2016年6月 中村祐司の教育日誌
16/06/02. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
ポイントは「スポーツへの多様な関わりを尊重したい」。子どもの障害者スポーツと支援環境、特別支援学校の模索、トランスジェンダーの選手、選抜高校野球の始球式、学習指導要領の改訂と子どものスポーツ、オリパラ教育を対象とした。ポイントを押さえることによってこれまでの授業では、各々の事例をつなぐ一貫性を維持できている。受講生の反応も悪くなく、このやり方を続けていこう。
スポーツ行政論(白鴎大学)
過去取り上げなかったのが不思議なくらいだが、中学校の部活動を対象とした。ポイントは「どうなる、どうする中学校の部活動」。板書は最低限のキーワードに止め、新聞特集で紹介された生徒、保護者、教員などの声を口頭で紹介するようにした。部活はスポーツ教育行政の一つだが、そのことが外部指導者との整合性など課題を複雑にしていると思った。杉並区や大阪市の取り組みには今後とも注目していきたい。
16/06/06. Mon.
国際学英書講読
プリントNo.8の“Dubai’s future rail system”, “Prince and Paisley Park”, “Justice for victims of ’89 tragedy”, “South Korea should prepare for North threat”を読む。三人寄れば文殊の知恵で、何と予習なしのグループが読み切ってしまった。それでも予習の大切さは変わらないし、予習なしではこの授業に参加する意味はないと思う。また、時間内に読み切ったグループもあったが、後で確認したところもう少し訳の精度を高める必要がありそうだ。多忙であるからこそ、とにかく続けていこう。
行政学
最初にプロジェクターの電源が入らず焦る。機器利用は便利な反面危うさもある。今日からまたレジメとテキストを使った授業の後半開始だ。説明に少し力が入り過ぎた。むしろ受講生の集中力が途切れなかったことに救われた。考えてみればこの授業も予習が前提になっている。
余暇政策論
先週まとめた愛と数学の短歌をピックアップして紹介。その後、茨城県、栃木県、宇都宮市、足利市のPR動画を提示して、地域や自治体のストーリーとは何かを考えさせた。他の新聞記事から娯楽・歓楽・哀しさの本質についての問いを投げかけた。
行政学演習
毎回ゼミ生は発表となるが、ガツガツした雰囲気が全くないので、ちょうどいいペースとなっている。まずは動き出せば、調べて書く環境は向こうからやってくるはずで、そのことをゼミ生は実践し始めている。ゼミ活動の実働という意味でこの6月は大切だ。このことは原稿の締切に追われる我が身に対しても糧としたい。
卒論・修論指導
2名から報告。総勢10人ちょっとで年代も多様なため、広めの教室と相俟って良い雰囲気となっている。就活で4年生が大変だということは、発想を変えれば社会人院生との仕事をめぐる話がそれだけ濃密になるということでもある。卒論・修論指導がそうした相互のコミュニケーションの場としても機能し始めている。
16/06/09. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
第8回目のポイントは「新しいスポーツ産業の思惑」。五輪放送権料の高騰と複数大会一括契約の影響、TOPスポンサーの認知・販売戦略、Jリーグチームとスポンサーの東南アジア進出、大学スポーツ経営、一億総活躍プランとスポーツ産業などを取り上げた。多機能複合型スポーツ施設は果たして金のなる木になるのだろうか。東京論理に振り回されて終わるのではないか。
スポーツ行政論(白鴎大学)
「選手を支える環境、技術、心理」がポイント。ママ支援、パラリンピック東京大会に向けた大学による選手支援、競技用義足の研究と作り手の挑戦、車いすラグビーと技術支援、新体操とメーク支援、射撃と精神面の課題克服などを対象とした。義足製作の第一人者によれば「とにかく続けていくこと」が肝要だという。このことはあらゆる分野についていえるのだろう。
16/06/15. Mon.
国際学英書講読
9枚目のプリント“Trump’s victorious campaign”, “A Yawn of a congress”, “Abe-Xi summit needed”, “Britain should help young Syrian refugees”を読む。グループといえどもやはり組織は人だとつくづく思った。授業における読解についても、まずは大前提として個の力に掛かっているのだ。次回は2桁に入る10枚目。ささやかだが励みとしたい。
行政学
官僚制をはさんで作動の行政学へ。行政組織外への考察の対象が移ったので受講生にとって取り組みやすくなるのでは。面従腹背などアルバイトの経験などで思い当たるふしがあるのか、講義の間の受講生の集中力が途切れなかったようで嬉しかった。テキストは最も自分の考えを強くぶつけた1本(地方選挙)だったので思わず力が入った。コラムの関係で新聞持参を忘れたのが失敗。中間試験の成績開示で列ができたのには驚いた。汗を滲ませつつ定規を使いながら間違えないように慎重に一人一人に結果をささやいた。
余暇政策論
欲を出して昼休みに授業関係の資料などを整理していたら時間がなくなってしまい、慌てて教室に駆け込む。茨城県のPR動画が一連のシリーズとなっているのをこれまで知らなかった。その後、反転授業の資料を見た後で「共有しない文化とは何か」をテーマにグループ討議。これが実に考えさせるテーマでグループ討議が予想外に盛り上がった。若者による起業やNPOの立ち上げのHPを紹介。とくに宇大在学経験者による挑戦に刺激を受けた受講生がいるようだった。動画の紹介などは準備にかけた時間と比べて紹介はあっけないようだが、今後とも授業の素材対象と捉えてアンテナを張っていきたい。
行政学演習
ここ数日のうちでは涼しかったので着替えを持たなかったのが裏目に出た。汗で体がじめじめしたままゼミに出ざるを得なかった。期せずして市のまちづくり提案についてほとんどの時間を使うことになった。しかし議論を引っ張ってくれるゼミ生もいて最終的にははっきりとした方向性が見えてきた。時間をかけた甲斐があった。慌てて報告を行い終了。留学生院生2名も顔を出し、今日がまちづくり提案に向けたスタートとなった。
卒論・修論指導
今日は報告者の発表の中身に元気をもらった。他者と接するのは折り合いや調整の労など確かにやっかいな面もあるものの、他者とのやり取りを抜きにしては社会を理解できないことも事実であろう。昨年は修士2年生を担当しなかったため、1年間の指導ブランクが生じ、今年度の大学院中間発表についての対応がわからなくなってしまった。研究室に戻って1昨年のファイルを見つけ、事なきを得た。
16/06/16. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
ポイントは「都知事の辞職は東京五輪に打撃」とした。昨日、都知事辞任表明(正式な辞職は21日)を知り、次回の授業で取り扱おうかと迷ったが、今回の授業として2020年東京五輪の今後の準備の点から影響力を急遽探ることとした。必然的にネット情報に頼ることになったが、思いきって授業として取り上げてよかった。五つの打撃(前知事の辞職、新国立競技場問題、エンブレム問題、招致不正疑惑、今回の知事辞任)を、事態が揺れているこの時点で把握しておくことの意義はあったのではないだろうか。
スポーツ行政論(白鴎大学)
ポイントは「五輪が有する可能性は多彩かつ複雑」とした。この枠内で、県内での五輪キャンプ誘致、東京五輪追加競技、五輪で用いる卓球台やバレーボールネットの技巧、体操競技の自動採点技術導入の試み、「ゆるスポーツ」などを取り上げた。「スポーツの世界はイノベーションが起きにくい」という指摘や、「世界共通言語」としてのスポーツ、写真、動画は相互に親和性を持っている点など新聞報道から学ばせてもらった。
地域の姿と課題T(地域デザイン科学部学部必修)
学科を超えて4人の教員が8回の授業を担当する。外部からゲストスピーカーを呼び、質疑応答、グループ討議など参加型授業も盛り込む新学部の目玉授業の一つだ。陽東キャンパスでの授業は自分にとって初めて。最初グルーブごとの着席がうまく流れず、ぎりぎり150人収容の教室に受講生が150人どうにかおさまるまでに四苦八苦した。それでも今後の授業の説明などオリエンテーション色の強い初回の意図は受講生に伝わったのではないか。研究室HPへの一時的資料掲載も苦肉の策であったがうまくいった。自分は第2回、第3回の担当。受講生にはゲストスピーカーとの直接的なコミュニケーションを通じて地域を学ぶ上で大切な何かを把握してほしい。
16/06/20. Mon.
国際学英書講読
“Seoul’s third-rate diplomacy”, “Temer’s vague agenda”, “Duterte’s dubious record”, “Kim must look to the future, embrace change”を読む。今回で10枚の英文社説を読んだことになる。この授業は確かに起伏のない授業であるが、愚直に継続していくことこそが大切だ。受講生はこうしたスタンスを受け入れ、予習に励んでいるはずだ。前の週に割り当てた箇所以外のところをどれだけ読む込めるかも力を付けるためには不可欠だと思う。
行政学
事前(1週間前)に提示したレジメとテキスト1章分を予習してくるやり方が軌道に乗っている。行政組織の作動に注目した管理学を官僚制組織の機能障害現象でもって締め括った後に、行政学の三つ目のカテゴリーである政策学に入る。少し早めに終えて、18歳選挙権の関連で若者への啓発活動や期日前投票所の立ち会いを実践している受講生からの説明とチラシ配布の時間を取った。考えてみれば70年ぶりの選挙資格の改正であり、今が歴史的な分岐点なのである。次回は受講生に期末試験の実施日も含めて今後の授業スケジュールを提示する予定。
余暇政策論
この授業でも新聞を用いて反転授業を試みている。「六本木クロッシング」「市町村ぐるり完全踏破」「民生委員に悩み話して」「自然に体が動くもの」「読売広告大賞」を取り上げる。授業で取り上げる事前の選定がなかなか大変なのだが、その分、迫力のある情報ばかりで受講生も引きつけられているようだ。後半は「あなたが余暇の世界の中で一番リスペクトできるのは何ですか? それはなぜですか?」という設問を設定して匿名で自由に書かせた。次回もう一回、このようややり方を踏襲したい。
行政学演習
まちづくり提案をめぐる発表グループの申請書提出の調整を最初に行う。とにかく踏み出す(やってみる)ことが大切だ。その後の各ゼミ生の報告内容もしっかりしており、次回にはラフな部分的な形でよいので論文全体の体裁をメーリングリストに提出することにした。
卒論・修論指導
卒論生からの冷えて美味しく新鮮な山形のサクランボの差し入れに元気をもらった。院生の明日の中間発表に備えた模擬発表。その後にまちづくり提案をめぐる発表グループの調整。研究室から2グループが参加することで落ち着く。論文作成もそうだが、失敗を恐れずとにかく伸び伸びとやってほしい。その分だけ糧となって自分に返ってくるはずだ。
16/06/23. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
ポイントは「好事魔多し−都知事辞任と東京五輪−」。この1週間の新聞記事から知事就任後の五輪会場視察、新国立競技場や仮設会場の東京都負担の合意、今後の都知事選での候補者の東京五輪に臨むスタンスの予想、政府や組織との連携をめぐる課題に言及した。4年後に酷暑で行われる際の熱中症・感染症の心配などへの懸念、さらにリオ五輪をめぐる州の財政破綻や日本からの視察ツアーに対する関係者の需要の多さにも触れた。
スポーツ行政論(白鴎大学)
ポイントは「改善への一歩か−部活動休養日−」。教員等関係者の切実な声を受けて文科省が休養日の設定など改善策を発表したことに注目し、その内容や学校現場の賛成・反対、戸惑いなどの反応を紹介した。教員、生徒、保護者、学校だけではなく、地域住民や行政の間でも受け止めるべき重い課題だと思った。一区切り付けた後で追加のポイント「スポーツの技術」を挙げ、ラグビーでのドローン活用、水泳の「モーションキャプチャー」や究極水着のすごさ、自転車競技向上のための風洞実験などを紹介した。
地域の姿と課題T(地域デザイン科学部学部必修)
2回目の今回から7回目まで毎回ゲストスピーカーを招き、講話、グループ討議、質疑応答を展開していく。お話は形式論が全くといっていいほどなくて、基礎自治体を担う重責や苦労、やりがいなど首長の志と熱い思いをストレートに受講生にぶつけてもらった。たとえ話の内容を100%理解できなかったとしても、今回の授業では質疑応答も含めて、SNSや行政資料のみでは学べない何か大切なものを受講生に残してくれたことは間違いない。この授業を担当して良かったと心底思った。
16/06/27. Mon.
国際学英書講読
“Did Nissan cheat on emissions?”, “Airport security flaws”, “Japan’s envoy to China”, “Is soccer’s ruling body serious about reform”を読む。4本ともいずれも読み応えがあり、難しいセンテンスもあったのでいつも以上に時間をかけて事前に教員から説明する。受講生にも疲れが来ているのだろうか。グループ内でフォローがなかったのが残念。担当以外の3本にもぜひ目を通してもらいたいのだが。キャンパスで投票ができるという歴史的な日であることから、受講生にことわって途中10数分間席を離れて参院選期日前投票を行う。
行政学
行政需要と法令作成の意思決定過程にポイントを絞った説明を心掛ける。レジメについては次々回で一区切りだが、テキストについては次回で終了となるので、ずれが多少気になるものの、今は目の前のことを確実に教えることに集中した。議会基本条例とコラム2本について説明した後で、参院選のネット選挙絡みで下野新聞の“すまっち”を紹介。気軽にできるので受講生はぜひやってみてほしい。次回には7月の授業スケジュールを提示しなければ。
余暇政策論
どうも話題が仕事の疲れへの対応に偏ってしまっているようだ。他の話題も提示しているのでバランス的には問題ないと思うが。グループ討議では“アサーション”をテーマとし、事例を各グループ一つ作成させた。先週行った“リスペクト”と合わせて次回に講評の機会を持ちたい。また、行政学(国際学英書講読も)と同様に来月の授業スケジュールも示さなければ。
行政学演習
1週間の間に何をやったか全員が報告するスタイルはゼミとしては初めてだが、ここまで安定的に進んでいる。論文作成の残された時間は意外と少ない。来月4日と11日までにどれだけできるかが山場となる。それを受けて教員と博士院生が1週間で赤を入れて送信、それを受けてゼミ生が25日(18日はオープンキャンパスのため授業なし)に最終提出という目論見だ。
卒論・修論指導
卒論生が2名欠けると相当寂しくなる。2名から報告。就活も正念場だが何とかクリアしてほしい。内定を得た卒論生は研究室運営に協力してくれると助かる。卒論について思わず「夏を制するものは論文を制す」という言葉が出た。当面の目標・楽しみは来月25日の打ち上げか。
16/06/30. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
補足的に東京五輪競技場整備費の三者(新国立、都、組織委)分担の推移を板書した後で本題に入る。ポイントは「スポーツの未開拓領域に挑む選手・人がいる」。フライングデスク、ウインドサーフィン、ウルトラマラソン、ラート、スポーツクライミングの第一人者を取り上げる。なかなか読み応えのある記事ばかりだったので、説明にも自然と力が入った。
スポーツ行政論(白鴎大学)
ポイントは「スポーツを取り巻く技術・環境は変化する」。体操器具製造会社の卓越した技術、陸上のスパイク製造技術の妙、選手の動きの特徴を把握するデータ配信、脳科学と技量とのリンク、汗の成分分析、アスレジャー普及の芽について説明した。やはりスポーツ世界は確実に変化している。
地域の姿と課題T(地域デザイン科学部学部必修)
ゲストスピーカー(環境省、塩谷町)を招く形の2回目。今回、150名の受講生を対象にした講話と参加型の授業とするために調整に当たったが、自分にとっては未知の経験でとくに実務面で大変勉強になった。同時に真剣に耳を傾け質問する受講生の姿に接し、このような授業を担当したことで講話者の方と学生がつながる時間を持てたことをとても嬉しく思った。