2015年5月 中村祐司の教育日誌
15/05/01. Mon.
国際学英書講読
“Kenya embroiled in Somalia”, “Transparency in China”, “Reporting on sexual assault”, “Fidel Castro’s pearls of wisdom for Venezuela”を読む。2本目が難しく教員主導で訳し、3本目と4本目についても部分的に文の構造を把握した。その後3本全部を読み切ることを目標にグループに分かれて取り組む。次回からはラーニングコモンズが使える。
新入生セミナー
大学キャンパスにおいて地域資源を発掘してくる課題に四つのグループが取り組んだ。土壌や散策路、イベントなど実際に歩いて得た情報をもとにいずれのグループも模造紙にしっかりとまとめてくれた。やや気温が高かったものの、新緑のキャンパスを四人一組になって歩いたこと自体に価値がある。入学以来、緊張しっぱなしであっただろうから、連休はゆっくり休んで、また元気な顔を見せてほしい。
行政学演習
3年生が癒やし系の良い雰囲気を醸し出していることを発見した。グループの編成も柔軟でそれでいて真剣さややる気もある。教員としてはせっかちにならずに見守り、時には待ちの姿勢に徹することも必要だと感じた。さすがに連休中のグループ活動は無理なようだったが、連休明けまでに個々がやるべきことは定めたようだ。次回は最初に教員からゼミ活動の到達点(論文作成)を提示したい。
行政学
連休の谷間のせいか受講生がやや少なめではあったが、予定通りグループワークを実施。仮想中央省庁スタッフに見立て、12のグループが政策課題について話し合い、改善提案に向けて知恵を絞った。受講生の真摯な取り組みには脱帽したものの、予想外に報告時間が足りなくなってしまった。時間配分は余裕を持ち過ぎるぐらいで設定した方がいいのかもしれない。早い時期に思い切って実施し、手応えを得たので、また機会を見てトライするつもりだ。次回テキストは第3章。
卒論・修論指導
前々回から意見交換の広がりと今後の執筆のヒントとなる発想の提示など、これまでの長年の卒論指導とは別次元の雰囲気が出てきており、今回もそれが再現された。卒論を書かなければいけないのは事実だが、視点や感性を互いに率直に提示し合う時期があってもいい。前期はこの調子で進んでいっても良いと思った。
15/05/07. Thurs.
スポーツ・体育社会学(白鴎大学)
連休中に何かの拍子で腰か足の付け根の筋肉をひねってしまい、足をひきずりながらの授業。競技施設のバリアフリー化(車いす席等)、社会におけるユニバーサルデザイン、障害者スポーツの課題(競技団体の運営等)などを対象とする。最後日の世界ウエルター級王座戦における桁違いのPPV(ペイ・バー・ビュー)収入(約360億円)について触れた。
スポーツ行政論(白鴎大学)
野球場でのファウルボールによる事故の裁判を取り上げた。キーワードは臨場感と安全性だ。後者を重視した地裁判決の内容、球団・球場側の対応とその中身、背景にある野球に特段に関心のない観客獲得のこれまでの成果、観客の意向、自己責任のあり方など、新聞報道をヒントにいろいろな見方を提供した。最後にアメリカ・オハイオ州のデイトン市のマイナーリーグチームと地域社会との濃密な関係を紹介した。このコラム記事にこそ地方創生のヒントがあるように思われる。
15/05/11. Mon.
国際学英書講読
“Cuba is taken off terror list”, “Clinton’s populist push”, “America’s presence in Japan”, “Kansas prohibits dismemberment abortion”を読む。最初に各社説における読みづらい部分を説明した後、グループに分かれる。読み切ったグループもあれば、苦戦していたグループもあった。受講生の力量を見極めた上で、適切な習熟別のグループ分けを行っていきたい。
新入生セミナー
3月中旬に東北三県の沿岸部を回った際に撮影した写真を提示しつつ問題提起し、次回に向けてボトム・アップ型の再生・復興策の切り口についてグループ毎に考えさせた。次回はこのグループで検討・報告を行うが、途中一時的な入れ替えも行い、クラス全体で知恵を出し合うような時間にしたい。
行政学演習
この演習のゴールであるバーチャル冊子の作成と報告会開催について提示した上で、グループに分かれる。連休明けの今回ぐらいから活動も本格化させていきたい。各グループ単位での突っ込んだ取り組みと全員での課題の共有と解決策の提示のためにも、次回以降は全員での討議の時間も持つようにしたい。
行政学
ゼミの後の大教室での授業になかなか慣れることができない。しかし、やることはやらねばという思いで授業に臨む。従来の行政学と新しい行政学のポイントを解説しながら進めていく。民間委託の事例を受講生に挙げさせる。意外と多い身近な存在に理解を深めた受講生が多くなったと思いたい。
卒論指導
進行を卒論生にまかせるやり方がうまくいっている。就活の関係で人数はやや寂しかったが、報告のテーマについて各自が考える課題意識をどんどん出し合う良い雰囲気が継続している。そろそろジョイントやまちづくり提案の動きも本格化してくるので、3年生のゼミについても4年生から助言をもらうようにしたい。月曜の長い「授業の日」をどうにか終えることができた。
15/05/12. Tue.
余暇政策論
これまでの授業で紹介できなかった岩沼市訪問時の撮影写真やコラム、さらには小石川植物園の写真を紹介。今回のテーマは「キャッチコピー」。ルミネのCM問題から発して、キャッチコピーの誘因力をルミネのHPから探り、次回の課題(受講生各自によるキャッチコピーの作成とグループによる作成)を提示した。この授業以外にもMoodleへの掲載を怠ってしまったので、何とかしなければ。
15/05/14. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
2020年東京五輪冬季大会の招致をめぐり、カザフスタン・アルマトイの国情について紹介。招致ライバル都市北京に触れ、その後、中国のスポーツ産業への国家的テコ入れについて説明した。サッカーを事例に強豪チーム広州恒大の躍進の背景を指摘した。アルマトイの招致と紹介の動画、北京の招致動画、さらにはACL(アジア・チャンピオンズリーグ)における鹿島アントラーズと広州恒大の激戦動画を紹介した。ネット上の動画は玉石混合で、紙媒体の新聞報道から授業教材を探すよりも余計なエネルギーがかかってしまうが、今の時代の流れもあり、できるだけ紹介していきたい。
スポーツ行政論(白鴎大学)
ポーカーをスポーツ世界に入れるようとする動きやポーカー市場の盛り上がり、さらにはプロ化の課題などを取り上げる。その後、Jリーグが導入したトラッキングデータ配信サービスに注目し、勝敗との相関や選手の意思の力などについて言及した。ネットや動画ではポーカー協会、eスポーツ、バスケットのbjリーグやNBLの試合のダイジェスト版を提示した。これほどまでに分析やネット技術が進んでくると、とくにプロスポーツの見せ方の中身は数年で驚異的に刷新されていくのだろう。
15/05/18. Mon.
国際学英書講読
“Abe avoids apology in speech”, “Dealing with migrants”, “BP’s Gulf oil spill desaster”, “Speed up probe into Lee’s bribery scandal”を読む。まずは構文を把握しにくかった数カ所を教員が説明。その後グループで訳す。途中、教員の読み間違いが1カ所発覚。このような指摘は非常にありがたい。この授業の中身は受講生の予習に掛かっていると再認識した。1本1本を着実に読み進めていきたい。
新入生セミナー
震災復興をめぐるグループ討議。途中、いったんグループを解散し、一人を残して他のグループに移動してもらい、クラス全体での問題意識の共有を図った。最後に各グループから報告。ほとんどなくなった残り時間でテキストと新書について言及。両側の壁にある黒板に調べてきたことを一生懸命書いている15人(1名欠席)の姿に感銘を受けた。
行政学演習
ゼミ活動が本格化してくる時期だ。イメージラボの環境にも慣れてきたころだと思う。最初にとにかく現場に足を運んでみることの大切さを説いた。その後、そのための予定を立てるという点に絞って三つに分かれた。複数で行く場合には日程を合わせるのが相当大変だ。個人でも複数でも良いのでまずは早めに動きだすことが大切だ。教員が主導する部分とゼミ生の自主性にまかせる領域とのバランスを取っていきたい。
行政学
中間試験を6月1日に40分程度行うことを最初に伝えた。従来の行政学も新しい行政学も着実に進めていく。前者については政府体系(国−地方関係)まで、後者については第三セクターの章を取り扱う。テキストに登場する第三セクターのシーガイアと三陸鉄道の動画を紹介。質問では第三セクターのサービスを受けた経験を問うたが、残念ながらほとんどの受講生がわからないようであった。受けたサービスの担い手の組織態勢を意識することはない場合が多いのでやむを得ない面もあろう。最後に大阪都構想を北関東に適用した場合の簡単なシミュレーションを提示した。
卒論指導
院生を除くと4名での卒論指導。就活の影響をもろに受けている。ただしSNSはこういう場合強力な助っ人になる。24時間拘束されているわけではない。レジメやコメントを事前に提出する今のやり方を堅持していこう。小規模ならでは議論の深まりもある。卒論生の自主性で成り立つ時間だからこそ、教員はしっかりと出席することが大切だと思った。
15/05/19. Tue.
余暇政策論
前回、準備的なグループ討議を行い、課題も提示したので、今日は最初からグループ討議に入る。企業や既存キャッチコピーを提示し、さらに各自が作ってきたものを提示。途中、グループを一時的に解散して全体で共有する環境を作った後、再び元のグループに戻ってグループとしてのキャッチコピーを作成した。最後の段階は各グループともなかなか大変だったようだが、いずれもユニークな作品であった。次回には新しいテーマ(課題)を提示したい。
15/05/21. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
オリンピック教育、五輪ボランティア、先端技術(ホログラムや8Kテレビなど)、SNS活用、文化五輪を取り上げた。技術の進展はただでさえとどまることを知らないが、東京五輪がそれを加速することは間違いない。今後、五輪報道がどのように変容していくのかを見極めていかなければ。
スポーツ行政論(白鴎大学)
10月設置が決定したスポーツ庁に絞った授業を行った。設置経緯、スポーツ庁の体制、競技力向上をめぐる国とJOC・競技団体との関係変容、地域スポーツ振興をめぐる課題、スポーツ庁長官の人選、内閣の五輪相の役割とスポーツ庁との連携課題、国交省等との調整課題などに注目した。
15/05/25. Mon.
国際学英書講読
“Clinton’s waffle on trade pact”, “ASEAN’s code of conduct”, “Baltimore going up in flames”, “Russia’s successful White House intrusion”を読む。いずれもペンの力の真骨頂というか読み応えがあった。3本目のボルティモア暴動では、問題視された”logistics”(後方支援)の意味が受講生の質問に答える過程ではっきりしたのが教員にとっても収穫だった。グループ学習のスタイルが良い方向で定着してきた。
新入生セミナー
全員出席で順調に進んでいる。余暇政策で非常に反応がよかったのでキャッチコピーをテーマに掲げるが、まだ入学間もなく早過ぎたのか、どうもしっくり来ないようだった。それだけ学生時代の1年間は大きいということだろう。次回の課題はグループ単位でキャッチコピーを作るというもの。量は異なるものの、活字の力という点では教員の仕事と重なる。どのような成果提案がなされるか楽しみだ。
行政学演習
ゼミもエンジンがかかってきた。6月末の原稿提出スケジュールは変えずに、ここから逆算する形での1カ月半の奮起をゼミ生に促す。グループ調査にせよ個人での調査にせよ、現地調査日の前後の資料把握や読み込みも大切となる。最後は「書く」という行為に収斂していくように思われる。
行政学
授業開始直前にかなり大きな地震(震度4程度)があり、不安を若干抱えながらスタートする。従来の行政学、新しい行政学と順調に説明し、さあネット情報を紹介しようとしたところで、通信できないことに気づく。気持ちが前のめりになっていたため修正がきかず、結果として早めに終了。ネット情報はダウンロードしておくべきなのだろう。ただ、停電となるとプロジェクターが使えなくなるので、頼りになるのは自然の明かり、黒板、チョーク、紙に記したものになるのだろう。次回は中間試験。
卒論指導
就活本格化、また地震の影響もあったのか、いつもよりも少人数。しかし、SNSを活用すれば、欠席の穴を埋めることができる。週1回の卒論指導はある意味で教育活動における最も大切な時間帯だという意識も持ってやっていきたい。説き広がるような形での意見交換の展開が続いている。卒論作成が時期的に差し迫っていないこともあるだろうが、この環境を大切にしたいと思う。
15/05/26. Tue.
余暇政策論
スポーツ社会学等で調べたスポーツ関係の話題を提供。2022年冬季五輪の招致活動(カザフスタン・アルマトイと中国・北京。前者については市の若者の映像も紹介)とACL(アジアチャンピオンズリーグ)における広州恒大対鹿島アントラーズに見られる前者のクラブ躍進の背景を指摘した。次回の課題は定番のディズニーワールドをめぐる対象年代別(子ども、若者、高齢者)のアトラクション提案。
15/05/28. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
スポーツ観戦におけるテレビとネットの融合、東京の都立高校の2020年東京五輪をめぐる「1クラス1国運動」、12年ロンドン大会における文化五輪の盛り上がり、千葉県山武市における20年大会のスリランカ選手団のキャンプ地決定の背景、新たな大相撲ファン「リキジョ」の迫力などを取り上げた。動画を選抜する時間が取れなかった。しかし、チョークと黒板を用いた旧式・アナログ式のやり方も悪くないし、受講生の飽きもないように見受けられた。
スポーツ行政論(白鴎大学)
バスケ男子の新リーグ設立と栃木ブレックスの観戦客増とその背景としての地域密着の徹底、県の新体育館建設との絡み、公共スポーツ施設をめぐる命名権事業の伸び悩み、スポーツ観戦をめぐる安全性と臨場感(野球だけでなくアイスホッケーやゴルフも)、2021年開催の生涯スポーツ国際総合大会である関西ワールドマスターズ大会開催(WMG)の課題と可能性、そして、新国立競技場の計画見直し問題を対象とした。今後、資金の出所などを注視していきたい。