2011年6月 中村祐司の教育日誌

 

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11/06/01. Weds.

 

国際学英書講読

衣替えとはいうものの、昨日に引き続き今日も冷やっとした天気だ。暑くなる前にこのような空気を味わっておこう。プリントは7枚目となる”Scandals taint public view of nuclear power”.現在に至るまで原発事故の収束が見えない中で、読んでいて辛い指摘ばかりだったが、できるだけ淡々と進めていった。日本語がスムーズに流れるようなうまい訳もあれば、予習なしでの遅刻など受講生間の温度差は結構あるかも。全員とはいかないまでも、ぜひ投げ出さないでこの時間に臨んでほしい。この授業の雰囲気はすごくいい。

 

余暇政策論

行政学や国際学英書に比べて、この時間は緩い雰囲気かもしれない。しかし、余暇領域、そしてその裏返しの仕事領域に対する問題意識と知識吸収のアンテナを鋭くしてほしいという、教員からの要求が最も前面に出る授業でもある。今日から2巡目で5名から報告。レポート提出が3週間後であることを踏まえて作成の具体的な方向性について助言した。嬉しい誤算で一人一人がこれまでとは長めの報告となり、教員が用意した資料の説明をする時間がほとんどなくなってしまった。就活関連の記事も含めて駆け足で提示した。教える側のためにもなるし、結局は自分に跳ね返ってくるので、話題提供の資料準備は続けていくつもりだ。

 

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11/06/02. Thurs.

 

スポーツ・体育社会学(白鴎大学)

プロスポーツ、アマチュアスポーツ、学校スポーツが震災後に拠点とする地域とどう向き合っているのか、大会開催のためのぎりぎりのやりくりや工夫について、複数のケース・実践を新聞記事から紹介した(ソニー仙台、東北福祉大や東北学院大の長距離チーム、日光バックス、栃木ブレックス、宇都宮ブリッツエン、栃木SC、陸前高田市や大槌町の高校、バルドラール浦安、楽天など)。個々の事例が別々の断片ではなく、影響力の程度はともかく、スポーツ活動が及ぼす社会再建への芽が明確にそこに見られるのではないかと思った。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

先月31日に、スポーツ基本法案が国会に共同提出されたので、この法案の中身について説明(内閣不信任決議の行方によっては成立がまた先延ばしになるかも)。後半は宇都宮で10月開催の「ジャパンカップ」についての放射線をめぐる安全・安心情報の国外への発信、ツイリンク茂木の復旧努力、栃木ブレックスの10月のシーズンに向けた始動などについて。受講生にはオリジナルな自筆ノートを確実に作成していってほしい。

 

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11/06/06. Mon.

 

行政学

面従腹背行動、ストリートレベルの行政職員、取締活動、規制行政活動などについて説明。現在行政学では、復興基本法案や第2次補正予算の行方、復旧をめぐる自治体間の対応差や環境エネルギー推進の課題などを対象とした。1週間ほど前の気温の低さとは打って変わって暑くなってきた。次回以降は教室の窓を開けっ放しにしてやらざるを得なくなりそうだ。

 

行政学演習

会議と重なり遅刻して資料室に入ったが、研究小論文を目指して自分たちで着々と進めているようで安心した。早いもので再来週が提出日。個々の課題にはこれまで私たちが経験したことのないような重さと複雑さが絡み合っていてとても難しい。しかし、あきらめないでできる範囲で各自がオリジナリティを出してくれればと思う。

 

卒論指導

卒論生2名から報告。しっかりやってくるので指導がやりやすく助かる。報告者以外の卒論生にも良い刺激を与えているはずだ。院生1名から来週の中間発表を見据えた報告。論文に近いような体裁だったので、大幅な修正は必要なしと判断した。先延ばしせずに、終了後にそのまま時間を取って、字句や表現を修正した。今日のうちに実質的にOKを出せるまでもっていけてよかった。

 

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11/06/08. Weds.

 

国際学英書講読

“Nuclear policy called into question after crisis”Tepco comes under fire for releasing erroneous nuclear information” を読む。今日の授業では訳の勢いを大切に、どちらかといえば教員主導で進めていった。受講生は真剣で授業の雰囲気はとてもいい。しかし、一人一人を把握しようとするも、どうしてもその時その時の英文に集中するため、なかなか顔と名前が一致できないのが悩みの種だ。

 

余暇政策論

7名から報告。提出が2週間後に迫ってきたが、受講生はいい形で執筆に入っていけそうだ。情報源を明らかにすることと、資料のまとめも含めて自分の文章を積み上げていくことが大切だ。社会連携センター機能の拠点となるU..プラザオープンの記念シンポジウムの打合せがあり、受講生には詫びて少し早めに終了。講義メモは残念ながら次回に回すことにした。

 

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11/06/09. Thurs.

 

スポーツ・体育社会学(白鴎大学)

Kスタ開幕戦までのプロセス、企業運動部の被災地支援、競馬界への震災の影響、元プロ野球監督が大学野球の監督として優勝した初の快挙、プロ野球選手の自覚などに関する新聞報道を素材に授業を進めた。受講生の多寡に関係なくこの授業時間で提供できるものを出し惜しみせずにやっていきたい。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

制定間近のスポーツ基本法をめぐる条文の特徴、バスケbjリーグからの離脱チームが抱えた課題、ドーム球場の節電対策、選手引退後のキャリアの模索などを取り扱った。一つ一つの題材はそれを手掛かりに教員も学生もより調べを深めていける興味深いものばかりだ。長丁場だがとにかく毎週の授業を確実にこなしていこう。

 

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11/06/20. Mon.

行政学

早くも来週が期末試験。出題の可能性大の予算編成過程の中身と、大臣官房3課の有する行政資源管理のまとめのところを中心に説明した。最後は行政責任論における「行政職員の情熱・洞察力・責任感」で締めくくった。現在行政学の打ち込み部分はスペースの関係でなし。新聞切り抜きコピーはミスで全文が載らなかったのが残念。来週の問題作成とミニ講義の準備、再来週の総括講義の用意に入らなければ。

 

行政学演習

できる限りでの範囲という条件付での研究小論文の提出日。教員から註の付け方など段落設定などについて形式的な修正を提示した。しかし、総じて皆よくやってきたと思う。来週が最終締切日。ゼミの時間内に研究室HP掲載作業と再来週の研究成果報告会の段取りを決めておきたいところだ。就活関連の新聞切り抜きも配布。前期の研究室活動も着実に終盤に向かっている。

 

卒論指導

卒論生2名欠席でやや寂しかったが、2名から報告。とくに卒論の場合、現場に出向いて足で稼いだ情報がどれだけ盛り込めるかで迫力が違ってくる。その意味では震災の影響を逆転に取って、長めの夏休みを有効に使ってほしい。院生からも報告。修正の要はあるものの、日本語訳がそのまま貴重な資料として論文に盛り込めると思わせるような題材だった。

 

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11/06/22. Weds.

 

国際学英書講読

“Disaster-zone foreigners seek multilingual info””Smiles belie traumatized children”を読む。前者は外国人籍市民の震災対応をめぐる奮闘、後者は被災地の子どもたが追った心の傷と再生に向けた“ルーティーン生活”の指摘が印象に残った。再来週が試験なので、来週が授業としては最後。読む量は2倍となるが、受講生主導の訳で何とか読み切りたい。

 

余暇政策論

レポート提出日。ほぼ全員から提出。文章作成のエネルギーに向き合った受講生を評価したい。一方でファイル名など提出の形式が守られていない受講生が多く、この点苦言を呈した。司会者と討論対象の割り振りはスムーズに決まった。これから会議、懇親会、他大学での授業と続くため、HP掲載作業は明日の午後となる。来週、再来週の意見交換に向けて、受講生には建設的批判精神を持ってぜひじっくり読んできてもらいたい。

 

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11/06/23. Thurs.

 

スポーツ・体育社会学(白鴎大学)

2020年夏季五輪東京招致をめぐる複数の新聞記事を取り上げた。2016年招致運動とは状況が相当変わってきた。概ねメディアは好意的に受け止めているようだ。その他鹿沼市における陸上・水泳のスポーツ少年団活動、ロンドン五輪、パラリンピック、間もなくアテネで開幕するスペシャルオリンピックス世界大会、東北4県で開催のインターハイを対象に講義を行った。1限目にしては湿気と暑さがすごくて、教員も受講生も早くも疲れ気味の雰囲気だった。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

スポーツ基本法をめぐる補足説明。地域スポーツと競技スポーツの「好循環」についても事例を挙げながら話をした。その後、新潟「アルビレックス」の脱マンネリに向けた努力と成果、そしてマネジメント面での甲府の成功について、その背景を探った。とくに後者をめぐっては一般の組織マネジメント論の真髄に触れる思いがした。空調(上限28度設定)入れても湿気は高く、汗は止まらず、加えてマイクの調子が途中から雑音が入るようになり喉も枯れた。とにかく着実に自前のノートを作成していくのが大切であり、試験にも大いに生きてくるはずだ。

 

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11/06/27. Mon.

行政学

期末試験の実施。公正な環境を徹底するために50分間気を抜かずに見回る。幸い多少の風もあり暑苦しくはなかった。解答用紙回収後、急いでスクリーン、パソコン・プロジェクター設定をしたものの、肝心のパワーポイントのスライドショーができず、説明の時間が半減してしまったのが残念。それでも太陽光発電事業をめぐるポイントは何とか伝えられたのでは。来週が前期ラストの行政学授業。採点を早めに終えたいところだ。

 

行政学演習

研究小論文提出日。ほぼ全員から電子データを受け取る。今から思えば研究室HP掲載の作業は院生にまかせ、ゼミ生にはワードで表紙を作成させればよかった。院生が必死に作業する中、ゼミ生は結果的に時間があまってしまったので、教員から「政」の機能不全と震災関連で夏休みに何をしたいかについて問うた。来週までに全員の研究小論文を熟読してくる約束をした。ぜひ有終の美を飾ってほしい。

 

卒論指導

1名の卒論生(市街地活性化)と院生1名(町内会・自治会機能)から報告。来週は前期研究室の打ち上げもあるので、その打合せも。就活関連の新聞切り抜きコピーも配る。来週は夏休み中の卒論作成計画について述べてもらう。院生も含めて良い形で一区切りを付けたい。秋(10月)までにやっておいてもらいたいポイント用紙を作成しなければ。

 

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11/06/29. Weds.

 

国際学英書講読

“Recovering from disaster to exact toll on state”, “October to see full car output”, “Miyagi farmers struggle amid tsunami aftermath”, “Young try to find new footing”4本を読む。できるだけ満遍なく訳を割り当てたが、量にめげずに意欲的に訳してきた受講生が多かったように見受けられた。確かに社説のような切り込みには欠ける記事が多かったにせよ、敢えて震災特集を組んだことで、それだけ発見や考えさせられる内容も多かった。来週は期末試験。問題を作成しなければ。

 

余暇政策論

レポート一覧前半をめぐる自由討議。司会者は受講生間のやり取りをうまく引き出してくれた。広い意味での生き方を問う穏やだが真剣味のある良い展開となった。来週もこのような雰囲気でできれば。受講生間のやり取りを聞いていて、余暇時間の使い方はその確保も含めてその人の個性や価値観が色濃く反映されるものだと思った。

 

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11/06/30. Thurs.

 

スポーツ・体育社会学(白鴎大学)

プロ野球のウグイス嬢、射撃選手と予備自衛官の両立、フリーダイビングの海の種目、震災と学校の部活動対応についての新聞記事をもとに、個人や組織のスポーツ活動が社会に浸透している様相を提示した。震災後に盛んにいわれるようになった“絆”はスポーツ活動に最も合致するのではないかと思った。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

サッカーの主審と副審の醍醐味、前東電選手の女子W杯出場、JFAアカデミー福島の生徒の頑張り、社会人リーグチームの立て直し、バスケのbjリーグチームの対外的営業活動、総合型クラブの新たな試み、地方競馬の生き残り策、ラグビーチームの資金獲得のためのネットワーク活用などを対象とした。板書しながらの説明を受講生はノートに書きながら理解し考えるという授業スタイルが軌道が乗ってきた。

 

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