200610月 中村祐司の教育日誌

 

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06/10/02. Mon.

 

現代政治の理論と実際

今日から後期がスタート。この授業のねらいとするところと大まかな進捗予定を、自分が担当する全体の授業との位置づけとも絡めて説明し、雇用問題や年金問題、選挙など個別の政策事例や相互の関係などについて述べた。後半は受講生一人一人から目下関心のある課題を挙げさせた。談合やエネルギー政策などいくつかのキーワードが出てきたので、次回は出席カードに書いたメモをもとに、簡単なレジメを配布し話題提供したい。

 

地方自治論

同じく自分が担当する授業科目の中でのこの授業の位置づけや特徴を最初に述べて、その後地方自治論が対象とする射程の広さと深さについて、国内の合併や地方政府体系(とくに代表性の側面)、廃棄物処理や小中学校教育など具体的で身近な公共サービスを挙げて説明した。受講生の関心事項を尋ねると、前の時間と同様、交通システムや駅前開発などいろいろと出てきた。次回以降数回は、日本の地方自治が置かれたここ10数年間の状況を説明する講義とするものの、受講生からの質問や意見の時間も確保するように心掛けたい。

 

卒業研究準備演習(行政学ゼミ)

ISFJ、ジョイント、まちづくり提案に向けて研究室の取組みが本格的にスタートした。3つのテーマ(農業政策、自転車交通システム、広報サービス)をめぐって、今日から本気になって調査研究活動に入ってほしい。人数は6名と多くはないものの、メンバー相互の相乗効果をぜひ発揮してほしい。

 

卒論指導

 やむなく3名欠席ではあったが、この日までに8ページ分文章化してくるという課題を何とかクリアするう姿勢が見えたのは大きい。2カ月半ぶりに顔を合わせた卒論生も元気そうで安心した。研究室内締切を1211日に設定したので、残り2カ月強の間、毎回4人が部分的な卒論提出を行くこととした。2週間のサイクルを目標に同じ舟に乗ったつもりで、やっていきたい。後期初、しかも終日の授業でさすがに疲れたものの、まずは何とか後期のスタートを切れたことを喜ぼう。

 

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06/10/03. Tue.

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英文講読U(学部共通教育)

このような場がないと、なかなか英字新聞の社説は読めないのが実情だ。初めてなので受講生による予習がなされていないことを前提に、ゆっくり気味に930日付のThe Japan Times Weekly(以後、次週から同社説を用いる)を全部読む。タイトルは”The pope and Islam”, “A papal stumble”, “Japan’s new leader”, “The IMF’s role”.1週間は油断するとあっという間なので、教員側も11回の予習をぬかりのないようにしていきたい。

 

比較政策研究(大学院)

今年の受講生は2名と少数であったため、教員も加わり1回に1名の報告で回していくこととした。じっくりとできそうだ。内訳はM1、M2、教員なので、横並びではない形でお互いに学びあっていきたい。今日は初めてなので報告のスケジュールを決めたりファイル提出の様式を確認したりした。大学院の授業は研究と直結する。当たり前のようだが11回を大切にしていきたい。

 

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06/10/10. Tue..

 

英文講読U(学部共通教育)

 923日付の社説である“China’s hegemonism, “It’s a boy”, “Britain without Blair” と進み、”Western views of Islam”の途中まで。受講生の進み具合に合わせて説明に時間をかけたため、最後まで読み切れなかった。しかし、すべり出しとしては良い感じである。受講生への割り当てをもっと細分化した方がいいかもしれない。

 

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06/10/16. Mon.

 

現代政治の理論と実際

北朝鮮の地下核実験をめぐる国際社会(関係主要諸国)の動きに注目し、新聞から得た基礎データを打ち込んだレジメを配布した。これをもとに「国連憲章第7章」「6者協議共同声明骨子(059)、第二次世界大戦後の核開発や核抑止をめぐる世界の動きなどを説明した後、後半は受講生の声を拾った。意見交換までには至らなかったものの、真剣に考えていることが伝わってきたのは収穫だった。次回もこのテーマを取り上げたい。北朝鮮情勢はこの1週間で相当な動きがあるかもしれない。

 

地方自治論

昨年1月にまとめた分権、合併、三位一体改革を取り扱った論文を「ミニテキスト」として使用した。今日を含めて授業3回ほどで説明し終えるつもりである。1993年以降の地方分権の流れを機関委任事務の廃止に焦点を当てて述べた。受講生にとっては硬い感じのする用語が並び、概論的な話であるのでとっつきにくかったかもしれないが、ここ10数年の日本の地方自治をめぐる状況を理解するためには不可欠な内容なので、あと何回か辛抱してほしい。

 

卒業研究準備演習(行政学ゼミ)

 後期のゼミは3年生が7名で確定。いよいよ12月に向けて緊張した雰囲気が出始めてきた。まずはやってみるという姿勢が大切だ。この点は教員による研究教育でも学生による取組みでも共通している。これから実務的な連絡調整もいろいろ出てくるだろうが、ゼミ生にとっては一番勉強に打ち込めるこの時期、ある意味ではなりふり構わず積極的にやってほしい。農業試験場、駐輪場、カクテルイメージのまちづくり、自転車道と自動車道との共存など、いずれにおいても切り口がだんだんとはっきりしてきた。

 

卒論指導

今日から1回につき4名の報告で卒論完成というゴールに向けて8名が進んで行く。後期からの卒論指導はスタンスを変えて、とにかく実際の卒論の一部、つまり目次における位置づけを意識しつつ、文章化したものを提示してくることになった。まさに段階を踏んで積みかげていくこのスタイルを何とか継続・維持してきたい。

 

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06/10/17. Tues.

 

英文講読U(学部共通教育)

受講生の反応がまだつかめないものの、とにかくコンスタントかつ安定感を持って進めるよう心掛けたい。前回やり残した”Western views of Islam”から、107日付の”Dunn and dumber”, “Blocking Hamas”, “Thawing relationship”, “A blatant ultimatum”の途中まで。今日のところは構文上難しい箇所が2,3あったが、正面から取り組んだ上で分からないのであれば、それは受講生にとっての読解力の糧となるはずだ。分量の面で敷居の高さをできるだけ感じさせないよう、次回の割り当ては10名程度となったものの、ぜひ全体の読み込みに取り組んできてほしい。

 

比較政策研究(大学院)

 院生1名から報告(マレーシアの技術設計開発者の教育のあり方に関して)。少人数なのでじっくりと意見交換ができた。報告を聞きながら修士論文作成の源泉は知的好奇心であることを再確認する思いであった。この授業では政策研究に関する自分なりの視点をどんどん提示していきたい。

 

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06/10/23. Mon.

 

現代政治の理論と実際

北朝鮮核問題を再び取り上げた。関連の情報で関心のあるものを受講生がピックアップして簡単な口頭報告。メモ書きを用意してきた受講生が2-3名いたことに力を得た。教員が用意したレジメの内容は、「PSI」「貨物検査」「日本周辺での米軍支援」「日米中関係の変容」「北朝鮮政権の行く末」など。次回もう一度テーマとして取り上げることにした。受講生は一歩進んで、口頭報告用(一人3-4分)のメモを用意してくるよう課題として提示した。

 

地方自治論

ミニテキストとして用いている拙稿の雑誌論文を使って、とくに90年代後半からの合併論議の推移について説明する。自分が経験した具体例を取り上げるとどうしても話が長くなってしまう。次回は三位一体改革と、その後の今日までの政策や状況の変化についてもフォローして述べておく必要があり、そのためのレジメを用意しなければならなくなりそうだ。

 

卒業論文準備演習(行政学ゼミ)

ゼミ生5名と寂しかったものの、まさに足で稼いだ情報の提示があり、内容は充実していた。直接現場に足を運ぶことは、発案の土台形成にとって不可欠なもので、それをゼミ生が実践していることが頼もしい。

 

                                                 卒論指導

文章化を重ねていくのは苦しい作業だろう。目次と論文とのにらめっこはこれからも相当続くであろう。だが、今の時期がこれから真正面から取り組むかどうかの分岐点でもある。教員としても、これからの11回は朝からの授業の疲れを言い訳にせず、集中して卒論生が提出した活字とにらめっこしていかなければ。

 

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06/10/24. Tue..

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英文講読U(学部共通教育)

“A blatant ultimatum”の残った部分を終え、1014日付の ”School shootings”, “U.S. efforts in Darfur”, “President Hu meets Abe”, “Collapsing Airbus”を読了。時間的余裕を確保して終えたのは、過去のリサーチ英語セミナーや国際学英書講読ではなかったことで、このペースが続けばいい。次回も今回のように受講生の訳の割り当てを細分化する方法でいきたい。

 

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06/10/30. Mon.

 

現代政治の理論と実際

北朝鮮の地下核実験をテーマに今回まで3回にわたってやってきたが、今日で一応一区切りとした。受講生から数分でピックアップしてきた関連情報の紹介があった。そのなかには自分なりの見解の提示もあった。教員からも簡単なレジメを配布(韓国の太陽政策の見直しや中国の対北朝鮮締めつけ策など)し、後半はこうした情報提供をもとに意見交換。6者協議か米朝の2カ国協議か、北朝鮮政権の今後など、明確な道筋を見出すことはできなかったものの、各々が一定の範囲内で知恵を絞った。次回は関心のあるテーマについての口頭報告。

 

地方自治論

三位一体改革については論文執筆時の内容では、その後の展開をフォローしていなかったものの、概要理解に重点を置いて説明した。分権改革、合併との絡みを理解してもらえばいい。次回講義では、今日までの展開についてレジメ作成が必要だ。ここ数年、地方自治の現場経験を試行錯誤しながらも積み重ねているので、話題には事欠かないものの、骨格となる制度や用語説明だけは押さえておきたい。

 

卒業論文準備演習(行政学ゼミ)

1117日(ISFJ原稿締切)、1122日(うつのみやまちづくり提案原稿締切)、123日(ジョイント合宿共通テーマのレジメ締切)を目指して、いよいよゼミ生の取り組みにも本腰が入ってきた。今までの蓄積とこれからますます意欲を高めていけば、道は必ず開けるはずだ。若者ならではのフットワークの軽さと柔軟かつ斬新な発案能力をぜひ生かしてほしい。

 

                                                 卒論指導

3名欠席とやや寂しかったものの、4名のいずれの報告も、文書作成が確実に進んでいるので安心して聞くことができた。レジメではなく、現段階から文章化したものを提示させる指導のやり方は始めてだが、今のところ非常にうまくいっている。1211日の研究室内締切まであと6週間。これからが卒論生の真価発揮のしどころだ。

 

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06/10/31. Tue..

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英文講読U(学部共通教育)

1021日付のThe Japan Times Weeklyを読み切る。タイトルは、“U.N. reform runs amok”, “A real test?”, “Masquerading in Myanmar”,の3つ。比較的平易な英文が続いたものの、だからこそ構文を英作文の際に利用しようという意気込みが大切だし、丁寧に読んでいくことのスタンスをこのまま維持していこう。

 

比較政策研究(大学院)

院生1名から報告(中国の人権政策)。少人数なのでじっくりと取り組めるし、異世代間での自由闊達な意見交換ができて、教員にとっても研究上の何らかのヒントが得られようで、そのことが嬉しい。学際領域の色濃い大学院授業の様相も呈してきており、徐々に軌道に乗ってきた感じだ。

 

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