2019年6月 中村祐司の教育日誌
19/06/03. Tue.
行政学
来週が中間試験なので、まずはレジメにしろテキストにしろ、今日のポイントまで終わらせなければと授業に臨んだ。前者は公務員制度、後者は平成の大合併。合併について両隣の受験生と話し合う時間を持ったが、予想外に活発で、子ども時代に直面した思い出があるようだった。早めに試験問題を作らなければ。
現代政治の理論と実際
北朝鮮社会の実際を探ることをテーマとした。動画(軍事パレード、高級ホテル、コンビナード工場)を観た後、グループ討議。平壌と平昌と何度も間違えて連呼してしまったのが恥ずかしい(午後の地方自治論で受講生から指摘され間違いに気付いた)。次回訂正要だ。国家機能が壊れているベネズエラの状況(子供の栄養失調など)を新聞報道から垣間見た。地球のどこかの国には住まざるを得ない人々。根本的に守られなければならないものとは何なのか、考えさせられた。
コミュニティデザイン演習
ぎりぎりで教室に入るのが常態化しつつある。せめて昼休みをもう少し取れれば。昨年度からの地デザ3コマゼミで、当初はやりにくい時間帯だと感じていたが、今年度のゼミ生が醸し出すゆったりと落ち着いた雰囲気のせいか、何だか教員もほっとすることに気が付いた。とはいえ、いよいよ来週がゼミ論草稿の締切だ。この正念場に対してぜひ正面突破で臨んでほしい。
地方自治論
つくづく連続で教室を使うことができて良かった。ちょっとしたことのようだが、50代後半の教員にとってはスピーディーな教室移動はきつく、正直昨年度は心が折れそうになった。現政と同じくグループを替えたが、思い切って5グループとした。受講生には改めて欠席や遅刻がないよう苦言を呈した。現政と資料は重複したものの、発想はかなり3年生ならではの突っ込んだ見解があった。
卒論・修論指導
どうにかこの時間帯までたどりつく。直接会って伝えることの大切を感じた。修士2年生は中間発表が近づいてきた。1年生にはまちづくり提案とジョイントの日程確認と新大学院での授業が順調に進んでいることを確認できた。研究生とは大学院試験対策の共有に至った。直接のコミュニケーションによる相互確認は非常に重要だと再認識した。
19/06/06. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
2020年東京五輪の聖火リレーを取り扱う。「瞬間移動」や「SNS映え」といったキーワードや、栃木県(2日間)におけるコースと見所、121日間という長丁場の課題と背景、スポンサー4社の影響などについて、地図を描く形で説明した。ある種の政策実施という面からすれば、細心の備えと多大なエネルギー、さらには洗練さが必要な複雑な政策領域であると改めて感じだ。
スポーツ行政論(白鴎大学)
「新しいスポーツ市場の開拓」と題して、飲料メーカー「レッドブル」が主催する新スポーツ大会、スポーツ用品販売のムラサキスポーツが注力する3S(スケートボード、サーフィン、スノーボード)、プロレス界復調の背景、九州プロレスなど地域密着型プロレスの価値、ONEやUFCといった総合格闘技団体のグローバルなファン開拓戦略、フェンシング競技団体がねらう新種目としてのライトセーバー使用の可能性や、現実の競技空間から離れた場所での丸ごとの再現を可能にする技術である”Kirari!”など、新スポーツや既存スポーツが入り乱れた形での新たな市場の開拓をめぐる動きを追った。
19/06/10. Mon.
行政学
中間試験の実施。席はどうにかなった。答案枚数も数え終え、まちづくり提案など情報提供しようと思ったら何とスクリーンが映らず。あきらめて頭に入っている範囲で説明した。今思えば、最初に電源コードがすべて抜かれており、試験開始前の一度試してみるべきだった。採点はできるだけ早めに取り掛かりたい。
現代政治の理論と実際
宇都宮パルコの撤退問題を取り上げる。大人の知恵では万策尽きた状況にも思えるので、学生の発想に救いを求めた。各階の事業(図書館・学習室機能など)を具体的に提案したグループもあり感心した。早めに終えることができず、慌てて旧研究室で弁当を食べた後、雨の中、陽東に向かった。
コミュニティデザイン演習
ゼミ論草稿の提出日。全員から提出。中身の検討はこれからだが、まずはよかった。全員から報告。さっと見た感じでは、ゼミ生個々による違いが目立った感も。早めに読みたいが、スケジュールが詰まっており、隙間の時間を有効に使うしかない。
地方自治論
現政と同じく、宇都宮の中心地をどうするか知恵を絞ってもらう。対象を生活者に絞って、医療や文化面で各階の機能を割り振ったグループの報告が印象に残った。また、どのグループにもアクセス性や品揃えなど若い世代ならではの率直で鋭い見方が散見された。
卒論・修論指導
1名欠席で報告も一つ減ったものの、院生の修論中間報告の準備に時間を割いた。綱渡りのような感じもするが、どうにか乗り切ってほしい。新大学院1年生によるまちづくり提案に向けた準備もスタート。研究生にとっても試験に向け本気で取り組む時期がきた。これまで終了後に必要な手続き等のメールを受信するケースが多々あったので、この日はいったん研究室に戻り、メールをチェックした。
19/06/12. Wed.
地域の姿と課題U
8回の1単位オムニバス授業がスタート。初回はガイダンスで、次回以降のゲストスピーカーの紹介、最終回の報告内容や提出課題。資料へのアクセスの仕方(Moodle)や使用方法などについて説明する。受講生が少なめで目が行き届くし、ゲストスピーカーとの距離も近くなるのがメリットだ。ガラス張りで開放的な教室(AL3)なので心地よい。
19/06/13. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
2000年シドニー五輪、eスポーツの続き(元総合格闘技王者の挑戦など)、一方でゲーム依存症をめぐる深刻な問題、バック走の醍醐味、日本三百名山の「一筆書き」に挑戦しているアドベンチャーレーサーなどを取り上げる。反射神経、集中力、戦略、頭と体を使うなど、一つの分野を究める世界には共通するものがあるものだと、改めて納得した。
スポーツ行政論(白鴎大学)
10歳のスケートボード女子プロ選手、障害物を乗りこえるスポーツ「パルクール」の由来と魅力、人気が急上昇するスポーツクライミング、新体操におけるメークを通じた目力のPR、唯一無二の波に向き合うサーフィン競技(グローバルアスリートを地で行く五十嵐カノア選手など)、欧米訪日客と相撲、エンターテインメント性を増すJUDOなどを素材対象とする。最も印象に残ったのが、低年齢を超越したスケボの自由スポーツ世界だ。
地域の姿と課題T
初回のガイダンスがスタート。受講生が150名超となるとさすがに顔が見えなくなる。ノートパソコンのスクリーン故障は、卓上モニターがあり問題なし。地デザ学部1年生全員対象のオムニバス授業。今後の進め方や課題、最終回の内容、班ごとの役割分担などを複数の教員が連携して説明した。次回、次々回の資料掲載(Moodle利用)についても全受講生がアクセスでき、これが一番嬉しかった。
19/06/17. Mon.
行政学
統計不正問題をテーマに、前半は今年2月18日放映のNHKと朝日新聞の動画を提示。大きめの出席カードに考えを記載させた後で、2列1組での話し合いに入るが、何と空席の列があったり、列の数を数え間違えたりと思わぬ場面に直面し動揺してしまう。めげずにどうにか終えたが、160人規模の受講生でのグループ討議はよほど入念な準備をしないと難しいと痛感。ただ、テーマの重大さをこの人数の受講生に伝えることができたのは収穫。
現代政治の理論と実際
何とまた誤算が。前の行政学で授業終了後、中間試験の結果を知りたい受講生が予想に反して列を作ってしまったのだ。その間、TAがマイクなどを入れるボックスの鍵を占めて事務室に返してしまった。ボックスに入れるべきプロジェクターのリモコンが机上に残ったまま。別棟5階の事務室(工事中でなかなかたどり着けず!)に急遽行かなければならなくなった。その影響で遅れてスタート。加えて大きめの出席カードも手元になく、混乱のまま授業を進める。それでも受講生はしっかりしたもので、グループ討議やその報告にはうなずける指摘が多かった。
コミュニティデザイン演習
パンクレスの重い自転車で必死に陽東へ。研究室に飛び込むと、指摘してくれた行政学の受講生に感謝しつつ、まずはMoodleに誤って上げてしまったファイルを修正。午前2コマの授業と移動のため慌てて着替えてゼミに向かう。査読ゼミ論について1対1で指導し、1週間後の最終原稿提出にはずみを付ける。その後、来週行う研究室HP掲載作業について説明。ここに来てゼミに一体感が出てきた。
地方自治論
動画を提示する前の説明に思わず力が入ってしまう。グループ討議の様子を見たり聞いたりしながら、やはり統計問題を取り上げてよかったと思った。今後いろいろな機会に統計データに向き合う学生のスタンスは変わるのではないか。Moodleに当日掲載の新聞資料を最後に提示して終了。
卒論・修論指導
明日修論の中間発表を行う院生3名とのコミュニケーションが十分でなかったようだ。これから印刷すると知り一瞬言葉に詰まる。今できることをやるしかないと思い直し、プレゼン資料はともかく、スクリーン上に写した提出レジメを急いでチェックする。院1年生のまちづくり提案や研究生の研究計画、今年度の研究室活動予定に触れられたのがよかった。
19/06/19. Wed.
地域の姿と課題U
前回がガイダンスだったので、今回から本格実施となる。受講生は全員出席。県庁のゲストスピーカーは全体の回を見通した上で、初回ゲストスピーカーとして見事な役割を果たしてくれた。後半の質疑応答(本音トーク)が非常にかみ合った感じで、教員も10数年前の出来事(研究テーマの設定や地域連携冊子の作成など)を鮮やかに思い出した。教員冥利に尽きる経験であった。
19/06/20. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
2004年アテネ大会、2008年北京大会を振り返った後、2020年東京大会以降の夏季と冬季の五輪開催における米中の競争(メダル獲得、スポーツ市場、スポンサーなど)に注目する。eスポーツの続きは茨城国体への県代表を紹介した後、斜視や難聴との関わりについても触れた。どう捉えればいいのか、なかなか難しい。
スポーツ行政論(白鴎大学)
「スポーツの技術革新」と題して、タグラグビーにおける算数、プログラミング、ドローンの活用、五輪を契機とする先端技術(多言語翻訳、拡張現実ゴーグル、車いすマラソン用の新型車など)、ペットボトルからのポリエステル繊維の再生技術、厚底の高級シューズ、ウルトラ・トレイルランやサハラマラソンの根源的な魅力、視覚障害者によるボランティアの原動力などについて考えた。スポーツの関連世界は多面的かつスポーディーな広がりを見せている。
地域の姿と課題T
今回からゲストスピーカーをお招きしての講話、質問作成、受講生との応答に入る。受講生は首長の話しに当初は戸惑ったようだが、質問の内容ややり取りでは、そのギャップを埋めるかのような、地域社会を見る上での大切なキーワードが相当出てきたように思われた。
19/06/24. Mon.
行政学
あいにくの梅雨模様の中での一コマ目。しかし、今日からレジメもテキストも新たな気持ちで臨んだ。前者は官僚制の作動様式、後者は小規模自治体のチャレンジ(コラムは大学のカテゴリー化など)。管理学の肝の部分について受講生に考えさせる。緩やかな自然のグループ分けで行けそうだ。最後にタイトルが「地域社会が世界を救う」の新聞インタビュ記事を紹介。終盤に向けて確実に積み重ねていきたい。
現代政治の理論と実際
テーマは廃プラスチック問題。最初に短い2本の動画を提示し、その後グループ替え。いずれのグループも明るく語り合っているような感じで、やや議論の白熱に欠けているのではと思ったが、報告では具体的な提案(ペットボトルのリユースなど)が多く感心した。自分の世代と違って、環境に対する問題意識を小さい頃からしっかり持っている印象を持った。
コミュニティデザイン演習
先週とおなじく急いだつもりだが、気持ちに体がついて行かない感じで、ぎりぎりで教室に入る。今日はゼミ論の研究室HP掲載に向けた作業をゼミ生に任せる。作業を引っ張ってくれるゼミ生を中心に皆で明るく前向きに取り組んでいる姿が嬉しかった。後は教員の方で明日中にはHP掲載に持って行きたい。ゼミ論の匿名希望者が一人もおらず、この点も非常に嬉しかったし、指導面でも力をもらったような気がした。
地方自治論
廃プラスチック問題は確かに非常に複雑だが、同時に誰にとっても身近な問題である。五つのグループからの報告には、売り手が一切レジ袋を配布しないなど、いろいろと考えさせられる提案が多かった。これだけ生活に浸透したプラスチックを常に意識し、たとえ小さな行動であっても、自分なりの考えを述べたり、現実の中で対応したりしようと思った。
卒論・修論指導
修論中間報告の振り返り、新大学院1年生の報告、研究室活動をめぐる学部4年生との調整など。気を張っているつもりだが、1日の最後の授業時間帯ということもあり、ほっとする。少し早めに終わるのも致し方ないか。常に前に進もうとするメンバーの姿勢が指導の原動力だ。
19/06/26. Wed.
地域の姿と課題U
ゲストスピーカー2人目。教え子が地域メディアの第一線で活躍している姿を目の当たりにできて、教員冥利であった。働き方改革にしても、プロフェッショナルな仕事にしても、各々の従事者が置かれた多様な環境と、その中での成果も絡む生きがいとは何かについて、考えさせられた。
19/06/27. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
2026年冬季五輪の開催地決定(共催でイタリアのミラノ等)と2030年大会を目指す札幌市の戦略、2012年ロンドン大会の特質、1980年モスクワ大会ボイコットをめぐる「オリンピック日本代表選手」の現在の思い、インドにおける国策としてのスポーツ振興や五輪招致のねらいなどを対象とした。説明していてモスクワ大会の出られなかった選手の無念さがストレートに伝わってくるような思いがした。
スポーツ行政論(白鴎大学)
東京五輪チケット販売のシステムに少し触れた後、放映権をめぐる日本女子プロゴルフ協会とテレビ局との考えの違いと摩擦、中学校・高校部活のあり方について、ブラック部活(教員の過剰負担)、過熱指導、体罰、言葉の暴力、外部指導員、地域スポーツクラブ、自発性・主体性重視の部活動の芽、といった切り口から考える授業となった。部活についてはその歴史にも触れ、1964年東京大会の影響力が強く及んだことを知った。
地域の姿と課題T
3回目(ゲストスピーカーの回としては2回目)。指定廃棄物をめぐる基礎自治体と国の立場の違いを、対立の構図ではなく、何とか解決策を打ち出そうとする相互調整と捉え、受講生を巻き込んだ思考の授業を目指した。招く側の実務面で至らない点は多々あったものの、1回の授業でお二人のゲストスピーカー招き、4年間継続できて良かった。