2011年10月 中村祐司の教育日誌
11/10/03. Mon.
現代政治の理論と実際
後期授業がスタート。前期授業が震災の影響(主として節電対策)で1カ月前倒しで終了したため、3カ月近くぶりの授業となった。来年度予算の概算要求に関する新聞記事を用いて、予算や補正予算、さらには再生特別枠も含めて、中身の項目について受講生に考えさせることを主眼とした。印刷を多めに30部ほど刷ったが、後期月曜1コマ目としては予想外に受講生が多く、すべて配布し切った。まずはできるだけ受講生に問いかけながら、徐々にペースをつかんでいこう。
地方自治論
自分が関わった審議会・委員会活動や論文・報告書、現地調査を教材に授業を進めていく旨を最初に強調した。できるだけ経験談や肉声を伝えることで、受講生に地方自治を学ぶ上での何かをつかんでほしいと思う。夏期に学外で行った話題提供の際に作成した文章(『新しい公共と自治の現場』の結論部分やこの本の書評)をもとに、総合計画作成のプロセスで得た知見を提示した。この授業も徐々に受講生参加型にもっていくつもりだ。
卒業研究準備演習(行政学ゼミ)
市政研究センタースタッフ2名が行政学資料室に足を運んでくださり、来月のまちづくり提案についてのアドバイスをもらった。ゼミ生にとって発想のヒントや視野を広げる貴重な機会になったと思う。今回のような中間打合せは、もう一つのグループについても今週の木曜に行われる予定。ゼミ生にはとにかく萎縮せずに伸び伸びと取り組んでほしい。
卒論指導
企業の内定式と重なったのか、皆揃ってのスタートとはいかなかった。夏休み中の課題提出(論文の一部作成)についても、院生も含め全員からは受け取れなかった。それでも、今後のスケジュールやジョイント等について共通認識を持てるようになったのが大きい。とにかく1回1回を大切にして完成のゴールを目指すしかない。卒論にどれだけ熱く向き合ったかは、卒業後の仕事へのバイタリティにも直結する。
11/10/04. Tue.
比較政策研究(大学院)
初回はシラバス提示どおりに2コマ目から開始。教員も含め自己紹介と問題意識の提示の後で、時間の調整を図り、次回から夜間開講とする。受講生からの報告を中心に行っていくものの、教員の研究部分のところ(論文等)もやり取りの中で積極的に示していこうと思う。例年どおり、修士論文の複数節をこの授業を通じて書き上げてほしいというねらいもある。
11/10/17. Thurs.
現代政治の理論と実際
再生エネルギーのうち、風力・地熱・太陽光発電を対象にした計4本の新聞記事を使って、論点を提示し、受講生に問いかけた。確かに新聞記事は世界の一面を断片的に切り取った結果提示ともいえようが、基礎的なデーターや考察すべき論点を得るヒントをもらえるのが助かる。来月中旬ぐらいまでは、その都度テーマを選んで、こうした形で授業を進めていこう。
地方自治論
自治体の世論調査結果の一部を対象に、そこから読み取れることは何かについて受講生に聞いた。中心市街地の活性化一つを取っても課題は多々あることがわかった。自分の書いた文章も配布した。この時間では授業で使う資料そのものを自分が直接関わっているものを主に、出し惜しみせずに行き着くとこまで出していくつもりだ。
卒業研究準備演習(行政学ゼミ)
まちくづくり提案の原稿提出まであと10日あまり。なかなか文書作成に入っていけない苦しさが窺えたが、試行錯誤の熟考は決して無駄ではない。時間をオーバーしてジョイントについての参加手続きなど共通の理解を持とうとした。後期開始時期が10月からと他大学と比べて遅めであるため、どうしても研究室活動が後追い型になってしまうが、他大学に迷惑をかけるわけにはいかない。まずは原稿作成、その次にポスターやプレゼン準備といった具合に一歩一歩前に進んでいきたい。
卒論指導
卒論生全員が揃い、本格的にスタートした。この時間を使ってジョイントについて4年生から3年生へのアドバイスももらう。2名から報告。積極的に卒論作成に向き合えれば、必ず結果に反映する。発表のスケジュールも確定した。院生指導も入ってくるので月曜はきつい1日だが、教育活動についてはこの日に特化するという意味でも手を抜くことはできない。
11/10/18.. Tue.
比較政策研究(大学院)
1名が急遽加わることになり、報告の割り振りえをどうしようかと少し焦ったが、今さら叱責しても仕方がないと思い、気持ちを切り替えてとにかく先に進む。2名から報告。修士論文の複数節につながる文章作成と意見交換を通じた他者からの助言提供を一貫させたい。大学院の授業は人数的にもこれくらいの方がやりやすい。教員も受講生とのやり取りを通じて問題視覚のヒントをつかめたらと思う。
11/10/24. Mon.
現代政治の理論と実際
TPPについての基本的理解に役立つ新聞記事と、とくに農業関連の主要紙社説を授業で取り扱う。この種の課題をめぐっては、何が正しく何がそうでないかの見極めを他者の見解に依存するのではなく、自分の眼力に頼らなければいけないと思った。そのための素材を授業では提供したつもりである。震災と大学の役割、大学生による積極的な情報収集、格差反対デモの世界的な広がりに関する新聞記事も紹介した。
地方自治論
総合計画、世論調査と進めてきたが、今回は両者がリンクしたような分析を紹介した。基礎自治体の総合行政は規模にかかわらず多岐にわたる。それゆえの難しさと醍醐味を受講生に伝えたかった。財源の問題、雇用創出の難しさなどを指摘する声が受講生から挙がったのはよかった。
卒業研究準備演習(行政学ゼミ)
まちづくり提案に向けた論文のチェック。一つのグループはかなり気持ちが入っており、読み進めるにつれて力作だと確信した。こうなれば教員の役割は仕上げに向けての後押しのみだ。もう一つのグループも良く追い込んできた。あと一息で首尾一貫した論文になる。最終チェックの時間を何とか確保しなければ。
卒論指導
卒論生2名から報告。その分卒論についてじっくり向き合えた面もあったが、院生報告が入っていたのを失念してしまい時間管理に失敗。卒論生は時間どおりに終了し、その後その他の院生が出してきたものの、チェックや手続き等のため終了は18時30分頃となった。こうしたケースがこれからも何回かあるだろう。気持ちを切らさずに柔軟に対応していきたい。
11/10/31. Mon.
現代政治の理論と実際
大阪都構や特別自治市構想、来月の大阪市長選をめぐる日経新聞の特集と、今年3月に統一地方選挙について書いた拙稿を授業の素材として、地方分権や地域主権のあり方とも関連させながら進めた。東京都の都区関係や政令市の行政区についての理解も必要なため、学部1年生にとっては難解だったかもしれながい、授業終了後にも複数の受講生が質問してきて、吸収しようとする意欲を感じ嬉しかった。
地方自治論
めったにやらない(やってはいけない?)ことだが、1-2限と同じテーマで授業を行う。こちらは少人数なので、一人ひとりに何度か問い掛けながらゼミ形式で進めていった。大阪都構想における特別区と市町との権限や所管事業の違いなど、教員にとっても理解が曖昧なところが多い。大都市と所在広域自治体との間の積年の課題が、来月の選挙以降大きく転換していくのか、今後の動きを注視しつつ、機会を見て学んでいこうと思う。
卒業研究準備演習(行政学ゼミ)
しっかりしたまちづくり提案論文を先週提出した意味は大きい。これからまちづくりのプレゼンやポスター作成、ジョイント共通テーマ(水と行政)の準備など、今日からはまさに胸突き八丁の2週間となりそうだが、ゼミ生は自分たちの力で乗り越えると確信に近い感触を持った。自分の論文も切羽詰まっており、話し合いの中身が気にはなったが途中から席をはずした。
卒論指導
卒論生2名から報告だったが、そのうち一つは問題意識の提示があり、これこそこの研究室には必要な点だということを再確認した。現場に足を運んでそこで人から得た情報と資料をもとにまとめた成果が、卒論内容のかなりの部分を占めるとしても、問題意識や施策・政策提案にチャレンジし続け、それを活字として盛り込むことに価値があると思う。使わないという訳ではないが、Web情報とは距離を置いた方がいい。