2015年7月 中村祐司の教育日誌
15/07/02. Thurs.
スポーツ・体育社会学(白鴎大学)
今年から本格化したといわれるSFT(スポーツ・フォー・トゥモロウ)事業を取り上げる。国外においても学校や地域など小さなコミュニティで活動する点に意義あるという捉え方に賛成だ。JAICAが重視する学校体育の普及やスポーツを通じた平和構築も大切だ。スポーツを活用した貧困や紛争などの問題解決についても強調した。途中ラジオで試合終了前の数分間、FIFA女子ワールドカップの準決勝日本対イングランド(2対1)を聞く。
スポーツ行政論(白鴎大学)
あまりの迷走に新国立競技場建設問題を再び対象とする。どう見てもこのままでは財源調達が2,500億円には届かない。五輪担当大臣が調整に奔走するとしてもこれは相当な難題だ。開閉式屋根はあきらめ、アーチはデザインとしてレプリカ的なものとし、この際人口芝としてはどうか。
15/07/06. Mon.
国際学英書講読
“Japan’s shady history”, “ Police conduct on video”, “Benefit of fast-track trade pact”, “Obama’s remarks on Islamic State are laughable” を読む。3つのグループは時間内に読み切り、1グループもあと1歩ということで、全体のレベルが上がってきている。途中休憩を5分間だけ入れて、ラジオでサッカー女子ワールドカップ決勝戦(日本対アメリカ)を聞く。0-4から2-5まで盛り返した。最後まで攻め続ける姿勢は学問の分野にも共通するものがある。
新入生セミナー
先週の全体セミナーを振り返って、終了後に配布した新聞記事と選挙管理委員会の事業について簡単に説明した後で、プチ研究論文の個別指導に入る。来週提出だが、論文を16人でどう共有するかについて当初の予定を変更してMoodleを使用することにした。受講生がファイルをアップすることができるかどうかわからなかったが、とにかくやってみようと、締切を12日(日)の午前中に設定した。
行政学演習
以前使っていたイメージラボVと演習室8の鍵を持ち出すべきところ、ラボの鍵を持ち出すのを忘れて不要な鍵を持って行ってしまったため、再び学部事務に戻るはめになった。確実に老化現象が進んでしまっている。論文の個別指導に入ったが、ワードの編集モードがスマホには反映されないようでショック。添付送信についてもfacebook上部バーの”メンバー“から入ればよかったのだが、画面をスクロールして探したので時間が掛かってしまった。それでも何とか8人の論文のチェック指導を行った。最終原稿の提出と各章の序と結の執筆の締切を11日午前中に設定した。
行政学
急ぎ気味で授業を進める。従来の行政学は今回で一区切り(予算の編成過程と行政責任)。新しい行政学は第9章と第10章(道路公団と郵政の民営化)。両者とも巨大で複雑な組織機構であり、把握する重要性は伝わったようだが、理解するのはなかなか難しい印象を受けた。その後、今後の試験を含む授業スケジュールを提示し、来週のグループ討議(電力エネルギー)について説明した。国勢調査の調査員についての情報を提供した後に授業評価を実施。用紙を配布するのが苦しくなり、受講生何名かに頼まざるを得なかった。
卒論指導
この場に来るとやはりほっとする。全員とはいかないが、とにかく各テーマについて課題をいろいろと出し合おうということで続けている。前期打ち上げの日程についても確認し、場所もここを確保することができた。自分の授業においては結局、書くことが最重要視される。その意味で卒論指導は総本山的な位置づけにある。
15/07/07. Tue.
余暇政策論
10分弱だったが昨日のサッカー女子W杯の決勝ダイジェスト版を視聴した後に、表現の力から活字の力と題してエッセイ作成の課題を提示する。ポイントはこれまでの経験を情報源にするということ。日程を月曜と勘違いしてしまった。その後、グループ分けせずに各自のエッセイテーマ案について話し合ってもらい、昨年度の選出エッセイを研究室HPで少し紹介した。授業アンケートを実施して終了。
15/07/09. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
ボクシングの元王者が子どもの貧困・虐待の連鎖を止めるべく講演やボクシングジム(「自立支援施設」)の運営を通じて奮闘する姿、女子プロサーファーの活躍、ロシア・ソチにおける五輪教育、大学開放と部活動や中学の部活「地域貢献部」、sportの起源と遊びについて取り上げる。スポーツは社会において多様性のある広がりを有していることが改めて認識できた
スポーツ行政論(白鴎大学)
J2大宮のJCBなどスポンサー支援を伴う東南アジア進出、サッカーJ3福島とJ1湘南との平塚における交流の意義、J3秋田による食農教育の実践、J3YSCC横浜の身の丈運営、バスケbjリーグの秋田ノーザンハピネッツの人気の背景、さらには野球の独立リーグにおいて実績のある選手が参入する背景、東京五輪をめぐる首長連合設置の背景などを対象とした。地域密着型スポーツの展開が着実に積み重ねられている。
15/07/13. Mon.
国際学英書講読
“Seoul must build trust with North”, “New definition of race”, “Winning the ‘war on terror’”, “’Jurassic World’ and our inner feelings”を読む。何名かは文意を読み取る力が確実に向上している。4-5人で取り組む訳は全員でやるよりもはるかにフリーライダーを生みにくい。初めての試みとして、「テスト勉強用」と称して2週間分の最新の社説を配布した。次回は50分間を使って力試しを行う。これまでやってきたところと合わせてもう一度正確な訳にトライしてほしい。
新入生セミナー
Moodleの設定で登録期間の入力にミスがあったが、そのことに途中で気づき、受講生の登録が完了した。プチ研究論文がほぼ出揃った。ペーパレスでこれから皆が次回に向けて敢えて批判的建設的に読み込んでくることとした。補足の説明は1分程度として、ぜひ活発なやり取りを期待したい。司会者についても自発的に手を挙げてくれ嬉しかった。
行政学演習
欠席者が目立つのが残念。今回は対象とした村の首長になったと仮定して今後どうしたいかを聞いた。次回がラストとなるが、他者の原稿を読み込んで、内容の核心部分をめぐる質問を用意してくることとした。前回、今回、次回の前期演習への積極的参加をとくに重視したい。
行政学
この国の電気エネルギーをどうすればいいのかをテーマにグループワークを行う。あくまでも自分たちの言葉・用語で表現してほしい旨を伝えておいたが、いずれのグループも正面から向き合っていたようだ。いずれも原発の問題は避けられないと捉えたようで、重点の置き所は各々異なっていたものの、報告では各グループならではの視点に刺激を受けた受講生もいたはずだ。
卒論指導
就活との両立を続けてここまで来た。2週間後の次回が前期ラストとなる。とくに担当教員は休めないという思いで臨んできたので、最後まで気を抜かずに向き合いたい。報告を聞いていて、今さらながら論文(活字の積み上げ)というのは、そう簡単に書けるものではないと思った。卒論完成に至る伴走者の役割をこれからも継続していきたい。
15/07/14. Tue.
余暇政策論
前半は動画を用いて、これまでは男性あるいは女性のみの活動領域だと暗黙の了解があったスポーツ・余暇活動を取り上げる(女子力男子と男子新体操)。これ以外にも新幹線の卓越したサービスや、元プロボクサーがボクシング指導や講演を通じて子どもや青少年の自立支援に奔走する動画などを紹介した。後半は10あるテーブルを全部使って、次々回提出のコラムについて話し合った。とくにこの授業では学生同士が実際に向き合って意見交換する場を持つことを最重要視してきたが、ここに来てさらに活発な雰囲気が出てきた。
15/07/16. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
アメリカ大リーグの球団やサッカーのイングランドプレミアリーグに属する倶楽部による多角経営の事例を紹介した。日本のJリーグチームやプロ野球球団においても、積極的に海外展開を行う活動が顕著となってきた。試験はちょうど2週間後。自筆ノートを素材にして、オリジナルな解答を作成してほしい旨を強調した。
スポーツ行政論(白鴎大学)
マイナー個人競技のトップ選手が企業社員となるよう支援する動き、地方銀行による金利設定を通じた地元Jリーグチームへの支援、人工芝をめぐる質の技術向上などを取り上げた。試験対策はスポーツ社会学と同じだ。新聞切り抜きをもとに黒板に板書して説明するアナログ授業は、昨今時代遅れと見なされかねない風潮があるようだが、この頃は、キーワードとその説明を積み上げていくこのスタイルも決して悪くはない授業スタイルだと思うようになった。
15/07/21. Tue.
余暇政策論
4つのセッションを設定して進めた。まず、昨日のオープンキャンパスを余暇領域にも通じる一つのイベントと捉え、全体説明会、模擬授業、各種説明会における動線の大切さなど運営(裏方)側から学んだことを述べた。次に東京五輪追加候補種目のサーフィンに注目し、動画を紹介してその醍醐味やIF・NFの活動、さらには沿岸復興に関わる団体などを提示した。後半はグループ討議として、新国立競技場の「白紙」からのやり直しをどう受け止めるかについて10グループで話し合った。最後に短い時間ではあったが来週提出のエッセイについて確認し合った。
15/07/23. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
動画を用いてボクシングのリカルドロペスの連勝や練習風景、2008年北京五輪での米国バスケ・ドリームチームの卓越性、男子新体操(高校、大学)のフォーマンス水準の高さなどを提示した。大学の授業で動画をどう活用していけばいいのか、今後の一定の方向性(紙媒体の新聞報道を契機に情報収集していく)が見えた気がした。
スポーツ行政論(白鴎大学)
ここでも動画を授業の素材として提示した。東京五輪追加種目候補となったサーフィンの醍醐味、沿岸部の復興に関わるサーフィン愛好家組織の活動、野球の大リーグのスーパープレイの迫力、オーストラリアンフットボールの激しさと熱狂的な応援、つい先日世界記録が更新された陸上女子1500mの実況などを提示した。スポーツ社会学にしてもスポーツ行政論にしても、スポーツ特有の魅力が研究原動力の基盤となっていることを指摘して授業を締め括った。
15/07/27. Mon.
国際学英書講読
前期授業最終回は、50分間で“Transparency in China”, “Dealing with migrants”, “Japanese scholars’ warning”, “Lying about infections”, “Swift’s bite of the Apple”の日本語訳に取り組ませる。最後の1本以外はいずれもこの授業で過去に取り扱ったもの。難しい構文を敢えて選んだが、出来はどうであろうか。
新入生セミナー
グループに分かれてばかりだったのでラストは皆で向き合って各自のプチ研究論文をもとに意見交換会を行う。いずれの受講生の思考力も4月以降成長したのではないだろうか。脱落者が出ずにやり切れたことも大きかった。
行政学演習
ゼミでも全員が向き合って意見交換会を行う。イメージラボも悪くはなかったが、事前に鍵を開けるために毎回階段を上り下りするのはまいった。そろそろエレベーター利用か。研究室からの距離というのは意外に大きな要素だと思った。わがままかもしれないが、とくに演習や卒論指導の場は研究室に近い方がやりやすいのも事実だ。
行政学
テキスト持ち込み可で、50分間を使って政策の構想力を問う問題に取り組ませる。朝、問題用紙の両面印刷はほぼスムーズにできた。紙の詰まりなどの心配は杞憂であった。終了後駆け足で11章と12章に言及して授業は終了。残りの時間を学生によるアンケート調査の時間として提供した。あとは採点だ。
卒論指導
4月以降どうにかここまでたどり着いたという感じだ。卒論生主導で報告が行われる。各自が想定した目次を提示。夏休み前にこれをやっておくことが大切だ。終了後、3年生も合流して、後期の研究室活動について、休日に作成したピンクの用紙に印刷したものを配布。今後やるべきことを皆で共有した。その後の打ち上げでは院生OBからの貴重な差し入れもあり、開放感も手伝って酔いが回った。ささやかではあるものの、くつろぎの楽しいひとときを持てた。
15/07/28. Tue.
余暇政策論
前半は動画を提供(鹿実の男子新体操、陸上女子1500b世界新、AFLの迫力)した。動画の締めは”The land is mine”という殺戮を批判するアニメ。このようなことを起こさないためには余暇領域こそが必要不可欠ではないかと強調した。後半は提出エッセイのグループ共有。書いたということはそのことについての発言の力も確実に増す。受講生は各々が育った地域性やその社会環境の固有生に影響を受けると同時に、各自が同じ時代を生きてきた。彼ら彼女らの間での互いの話は噛み合うのである。前期授業はこれでようやく一区切り。採点や成績付けは時間を置くほど重くなってくるので、できるだけ早めに取り掛かろう。