2008年4月 中村祐司の教育日誌
08/04/11. Thurs.
スポーツ社会学/体育社会学(白鴎大学)
スポーツ世界・社会が他の政策領域も含んだ一般にいわれる社会の凝縮形となっている点をまずは強調した。スポーツ世界で習得した知識や技能、さらにはマネジメント能力は他の世界でも応用が効く点も指摘し、これからの受講生による前向きな取り組みを求めた。紙媒体の新聞6紙(朝日、毎日、日経、読売、産経、下野)から、抽象的・体系的な授業内容というよりは、北京五輪関連などその時々の新しい情報を整理・提示し、そこから見えてくる特徴を探っていきたい。テキストはいずれの大学の授業においても10ポイントずつ読んでいき、授業内容に応じて補足の視点や説明を変えていくつもりだ。
スポーツ行政論(白鴎大学)
教室に受講生が入りきれず、止む無く臨時措置として別教室に移動した。三権分立からイメージされる「行政」よりも、実は行政に関連する領域はとてつもなく広く、立法領域や司法領域との交錯が拡大していることを指摘した。また、市場メカニズムとも同様な交錯傾向が強まりつつある点も指摘した。スタンスは前の時間と同じだが、政府活動に注目して少しでもスポーツ社会を見抜く切り口を提供していきたい。
ゼミ担当(「国民生活と行政過程」早稲田大学)
2コマ続きのゼミを今年度担当することとなった。母校であり出身学部でもある。精一杯やりたい。自分が在籍していた四半世紀前とは様変わりで近代的な建物と設備(エスカレーターなど)に驚いた。ゼミの春合宿に顔を出させてもらったので事前にだいぶ状況を把握できたのが大きかった。ゼミを2年生・3年生(そしてこの日は4年生も1名顔を出してくれた)が一緒に行うのは非常に良いやり方だと思う。前半は春合宿での補足発表など。後半は来週以降の3年生による発表日程の確認後、教員から東京都の銀行問題(新銀行東京)、道路特定財源の一般財源化、北京五輪聖火リレーをめぐる意見交換を促した。来週も同じテーマを取り扱う。
08/04/14. Mon.
法学(産業技術大学校)
9回の講義がスタートした。自分の研究領域の紹介と自己紹介を兼ねて、行政・公共サービスと市場との関連性について述べた上で、後半はポイントの10までの補足説明。次回は11から20まで。新聞からの情報については紹介する時間がなく、次回に回す。高級感漂うといってよいほどの施設で講義を持てることを喜び、張り切ってやっていきたい。
行政学
テキストを教室に運び込んだ時点でかなり息切れしてしまった。これからの授業の進め方について、レジメを全部印刷することと、授業担当者独自の行政学講義を目指して「とちぎ発」を用いることを説明。導入としての授業の中身は三権分立と実際の交錯状況について強調した。次回からレジメは2章分ずつ、テキストは10ポイントずつ(「さらに読み解く」を含む)進んでいきたい。
行政学演習
今年度の前期ゼミの基本方針は各自が個人研究を深めること。4年生も2名が顔を出してくれて、院生2名も参加。3年生の任数は10名で、いずれの顔ぶれもこれまでの担当科目のいずれかを履修しており、授業の延長でゼミを選択してくれたことになり、幸先の良いスタートを切った。4月中はテーマ探し。インタビュは臆せずどんどん行動してみるよう進めた。次回は教員から問題提起(レポートの書き方や活字復権についても何か資料を用意するつもり)。新銀行東京、ガソリン税の一般財源化、聖火リレーについての議論をできれば。
卒論指導
6名中5名が出席し、院生1名の指導補助を得て、卒論指導がスタートした。形式面ではあるものの、各々がA4で2枚程度の文章化を行ってきたことで好スタートを切ることができた。レジメのHP掲載は行わないものの、今後の発表スケジュールを決めた。その後、予定はしていなかったものの、聖火リレーをめぐって話しが盛り上がってしまい、終了は19時となった。月曜の卒論指導終了後にこうした機会が持てるのはありがたい。
07/04/15. Tues.
国際学英書講読
この授業のカリキュラムを組む際に教室をどこにするかで相当迷い、限られた空き教室の中で思い切って20数名が上限の小規模教室にした。初回の受講生は30数名で、急遽事務から向かい側の協議室の鍵を借りて椅子を運び込み、ぎりぎりで対応。窮屈だがこれで次回、様子を見てみよう(あらかじめ机を2,3運び込んでおいた方が良いかも)。この授業の位置づけと理念を説明した上で、最初の社説1本を丁寧に読む。次回(残りの社説3本)から受講生には予習が不可欠となる。他の授業もそうだが、とくに英文講読は実践あるのみという要素が強い。
08/04/16. Weds.
「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)
初回の受講者数が5名と少なめではあったものの、いずれもこのタイトルに対して相当な関心を持っているように見受けられた。当分は教員からレジメを配布して、内容を説明した上で、質疑や意見を出してもらうスタイルを取りたい。今日は北朝鮮をめぐる政治状況について。次回はその続きで自衛隊の海外派遣など。
余暇政策論
文化学科の学生の方が多いのはタイトルとも関係あるのかもしれない。4月15日付の新聞報道から余暇政策領域に属する記事を抜き出して資料を作成したので、それをもとに進める。ディズニーランドの多角経営をめぐる話題提供をめぐって、関心のある受講生が授業終了後に質問してきたが嬉しかった。やはり当面は教員側から具体例をどんどん投げかけていこう。
08/04/17. Thurs.
スポーツ・体育社会学(白鴎大学)
聖火問題はひとまず置いて、「北京五輪と政治」と題した新聞特集記事の内容についてキーワードを板書する形で進めていく。いわば過去の五輪大会も含めて、全体像を把握することに努めた。テキストは10ポイントまで。主に奇数のポイントの重点を置いた関連の話題を提供した。次回からは受講生に文章内のキーワードにどんどん線を引かせ、書き込みもさせたい。
スポーツ行政論(白鴎大学)
前回、教室に入りきれなかったため1階に教室変更。設備等は悪くないのだが、構造上、受講生同士の話し声が反響するのか、スポーツ・体育社会学とは対照的に授業を進めづらかった。読売の記事をもとに、米大リーグのレッドソックスを対象になぜ松坂投手と6年間120億円の巨額契約を締結するに至ったのか、他のグループ会社からの収益構造などに絞って説明した。このように新鮮な情報を毎回提供していきたい。テキストは同じく10ポイントまでで、とくに偶数のポイントに注目してスポーツ関連の課題を指摘した。この時間では受講生にテキストへの線引き・書き込みを徹底できたようだ。
ゼミ担当(「国民生活と行政過程」早稲田大学)
白鴎大の大教室ではどうしても声を張り上げてしまうせいもあるのか、体力消耗で早大への移動がきつい。しかしありがたいことに東京(上野駅)までの電車内は空く時間帯で、今後は有効活用していきたい。図書館利用やコピーカード発行の手続を行い、ゼミにはぎりぎりで駆け込む。テキスト(10ポイントまで)にもとづく基礎講義の後、東京都の銀行出資問題と北京五輪をめぐる諸課題について意見交換を行う。次のコマは3年生による発表。一人一回なので重要な場であるし、内容を見極めた上でPDFファイルにして研究室HPに掲載したい。19時30分にゼミが終わると疲れ切った状態だが、回数を重ねるにつれ慣れてくるだろうと楽観視するしかない。
08/04/21. Mon.
法学(産業技術大学校)
第2回目。日経の2つの記事「資源確保に強い危機感」「車「混流方式」で効率生産」の内容紹介とテキストポイント11から20まで。できるだけ産業技術の政策領域に絡ませて話をしたつもりである。次回はポイント21-30と、新聞から別の情報を提示したい。
行政学
レジメ1章と2章を説明。合間にポイントの1から10まで。まず出だしは柔らくスタートといった形で進めた。抽象次元の話だけでなく、できるだけ身近な題材の説明も盛り込んでいきたい。
行政学演習
先週と同じくぴったり10名の参加。新ゼミ生を力づけるつもりで、最初に日経の「人を大事にしない会社」というコラム調の記事を紹介した。新銀行東京の再建、道路特定財源の一般財源化・暫定率失効、聖歌リレーについて意見を求めた。まじめに事前の下調べをしてきたゼミ生が多く、幸先の良いスタートだ。次回はゼミ生がA4版1枚で15部コピーしてきて、一人当たり3,4分程度で報告後に意見交換としたい。
卒論指導
2名が欠席したものの、1名の新規参入があり、院生2名も加えて雰囲気としてはにぎやかな卒論指導となった。1名から報告で、もう1名は欠席のためレジメ提出のみ。報告のスケジュールを練り直し、1回毎の報告メンバーが重複しない工夫をした。今後の研究室運営や新ゼミ生とのコミュニケーションなど、先輩の立場からいろいろと考えてくれる姿勢に感謝。指導終了後にそのまま解散とならないのもいい。この時間帯は大切にしていきたい。
08/04/22. Tues.
国際学英書講読
月曜に連続する授業がきつく、その余波(疲れ)をどうしても持ち込んでしまう。前回、3月8日付の”U.S. Interest in Kosovo”をゆっくり読んだので、今日は残りの3つ”Environmental issues”, “Japan-Korea relations”, “Tackling AIDS” を読み切る。当面は訳をめぐり受講生との間合いを探りながら進めていこう。「継続は力なり」「習うより慣れろ」が最もあてはまるのがこの授業の性格だろう。
08/04/23. Weds.
「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)
少人数のセミナー。一人一人の問題意識はしっかりしているようだ。先週やりきれなかった資料をもとに意見交換。当初の予定にはなかったが、話題に関連して(ITや観光資源など)次の余暇政策論の資料も配布。次回(再来週)は聖火リレーの問題をめぐり国際関係を論じたメールマガジンの論説を配布したので、この中身について意見を出し合うことから始めたい。次回テキストポイント(*以下、他の授業も含めてTPと記す)は11から20まで。
余暇政策論
観光資源や食育について論じた新聞記事とIT関連のインタビュー記事をA3版1枚で配布。教員からの一方的な話が続いたので、受講生には退屈だったかもしれない。しかし、連休明けの次回以降もこちらから話題提供していきたい。次回TPは同じく11から20まで。
08/04/24. Thurs.
スポーツ・体育社会学(白鴎大学)
88年のソウルオリンピックに関する新聞記事を紹介。北京五輪に限らず開催に至るまですんなりいくものではない諸状況を伝えたかった。北京でのマナー向上の取り組みについても紹介する。また、聖火リレーが26日に長野市で行われることを意識して、これに対して受講生ならではの問題意識をもって見守るよう促した。TPは11から20まで。合併が当該地域のスポーツ振興に及ぼす影響は決して小さくないことを強調した。次回は21から30まで。
スポーツ行政論(白鴎大学)
アルビレックス(新潟)がプロサッカー人気を勢いに、バスケットボールや野球に対する県民の認知を浸透させようとしている仕掛けを新聞記事をもとに紹介した。そして栃木SCの決算状況を取り上げ、ここからJリーグ基準の内容や今後の企業協賛と入場料収入を土台とした収益確保戦略を受講生に把握させようと努めた。TPの進み具合はスポーツ・体育社会学と同じだが、話す内容はできるだけ交錯しないように心掛けたい。3度目の正直で教室の場所がようやく固まった。
ゼミ担当(「国民生活と行政過程」早稲田大学)
まず5限の2年生ゼミは基礎講義(TPの11から20まで)の後、IT関連の視点で問題提起したものの、反応が掴めずやや意外であった。まだ3回目なので焦る必要はない。余暇政策論で配布した聖火リレー問題に関わる国際関係の論考を持ってくるのを忘れ、来週に回そうかとあきらめていたところ、何と大変便利なことに教員室にネット接続環境が用意されており、結局、ここで印刷・複写してゼミ生に配布することができた。次回は意見を出してもらうのが宿題。6限の3年生発表は今日が2回目。2年生もこのゼミのスタイルに少しずつ慣れてきたのではないだろうか。自分の経験からゼミというと20数年たった今でも3,4年生で構成されていると錯覚してしまう。ゼミ生と向き合う教員の意識も変えなければ。
08/04/28. Mon.
法学(産業技術大学校)
TPは21から30までが対象。産業技術に絡む話題のキーワードは「曳家工法」「中芯原紙」「シールド工法」「都市鉱山」など。次回は休みで間隔が2週間空くことになる。とにかく技術と政策の交錯領域に注目して、新聞報道から関連の情報を提供していきたい。
行政学
レジメは3章と4章。TAは11から20まで。政策学の性格などTAのポイントに引きつけてシンプルに説明することを心掛けた。次回は曜日調整のため来週の金曜となるが、今日と同じく1回当たりレジメ2章分のペースで進んでいきたい。
行政学演習
A4版1枚で10名のゼミ生が各自の関心あるテーマについてまとめてきた。とにかく基本線さえ守れば、やりたいテーマをやりたいようにどんどん追求していってもらいたい。次回(来週金曜)に向けて特定の課題は出さず、あくまでもゼミ生のやる気と自主性にまかせた。教員側で論文の分量やスケジュール(中間報告や締切日など)について提示することにした。
卒論指導
就職活動(新聞記事によれば「シューカツ」という表記もあり)のため3名が欠席。院生2名を加えて7名で行う。今はテーマを模索する時期だ。ああでもない、こうでもないと探る過程が大切である。卒論指導の場合、前期のスケジュール(報告者など)が固まっているので、これに沿っていかに内容を充実させることができるかが当面の焦点となる。
08/04/30. Weds.
国際学英書講読
水曜日だが振替で火曜日授業の日。3月15日付のThe Japan Times Weeklyが対象(プリントはNo.2)。タイトルは”Waste problems”, “Turkey's position”, “North meets West”, “China on human rights”。来週が連休最終日で休みのため今回は教員主導で進む。それでも後半は何人かの受講生を指名した。最後の社説のまん中あたり、時間が迫り焦ったせいもあり、push for に掛かる対象についてstructural reforms, greater transparency, fidelityの3つを並列関係で把握すべきであったところ、訳があいまいになってしまった点を反省。