2010年6月 中村祐司の教育日誌
10/06/02. Tues.
国際学英書講読
プリント7枚目の英文社説4本。タイトルは“U.S. space program”, “Korea’s stolen culture”, “Pajamas in Shanghai”, “Malaysia’s human rights”を読む。受講生の英文社説に向かう意欲と熱意が反映される授業なので、4本目で自ら手を挙げた受講生がいたのは今後の授業にとって大きなことだったし、終了後に訳をめぐる質問のおかげで修正に至ったことにも感謝。こうした受講生が他を引っ張っていくような展開になれば。
余暇政策論
首相辞任との報に接し、職業柄、とくに今後の内閣がどうなるのだろうと思いを巡らす。少し遅れてしまったが、何とか気持ちを切り換えて授業に臨んだ。興味深いレジメ報告が続いて手応えを感じた。何よりも「ここが面白い!」「ここが興味深い!」という思いが執筆の原動力だし、ぜひ情報を自力で切り開いていってほしい。残りの時間で若干のコメントと事前に用意した余暇関連新聞報道の抜粋を配布。
10/06/03. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
女子プロ野球についての補足的説明から入り、W杯南ア大会をめぐる外務省情報やプロ顔負けのスケート支援の企業の存在など、新聞記事から紹介した。考えようによっては、梅雨の6月は一番勉強できる時期である。準備の過程で仕入れた、スポーツ社会に関わる興味深い素材を毎回出し惜しみせずに加えて、自分なりの視点も紹介しつつ確実な授業を積み上げていきたい。
スポーツ行政論(白鴎大学)
文部科学省の全国スポーツ施設に関する把握調査の結果から入り、サッカー日本代表の監督リーダー論、フランス代表チームの3000b級の南アルプス氷河での訓練、高地が選手の肉体やボールに及ぼす影響、データー分析の向上など、説明しているうちに教員自らが夢中になってしまって気がつくと終了間際になっていた。こうした経験は珍しい。内容と(たとえ空回り気味ではあっても)熱さは受講生に伝わっただろうか。
10/06/08. Mon.
行政学
中間試験の実施。中間授業アンケートもあり、開始10分前から板書で指示を書く。受講生を信頼してはいるものの、内職はせずに試験監督に徹する。その方が受講生にとっては試験に集中できるだろう。70分強の間にも雰囲気からして集中や弛緩の時間などが伝わってきた。開始40分経過後に誰も席を立たなかったのは回りの目が気になったからだろうか。早めに採点し、アンケートを受けて来週以降可能な限り進め方等、改善していきたい。
行政学演習
口頭でのテーマ報告。1名欠席なのは残念。力の入れ具合で後期の陣容が見えてくるような気がしないでもない。まちづくり提案について新たに手を挙げる者はなし。ジョイント代表幹事も決まらず。まちづくりは現在留学中の学生に助けてもらう形でもう一つ追加。ジョイントについては暫定代表を院生にやってもらうことにした。見切ってはいけないとは思うものの、凌ぐような感じのゼミ運営だ。しかし前に進んでいることは確か。
卒論指導
卒論生1名から報告。関連で市場や教育実習絡みの話から中国の課題などで話がはずんだ。研究生の今後の研究計画をめぐり教育行政研究についても皆で知恵を出し合う。その時その時にベストを尽くせば必ずその先の道が見えてくると信じたい。
10/06/09. Weds.
国際学英書講読
プリントNO8.タイトルは”Olympic online coverage”, “Iran’s threat”, “Earthquake preparedness”, “Monetary union”. 自ら訳を名乗り出た受講生が5名。初めての経験であり嬉しい限り。途中やや停滞したものの、何とか最後まで読み切る。ギリシャ経済危機をアメリカの視点から扱った最後の社説は読み応えがあった。こうしたやり方を継続していこう。
余暇政策論
グループCによるレジメ報告。若者特有の感性で余暇領域を把握しようとする姿勢に感心した。一人持ち時間5分のなかで視点と内容の充実ぶりが目立った。残り時間僅かのなかで新聞報道からの話題提供も継続。次回以降文章化したレジメ報告を、3グループが週単位で順番に行っていく。
10/06/10. Thurs.
スポーツ・体育社会学(白鴎大学)
サッカーW杯南ア大会開幕を明日に控え、今回は南ア社会が抱えている失業や貧富の格差を新聞報道から取り上げた。また、アパルトヘイトの廃止に一つのサッカークラブが果たした役割も紹介した。転じて日本において現時点では盛り上がりに欠ける商戦の状況、スポンサー契約についても説明した。受講生にはW杯観戦をより深めてほしい。
スポーツ行政論(白鴎大学)
FIFAの経営戦略においてとくにTV放映権料高騰の背景を探った。また、チームとのスポンサー契約をめぐるアディダスとナイキの激しい競合、ミズノの技術上の工夫など、キーワードを板書しつつ把握することに努めた。やはりテーマは明日開幕のサッカーW杯に終始した。開幕後はまた違った多様な話題が提供されるだろうから、前日の段階でひとまず関連の諸課題の提示に一区切り付けることができたと思う。
10/06/14. Mon.
行政学
先週の中間試験結果の報告と授業アンケートへの対応を受講生に説明した後で、官僚制組織の作動様式について2つのポイントを説明。できるだけ丁寧に板書も心掛け、ゆっくりやったつもりだが受講生の理解はどうだったろうか。「現在」行政学と銘打ってはいるものの、首相が変わりすでに「現在」ではなくなっている点に、早急な対応を要する日本政治と時代状況の変化の早さを感じた。
行政学演習
今回から文章化した草稿に近いものにもとづく報告。内容圧縮の必要はあるものの、4名いずれも文章形式を整えてきた。3週間後の提出に向けて幸先のよいスタートだ。他のゼミ生の刺激にもなったのでは。短気は損気で教員には長い目で心構えが求められるのかもしれない。
卒論指導
1名からの報告と院生2名から明後日の中間発表会の予行練習。そして研究生から話題提供。資料室パソコンのセキュリティ関係でいよいよ対応を迫られることになった。古いパソコン2台の廃棄を決意。留学生院生と研究生に手伝ってもらいハードディクスとメモリを抜く作業に従事。事務を通して明日廃棄できれば資料室のスペースが空くと同時に、ノートパソコンやプリンタの効率のよい配置が可能になる。
10/06/16. Weds.
国際学英書講読
プリントNO.9まで来た。次回はいよいよプリント2桁に達する。タイトルは”Dubai killing”, “Greece’s financial crisis”, “U.S. nuke power plants”, “Anti-smoking petition”. 受講生の間で予習に濃淡があるのは止むを得ない。4本目の社説に名乗りを挙げた受講生の積極性と的確・スピーディーな訳に力づけられた。
余暇政策論
受講生による文章化途中報告。今の段階であればテーマの変更はまだ大丈夫。自分のオリジナルな発想を大切にしてほしい。コメントや意見交換にあまり時間を割けないのが悩みの種だが、要所を押さえた報告が多く、時間の経過があっという間だ。受講生はこの授業をかなりユニークなものと受け止めているのではないだろうか。
10/06/17. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
やはりサッカー南ア大会の話題から逸れる訳にはいかない。南アが抱えるスタジアム建設費や大会終了後の維持費、経済格差、人種間対立の実際の解消にむけた課題などについて説明した。後半はアメリカ代表チームの近年の実力向上とメジャーリーグサッカー(MLS)の独自経営戦略を対象に、米国はすでに「サッカー不毛の地」ではないと強調した。
スポーツ行政論(白鴎大学)
同じくW杯関連の話題提供。ドイツ・サッカーの新しい育成システム、アルジェリア代表選手とフランスとの国籍や代表選抜をめぐる相互連関、日本代表チームの監督がこれまで試行錯誤してきた戦術哲学の揺れについて紹介した。先日の韓国戦、そして日本戦の余韻が強く気がせいたのか、19日の日本対オランダ戦を今日と思い込み間違ったメッセージを一コマ目同様、受講生に発してしまった。今夜は韓国対アルゼンチン戦だ。
10/06/21.Mon.
行政学
行政組織の意思決定をめぐる情報伝達経路閉塞の側面から、面従腹背行動、取締活動、規制行政を説明。現在行政学では麻薬取締活動に言及。開会中のサッカーW杯についても取締活動と違反行為(レッドカード)に絡めて話を展開した。現実世界の動きとの連動で捉えるのが行政学・地方自治の醍醐味だ。
行政学演習
文章化した上での報告。早いもので再来週が提出日。しかし、ゼミ生の気持ちの中では来週締め切りのつもりでいてほしいと伝える。インタビュは相手次第の面があるが、一歩踏み出すことに意味がある。まちづくり提案も早め積極的にスタートを切っていて頼もしい。ジョイント幹事も3年生自ら手を挙げてくれた。
卒論指導
この時間を利用して院生1名と研究生2名から報告。留学生の場合であっても大切なのは言葉よりも問題意識の持ちようである。その意味では今回、光明を見出すことができた。卒論生が少人数であるため、やや苦しまぎれに院生・研究生を巻き込んだ形で当初はスタートしたものの、この時間は各々が互いに意思伝達できる貴重な機会となっていることに気づいた。
10/06/23. Weds.
国際学英書講読
プリントNO.10まで来た。タイトルは”Canada’s interest rates”, “North’s Cheonan denial”, “Europe’s air traffic ban”, “Breaking a Thai taboo”. 次回以降の2回は社説を離れてハイチの歴史についての論説を読むことにする。また、受講生には2週間分渡して、予習の量を増やしてほしい旨を伝えた。
余暇政策論
受講生による文章化途中報告(Bグループ)。調べていくうちにテーマを絞ろうと軌道修正するのは、真っ当な印で大歓迎だ。短い報告の中にも受講生一人一人の個性的な興味・関心が窺われるのがこの授業の特徴だ。社会科学領域一辺倒ではいけないのかもしれない。
10/06/24. Thurs.
スポーツ社会学(白鴎大学)
話題はどうしてもサッカー南ア大会関連になる。ブブゼラをめぐる賛否、南ア社会のFIFAおよびそのスポンサー企業に対する厳しい目線、スタジアム屋根、ホイッスルの製造技術など。大会真っ最中のこの時期、授業で関連の素材には事欠かない。
スポーツ行政論(白鴎大学)
「スポーツごみ拾い」以外はW杯関連の話題提供。オシム氏による組織戦術をめぐる指摘のポイント、FIFAやチームによる高額な賞金・報奨金とそれらがもたらす波紋、日本人主審・副審2名の試合に臨む姿勢と崇高な価値観、監督業の悲哀など。試合そのものに匹敵するぐらいの興味深い関連事項がいろいろある。
10/06/28. Mon.
行政学
管理学の締め括りとして、官僚制組織職員の機能障害現象と、政策学の出だしとしてgovernance論など。キャリア・ノンキャリア論の関連説明が長過ぎたかも。現在行政学を取り扱う時間がなくなってしまった。5月の連休中にレジメ作成で相当貯金を作ったつもりだったが、毎週の授業で「蓄え」はどんどん減っていく。
行政学演習
5月の連休明けの頃ははるか先だと思っていたが、来週がいよいよ研究小論文の締切日。今回で文章化した上での報告が一通り終わる。来週研究室HP掲載は難しいのではという意見が出て、まずは自分の中で完結したものをもってくることにした。スケジュールがずれる可能性があるが、研究室HP掲載のノウハウだけは伝えたい。
卒論指導
卒論生1名と研究生1名から報告。今はできる範囲で少しでも前に進んでいくしかない。研究室HP掲載の仕方を受け継ぐ者がこのままでは皆無になってしまう危機感から、早めに終了した後、皆でビスタの入っているレノボ・ノートをHP作業のメインパソコンに変更。プロトコルを変えFFFTPをインストールし、使えるようになった。今日が研究室HP作業の記念すべき転機の日となった。
10/06/30. Weds.
国際学英書講読
今回と次回は社説ではなく特集の論説を読む。今日はオーストラリアン・フィナンシャル・レビュー掲載の”Haiti’s formidable history”の前半。昨夜のW杯サッカー日本対パラグアイ戦観戦の睡眠不足に加え、内容に引き込まれ、受講生の反応も見て、気持ちが高まったまま教員が一気に訳してしまった。次回はこの後半ともう一つの特集記事を読む。
余暇政策論
受講生による文章化途中報告(Cグループ)。来週がレポート提出日だ。開始前の休み時間にスクリーンとパソコンを一度立ち上げ、来週の受け取りに備えた。12名の報告が終わると残り時間はほとんどなく、新聞報道からの話題提供は次回に持ち越し。提出にあたっての注意事項についても、用紙をなくした人は研究室HPの「講義メモ」を見ておくようにと伝えるのが精一杯だった。