2017年7月 中村祐司の教育日誌
17/07/03. Mon.
行政学
17日がオープンキャンパスで授業がないため、31日の定期試験(期末試験)までは今回を含めてあと3回となる。昨日慌て気味に準備した内容を全部提示する。レジメでは行政需要と法令の実質的意思決定過程がポイントで、テキストは第9章とコラム2つ。試験の候補問題も提示。さらに24日の授業レジメ(赤線入り)もMoodle上に掲載した旨を伝える。次回はグループ討議でテーマは獣医学部設置の必要性について。これに関する二つの資料をMoodleに掲載したので熟読してくるよう指示した。次回のテキストはなし。目まぐるしい内容となったが、このような早めの対応が正解だと思う。
余暇政策論
選出した愛と数学の短歌をスクリーンに映しながら読み上げて自己流の解説を加える。その後来週提出のエッセイの作成要領について丁寧気味い説明。そして新聞記載に入る。言葉の大切さを論じたコラムなど示唆に富むものがあった。日常生活の中で受講生が意識してくれればありがたい。動画も1本(ジャズピアノの演奏)紹介。「詩をつくるようにその瞬間を作曲する」という記述が印象に残った。エッセイの構想をめぐるグループ討議の時間はほとんど取れず。授業も終盤に向かっているが、最後まで引き締め感を持っていこう。
行政学演習
ゼミも来週が最終原稿の提出。さらっとではあるが、前回と合わせてゼミ生全員の草稿には目を通したことになる。まちづくり提案の関連で市の総合計画について学べる良い機会を得られそうなので、その日程調整を後期履修ゼミ生にまかせる。来週は研究室HPへのゼミ論掲載作業もある。また、24日の研究報告会についての段取りも必要となる。残った時間でこのあたりの取り組みについても整理した。前期ゼミ活動もいよいよ大詰めだ。
国際学英書講読
敢えて抜き打ち的に10数分程度の小テストを実施する。これをあと2回行うつもりだ。しかし最も大切なのは毎回真剣に訳に向き合うことだ。プリント12枚目は、”The case of a small Kochi village”と”Rand
Castile, distinguished Asian art curator”. 時間ぎりぎりとなったが読み終える。1本目については音声も聞いている。なにも見ないで音声の内容がすっと頭に入ればたいしたものだが。次回のプリントを急いで配って終了。受講生には最後までやり抜いてほしい。
卒論・修論指導
終日室内とはいうものの、本日は今年一番の暑さといってもよく、そのことも疲れを後押ししたようだ。それでも2名からの報告とメンバー間での意見のやり取りを聞くと活力をもらえる思いがした。2名の院生欠席(体調不良と就活面接)と卒論生1名の欠席は珍しかったものの、就活等で抱える背景はひとそれぞれで、克服の仕方もひとそれぞれなのだろう。それでも研究という同じ目標に向き合うメンバーが集まることで支え合い励まし合う生まれている。この時間帯を大切にしていきたい。
17/07/07. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
第12回目のポイントは「多様性と個性を認め合う社会へ」。日体大陸上部パラアスリートブロック、日本知的障害者選手権水泳競技大会、パラリンピックのカヌー女子選手、車いすラグビー選手の暑さ対策、車いす陸上に挑戦した元箱根駅伝選手、デフリンピックとパラとの関係、デフラグビー、パラ大会の活況に向けて、障害者スポーツ指導員、健常者による障害者スポーツへの参加、ブラインドサッカー女子の期待選手、などを紹介し各々の課題を探った。障害者スポーツ、パラスポーツの奥深さを垣間見た思いがした。
スポーツ行政論(白鴎大学)
ポイントは「新たなスポーツ形態の出現」。男女混合種目、栃木SC解説者による貧困家庭の子どもたちへの支援、フットゴルフ、テニスゴルフ、ペタンク、パルクール、3人制バスケットボール、若者の五輪離れへの対策としてのスケートボードやスポーツクライミングなどによるアーバンクラスター構想、ドイツの卓球ブンデスリーガにおけるクラブ運営に見られる地元愛、サッカーW杯2018年ロシア大会に向けたコンフェデレーションズカップ成功の背景、などを取り扱った。スポーツ世界には五輪など大規模大会を契機に新たなスポーツ種目が深化していくのではないかと思った。
17/07/10. Mon.
行政学
全体としては2回目のグループ討議。獣医学部設置の必要性について6人を1グループとして意見をまとめさせる。報告は各グループ1分半程度。A5の紙をOHCに映写する形で全グループから報告。やって良かったと思ったのが、いずれのグループも専門家や新聞記載の表記に引きずられることなく、自分たちの言葉で語っていたことだ。受講生の洞察力について先入観を持ってはいけないと反省した。一方で、政策を抜きには語れない学問分野に属していることで、今回のような受講生の手応えある応答は他の政策を考える際にも適用できると確信できた。
余暇政策論
エッセイの提出日。当初はこれをもとにグループで紹介し合う予定であったが、新聞記載の話題があまりにも興味深かったので、受講生に詫びた上で、動画を織り交ぜながらの話題提供と、とくに社会人受講生とのやり取りという形で進めていった。内容は就職・採用活動、学生生活(家計)の実態調査、業種・職種論、レコード会社の旅行業への進出、旅行会社とライブ事業との融合、AIによる多様な作曲、古本屋巡りの旅の奥深さ、夜警の刺繍家の驚異的継続力などを取り扱った。残すところこの授業もあと1回だが、ここにきてようやく自分のやりたいことを貫く開き直り感が出てきた。
行政学演習
ゼミ論の提出日。2週間弱かけて他者の論文をしっかり読んでくるように伝えた上でいったん解散。後期履修者が資料室に移動し、留学生院生2名が主導する形で研究室HP掲載作業に着手。ゼミ生はただ作業画面を見ているだけだったかもしれないが、今後の積極的な作業参入に期待したい。再来週は研究成果報告会。その後は打ち上げ。何とか良い形で締め括れそうだ。
国際学英書講読
小テストの後のプリントは13枚目。”Japan
and ‘One Belt, One Road’”と”Firms need new strategies in
new world order”. 何とか読み切るも時間切れで音声を聞けなかった。とくに2本目の内容に教員が熱くなり過ぎたかもしれない。それにしてもCGS(chief global strategist)は気になるキーワードだ。次回最終回も今回のやり方でいきたい。
卒論・修論指導
前の時間の英文読みで張り切り過ぎたつけが回った。座るとかえって辛くて最初は立ったまま話をした。2名から報告。意見交換も活発だった。次回前期ラストは結構ハードになる。一部のメンバーは2コマに打ち上げの買い出し。この時間のメンバー全員が3コマのゼミに出て、事前に読み込んだ11本の論文に助言する。自らも夏休みの計画を1枚facebookに添付送信(ただし研究留学生2名は大学院試験に備えて研究計画書を添付送信)。社会人研究生の修論を読み込んでくる。教員もその分ハードとなるが、前期最後だということが逆バネとなり、何とか取り組めそうだ。
17/07/13. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
第13回目のポイントは「大規模スポーツ大会がもたらすもの」。8月上旬の試験について話をした後、平昌冬季五輪をめぐる平和的政治行為としての聖火リレーやエキシビション提案、東京五輪競技場施設周辺やマラソンコースの樹木剪定の工夫、通訳を含む9万人超を目標とするスポーツボランティア、駒沢公園屋内球技場のリニューアル、東京五輪難民選手団結成をめぐる課題、五輪ソリダリティー(連帯・団結)の考え方、反五輪の考え方を対象とした。反五輪の理由や背景に向き合い洞察することは不可欠であるが、五輪がもたらすダイナミックで派生的な影響力に注目したい。
スポーツ行政論(白鴎大学)
ポイントは「地域発の新たなスポーツ展開」。那須塩原市のホストタウン登録、新潟県三条市における地場産業(鍛冶技術)を活かしたスケート刃のアイススレッジホッケーへの適用、サッカーJ2水戸の「スマートアグリプロジェクト」への貢献、新潟県十日町市のボッチャ世界大会構想、バラとヨーグルトを結節点とした山形県村山市・明治乳業・ブルガリア新体操のつながり、サッカーいわきFC(福島県1部)のフィジカル強化に重点を置いた果敢な挑戦を取り扱った。国家発(上からのベクトル)よりも地域発(下からのベクトル)の積み重ねがスポーツの新領域を切り開いて行くのかもしれない。
地域の姿と課題T(地域デザイン科学部学部必修)
4人の教員が8回の授業を担当する。昨年度と同様に、外部からゲストスピーカーを呼び、質疑応答、グループ討議など参加型授業も盛り込む。授業時間割表の建物番号が間違っていて慌てたものの、受講生は臨機応変に対応してくれた。昨年度の教室よりも若干やりやすいのではないか。初回は授業ガイダンスの内容で、本格的には次回以降からだ。受講生には六つのテーマのいずれにおいても問題意識を深掘りしてほしい。
17/07/20. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
第14回目のポイントは「五輪開催難など」。五輪離れへの危機感からIOCが2024年大会と28年大会の同時決定を承認したこと(おそらく24年がパリ、28年がロス)とその背景、1964年東京大会後の開催都市、2026年冬季大会と札幌市の招致戦略、カバティ競技を牽引する二人の選手、トランポリンの姉・弟が共に世界選手権に出場、トランスジャパンアルプスレースの過酷さ、世界最高齢のトライアスロン選手から得られる教訓と励み、などを対象とした。2020年東京大会が今後の五輪の試金石となることや、挑戦することの価値など、いずれも貴重な素材ばかりであった。最後に授業評価を実施。
スポーツ行政論(白鴎大学)
ポイントは「スポーツの担い手と地域」。高知県檮原高校野球部が支える地域、島根県邇摩高校や静岡県野球協会・県高野連の園児を対象とする野球教室の効果、宇都宮市における高齢者を中心とするスポーツ吹矢の盛り上がり、山口県阿武町町の男性シンクロチームの人気、足利市のスポーツレジャー危機製造会社による高性能のピッチンブマシン、都市対抗野球と地域愛、部活動改革の方向性、ティーボールの魅力と野球とのつながり、フィジーの高校にほける日本人起業家による学校再建への貢献などを取り扱った。複数競技の経験が後々の能力向上に直結するのではといった指摘もあり、スポーツ競技経験のあり方について考えさせられた。
17/07/24. Mon.
行政学
前期ラストの授業。試験範囲に入っているミクロレベルの予算編成過程について丁寧気味に説明。テキストは第10章とコラム。震災研究の思いを伝える。現場発信の大切さ(大槌新聞、セブンイレブンの沖縄県那覇市出店調査、日本人看護師のモスルでの奮闘)を強調した。授業評価のアンケート用紙についても事なきを得る。僅かな時間だったが地域おこし協力隊の方から情報提供。情報伝達経路の太さの話から入る。残るは試験の実施だ。
余暇政策論
最終回も動画を盛り込んだ授業スタイルでいった。話題は、就活(新卒一括採用など)、スマホ依存、漫才のぷらんくしょん、現代美術における写実表現、学生による那珂川町資源発掘動画、Write the Futureやチャンオクの手紙といったブランデッドムービー(BM)、こだわりの日本製品文具、宮城県の観光PR動画「涼・宮城の夏」をめぐる賛否両論、馬頭高3年生によるチョウザメ研究など多岐にわたった。この時間でも最後に現場発信の大切さを強調した。
行政学演習
ゼミ論の最終報告会。これで前期の活動は終了。何とか良い形で締め括ることができた。後期の研究室活動を説明する時間がほとんどなくなってしまったが、配布した用紙を熟読してもらえば大丈夫だろう。実質的には息つく間もなくまちづくり提案などが動き出す。ジョイントの準備もまもなく入ることになる。放棄しなければ道は必ず開ける。
国際学英書講読
小テストの後、プリントは14枚目の”Bad decision on passive smoking”と”The foulest crime, finally brought down?”。最後の最後に試練というか、2本目の内容についてなかなか意味が取れず苦しんだ。しかし最後まで前向きな授業スタンスだけは崩さなかった。おそらく余暇政策と英語について峰キャンパスの授業としては最後となった。少しは感慨にふけってもよかったかもしれない。月曜日はどうしても終日余裕がなくなる。
卒論・修論指導
学部研究生二人の今後の研究計画について大学院入試も睨んで時間を取る。その後、全員から夏休みの研究計画を報告。論文作成のはずみになってくれれば。最後に後期の研究室活動を説明。研究室内論文締切は11月下旬だ。10月の初回に提示する内容の質が決定的に重要となる。本職なので当たり前なのだが、穴をあけることなく4月から授業や研究指導をやり切ることができて安堵した。
17/07/27. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
授業最終回のポイントは「2020年東京五輪―スポーツ社会学の視点から―」。輸送、開催経費、暑さ対策などについての課題を把握した。また、「都会的、若者、男女平等」というIOCのキーワードや「多様性と調和」「未来への継承」といった基本コンセプトと実際に直面する難題を指摘した。サイバーテロ対策一つを取っても未知の脅威領域が複数存在するに違いない。
スポーツ行政論(白鴎大学)
ポイントは「2020年東京五輪―スポーツ行政論の視点から―」。スポーツ事故や身体の故障など前回できなかった説明をした後、本題に入る。マラソン開催日の気温の推定、暑さ対策の難しさ、聖火リレーのコース設定、事前合宿誘致、五輪後の新国立競技場の使われ方、ホストタウン那須塩原市の取り組み、受動喫煙対策、日本におけるスポーツクライミング環境の課題、群馬・栃木・茨城・埼玉の北関東4県で開催予定の2020年全国高校総体(インターハイ)における会場確保への影響などを取り扱った。スポーツ社会学ともども、どうにか15回切らさずに終わらせることができ安堵した。
17/07/31. Mon.
行政学試験
試験の実施。履修生にとってはこれで前期の行政学は全て終わり。確かに4月から長かったし、地デザコミュ2年生の必修科目でもあり、とにかくここまで何とか持って来れた。採点と成績付けを集中してやろう。
17/08/03. Thurs.
スポーツ社会学・スポーツ行政論試験(白鴎大学)
8月上旬の試験。午後に本務校での前期最後の授業が控えており、その後いったん宇都宮にもどり、その後栃木市での市民会議に参加し、夜遅く水戸に向かわなければならず、さらにその後市民会議があり、体力的にも今日明日は苦しい日程となりそうだ。
地域の姿と課題T(地域デザイン科学部学部必修)
前期最終授業は試験期間中の成果報告会。全員とはいえないものの、150名弱の受講生が他班の発表を集中して聞いている状況に感心した。これで4月以降、どうにか授業や試験がすべて終了した。しかし、レポートの読み込み、採点や成績付けなどはこれからで、子ども時代からの夏休み期間(7月下旬から8月末までの癖の抜けない年配教員にとっては正直辛い。何とか数日で一区切り付けたいが、大学によっては8月10日11日とオープンキャンパスを実施するところもある聞いた。もはや大学教員もお盆休みまでは遮二無二働かなければならない時代なのだ。