20174月 中村祐司の教育日誌

 

---

 

17/04/10. Mon.

行政学

新年度の授業がいよいよ今日から始まる。宇大全体での授業のスタート日かつ朝一番の1コマ目。しかも、新学部の“コミュザ”(あるいはコデザで定着させたいコミュニティデザイン学科の略称)2年生には必修科目だ。毎年度のことだが初回は相当緊張する。マイクやスクリーン提示もうまく行き、早速レジメの説明から入る。Moodle使用について板書しつつ丁寧気味に説明。「現在行政学」の話題は、地域経済分析データの紹介とフランス大統領候補マクロンについて。テキストを次回以降読み進めることも伝える(第1章+コラム)。

余暇政策論

国際学部のカリキュラム設定でおそらく隙間が生じたのだろう。何と50人定員の教室に90人が押し寄せた。必死に他の教室等から椅子を用意。何とか入ったものの、このような経験は今までになく、今度は酸欠感が。それでも講義を放棄するわけにはいかない。イタリアの小村を拠点に人間主義経営を掲げる会社、銭湯オール、伝統芸能とハイテクとの融合の試みなど、画像と動画を交えながら必死に説明した。TAと出席カードを配布するのも一苦労。退出時もいっぺんに移動したら危険と判断し少しずらした。次回どうするのかなども考えなければならず、何とも消耗度が増した2コマ目であった。

 

行政学演習

ベストの人数といえるのではないか。しかも、研究生2名、院生2名(TA1名含む)も出席し側面支援してくれるのも助かる。最初に県内青年会議所の方2名を紹介。その後自己紹介に時間を掛ける。物事の最初はそういうものだといえばそれまでだが、各自の話を聞きながらいろいろな人的ネットワークの可能性を感じた。「小さな自治」をテーマに各自がのびのびとゼミ論を書いてほしい旨を伝える。ハイテンションとなってしまったのが、終了時間を10分遅く思い込み迷惑をかけてしまった。

国際学英書講読

思い切って、この時間帯に設定したが、今度は2コマ目とは逆に思ったよりもやや少ない受講者であった。かえってその方がやりやすいかもしれない。辞書持参者が3分の2程度だったので、少なめの数分予習の時間を取ってから教員主導で意味を正確に把握していく。”France’s glory days are over””Wilders isn’t going away”の途中まで。次回は残りの2本半。毎回あきらめないで丁寧に読み続けていきたい。

 

卒論・修論指導

初回の授業はどうしても教員がしゃべる量が多くなるが、ここまで来ると疲れからさすがに声量もおとなしめになる。1コマ目からさみだれ的に研究室の複数のメンバーと関わっているので、伝えるべき対象と内容が混乱してしまう。それでも一人一人が自己紹介形式で確認し合いながら、今年度の研究室が始動した。次回以降の発表割当を決める。卒論、修論、就活、試験など各々が自分の道を切り開くべくスタートを切った。このスタート時の気持ちを維持してやっていきたい。

 

---

 

17/04/13. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

白鴎大での担当授業もスタートした。ポイントは「やり抜くこと、究めようとすることの大切さ」とした。引退を表明した女子フィギュアの浅田真央の新聞報道について社会面も含め多くの紙面が割かれており、ここから得た情報をもとに、競技生活の節目となった大会や出来事を振り返りながら説明した。報道の量の多さに対応するので精一杯で、なかなか自分の頭の中で整理し切れなかったものの、受講生に考える貴重な素材の提供はできたのではないか。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

今年度はスポーツ社会学と同一教室を使えるのが非常に大きい。せっかくのなので、授業が軌道に乗ってきたら、たまにはスクリーン映写などの機器を利用してもよいかもしれない。ポイントは「スポーツの開拓者たち」とした。エアロビック、ドッジボール、ポールダンス、山岳レースにおける一流の選手を取り上げた。各々の魅力や技術の深さは半端ではない。まずは受講生と情報共有して、さらにそこから広がっていくような考察が展開できれば嬉しい。

 

---

 

17/04/17. Mon.

行政学

本格的には今回からとなる。レジメは立法・行政関係、政治・行政関係と、統制の規範と分離の規範。テキストは第1章で分権改革―市町村合併―三位一体改革(―地方創生)の一連の流れについて説明する。宇都宮は地方かどうかについて考えさせられ書いた最初のコラムについても触れる。その後、現在行政学と称してフランスと韓国の大統領選に言及。10時からは青年会議所主催の憲法改正等をめぐる意見交換の事業を関係者から説明してもらった。次回はテキスト第2章とコラム。

 

余暇政策論

甘かったというのか、他の選択科目がないので当然の結果かもしれない。やはり受講者数は90人程度。教室変更やむなしと覚悟を決めた。上記関係者に説明してもらった後、教室からあふれそうな受講生を相手に大教室での講義に近い形で話題を提供。女子フィギュアの浅田真央選手引退で考えたことを述べ、X Japan Yoshikiを取材対象とした秀逸記事を紹介、その後は農業女子、富士山と地域の活力、くじ当選をめぐり体当たり取材を行ったユーチューバー、宇都宮市のパラパラ動画などを取り上げた。動画も紹介した。自治体のPR動画は次回に持ち越し。グループ討議のやり方を変えなければいけないが、気持ちを切り換えて次回はまず大教室での初めての余暇政策論に向き合おう。

 

行政学演習

一人減り一人加わったので前期のゼミ生としてはベストの数で固まりそうだ。青年会議所のスタッフ2名にも参加してもらった。意図していなかったものの、非常に貴重な交流の機会が得られた。「小さな自治」で考えられるテーマを大きな横長の黒板に全員がキーワードを書いて説明した。昨日思いついたやり方だが、現時点で各自が考えていることを共有できたし、短い時間だったが全員が説明したことが大きい。次回は形式については問わず紙1枚に書き出してくることとした。できればその次くらいからはペーパレスでいければ。芝ざくら見学についても積極的なゼミ生が調整を図ってくれたのでよかった。

 

国際学英書講読

後で出席カードを見返してみないと何ともいえないが、受講生の総人数はほぼ初回と変わっていないようだった。しかし、半数が抜けて、半数が今日から出席といった状況に見えた。どうであろうとこの授業では英文社説を愚直に正確に読んでいくしかない。2本目の”Wilders isn’t going away”の途中から。本格読み込みへのソフトランディングの思いを込めて、ここは教員の熱い思いで訳す。残りがほぼ1時間ある中で、その後の3本目”Turkey’s spat with Germany”4本目”Trump to meet with Xi amid Korea tensions”をグループに託したのだが、予習者が数人だったせいかかなり割り引いても低迷感は拭えなかった。この最初の段階であきらめるわけにはいかない。予習本格実施の次回に期待したい。

 

卒論・修論指導

朝から何とかここまでたどりついて何だかほっとする。4年生は就活・進路の正念場で、院生2年は修論が気になる頃だ。研究生は大学院試験まで残された時間は意外と少ないし、院1年生といえどものんびりできるわけではない。各々が向き合う目標や課題は異なるが、この時間に集まって互いに意見を出し合う機会を大切にしたい。

 

---

 

17/04/20. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

授業のねらい(ポイント)は「スポーツ価値の新たな展開」。箱根駅伝のスター選手引退とメディア報道のあり方、熊本のスポーツ復興、熊本と釜石のこどもたちの台湾での交流事業、野球の独立リーグの新展開、女子野球の発展、プロスイマーの挑戦、アマチュアリズム全盛の時代の歪みなどについて受講生に考える素材を提示した。まずは連休を目標に新聞報道の取捨選択を通じて目の前の授業準備に取り組んでいきたい。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

ポイントは「五輪施設が抱える重い課題」。リオ五輪終了後の複数施設の荒廃を取り扱った力作記事を紹介した。内容を紹介しながらやはり本質は現場に宿ると確信した。1998年長野冬季五輪施設(ボブスレー・リュージュ施設)の休止とその背景、自治体の財政負担という負のレガシー、来年の平昌五輪施設(カーリング会場やスキージャンプ会場)が直面する難題などについて説明した。とくにマイナー競技に関わる五輪施設を正の遺産として残すことがいかに難しいか紙面から実感した。

 

---

 

17/04/24. Mon.

 

行政学

レジメは政治・行政の分離論と融合論、協働の規範、古典的組織論や意思決定論を対象とする。縦割り組織と横割り組織の説明まではよかったものの、後の質問からラインとスタッフについての説明が丁寧さに欠けた点を反省した。テキストは第2章の公務員制度。コラムは地元地域資源の活用。自称現在行政学では内閣官房内閣人事局の新聞報道を紹介。コラム関連では八幡山公園のパンフを提示。残った時間で質問を考えさせる質問を投げかけたものの、やや不発気味だった。次回、レジメはこの調子で先に行き、テキストは第3章と二つのコラムを取り扱う。

 

余暇政策論

行政学と同じ教室が空いていたのはラッキーだが、グループ討議などに使い勝手のよいコモンズ機能に未練が残り受講者数を再度数え直したものの、やはり多く結局あきらめる。まあ何とかなるだろう。というか何とかしなければ。リオ五輪施設の負のレガシーや平昌五輪の準備課題に触れた後は、自治体PR動画(久喜市、八王子市、藤沢市)を紹介。続けて高齢にもかかわらずパワー全開の美術家二人、トルンというベトナム楽器のプロ演奏家(動画紹介)、下積み17年を経て人気上昇のシンガーソングライターの輝き(動画紹介)を話題にした。時間が押してしまい、最も紹介したかった最後の紹介を急ぎ足となってしまったのが残念。次回以降はグループワークの要素を少しでも取り入れていきたい。

 

行政学演習

今年度前期はこれで行くというゼミ生の陣容が揃った。4年生が一人顔を出してくれたのがありがたかった。社会人研究生・院生、TAの留学生、院志望の研究生2人を加えると顔ぶれは多彩だ。レジメ1枚で各自がやりたいテーマを報告。先を焦らないでまずは形式どうのといった話ははしにして、どうかのびのびやってほしい。次回はフェイスブックを活用し、ペーパレスで各自が1枚を文章化してくることにした。市貝町自治基本条例づくりなど教員と学生が関われる貴重なキャンパス外の政策関連活動について、積極的にゼミ生に呼びかけていこう。

 

国際学英書講読

直前になって受講生全員でテーブルを囲んで読み進めるやり方に変更した。やはり内容が難しいか、予習が足りないのかつかめないまま、教員主導で訳したりして進めた結果、最後の最後で受講生による手応えのある訳に向き合えた。辛抱したかいがあった。やはりこの授業は受講生の頑張りにかかっていることを痛感した。一方で、教員による事前の読み込みも手を抜けないとあらためて覚悟した。

 

卒論・修論指導

ここまで来ればもう一息だ。そう思うと疲れてはいるものの元気が出てくる。卒論生の報告からは、就活や試験勉強で時間が取れない中で、何とか工夫して話題提供の素材を集めていることが窺われた。この姿勢が大切だと思う。研究指導計画書の作成が署名と複数の押印が必要で意外と込み入った感がある。それでも本人と直接やり取りすることで見通しがついてきた。こうした細々とした雑務も大学教員として大切な仕事なのできっちりとやっていかなければ。

 

---

 

17/04/27. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

3回目の授業のポイントは「組織は人、スポーツも人」。ラクロス女子豪州代表の日本人選手、若干20歳のスポーツクライミングの世界的選手、ハンドボール男女の外国人監督2名、ボートの外国人監督、「澄んだ音」のゴルフボールを追求する男子プロ選手、卓球Tリーグの設立に奮闘する理事、第四の「寄り添うスポーツ」の大切な影響力、ファンランの楽しさの広がりなどを取り上げた。スポーツに関わる人々の多様性と拡充の可能性を再認識した。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

ポイントは「スポーツの波及課題」。受動喫煙対策をめぐる議論の迷走、農産物国際認証の壁、会場警備をめぐる国の支援と費用負担、男女混合を軸とした新種目争奪戦、新次元の対応を求められる反ドーピング策、2大会先までの五輪開催都市選定の背景、五輪会場スタジアムにおける車いす席の増設課題を素材に説明した。それにしても次々と出てくる目もくらむような派生課題だ。スポーツ社会学と同様に次は再来週なので一息付ける。とにかく目の前のことをやっていくしかない。

 

---

 

研究室トップへ