースト制度の補足、2016年リオ五輪の特徴の後、東京都が新設する競技場(海の森水上競技場、カヌー・スラロームセンター、有明アリーナなど)の大会終了後の年間収支の見込みについて説明する。新国立競技場の維持管理費(年間24億円)にも言及。その他にもテスト大会の名称や先日のG20IOC会長との接点(プラごみ再利用や平和貢献など)にも触れる。いずれの課題も周縁に位置付けられるだろうが、今後も注視し続けたい。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

東京五輪の入場券不正転売禁止法の施行、五輪チケットの販売戦略をめぐる課題(「すべて買う」か「すべて権利放棄」しかない点など)、酷暑(熱中症など)対策の工夫、競技場へのペットボトル・水筒の持込可の背景、安全都市の国際基準が当てはまらないテロ対策をめぐる不安などに注目する。部活動の地域移行をめぐる課題(事故対応など)と可能性にも言及した。東京五輪は歴史的にも究極の酷暑対策が展開されるのであろう。

 

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19/07/08. Mon.

 

行政学

レジメは前回レジメの適応戦略から。その後政策学に入る。最初は政策の評価基準や実現可能性など。政策対応のレベルについて板書した。短い時間となったがテキストはマイナンバーカード。コラムは緑の空間の大切さ。参院選啓発イベント等についても情報提供。試験について中間試験と同じ形式であることを伝達。試験対象の授業としてはあと実質2回の積み重ねが大切だ。

 

現代政治の理論と実際

少し時間の余裕があると思ったら、HDMIケーブルが何と反応しない(後に天井設置のプロジェクターからコードがはずれていたことが受講生の指摘でわかる)。これがノートパソコンの故障だったらと午後の授業がまずいと非常に焦りながら授業を進める。まず、29日提出の課題について丁寧に説明。その後短めだったがアベノミクスの成果をグループ単位で考える。残念ながら動画は音声が機能せず断念。最後に参院選関連の話題提供。気がつけば前期授業も終盤に近づいている。

 

コミュニティデザイン演習

急いで研究室に戻り、慌て気味に弁当を口にして、せかせかと移動するも間に合わず。このやり方で来年度前期は大丈夫だろうかと不安になる。ゼミでは参院選をめぐる取材絡みの座談会を実施。改めて面と向かってゼミ生の一律ではない考え方に触れ感心した。次回以降の研究室活動を地方自治論との関係でいろいろ事前に考えた末の案で行くこととなった。残りの11回が大切だ。

 

地方自治論

今月29日提出の課題について説明。アベノミクスをめぐっては、現政と同じく若い世代の目線でかなりシビアに見ていると感心した。学年が上の分、切実感が1年生と比べて強かったかもしれない。ゼミの時間でセミ生から力を得て、参院選啓発イベントについて力説。独りよがりの発想や発言はまずいが、受講生がどう受け止めたかなど気にしていては教員は勤まらない。自分がこうだと思ったやり方で真正面から向き合っていくしかない。

 

卒論・修論指導

報告者が就活などで2名欠席。こぢんまりとした感じだったが、その分大学院入試の申込みが迫った研究生の研究計画を丁寧に見ることができた。こうした直し方は修論ではできないであろう。やはり執筆する本人がいかに本気で向き合うかに掛かっている。

 

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19/07/11. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

ゲーム障害(ネット依存)、5G時代を睨みゲーム産業に乗り込むグーグル・ネットフリックス・アップル・ディズニー、9割完成の新国立競技場の新機能、陸上トラックを残すことになった新国立競技場の事情、新国立とパナスタとの資金調達方法と建設費(前者は1500億円、後者は140億円)のあまりの違い、東京五輪自転車ロードレースのテスト大会と参院選投票日(721日)のバッティングを対象とした。パナスタ詣でを繰り返す組織委等の行動はあまりにも皮肉な現象だ。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

「セカンドチャンス」など東京五輪チケット販売方法の変更と背景、組体操など体育等における事故対策、体罰禁止の工夫、保護者による子どもへの暴言や怒号を防ぐ対策、運動の苦手な子も楽しめる「考える体育」などを紹介し、処方箋について問いかけ共に考えた。適度に体を動かすことは誰にとっても欠かせないもので、興味を持って楽しくできるに違いないと感じた。

 

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19/07/17. Wed.

 

行政学

月曜日授業としてこの日に実施。期末試験範囲まで確実に進まなければという思いで、政策学における行政需要と法令の意思決定過程に絞って説明。誤算は試験で出た場合のポイント文章を受講生が書き取る時間を読み違えていたこと。多摩美術大学生によるKANTANNEWS2本して提示できなかったのが残念。テキストは早めに終えた。次回は緩やかなグループ討論とテーマ関連で問題提起をしたい。

 

現代政治の理論と実際

栃木選挙区参院選候補者のSNS発信をテーマにグループ討議。新聞取材も入る。最も印象に残ったのは、発信の仕方やデザイン、コンテンツを見るSNS世代の学生の目が非常に肥えているということ。グループ討議では明るい雰囲気にもかかわらず、賛同というよりはシビアな的を射た指摘に、虚を突かれた思いがした。このテーマを取り上げてよかったと実感した。

 

コミュニティデザイン演習

キャンパス間を移動しつつ感じたのは、昼休みがあと10分多くあればどんなにありがたいかということ。早めに出たつもりが、赤信号にも影響され、ぎりぎり間に合う形で開始。来週の地方自治論で行うpeer to peer授業の準備に充てる。気がつけば前期ゼミは今回を含めてあと3回。8名全員参加で頑張るスタイルを最後まで貫きたい。

 

地方自治論

現政と同じテーマでグループ討議。より明るい雰囲気でいずれのグループも楽しそうに考えを言い合っていたが、やはり受講生からの見方はシビアであった。考えてみれば、教員自らが研究室ホームページ作成はともかく、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムの使用については、厳然たる格差があり、受け止め方の深さに差があるのは当然なのだろう。

 

卒論・修論指導

研究生の大学院入試手続きの時期をめぐり、本人と教員の見落としがあり反省。しかし次のチャンスがあるので気持ちを切り替えたい。前回分も含めて3人から報告。就活等で全員が揃うのがなかなか難しくなっている状況だ。だからこそ正規のこの授業時間帯が大切なのだと再確認できた。

 

 

19/07/18. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

2020年東京五輪と対日投資、大会終了後の神宮外苑の開発、新国立競技場と「立体都市公園」などを取り上げた。授業資料でとくに印象に残ったのが、2012年ロンドン五輪がまさに「スポーツの力」を通じて、歴史的に荒廃状態が続いていたロンドン東部のかつての工場地帯「ブラウンフィールド」を、水と緑の中心会場地域として再生させたことである。日本とのあまりにも対照的な国策の違いを目の当たりにして、説明しながら言葉を失いそうになった。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

大学の運動部学生の学業のあり方や一般学生との公平性などの課題、東京五輪関連を装った偽サイトの危険性、組織委を支えるスタッフの美談、組織委による都内ホテルの仮押さえの背景を対象とした。宿泊の影響は「新幹線で1時間圏内」の栃木県にも及ぶかもしれない。

 

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19/07/22. Mon.

 

行政学

選挙戦で掲げられた政策課題など、昨日投票の参院選を振り返った後、1年後に開催が迫った2020年東京五輪についての受講生の率直な受け止め方を大きめの出席カードに記載してもらう。その後緩やかに形成したグループ単位で話し合い、そのいくつかについてマイクを回す形で受講生全員から説明。最後にミニ講義として、「東京五輪をめぐる開発と環境」と題して、神宮外苑の高層ビル建設と新国立競技場周辺の「立体都市公園」に内在する課題を指摘した。

 

現代政治の理論と実際

授業スタイルは行政学と同じ。ただ、受講生ひとり一人に目が届きやすいので、各グループを回って耳を傾けた。東京五輪の受け止め方は人それぞれでよいと思う。ただ、自分なりの向き合い方を持っていないといろいろな場面(チケット購入やボランティア参加、移動や宿泊など)で振り回されてしまうだろう。

 

コミュニティデザイン演習

蒸し暑くて、移動後は着替えざるを得ない。後期ゼミのメンバーが固まったので、前半は全員でこの後の授業で初めて行うpeer to peerの準備。後半は後期ゼミ生と研究室所属の5年生と院1年生とを引き合わせる。まちづくり提案とジョインとゼミについて説明。次回も同じスタイルで進め、夏休み前に活動の見通しをつけるつもりだ。

 

地方自治論

前半は8本のゼミ論を素材としてpeer to peerの実践。さすがアクティブラーニングの申し子。ゼミ生は慣れたもので各グループ間での説明者の移動などスムーズで、自然体でこなしていたのには感心した。後半は研究室所属の5年生と院1年生を招いて、卒論や修論のテーマ、インターンシップや就活の経験を話してもらう。このために卒論5年生はパワポの工夫したファイルを用意してくれて感謝。次回が最終回。現政と同じく、受講生全員からの課題(コラム)提出を強く望む。

 

卒論・修論指導

せっかく全員揃ったのに、事情により短縮バージョンで実施。3人から報告。コミュニティデザイン演習もそうだが、次回には後期の活動スケジュールとそれまでにやっておくことをまとめておかなければ。前期は実質あと2週間、いや試験や採点などもあり3週間か。お盆前の日数を少しでも多く確保することを目標にしていこう。

 

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19/07/25. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

授業としては最終回。ちょうど昨日で東京五輪まで1年となった。今朝の新聞各紙を素材に説明する。景観よりも開発を重視した神宮外苑地区、東京湾岸晴海地区の選手村とタワーマンション、多様性(人種、性別、性的指向、宗教、政治、障害の有無など違いを認め合うこと)を実現する上での具体的な課題(ヘジャブ着用など)、聖火リレーのポイント(見栄え意識、瞬間移動、人口カバー率98%)、都市型スポーツと「スポ根」との対照性、バッハIOC会長発言の疑問点(ロシアの組織ぐるみのドーピング疑惑への対応など)を取り上げた。この授業を通じて、スポーツ世界における現在進行形の諸課題をいろいろと考えることができたのが収穫だ。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

会場を1カ所に集める「一極集中型」ではなく、「分散型」の東京五輪の特徴と、計画段階にある2024年パリ大会や28年ロサンゼルス大会との共通性、選手村は「スターの街か」、今後の東京五輪までのスケジュール(チケット販売、新国立競技場の完成、聖火リレーなど)、プラごみ対策、共生社会、LGBTといった課題、聖火台の球体デザイン、水素エネルギーの活用などを取り扱った。説明の途中で、拠点は臨海部と都心部の「二極集中型」ではないかと捉えた方が適切ではないかと思った。

 

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19/07/29. Mon.

 

行政学

前期ラストの授業。レジメはミクロレベルの予算編成過程、テキストは東日本大震災後の政官民の対応、コラムは自分の軸としての「書くという行為」。また、受講生へのメッセージとして選りすぐった新聞記事の切り抜きを紹介(他の授業でも)。残るは来週の試験のみ。

 

現代政治の理論と実際

課題コラムを受講生ひとり一人から直接受け取る。残念ながら全員とはいかず。その後はグループでの内容の共有、さらにグループ替えによる別の受講生との内容の共有。今回で現政はすべてが終了。休講なしでやりきれたことを素直に喜びたい。

 

コミュニティデザイン演習

少しだけ遅れて開始。全員から3年後期さらには4年生以降の過ごし方(勉強や就活など)について語ってもらう。後半は院生と卒論生に加わってもらい、後期ゼミ履修者の間でまちづくり提案とジョイントを中心に夏休み前の最後の確認。後は実行あるのみの状況を作れたのが大きい。日程がどうしても会わず打ち上げなしの代わりに、9月下旬にささやかではあるが後期に向けて気勢を上げる会を開催することとした。

 

地方自治論

どうしても済ませなければならない雑務があり、課題コラムの受け取り(全員が提出!)後、最初のグループ討議の間に必死に板書し、グループの入れ替えの後、事務との間を何回か往復する。ところが、戻ってみると非常な盛り上がりを見せており、その原動力は各自の手元にある完成コラムだということを実感し嬉しくなった。時間がない中、2020年東京五輪についても大判の出席カードに記載してもらう。その後、板書とスクリーンを示しつつ神宮外苑と新国立競技場周辺の開発について指摘し、さらに後期の外国語文献講読(英文社説)とスポーツ・余暇の授業について履修をPRして終える。最後に拍手をもらえたことも心に残り、間違いなく後期授業の原動力になると思った。

 

卒論・修論指導

夏休み中にやっておくべきことについて皆で確認し合う。研究室内の論文締切日などについても提示し皆が合意。この時間帯は余力がほとんど残らない状態で迎えることが多かったが、どうにかこの日まで途切らせずに続けてきたことが大きい。研究室活動にひとまず区切りを付けることができた。

 

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19/08/01. Thurs.

 

地域の姿と課題T

午前中に白鴎大での期末試験を無事終えた(採点はまだ)後、このオムニバス授業の最終回に臨む。試験の取り扱いでの全班からの成果報告。役割はタイムキーパー。集中して各報告を聞きながら、いろいろと大変なこともあったが、この授業を持って運営面でも学ことが多く良かったと思った。150人超の受講生を対象としたこの種の授業はこれが最後なると思うと感慨深いものがあった。

 

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19/08/07. Wed.

 

地域の姿と課題U

1昨日に行政学の期末試験を無事終え、成績付けはともかく、今日の授業(試験扱い)で前期のすべてが終わる。幾分の感慨を持って臨んだが、受講生1名の出席が途中までなく、結局この事態への対応に振り回されることとなった。救済策の段取りが頭を占め、受講生の報告や話し合いに集中できず申し訳ないと思った。最後の最後で「情と理」によって着地点(評価可能)に至ることができた。もう一つある。前期あるいは後期を二つに分けるクオーター授業は8回・8回でなく、7回・7回とできなかったのだろうか。正直、この時期に行う授業の重さにつぶされそうだった。

 

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