2014年6月 中村祐司の教育日誌

 

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14/06/02. Mon.

 

国際学英書講読

1グループの人数を少なめにして、”Landmark ruling by Thai court”, “Act against Boko Haram”, “Military support for Kiev”, “U.S. should impose sanctions on Venezuela”を読む。予め教員から訳しづらい箇所を説明したのがよかったのか、時間内で4本読み切ったグループがあった。選択科目の強みを生かして、やる気のある受講生の力をどんどんの伸ばしていきたい。

 

余暇政策論

社会的起業について、すぐにグループ討議に入り、名称、目的、組織体制などについて論じさせると同時に、各グループの報告時間を3分とし、即興の提案発表会を開催した。グループ毎に使える黒板が威力を発揮している。次回は以前取り上げたテーマとも交錯するものの、電子媒体のあり方について議論する。新聞の特集記事が重要な論点を含んでいると感じたため、それを印刷して配布し受講生の準備を促した(反転授業の試み)。

 

行政学演習

3グループの討議が良い形で進み出した。先週末にバーチャル出版企画の表紙のイメージ、項目設定、章構成、引用の仕方、今後の活動スケジュール、さらにはインタビュ調査の際の心構えなどを作成したので、これを電子ファイルで共有した。グループメンバーの再構成もありかと思ったが、ゼミ生の判断で今のグループで継続することになった。個の力を大いに発揮してはじめて全体のパフォーマンスが向上すると考えているので、個人的には賛成である。次回以降はまちづくり提案やジョイントなどの具体的な説明もしていきたい。いよいよゼミにとって本格的な稼働時期を迎えたことになる。

 

行政学

中間試験。受講者数を最終履修者データから慎重に把握したつもりが、間違えてしまい問題・答案用紙が10数部足りなくなってしまった。嬉しかったのは遅れて配布した受講生のためにその他大勢が延長の5分間を静かにしていてくれたことだ。こうした受講生全員の心遣いに教員は励まされる。従来の行政学は今回少しでも進めなければいけないと考え、横割り組織と縦割り組織の意味を把握した上で、ラインとスタッフの再定義のところを説明した。次回は新しい行政学の第6章と震災復興についての問題提起を行い、その次のグループワークにおける課題を提示したい。100人規模の受講生で行うグループワークにチャレンジするつもりだ。

 

卒論・修論指導

久しぶりに卒論生全員が揃い、何となく嬉しいというか安心した。関係者とのインタビュはオンリーワンの情報なので、ネット情報からの加工とは迫力が違うし、現地で得た一次資料以上の価値がある。9月に提出すれば、それをじっくり見直して、より良いものに仕上げることができる。まちづくり提案とジョイントについても、3年生のゼミ生をその気にさせるためには、4年生の協力が欠かせない。

 

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14/06/05. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

サッカーのW杯ブラジル大会をめぐるスパイクのメーカー各社の戦略、SNS技術の利用、テレビ・スマホ・タブレットの融合、観戦のための移動距離の長さや会場各地の気候の違い、日本代表の専属料理人の奮闘、日本の援助を通じたブラジルにおける交番の設置、麻薬の取締問題、1950年のマラカナン悲劇などを対象とした。ネットはソニーの特設サイトを紹介。スポーツ放映のあり方が劇的に変わる転機となるかもしれない。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

国主体でのスポーツ強化、選手強化費のJOC回避の影響、スポーツ庁の役割、スポーツ競技団体のガバナンス、2020年東京五輪における野球・ソフト復活に向けた動きと背景などを取り上げた。行政研究の従事者としては、省庁と独立行政法人との関係に注目しなければと感じた。ネット情報は同じくソニーのW杯特設サイトを紹介。受講生がちょうど生まれた頃の1994年大会のハイライト場面を紹介したが、20年前の記憶がよみがえってきて思わず見入ってしまった。

 

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14/06/09. Mon.

 

国際学英書講読

プリントは7枚目。”Dubious climate dogma”, “Turkey’s mining tragedy”, “Support for ANC declining”を読む。4グループで1グループ3-4人とした。教員としてはとにかく各グループを回って、訳の疑問点に答えるようにした。嬉しいことに3グループで読了。さらに嬉しいことには読み終えたグループでは内容をめぐる談議がなされていた。授業の質を考えれば、とくに選択科目ではやる気のある受講生に重きを置くべきかもしれない。

 

余暇政策論

反転授業の試み。先週配布した「デジタルの落とし穴」をもとに自由討議。今回は10グループに分ける。どのグループも黒板を使わず、その分リラックスできたかもしれない。配布した資料を持参した受講生が半分強だったのが課題か。次回はいよいよ開幕するサッカーW杯ブラジル大会を素材として取り上げる。

 

行政学演習

 3グループでの現地訪問の予定など活動の詰めの話し合いが活発になされた。とにかく動いてみなければという雰囲気がゼミ全体で強くなってきたのは良いことだ。一方で就活に備える傾向なのか、編入生に限らず3年生前期に多くの科目を履修しているようで、平日は時間が取れない複数のゼミ生がいたのにはそのハードさ(3年後期の履修科目はできるだけ少なくしたいという気持ち)に驚いた。就職活動の解禁時期が多少後ろにずれたところで、学生からすれば卒業後の進路をめぐる強いプレッシャーは変わらないのだろう。

 

行政学

前回の中間試験に少し触れた後で、テキスト「日本の公共経営」第6章に入る(従来の行政学は前回試験終了後に行ったので今回は休み)。来週のグループワークに向けた問題提起として、自分のこれまでの震災地訪問を説明する必要があり、急ぎ気味に進めた。訪問現地のこれまでの3年間の撮影写真を提示した。次回は授業最初から討議に入り、報告の時間も30分程度は取りたい。

 

卒論・修論指導

行政学が意図せず早めに終わったので、少し一息ついた後で、指導に臨む。修士2年生にとっては中間発表の際のレジメ作りが山場の時期に入る。卒論生の積極的な調べと考察に感心した。やはり看板は同じ卒論・修論指導でも、その中身についてこの時間をどうにか切り抜けようとする(消極性)のか、この時間に各自の準備を凝縮して報告する(積極性)のかとでは、聞き手の受けとめ方は全然違ってくる。後者に軸足を置いた卒論・修論指導を心掛けていきたい。

 

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14/06/12. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

日本時間明日早朝からサッカーのW杯ブラジル大会が始まる。日本人3人による開幕戦審判、日本代表チームを脇から支える5人のコーチ、ブラジル大統領の寄稿、八百長対策、地下鉄や教職員スト、競技場の未整備、ブラジル政府による厳戒体制、地元ブラジルのファン離れと欧州クラブへの関心、ブラジル代表チームにかかるプレッシャー、サンパウロ日本人学校長の震災復興への思い、早朝商戦、などを足早で紹介した。開幕前の最も重要なコンセプトはリスペクト(相手を大切に思う気持ち)ではないかと強調した後で、FIFAやスポーツナビ等のネット情報を紹介。とくに2006年ドイツ大会のソニーHP掲載の動画が秀逸だった。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

国策スポーツ強化への転機をめぐり、前回提示した情報を補足。JOC側の反論やJOC経由での選手強化費の流れについても図示した。新国立競技場の建設についても高さを5b低くした以外にも省エネ・ハイテク技術の導入などを提示した上で、改修の見込みがなくなったこと、議論が十分尽くされたとはいえない点を指摘した。ネット情報はスポーツ社会学で時間切れから紹介できなかった日本サッカー協会スポンサーのHPや1994年大会の映像を見せた。マイクの電池が途中で切れたが、教壇のボックスにあるのが消耗電池ばかりで戸惑ってしまった。

 

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14/06/16. Mon.

 

国際学英書講読

グループあたりの人数をできるだけ少なくし4グループで読み進める。”Libya on brink of desaster”, “ASEAN’s neutral policy”, “U.S.cries wolf over security””U.S. can’t afford to leave NASA up in the air”を読む。何とか行けるのではと各テーブルを回ったが、2本目の訳に苦慮するグループがほとんどであった。それでも1グループは時間内に全部読み切ったし、他のグループも時間終了ぎりぎりまで奮闘した。こうした前向きな姿勢があれば大丈夫だ。

 

余暇政策論

サッカーW杯ブラジル大会をテーマとする。マーケットや政治・社会的課題といった関連の問題を提示した上で、「リスペクト」をキーワードにこの一週間で具体的な行動・場面をピックアップし、次回は各自がそれを持ち寄って、最終的には複数に絞り込んでグループ見解として報告することにした。プレイの技術やチーム戦略などは対象とはしないものの、今、W杯を余暇政策で取り扱うことの価値は十分過ぎるほどあると思う。

 

行政学演習

 ここに来て、ゼミ生は公共サービスの現場に身を置くことの大切さを確信するようになった。あとは行動することだ。そうすれば次の展開が見えてくるし、書くための素材も揃ってくるはずだ。嬉しいことにこの3月に卒業した研究室OBが顔を出してくれ、グループ討議にも耳を傾けてくれた。4年生2名が最後の15分間ぐらいで昨年のまちづくり提案参加のポイントを説明してくれた。次回は教員からも後期のゼミ活動の中身(ジョイントとまちづくり提案が柱)を具体的に説明するつもりだ。

 

行政学

90人規模の授業で果たしてグループワークは可能なのか。収拾がつかなくなるのではという当初の不安を受講生が吹き飛ばしてくれた。大教室でAからLまで12グループに分け、震災復旧・復興事業について課題を出し、模造紙、ポストイット、ペンを使いながらグループワークを行った。どのグループも真剣に課題に向き合い、それは報告にも表れた。机の配置・形状はいかんともし難かったし、模造紙を広げることができないなど、実務的な課題はあるものの、この授業であと少なくとも一回はこうしたやり方を取り入れたい。

 

卒論・修論指導

今回をジョイント、まちづくり提案準備のための予備日としたことが大きかった。関心のある3年生が顔を出してくれ、他の3年生とも終了後に話ができたのが大きい。長年ゼミを担当していると、教員からの説明を無意識に省略してしまうことに注意しなければと思った。常に丁寧に伝えるよう心掛けなければいけない。3年生と4年生がこのような形でコミュニケーションできのも大きかった。ジョイントとまちづくりの3年生の担い手hs見えてきた。明日の中間発表を控える院生には申し訳なかったが、終了後に全員で発表の際の留意事項や懇談会・懇親会への参加などについて確認した。

 

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14/06/19. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

明日のサッカーW杯の対ギリシャ戦をめぐる話題、ボスニア・ヘルツエゴビナの出場とオシム氏、サッカー文化(リスペクトの重要性)に続き、W杯SNS元年のネット動画情報を示す(朝日と日経。毎日は探せなかった)。ネットを授業の素材として使うことがこれからは不可欠になるかもしれない。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

十種競技の価値、ドーピング対策、復興五輪の課題、オリンピック教育と大学の連携、2020年東京五輪整備計画の見直し、寄付を通じてリオデジャネイロにミニサッカー場を建設するNGOの活動を紹介した。また各々に対応するネット情報も提示した。これからのスポーツ報道はIT技術と益々連動していくのではないだろうか。

 

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14/06/23. Mon.

 

国際学英書講読

ランダムに3グループに分ける。”Gun rights seesawing in America”, “Egypt’s churlish vote”, “Europe’s political upheaval”, “Mideast trip shows pope’s diplomatic touch”を読む。受講生の半分以上は性格な内容把握を達成できているのでは。3グループとも時間内に読み切ることができた。予習での各自の悪戦苦闘が不可欠な事業であり、その意味で確かに気軽に参加できる授業ではないが、正面から向き合っている受講生に教員も励まされた。

 

余暇政策論

サッカーW杯におけるリスペクト行為について10グループで自由討議。印象的だったのはサッカーに関心がなく、ワールドカップの試合も観ない受講生のグループが、そのグローバルな影響力を鋭く指摘したことだ。スポーツ系の科目を掲げる学部ではないので、テーマとして取り上げることに当初は躊躇する面もあったが、やはり2回にわたって、この話題を取り上げて良かったと思った。

 

行政学演習

 今月末の荒原稿の提出に向けて、各グループのスイッチが入ってきた。あるグループではほとんどのゼミ生が自らノートパソコンを持って来て、完全に“書きモード”に入っていた。書くことを指導の柱に置く者としてはとても嬉しい光景だった。動きだせが何かが見えてくるはずだ。来週の提出が楽しみである。

 

行政学

前回のグループワークが成功したことで、あと2回程度はやってみよという思いが生じた。そうなるとどうしても講義が詰め込み的になるものの、とにかくポイントを伝えようと、従来の行政学、新しい行政学と一気に進んだ。テキストは自分の書いた章(指定管理者制度)だったので、しゃべり過ぎたかもしれない。来週の課題(電力エネルギーをどうするか)について説明を最後の10分で行う。今回は最初にプロジェクタースクリーンが作動せず焦ったが、どういうわけか数分後に降りてきた。上げ下げの際はタイミングを見てストップボタンを押すことが操作のポイントである。

 

卒論・修論指導

卒論生の欠席が目立った。それでもこの時間は卒論・修論を積み上げていく原動力となる大切な時間なので、いい加減にやるわけにはいかない。博士後期の院生も提出を覚悟する大切な時期を迎えた。終了後にタイトルや副指導教員の依頼をめぐりじっくり相談した。

 

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14/06/26. Thurs.

 

スポーツ社会学(白鴎大学)

昨日早朝の日本対ブラジル戦(1−4)を受けて、外出先でネット情報をいろいろと見たが、授業の素材にまとめることができず、総括は別の機会に譲ることにした。それでも最も印象に残った解説と、今朝の新聞1紙の指摘を紹介した後、紙媒体での新聞報道の強み(深い分析など)、米国チームの実力とその背景、日本サッカー協会の今年度予算とW杯賞金、野球の独立リーグにおけるスター選手の集客等の影響力、女性をターゲットとしたプロ野球のPR戦略を提示した。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

スポーツ強化費の一元化の動きにスポーツ議連が待ったをかけたので、これを素材にして競技スポーツ振興のあり方について考える。その他にも五輪競技場設置の変更、新国立競技場の建設問題、人工芝の著しい技術向上を取り扱った。いずれもスポーツ世界の一部ではあるものの、刻々と変容する今の動きを受講生に伝えていくことの意義はあると思う。

 

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14/06/30. Mon.

 

国際学英書講読

予めランダムに設定した3グループ(ただし、遅刻や欠席は困る)で、”Obama’s European solidarity”, “Vexing prisoner swap”,  “Declining U.S.global standing”, “U.S. finally gets serious about climate change”を読む。受講生の読む力が確実に上がっているのがわかる。あと3回の残された授業をこのスタイルで貫きたい。

 

余暇政策論

パウエル米国元国務長官の特別講演の内容を紹介。サッカーW杯の日本戦関連の新聞切り抜きについてはまとめきれなかったため、一部のみ紹介。コロンビア戦の14を受け止め、4年間かけて32にしていこうと自分の考えを示す。その後、728日締切の課題(エッセイ)について説明。特徴は情報検索はせずに、これまでの経験を素材にして書くということ。この授業に限らないが、次回は残りの授業スケジュールを提示したい。

 

行政学演習

 非常に嬉しい事があった。まちづくり提案の申請を後期ゼミ履修希望者が予め用意してくれたことだ。また、ジョイントについても他大学の幹事経験者との有意義に触れ合うことができた。教員もささやかながら紙媒体でのまちづくり提案要領を配布することで後押しした。皆が積極的に一歩前へ動いたことで、その後の2コマも含め複数の歯車がうまくかみあったのだ。

 

行政学

2回目のグループワーク。前回よりも内省的な雰囲気が漂ったが、原発や電力の在り方について真剣に意見を交換し合った。やはり大教室であっても他者と直接言葉を交わす場はあった方がいい。グループワークはもう一回やりたいが、ともかく次回は従来の行政学と、新しい行政学2章分をやらなければ。

 

卒論・修論指導

まちづくり提案やジョイントでは4年生や院生のサポートも不可欠なので、今日大きく進んだ展開について最初に説明。その後3人から報告。金曜の地域系大学の集まりで卒論生が報告するので、その内容についても確認した。また、来月下旬の最終回には打ち上げをやることにした。研究室運営について新たに学ぶことのできた日となった。

 

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