2016年5月 中村祐司の教育日誌
16/05/02. Mon.
国際学英書講読
プリントNo.3の“Karadzic’s criminal conviction”, “Learning from Brussels”, “Obama’s historic Cuba visit”, “South Korea should remember MERS blunders”を読む(読みたかった)。最初にとくに1本目と2本目の読みづらい箇所を教員が訳す。その後グループでの訳に入るが全部読み切るには至らなかった。この授業では成果を焦らずにじっくり継続していくことが大切だ。次回については今回と同じグループでかつ訳の担当を事前に決めた。そうは言っても全部読んで来るのが大前提である。
行政学
プロジェクターの映りが気になるのでできるだけ早めに教室に入る。画面のずれも解消し開始時間も遅れずに授業を始めることができた。ワードレイアウト画面を使うのは悪くないと思う。今回から制度学の大枠(中央地方関係の世界版と日本版)。その後テキストのポイント3番目。合間に18歳選挙権の東京新聞報道と宇都宮市の地方議会報告の日程を紹介した。板書のチョークがなかったのには一瞬たじろいだが事なきを得た。早いもので次回には中間試験とその後アクティブラーニングの日程・内容を提示しなければいけない。
余暇政策論
またもやスクリーン表示が不調。あきらめて手書きで東京五輪エンブレムの一部を黒板に書いてから、電源を切ったりしてつなげると表示できた。しかし、どうもおかしい。原因はHDMIケーブルかプロジェクターか。果たして次回もすんなり行くのか気になる。授業終了後にノートパソコンとプロジェクターの電源を入れてからケーブルをつなぐと表示されたのだが。授業では教員の話を引っ張り過ぎた。グループの割り振りにも手間取る。短い時間ではあったが、エンブレムの展開例をめぐる話し合いが盛り上がったのがせめてもの救いか。
行政学演習
前回新学部記念式典出席のため、2週間ぶりのゼミ。残念ながらゼミ生が半減。それでも「地域の中の外国」を大きなテーマに、各自が現場での経験も盛り込みながら文章化してきたことは大きいし、これからのゼミ活動に弾みがつくはずだ。『学術論文の技法』から注の付け方など一部コピーしたものを配布。塩谷広域行政関連で13年前に自らが行った全国各地でのリサイクル現地調査について書いた文章も印刷して配布。次回からはメーリングリストを活用することとした。
卒論・修論指導
2名から報告。まだテーマの最終確定ではない段階だが、卒論はすんなりと書き上げられる類のものではない。気持ち的には実質あと6か月といったところか。連休明けにはまちづくりやジョイント関連も徐々に動き出すと思われ、今年度の場合、とくに4年生や院生の協力が不可欠になりそうだ。研究室のメンバーとは縁あってこうして一緒に活動しており、こうした出会いと機会のありがたさを力強さに変えていきたい。
16/05/09. Mon.
国際学英書講読
おそらく本気で読解に向き合う学生が残ったのだろう。“Trump on thuggish behavior”, “Wage hike quandaries”, “Debate on cracking IPhones”, “Trump lacks knowledge of foreign policy”をいずれのグループもほぼ読み切った。こうなると教員も俄然やる気が湧いてくる。グループ変更は数回に1回ぐらいの方が受講生はペースをつかめるようだ。また、訳す前に音読した方が訳しやすければそれでもよい。次回はプリントNo.5だ。
行政学
制度学の中枠(議院内閣制度)。国政の動きを身近な感覚で受講生に伝えるのはなかなか難しい。どうしても言葉数が多くなってしまう。途中、ノートパソコンが自動的に再起動して焦った。次回からネット接続は事前に切っておこう。ポイント4についても行間を伝えたつもりだが。再来週中間試験を行うが、その内容を大教室で受講生に伝え切るのは結構大変なことだと実感した。
余暇政策論
連休中に熊本でボランティア活動を行った受講生から報告してもらう。パワポでそのための準備をしっかりやってくれたことに感謝。その後、新聞切り抜きをスキャナにかけてPDFファイルにしたものを提示しながら授業を進める。時間的に動画を紹介できなくなり、また、グループ討議に至らなかったものの、今回のように教員が準備したものを吐き出すような授業スタイルがあってもいい。
行政学演習
ゼミ生徒から研究計画の提示。少人数である分、一人ひとりとじっくり向き合えそうだ。次回までにとにかく文章化したものを、ゼミ開始直前締切にてメールで全員に添付送信することにした。論文作成に文献・資料の読み込みは不可欠だとは思うが、それ以上にこのゼミでは現場に身を置き社会を観察する経験を重視していきたい。
卒論・修論指導
3名から報告。学部生と院生が一緒になって論文に向き合うことのできるこの機会を大切にしたい。短い時間ではあるが、終了後に研究活動に有用な情報を交換し合えたこともよかった。各自の論文作成はもちろんだが、まちづくりやジョイント、その他の研究室活動についてもこのメンバーで知恵を出し合えば、何とかなるような気がしてきた。
16/05/13. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
ポイントは「五輪は国力の反映」と称して、政治的混迷と景気後退、財政難に直面するリオ五輪の準備状況を対象とした。それにしても複数の新聞記事を読むと開催は大丈夫なのかという危惧が湧いてきたが、受講生はどう受け止めただろうか。今後数年間の国内外の変動ももろに影響を及ぼすだろう。そのことは2020年東京五輪も例外ではない。
スポーツ行政論(白鴎大学)
「聖火台は五輪のシンボル」が今回の授業のポイントである。1964年東京大会の遺産、設置位置によって生じてくる個々の課題、誰(政府、組織委、東京都)が費用負担するのか、点火が開会式のクライマックスでああるがゆえの秘密性保持など、難しい要素がいろいろと絡んできてしまう。意思決定は政治、運営は行政と単純に割り切ることも難しい。
16/05/16. Mon.
国際学英書講読
“Cleveland Indians’ racist logo”, ” Corporate tax debate”, “Corporate tax debate”, “Beijing’s brokering efforts”, “Take immediate action against North Korea”,を読む(読もうとした)。冒頭の教員説明で壺を押さえたつもりだったが2本目が難解だったようだ。次回使用する社説の印刷に二度三度と手間取り、教室内LANへのアクセスもうまくいかず時間を食ってしまったため、各グループに向き合う時間が限定されてしまった。必死に予習してきた受講生からの質問には十分に応答しなければいけないと反省した。
行政学
次回が中間試験なのでまずはその範囲のレジメ内容の説明に集中した。経験した枝葉の具体例に言及し過ぎたのか時間が意外と早く進み、慌て気味にテキストの試験範囲を終える。学生一名からプロジェクト関係のチラシ配布あり。こうした機会も要請があれもできるだけ応えていきたい。
余暇政策論
前回ミニマリストに触れたが、何と宇大生に実践者がいたとは。冒頭でチラシ配布に協力した後で、リオ五輪の運営をめぐり山積する課題について、パワーポイントで作成したメモ書きをもとに説明した。動画も3本(シンガポールの巨大植物園、リオ五輪PR、ファベーラ)紹介。準備に時間がかかるものの、短く良質なものであれば大画面で紹介する価値はある。次回から反転授業の要素を取り入れる。事前に作成した新聞切り抜き(SNS関連)をネット上に掲載したのでそれを紹介した。
行政学演習
現場を重視して一人一テーマで論文作成に向き合うのが前期のゼミスタイルだが、今回から履修者全員が揃って実質的にスタートを切る形となった。学生も忙しいのは百も承知だが、単独研究ゆえにスケジュールの確保は工夫次第で何とかなりそうだ。
卒論・修論指導
20代、30代、40代、50代と揃っている研究室も珍しいのではないのか。これまで意識しなかったが、まさに多世代間研究フォーラムの様相を呈していることに気がついた。2名から報告。前へ踏み出すかどうかで論文作成の自己推進力ともいうべきものが全然違ってくる。
16/05/19. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
ポイントは「スポーツへの思いに格差はない」。読売の特集記事「リオ2016」もとに選手個人焦点を当てて紹介。関係国は中国、イラン、ベルギー、ブラジル先住民族、シリア、トルコ、ギリシャ、ウクライナ、コソボ、エクアドルに及んだ。選手の名前をフルネームで板書したのは、受講生各自のノート記載がいずれ検索で役に立つ考えたからだ。
スポーツ行政論(白鴎大学)
ポイントは「五輪には不正が必然なのか」。五輪招致不正疑惑を重い気持ちを抱きつつ取り扱った。ロビー活動の中身そのものがファジーなだけに、教える側もどこに比重を置けばいいのか迷いながら説明した。しかし、送金直後の高級腕時計購入など贈賄の色合いが濃い。招致委からコンサルへのお金の流れと関係者を整理して図示した板書をもとに、当時の招致をめぐり日本が置かれた難しい状況などを指摘した。受講生はどう受け止めたのであろうか。
地域社会総論
オムニバス授業なので1回の担当。直前まで迷ったが対象が1年生ということもあり、地方創生と指定廃棄物について以前書いたコラムから入った。その後研究室HPサイトを使った形で論文ファイルを提示。6月中旬から始まる「地域の姿と課題」を意識して、そこで取り扱う県内二つの町についての導入を行ったつもりだ。全員出席でまじめな授業態度に感心した。自治基本条例説明会参加への誘いは不発に終わった。いきなりでわかりづらかったのかもしれない。
16/05/23. Mon.
国際学英書講読
“Troubles in Kim’s kitchen”, “Tax tactics sow mistrust”, “Japan was wrong to hijack G-7”, “Strong yen and no reform to doom Abenomics”を読む。予習してきて分からないままで授業を終わらすわけにはいかないという思いで、まずは教員による訳を部分的に提示した。その後、グループ単位で取り組む。回っていてグループによって進み具合にだいぶ温度差があることが分かった。何とか1週間に4本のペースは維持していきたい。
行政学
中間試験の実施。夏が到来したかのような日で最初は窓を開けてしのごうとしたが、試験開始後しばらくして空調に切り換えた。解答用紙を間違いなく集め、次回のグループワークについてスクリーンを使って説明した。この1週間で各自がぜひ案を練ってほしい。日数がたてばそれだけ苦しくなるので、早めに採点に取りかかりたい。
余暇政策論
今回対象とする新聞記事に関連する動画(日清CM)や”emoji”サイトなどを紹介した後で、SNSの光と影についてと、日清CM中止の是非についてグループで討議させる。両刃の剣であるSNSの特性について受講生はしっかり見極めているようだ。討議が盛り上がり、いろいろと迷いつつも準備した甲斐があったと思った。
行政学演習
ほぼ全員から報告。かなり踏み込めた内容のものもあり、やはりまずは自ら動いてみることが大切だと思った。そうすれば必ず論文作成に向けて何らかのきっかけが見えてくるからだ。スケジュール調整などが必要なグループ行動ではないので、その強みを生かしていきたい。長年やってきて、区切りが付きやすいという意味で前期ゼミが完結型であるのは、それなりに良い面があると感じた。
卒論・修論指導
二人から報告。現場至上主義ではないものの、1昨日昨日の学会の際にも感じたことに、論文作成では何らかの現場との接点を意識できるかできないかで、視点が大きく変わってくるのではないかということがある。現場に向き合おうとするスタンスがないと、論点設定そのものがずれてくるように思われる。その意味で今回のような報告を研究室メンバーが実践し続けていくことが大切だ。
16/05/26. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
板書のポイントは「熊本地震に立ち向かうスポーツの力が存在する」。J2熊本の奮闘、NBL熊本の存続危機、県高校総体などの会場対応と教員の熱意、高校スポーツや大学スポーツの復帰、女子プロゴルファーやプロ野球の支援、ハンドボール仲間の交流などを取り上げた。散逸的な諸事例かもしれないが、復興にスポーツは決して無力ではないことを伝えたかった。
スポーツ行政論(白鴎大学)
ポイントは「五輪招致疑惑の背景に巨大マーケティングがある」。この1週間で明らかになった点を補足する形で進めた。招致委、JOC、コンサル、国際陸連、フランス検察当局、IOC委員、電通など新聞記事に登場する関係者の意図を探った。JOCの調査チームや日仏共同捜査の可能性など今後の展開を注視したい。また、1984年のロス五輪を契機にした五輪の巨大市場が背景にあることを指摘した。
16/05/30. Mon.
国際学英書講読
国際学部の英語合宿と重なり、加えて全体的にこれまで最も難しい内容だったせいか受講生は普段の半分程度だった。それでもめげずに“Carter’s visit to Manila”, “Disarming North Korea”, “Pope fails to protect children”, “Obama’s overreach on immigration reform”に二つのグループでトライする。その前の教員説明も相当力を込めたつもりだ。あらためて継続する力の大切さを実感した。
行政学
チーム(グループ)ワークの実施。やはり普段よりも受講者数が相当少なく、そのことがかえって受講生相互のやり取りを容易にしたかもしれない。熊本地震への対応を話し合い、10のチームから報告。今日の授業でも考え続けることの大切さを思った。前期中にチームワークをもう一回実施する予定である。
余暇政策論
反転授業の2回目。対象とした新聞記事(短歌、スポーツ用語翻訳辞典、グルグル思考、風景画)からとくに短歌作成に焦点を絞った。受講生の集中力が凄く、2コマ目の行政学とはまた異なる感銘を受けた。このような反応は予想していなかった。その姿を見て、手間はかかるものの各受講生の作品を共有することに決めた。意図しない中で、授業の素材が受講生にぴったりはまったとでもいうのか、時間的にも長く印象の残る授業シーンが続いた。次回もこのスタイルで行く。
行政学演習
まだまだ入り口だとはいうものの、各自の論文作成が軌道に乗ってきた。やはりネットで済ませずに何かしら行動を起こすことで道は開けてくる。今年度前期は個人研究としたことも、調査のスケジュール設定の面で追い風となっているようだ。人数的にも毎回報告することが可能であり、これも論文に向き合う後押しとなっている。
卒論・修論指導
三人から報告。とくに就活中の卒論生には何とか時間を確保して今のうちから自分の文章を積み上げてほしい。学術的な活字表現は生やさしいものではないが、論文作成は観察力を磨く絶好の機会だと思う。期せずして終了後に仕事などをめぐる世代間の懇談が盛り上がった。このような機会がもっとあってもいいかもしれない。