2014年7月 中村祐司の教育日誌

 

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14/07/03. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

サッカーのW杯ブラジル大会の日本戦をめぐる新聞報道から、敢えて今後のポジティブな展開につながるキーワードを抽出し板書した。自分の頭の中でまとめ切れないままの苦しまぎれの授業展開だったが、試合を観戦した受講生なりの受け止め方とも交錯した部分があったのだろう。受講生は一つ一つのキーワードに耳を傾けていた。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

2020年東京五輪に間に合わせるという理屈でのカジノ解禁をめぐる課題、高騰する五輪放送権料、五輪における日本のインテリジェンス(情報)戦略、小規模な中央省庁再編に位置づけられるスポーツ庁の設置、五輪組織委員会におけるSD(スポーツディレクター)の役割、メダル至上主義を感じさせない過去の五輪報道、J2岡山の勝ち負け以外の対応の秘訣、J1FC東京のスタジアム運営の特徴などを紹介した。断片情報の羅列では終わらせないという思いで授業を進めた。

 

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14/07/07. Mon.

 

国際学英書講読

プリントは11枚目まで来た。”Political problem in Haiti”, “World Cup costs rise”, “Decrying txation loopholes”, “Indonesia weighs policy change on Asean”を読む。今回は思い切って習熟度に応じてグループを分ける。その結果、相当早めに読み切ったグループがあった。嬉しい事だ。不可能を可能にするとは大袈裟かもしれないが、教員が高めの要求水準を提示するやり方に確信を持つことができた。あと2回、愚直にこのやり方を続けていこう。

 

余暇政策論

プロ野球のカープ女子をめぐる面白い新聞記事があったので、それらを紹介。エッセイについては自分が直近で書いた2本を紹介。受講生による執筆へ背中を押したつもりだ。後半はグループ討議。今回が一番話しやすかったのか、ほとんどの受講生が楽しそうに笑顔で語り合っていた。なかなか良い光景で印象に残った。次回も前半は話題提供、後半はグループ討議で行きたい。

 

行政学演習

 先月末段階でのゼミ生の原稿取り組み状況を見る限り、論文作成に悪戦苦闘していることが伝わってきた。最初にグループ討議を30分ほど。その後は全員が向き合って、次回以降の段取りについて共通認識を持った。バーチャルとはいえ、ゼミ生は冊子を作り上げる大変さを実感したのではないだろうか。個々の温度差も現段階では許容範囲に入る。この1週間が正念場だ。プロローグの教員による執筆など、やるべきことを忘れないようメモして置かなければ。

 

行政学

かなり内容を詰め込んだと授業となった。次回をグループワークとしたので致し方ない。従来の行政学、そして新しい行政学は2章分(独立行政法人と道路公団民営化)。残りの時間で次回グループワークの問題意識と進め方の説明、次回までにやっておくべきことを提示した。大学教育の趨勢としてもはや反転授業は避けて通れないように思われる。

 

卒論・修論指導

さすがに終盤の疲れは隠せず。それでもこの時間は大切だ。これからとくに夏の頑張りが卒論・修論の質を左右することがこれまでの経験でわかっている。2名から報告。その後は前期残り2回の研究室活動の段取りの合意。4年生と院生には先週金曜の地域系大学協議会参加のお礼も一言述べる。今日の報告にあったように論文では資料に頼らずに書き下ろしにもぜひチャレンジしてほしい。

 

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14/07/10. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

昨日の早朝のサッカーW杯でブラジルがドイツに1-7と大敗した準決勝の歴史的瞬間をTVで観戦し、今朝はオランダとアルゼンチンの試合(PKでアルゼンチン勝利)を観た。そのまま熱い思いを持ったまま授業に臨む。“夢散”といったキーワードやブラジルの人々の気質といった社会的要素も含めて説明した。しかしまだ3位決定戦がある。また、試験まで3週間なので、そろそろ準備に入るよう促した。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

スポーツクラブの定額制と経営側のねらい、スポーツ用品大手による公共スポーツ施設運営への参入、JOCエリートアカデミーの選手養成と学校部活との選抜をめぐる摩擦、2019年ラグビーW杯開催地へ立候補表明した釜石市を取り扱った。試験についてスポーツ社会学と同様の説明を行う(自筆ノートを素材にすること、自分の考えを展開することなど)。授業もだんだんと終盤に差し掛かってきた。

 

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14/07/14. Mon.

 

国際学英書講読

来週が大学オープンキャンパスで授業がないため、残すところ今回と再来週のあと2回だ。”Beijing’s forceful pressure”, “Iraq lessons ignored”, “Jetliner mystery lingers”, “U.S. urges citizens to get measles vaccination”を読む。僅か30数分で読み終えたグループがあったが、確認してみると内容理解が十分であったとはいえなかった。その場でもう一度白紙から読もうとする姿勢が大切だ。ここまで毎回一生懸命予習に取り組んだ受講生は自信を持ってほしい。あともう一息である。

 

余暇政策論

授業前半は早朝の決勝戦で終幕を迎えたW杯を振り返る。たまたま地域密着型スポーツに関して原稿を書く機会があった。加えて、優勝したドイツチームに7人(以上?)ものバイエルン・ミュンヘン所属の選手がいることを実況の解説で知り、地域に根ざしたこのクラブの特徴について説明した。また、震災で亡くなった妻を想う夫の行動が海外の作曲家の心を揺さぶり、妻の名で曲を作ったという新聞記事に接し、ユーチューブからそのピアノ曲を流しながら紹介した。その後はエッセイに向けての発想をめぐる最終的な詰めをグループごとに行った。

 

行政学演習

 いよいよ原稿の締切日。バーチャル冊子のプロローグを昨日書き上げ、昼の時間にゼミ生に送信。単体で書いたものを受け取り、それにコメントを加えるのは優しい。ところが、いくらバーチャルとはいえ、書籍の形にするとなると章、章ごとの序文と結論、節の順番と各原稿とのタイトルの整合性など、調整すべきことがいろいろと出てきた。何とかクリアして、後は来週の自主ゼミでの研究室HP掲載作業に託すところまで持って行けた。28日の意見討議は白熱を期待したい。

 

行政学

独立行政法人を対象としたグループ討議。言い訳にはならないが、W杯観戦で睡眠不足の付けがこの時間に出てしまった。授業評価の時間確保のことも頭にあり、時間配分が気になり、来週授業がないことも焦りに拍車をかけた。それにしてもあれだけの模造紙やペン、ポストイットを一人で抱え込んで歩くとは。また、どうしても12グループの報告の時間が足りなくなる。授業評価の結果を参考にどんどん改善していきたい。

 

卒論・修論指導

4名から報告。3年生一人が聴講したのは嬉しい誤算。考えてみれば、3年生のゼミには4年生が、卒論・修論指導には3年生がどんどん参加すればいいのだ。3年生からの発案により次回の余暇政策論ではジョイント等の説明も最後に挿入する。28日の打ち上げは4年生と院生が主導し、3年生はお客さんだ。ささやかではあるものの、このように何だかんだ言って、この研究室の伝統が確実に形成されつつある。ゼミで得た教訓から、卒論・修論の研究室内提出時期を前倒しする覚悟を固めた。

 

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14/07/17. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

2週間後の試験について確認。サッカーW杯について優勝国ドイツに焦点を当て総括的な話をする。組織的にも個人的にも10年越しの地道な努力が身を結んだことがわかった。ネット情報はバイエルンミュンヘンのHPにおけるキッズクラブを紹介した。世界のトップクラブが地域密着型スポーツと直結している点を強調した。授業評価アンケートも実施。残すところ、授業としてはあと1回だ。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

2020年東京五輪施設の見直し(変更をめぐる国際競技連盟の予想外の柔軟な受け止め方)、バスケプロ化(NBLとbjの統合)をめぐる企業チームの反対、栃木SCと地域支援パートナー協定、都市対抗野球に出場する全足利クラブの地域密着度について取り上げた。教えながら、スポーツ世界を見る地平を少し広げることができたように思った。

 

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14/07/24. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

来週が試験なので授業としては前期ラスト。これまで結構板書してきたので、今日は書かずに、まず口頭で日本代表を含むサッカーW杯の総括記事やユニホームをめぐるメーカー間の競争、南半球スーパーラグビーの日本参戦を目指す動き、東南アジアのサッカー市場、2年後のリオ五輪に向けた課題などを紹介した。最後に震災後のスポーツ環境の変容を訪問先での写真をスクリーンに映しつつ提示し、スポーツができる環境のありがたさを強調した。一つの区切りだが、試験を行い、成績を付け終えるまでほっとできない。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

2020年東京五輪競技会場の変更をめぐる見通しがわからなくなってきたので、自治体からの誘致の動きなど関連の記事を紹介。その他にも新国立競技場問題をめぐる世論、オリックスのファン開拓戦略と2軍の魅力向上や自治体との連携、2012年ロンドン五輪をめぐる市東部地区の変容とレガシーなども取り上げた。最後に音楽の力が震災後の人々を勇気付けた事例をモニターに映し、スポーツも同等かそれ以上の力を持っている点をを指摘した。これをもってひとまず前期授業は終了。

 

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14/07/28. Mon.

 

国際学英書講読

遂に最終回を迎えた。3グループで”Hamas is asking for trouble”, “Putin’s game in Ukraine”,  “Flawed vetting system”, “U.S. renews involvement in Iraq amid crisis”を読む。各グループは一本一本の社説に真摯に向き合っていた。パラグラフごとの意味を鷲掴みする醍醐味を味わう段階に達した受講生もいたようだ。後期に同様の授業はないが、各自(教員も含めて)、英文社説の読解を継続してほしいと思う。

 

余暇政策論

エッセイの提出日。敢えて紙媒体での提出を求めたのが成功。受け取りをスムーズに終えることができた。10グループでの各グループごとの読み合わせも盛り上がった。1枚とはいえ一人ひとりが書くという行為の痕跡を残したことで、互いのコミュニケーションに従来以上の魅力が備わったようにも見えた。ゼミ生の発案により研究室紹介(ジョイント)を最後に数分行って終了。当初は臨時的対応としてラーニングコモンズを使わせてもらったのだが、結果的にこの授業の性格とも合致し、毎回のようにグループ討議を実施することができた。授業環境の重要性についても改めて認識できた。

 

行政学演習

 各論文をめぐる意見交換。教員も1本1本に口を挟む。10分前に終え、後期ゼミ履修者を残して、慌て気味に10月以降の研究室活動とそれまでにやっておくべきことについて書いた紙を配布して説明。ジョイント幹事もまちづくり提案その他も結局は自分たちに跳ね返ってくる。真剣に前向きにそして楽しみながらやっていきたい。人数にもよるだろうが、グループ討議などゼミ生同士のコミュニケーションを主流に置いた今回のようなやり方を継続していきたい。

 

行政学

指定管理者になったと仮定して、市内公園施設を事例に具体的な事業を提案(筆記)させた。授業内完結型のレポート作成となった。回収もすんなりと行って、残りの30分ぐらいで従来の行政学と新しい行政学(ともに区切りよく10回目ずつとなった)の補足と総括を行う。最後まで受講生の集中力が切れなかったことに感心した。

 

卒論・修論指導

打ち上げの直前に、10月までにやっておくべきことと、10月以降の研究室活動の柱について作成した紙(3年生配布のものと同じ)を配布して説明。卒論・修論の研究室内提出締切を、論文推敲期間を考慮して1カ月早めた。これでもって前期授業は一区切りとなった。まだ、成績付けが残っているものの、すべての授業について一回も穴を空けることなく終えたことをひとまず喜びたい。

 

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