2007年5月 中村祐司の教育日誌
07/05/01. Tue.
行政学
月曜振替授業のため、産業技術大学校はないものの、本校の授業はあり。連休の谷間だが、受講者数がそんなに減ったようには思われなかった。今日は3-4章。政治・行政の分離論→融合論、協働の規範、さらには行政の責任論まで言及。そして古典的組織論の「目的の同質性」のところを丁寧に説明した。日本行政学における隣接領域の学問との関連性と、制度学、管理学、政策学の性格に言及して終わり。今日授業を休ますに遂行したおかげで、次回以降の進捗にはずみが付くはずである。
行政学演習
人数の減少はほとんどなく、資料室には独特の活気が漂っていた。前回、とりあえず各自の関心のあるテーマをA5版で挙げてくるということだったので、これを全員に回覧して進行はゼミ生にまかせた。司会が力強くその方向に引っ張ってくれて、緩やかではあるものの労働格差、教育、まちづくり、環境、地域格差、行政制度というグループが見えるようになった。次回もう一度確認して、いよいよ本格的な勉強に入っていくことになる。
卒論指導
就職活動が山場にさしかかっていることもあって、4名の出席。大型店舗をめぐる諸課題についての報告。もう一つは発表者欠席であったものの保育政策についてのレジメをもとに時間を取った。今はまずはやってみたいことに探りを入れる段階なので、インターネットや書跡から関心テーマに関する情報をどんどん仕入れてほしい。
07/05/02. Weds.
「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)
連休前の今回もまずは各受講生からの話題提供で始めた。自動車をめぐるバイオエネルギー(エタノール)のガソリン混合、普通免許制度の変更、アメリカ大統領選、日本の集団的自衛権、犯罪操作に絡む公費懸賞金などが挙げられた。自分が用意した社会的企業に関する新聞記事も紹介。受講生の中には今日の報告のためにメモ書きを用意した者もいた。次回以降、まずはこのようなスタイル(=活字として残すということ)を定着させていきたい。
余暇政策論
余暇について受講生に問うのは後半にして、前半は教員が用意した余暇や仕事に関連する魅力的な言葉を新聞から抜き出して紹介した。連休によって収入減となる期間工の悩みや団塊世代の将来に対する不安などを取り上げた。研究室ホームページの「雑記帳」もここ数年全く手を付けていなかったので、今日のような内容は掲載してもよいだろう。次回も教員側が話題提供して、初期セミと同じく活字化するスタイルを受講生にも浸透させていきたい。
07/05/07. Mon.
法学(産業技術大学校)
第3回目。エネルギー政策について、天然ガス利用など省エネルギーや自然エネルギーについて論じた新聞社説を紹介した。後半はグーグルの台頭・急成長とマイクロソフトのOS戦略について過去の経緯を自分なりに整理した。コンピュータ技術を活字使用との関係で捉える見方が、かえって受講生の興味を引き出したかもしれない。
行政学
5章と6章を一気に進んだ。省略するところは思い切って飛ばし、ポイントを丁寧に説明するよう心掛けた。28日に中間試験を実施する旨も伝えた。その前の週までに何としても第10章まで終えるようにしたい。自分が書いたコラムについても残り時間の中で三位一体の箇所を取り上げ説明した。一回一回の授業という機会は教員にとっても受講生にとってもリピート不可の一期一会の貴重な場であり、手を抜かないでやっていきたい。
行政学演習
人数は19名で確定。私立大学であれば珍しくも何ともないのだろうが、我が行政学研究室にとっては過去に例のない現象だ。前期のみの付き合いとなる受講生も半分ぐらいはいるだろうが、とにかく前期はこのゼミでやりたいという意欲は皆の雰囲気から伝わってきており、そのことを素直に喜びたいし、これからのダイナミックな展開を期待したい。もう変にまとめることを考えるのはやめにした。A5版という大きさは変わらないものの、先週よりも各自記述量が増え、質疑応答も活発になってきた。次回は緩やかなグループ毎に10分の持ち時間で報告し、それをもとに議論することにした。
卒論指導
5名が出席し、そのうち1名から合併に関する報告。今後の方向性として市との共同研究にも合致する形で、合併をめぐる足元の素材(旧上河内町、旧河内町)を生かしていくこととした。欠席者が残したレジメについても同様で、市行政との関連で産官学が捉えられれば面白いと思った。今年度は卒論生6名が卒論研究を深められる絶好のチャンスが来たと捉えたい。
07/05/08. Tues.
国際学英書講読
The Japan Times Weekly (3月31日付)の4本の社説を読む。タイトルは”Rule by iron bar”, “Middle East politics”, “On new passports”, “Palestinian coalition”. 人数は出席カードを確認してみないと分からないものの、少し減少してきた感じだ。やる気のある受講生の占める割合が多ければ多いほど、授業の中身は充実していくと思われる。とにかく週に1回、きっちりと積み重ねていきたい。
07/05/09. Weds.
「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)
前日の英書購読で読んだ新聞社説の持参を忘れたが、頭の中に入っている内容をまとまった形で話すことができた。受講生からはフランス大統領選、農村の過疎問題と地域間格差、中国の一人っ子政策、医療政策、動物保護などが関心ある事項として出され、それらを受けての自発的な発言もいくつかあった。その意味では「セミナー」のねらいとするところが達成されつつある。次回はレポート作成までの正式なスケジュールの提示と今回のスタイル(メモ書きをもとにした報告)の継続である。
余暇政策論
受講生からサッカーについて話題が出たので、その起源やワールドカップ、さらにはオリンピック大会などへと思わず話を広げてしまった。さらにイギリスのスポーツ振興についても言及した。後はインターネット画像を提供する「世界の窓」や減少の一途にある公衆電話の課題、オランダにおける余暇と仕事、パソコンOSやインターネットに関する経験談など、教員側からの一方的な話題提供を行った。次回は初期セミと同じくレポート作成までの正式なスケジュールの提示と、テーマ探しに入った状況での受講生の取り組み方を聞いてみようと思う。
07/05/10. Thurs.
体育社会学(白鴎大学)
できるだけ具体的な事例を取り上げて、それが社会に及ぼす影響力について指摘するようにした。学業と実業団スポーツとの両立を目指す陸上選手などの事例は、年齢的にも受講生とほぼ同じで刺激となったのではないだろうか。
スポーツ行政論(白鴎大学)
マネジメントの側面にも注目して、事例の一つとしてJリーグの人気チームが地方遠征する際に、そのチームのファンの大移動も起こり、そのことが地域の活性化や子どもたちの生活に好影響を及ぶす可能性について説明した。
07/05/14. Mon.
法学概論(産業技術大学校)
Google Docs & Spreadsheetsの機能を紹介しつつ、「ネット上でサービスを動かすグール型モデルと、パソコン上でソフトを動かすマイクロソフト型モデル」のどちらに軍配が上がるのか考察した。その他、県内における先端技術企業を新聞記事から紹介し、世界に進出するマーケットのダイナミズムについても言及した。
行政学
対象は7章と8章。とくに7章については議院内閣制の機能不全、中央省庁制の特徴と変容など中身が詰まっており、教員の経験も紹介しつつ、受講生の理解を促した。何とか順調なペースで進んでいて、来週9章と10章を終わらせて、再来週に中間試験を実施する。
行政学演習
昼から所要で学外にいたので、昼間に行政学資料室を開けておくのを失念してしまい、一部の3年生には迷惑をかけてしまった。ゼミは最初の一グループによる小報告が終わった後、展開を変え、グループ毎に少し時間をとって話し合い、まとまった形での報告としてやり直した。議論やプレゼンも大切だが、「書く」という行為を最終的な目標にしたい。19名による活気あるゼミが動き出したのは喜ばしい。
卒論指導
5名の卒論生が出席し、2名による報告(気球の運営、水行政)。ぜひ宇都宮市との共同研究とつなげる形でやっていきたい。研究室としては備品や消耗品の購入は極力控え、調査とその研究の成果として報告書以外にコンパクトなブックレットのようなものの完成を目指したいと現時点では考えている。
07/05/15. Tues.
国際学英書講読
受講生の数は減ってきているようだがそれでも30人弱ほどであろうか。教室の変更は難しそうである。とにかくこの授業はできるだけ脱線せずに1回1回を淡々とやっていくしかない。今日は”Virginia shootings”, “Riyadh summit”, “Demos in Russia”, ”British inflation”の4本。受講生にはぜひ訳をもう一度白紙の状態から読み直すぐらいの気持ちを持ってほしい。
07/05/16. Weds.
「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)
レポート提出要領を提示した。いよいよ7月4日の締切に向けて今日から本格的なスタートとなる。受講生からは赤ちゃんポスト、憲法改正をめぐる国民投票、フランス大統領選、外来種問題、タミフル問題などについての報告があった。次回までにWeb上のレポート提出要領とインターネット情報のレポート利用に関する小論を読んでおくこととした。むしろテーマ探しでは大いに試行錯誤した方が、それだけ良質なレポートにつながっていくのではないだろうか。
余暇政策論
同じくレポート提出要領を提示した。ただし、締切日は6月27日なので要注意だ。受講生は40名超というのは初めてのケースで、どうしても一方的な講義となりがちだ。要領の内容をスクリーンに映して説明し、自分が数年前に書いた小論についても読んでおくよう促した。グーグルの無料ワープロソフトについてはマイクロソフトとの関係で大きな変革の糸口になるかもしれないと強調したものの、受講生には今一つピンと来なかったようである。
07/05/17. Thurs.
体育社会学(白鴎大学)
以前に一区切りは付けたものの高校野球の特待生をめぐる問題で、教育と野球(スポーツ)とどちらを軸にして考えればよいのか、問題を投げかけた。その他の具体的事例(スポーツが社会に及ぼす影響)について、キーワードを黒板に板書した。
スポーツ行政論(白鴎大学)
栃木SCをめぐるスポンサー意外の県内各種企業による支援の取り組み事例などを紹介した。受講生は、スポーツがいかに他の領域へと波及していくパワーを有しているかについて理解を深めたのではないか。授業終了後、熱心な学生2人が新聞記事おいてスポーツ関連特集記事がもっと拡充されるべきだと話し掛けててきた。関心が高まってきたがゆえでの発言であり、教員としては大変嬉しかった。
07/05/21. Mon.
法学概論(産業技術大学校)
「稲わら」から作る自動車向けのバイオエタノール(自然エネルギー燃料)の開発状況、同じく自動車向けの大型リチウムイオン電池開発への取り組み、素材産業である鉄鋼産業の好況、注目されつつある「ピタコラム」という耐震新補強方法、工作機械工場の海外進出など、具体的な事例を取り上げた。残り回数から言って近刊の拙著の使用は難しいかもしれない。
行政学
9章10章と一気に進み、これで来週の中間試験の範囲まで到達した。試験まであと一週間というわけだからではないだろうが、受講生が理解しようと集中する雰囲気・姿勢が伝わってきて、教える上での活力をもらった感じがした。来週の試験に向けて早めに問題を作成しなければ。
行政学演習
前のコマに会議が入ったため、慌てて駆けつけた。やはり予め資料室から大きめの椅子を廊下に出して、研究室の椅子2つと、折りたたみ椅子を補充しておいてよかった。次回あたりからゼミ生自身が早めに来て自分たちで空間を確保するようもっていこう。各グループ毎のこの1週間の勉強成果報告と質疑応答。全員からの積極的な発言を期待したい。最後の方、予め用意していた色付きA5版のメモを配布し、成果論文提出、発表会、三大事業(ジョイント、ISFJ、まちづくり提案)への協力を呼び掛けた。
卒論指導
6名全員が揃った。やはり顔を付き合わせて直接的に確認しながら目標(市共同研究)に向かって一歩進むことができたのが大きかった。書類の手続きなど面倒くさいと思えばその瞬間に愚痴ばかりになるだろうが、これも一つの行政実務の勉強・経験だと思えば前向きに取り組めるはずである。まずは6月はじめのワーキングを充実させるべく、次回も内容を詰めていこう。
07/05/22. Tues.
国際学英書講読
The Japan Times Weekly(5月5日付)の社説4本を読む。タイトルは”Nigerian elections”, “Africans for Wolfowitz”, “Independence Day”, “Choice in Mexico”. 受講生の訳に再考させられ何回か立ち止まった。文法の力を借りざるを得ないものの、ある程度の勢いは必要だろう。それでも書いてきたものを棒読みされると付いていけない。とにかく1回につき1枚のこのペースを堅持していこう。
07/05/23. Weds.
「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)
今月中に受講生はテーマを確定するので、テーマ探しは今回が最後となる。次回までにテーマを確定し、そのタイトルを提示してもらう。できればこれに加えて調べたことの口頭での報告があればさらにありがたい。
余暇政策論
同じく今月中に受講生はテーマを確定するので、テーマ探しは今回が最後。当初、受講生全員から現段階での関心事項について一言述べさせるつもりだったが、時間的にやり切れないかもしれないと、急遽ゼミ生を指名した。嬉しかったのはその後で自発的に手を挙げ発言した受講生がいたこと。回を重ねるにつれて、学生の積極参加がなされればいいのだが。次回は全員からタイトルを提示してもらう。
07/05/24. Thurs.
体育社会学(白鴎大学)
3カ月後の世界陸上開催(大阪)との関連でアフリカ諸国をいくつか取り上げた新聞記事を紹介。スポーツが人々のアイデンティティに直結していることを指摘した。日々の新聞記事からは確かに断片的な情報しか伝わってこないものの、スポーツに関連する解説記事はいずれの新聞社のものも興味深く、授業で取り上げる格好の素材となっている。
スポーツ行政論(白鴎大学)
サッカーくじをめぐる「ビッグ」現象に注目した。知的ゲームとの関連でいえば昨年9月の導入は、個人的には禁じ手に限りなく近い措置だと思う。着替えを要しないフィットネス「サロン」についても言及した。授業をやりながら、スポーツ社会現象は生き物のごとく日々変容しているようで、だから興味が尽きないものだと感じた。
07/05/28. Mon.
法学概論(産業技術大学校)
事例として、ロボットスーツ開発の実用化に向けた可能性と軍事利用を防ぐ方策、全工程がコンピュータで管理されている世界トップもやし工場、再生可能エネルギーをめぐる課題、を取り上げた。身近に卓越した産業技術創出の実践事例があると受講生にも刺激となるようである。来週は休み。再来週以降、残り回数も少なくなってきたが、気を抜かずにやっていきたい。
行政学
中間試験の実施。筆記用具以外持ち込み不可とし、レジメはカバンの中に入れさせ、机の両端に座らせるなど、うるさく思われたかもしれないが、できるだけ公正な試験環境を作るために、内職もせず1時間集中して見回った。受講生を信頼しているものの、万全を期した試験環境づくりも必要だろう。折り返し点ということで、次回は11-12章。レジメのWeb上への掲載をうっかりしていて、試験終了後慌てて掲載作業に入った。
行政学演習
だんだんと各グループの取り組みがはっきりしてきたし、内容や報告スタイルにも個性が出てきたようだ。この調子でレジメを作成し、ゼミ生間でアドバイスし合って、来月の中旬ぐらいから論文作成に入ってほしい。うつのみやまちづくり提案について話し合う時間がなくなってしまった。現段階で手を上げるゼミ生はなし。自発的な申し出があればそれが一番なのだが。来週は、ぎりぎりまで代表者を探すことになるのだろうか。
卒論指導
宇都宮市との共同研究に向けた各テーマの設定確認に時間を割いた。教員にとっても研究室4年生にとっても未知な挑戦だけに、実務処理も含めていろいろと試行錯誤はあるだろう。しかし、大変有り難い機会であり、今までの研究室活動の蓄積がこのような機会を得ることにつながったので、どのような場面でも前向きに、そして実際に前進していきたい。
07/05/29. Tues.
国際学英書講読
The Japan Times Weekly(5月12日付)のイギリス、韓国、アメリカ、リトアニアの社説を読了。タイトルは”Post-Blair battle”, “Keeping the East Sea”, “Iraq withdrawal”, “Riots in Estonia”. 訳し方に定型はないのであろうが、教員の意図を汲んで皆で進めていくスタイルを取る受講生が増えてきたことが心強い。この授業はまさに「継続は力」がそのまま当てはまる。その意味では「日常化」ならぬ「週常化」のペースで、あまり悩まずに淡々とかつ意欲をなくさず進めていくことが肝要だ。
07/05/30. Weds.
「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)
受講生から現時点での確定したテーマの紹介と問題意識の提示をさせた。書きたいテーマと実際に書き始めてからの内容とがずれることもあり、とにかく丁寧に積み重ねる形でのレポート作成プロセスを目指してほしい。『地域社会を見るポイント』の購入について生協書店で可能と決めてかかってしまったが、授業終了後それが無理と判明というか判断した。来週はこの件で一言謝らなければ。
余暇政策論
同じく受講生から現時点でのテーマの紹介と問題意識の提示。口頭で一人1分間ぐらいの目安でスピーディーに進めていったが、それでも40数名いるので、1時間以上かかった。若者ならではのユニークな視点が相次ぎ、メモは取らなかったものの、一つ一つのタイトル・内容が興味深かった。来週は中間報告。一人の持ち時間は2分間と短いものの、凝縮感のある口頭報告を期待したい。
07/05/31. Thurs.
体育社会学(白鴎大学)
高校野球特待生制度や諸外国(米・英・仏・中・韓)の状況、代理人、エージェント企業、中国雑伎団などの活動を紹介した。マイクが機能せず、声を張り上げ続けたため、授業終了後は妙に疲れてしまった。断片的なスポーツ現象の事実から見出されるスポーツ社会の特徴をこれからも指摘していきたい。
スポーツ行政論(白鴎大学)
スポーツ活動環境に注目し、柔道界の中学部活をめぐる盛り返し策、県内スケート施設の課題、フットサル全国リーグの9月開催、プロスポーツ放送とCS・CATVとの連携の新たな動き、などについて取り扱った。教育実習や大会参加の時期のせいか受講生の人数がガクンと減ったようだ。一喜一憂しても始まらない。毎回の授業はある意味で一発勝負。これからも1回1回の授業を大切にしていきたい。