20065月 中村祐司の教育日誌

 

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06/05/08. Mon.

 

法学(産業技術大学校)

連休明けのためか、授業の勘を取り戻すのに少し戸惑った。「ハードディスクの進化」「ファイル交換ソフトWinnyを介した機密情報流出」「国産ソフトShare」「韓国SNS」について取り上げた。インターネット利用の新次元と情報セキュリティ問題などの事例を雑誌や新聞記事から抽出し、キーワードを板書した。授業の準備を自分にとっての政策情報収集に生かしつつ、できるだけ平易な言葉で受講生に伝えていきたい。

 

行政学

立法・行政関係における「統制の規範」と政治・行政関係における「分離の規範」を説明した。その後、耐震偽装問題をめぐる規制行政のあり方についてと、歳出削減をめぐる現在の議論を紹介した。このように行政学におけるポイントと現在の行政課題とを同時平行的に把握しながら授業を進めていきたい。

 

行政学演習

 都市の活性化について、各自が思い思いの観点からレジメ1枚を用意し、順番に報告。その後の意見交換は活発とはいえなかったものの、若い世代の「やる気」を感じ取った。次回以降のステップとなったように思われる。焦ってテーマを絞り込むことはせず、試行錯誤しつつもこのやり方を次回も継続していくことにした。

 

卒論指導

卒論テーマ設定をめぐり自治会・町内会と社会起業家(社会的企業)に関する2名からの報告。教員からだけでなく卒論生間でもいろいろな意見のやり取りができた。幸先良くこのような形でまずは報告の第一巡目を目標としていきたい。論文作成にあまりにも身構える必要はないだろうか、それなりの気構えを形成してもらう時期である。

 

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06/05/09. Tues.

 

国際学英書講読

Mideast uncertainty, again”, “Kyoto’s big con”, “Africa’s two faces”, “Boy shoots girl”, “Money can’t buy everything”をほぼ読み終える。次回に向けて、訳の担当者を予め決めておくようにした(この点では自主的に手を挙げてもらえたので助かった)。パラグラフ毎にあらかじめ指定しておくのも良いかもしれない。いずれにしても退屈な「基礎トレーニング」と決め付けずに、社説を読む醍醐味を少しでも受講生に伝えられたらと思う。

 

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06/05/10. Weds.

 

「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)

 「ジンバブエと中国」「中国とアフリカ」「フィリピンの海外就労」「日米関係」「「中国とインド」をキーワードに主に新聞記事から話題提供。電子ファイルの整理の仕方についてもアドバイスした。意見交換では国家間関係の縦軸(歴史)を追う必要性の指摘などがなされた。次回は各自がレジメ1枚を作成して紹介する。

 

余暇政策論

「スポーツと平和」「サッカーW杯ドイツ大会」「公営ギャンブル」「韓国SNS」をキーワードに調べてきたことを紹介した。とくにSNSをめぐって、すでにこれに類するサービスを利用している受講生もいて、話が盛り上がった。人間の「外側の情報」だけでなく、「内側の情報」のネットワーク化されつつある時代の到来を感じた。次回は初期セミと同じく受講生の半数がレジメ1枚を作成してくるとした。

 

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06/05/11. Thurs.

 

体育社会学(白鴎大学)

 「紛争地におけるスポーツの価値」「子どもの運動遊びを対象にしたスポーツ指導ビジネス」「県内におけるプロバスケットボールチーム設立の動き」「サッカーW杯の関連イベント、交通インフラの整備、経済波及効果」といった話題について、新聞記事をもとに板書しながら説明した。ワールドカップまで残り1カ月を切った。次回の授業でもおそらくこれに関連した話題を取り上げることになるだろう。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

 2016年の五輪招致をめぐり福岡市と東京都の国内招致レースを取り上げ、両都市の構想の違いと類似性を指摘した。097月のIOC総会での決定に至る今後の長丁場のスケジュールについても把握し、識者の見解も紹介した。スポーツ行政に関わる新しい諸課題は事欠かない。毎回の授業でできるだけ現在進行形のタイムリーな話題を取り扱っていくよう心掛けたい。

 

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06/05/15. Mon.

 

法学概論(産業技術大学校)

先走って朝日コラム原稿(万引対策について)の内容について、親の対応など書き込めなかった内容も含めて話した後、日経新聞栃木版に掲載された「加治金属工業」を紹介。宇大も含めた産学官共同体の取組みであるイチゴ摘みロボットの開発などが興味深かったからである。印刷してきたHPをスクリーン上に映し出すこともした。受講生のものづくり意欲の向上につながる授業とするよう、次回も心掛けたい。

 

行政学

政治・行政の分理論→行政管理論の組織管理におけるギューリックによるPOSDCorB、そして政治・行政の融合論を説明。組織理論の系譜における古典的組織論についてもピラミッド型の階層構造を板書しながら、縦割り組織と横割り組織について出来るだけ具体例を挙げて分かりやすく説明したつもりである。朝日コラムについて少し触れ、残りの時間は基礎的財政収支の理解の確認と今後5年間での歳出削減が10兆円になりそうだということを数日前の新聞記事から口頭で伝えて終了。

 

行政学演習

 ゼミ生間での意見交換をねらいとした。できるだけ口を出さないようにした結果、後半に活発な展開がやりとりされた。ゼミなので全体的な方向性とやるべきことの大枠を教員が提示しておけば、後は自主的に展開していく感触が得られた。最後に授業前にコピーしておいた、うつのみやまちづくり提案の要領を配布した。次回も同様に各自のレジメをもとに議論を進めてもらいたい。

 

卒論指導

2名から産業廃棄物と障害者スポーツに関するレジメ報告。進路を模索している卒論生が一同に会する週1回の貴重な機会であり、ゼミに倣ってできるだけ、学生間での意見交換の展開を促すよう心掛けたものの、後半は思わず熱く語ってしまった。それでも順番に意見を求めると鋭い良質の指摘が続出した。次回も教員からどんどん指名して考えを引き出すようにしよう。

 

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06/05/16. Tues.

 

国際学英書講読

この授業のねらいを理解する受講生が多いせいか、当初より人数が減らないのは嬉しいことである。あらかじめ指名しておくやり方で進んだ。”Talking with Iran”, “Strategic errors”, “The future in black and white”, “One man’s crimes”の途中まで。当たった受講生の意気込みを感じる授業だった。国際学部(あるいは宇大)の学生ブランドは「リアクション・パフォーマンス」(指名すると良い意見を言う。あらかじめ当てておくとしっかり課題をこなしてくる)という側面かもしれないと思った。次回はこの続きから次の社説集の行けるところまで。

 

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06/05/17. Weds.

 

「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)

 レポート提出日を628日に設定。その後の2回(75日と712日)を意見交換会とし、719日は総括のセミナーとなる。また、67日と614日は中間発表会と位置づけた。原稿要領等については次々回あたりで提示したい。各受講生がレジメ1枚を作成してきたので、それをもとに報告後、司会者のリードで議論が進んだ。受講生が作り出すセミナーが今回から実質的にスタートしたことになる。次回も同様なやり方とする(司会者も自主的に決まった)。

 

余暇政策論

レポート提出日については初期セミと同様に628日。その後3回に分けて意見交換会となる。中間発表については同じく67日と614日としたい。残念ながらレジメを複数印刷してきた受講生は3名のみではあったものの、口頭などで合計9名が報告。直前に決めた司会者による意見の引き出し方のうまさもあって、ディズニーランドのマネジメントなどをめぐり後半とくに盛り上がった。次回は別の10名の報告者からの話題提供となる。

 

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06/05/18. Thurs.

 

体育社会学(白鴎大学)

 サッカーワールドカップドイツ大会の日本代表チームの選出をめぐる悲喜こもごもを紹介。新聞記事をもとに、ブラジルのキャンプ地、米アマ球界と中国有名選手のドーピング問題について、キーワードを板書した。授業の素材は新聞報道がもととなっていて、教員にとっても興味深い事例を取り上げるよう心掛けている。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

 下野の論説「スポーツ留学 揺らぐ県内での強化基盤」と、日経の「改革の将 冷めた熱狂」(ドイツ代表チームの課題)、それと朝日の「伊サッカー、疑惑の嵐」の内容を紹介。まさにスポーツをめぐる課題が地方自治体や国家の重要な政策課題となっている事例である。

 

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06/05/22. Mon.

 

法学概論(産業技術大学校)

消費者金融改革、耐震偽装防止、原油高について、新聞報道を情報源にキーワードを板書しながら説明した。授業も軌道に乗ってきて折り返し点まできた。ものづくりに取り組む受講生の視野を少しでも広げる手助けができたらと思う。

 

行政学

行政学における制度学、管理学、政策学の位置づけを最初に説明。その後、分権・分離と集権・融合の考え方に時間を割いた。直接参政制度など戦後の改革の柱を列挙したところで時間いっぱいとなった。消費者金融改革をめぐる政策については触れられず。しかし、できるだけ今の問題をピックアップして紹介する時間を少しでもこの授業の中で確保していきたい。

 

行政学演習

宇都宮市主催の「大学生等によるまちづくり提案」への申込書の作成をめぐって、じっくりゼミ生間で話し合って、提案内容の現時点での骨格を2つのグループがまとめるまでに至った。じっくりと着実なスタートを切る雰囲気が漂っていて非常に頼もしく感じた。

 

卒論指導

2名から町の活性化方策とフリーペーパーに関する報告。発表者以外からいろいろな視点が出されて面白かった。夏休み前まではこのように試行錯誤したとしても、テーマ探しに真剣に取り組んでいけば、必ず道は開ける。

 

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06/05/23. Tues.

 

国際学英書講読

“One man’s crimes”の途中から、Olmert’s plans”, “Deadly nature”, “Iraq’s step forward”, “Mr.Hu goes to Washington”, “Lethal Cruetly”, “Leaders’s language”まで終える。訳を割り当てられた受講生がいずれも意欲的なので、そのことが授業の質に直結しているのが感じられて嬉しい。教員も学生も自分一人ではなかなかこれだけきっちりは読めないと思うので、とにかく11回を大切にしていきたい。

 

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06/05/24. Weds.

 

「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)

受講生からテーマ探しの報告。しっかりレジメを用意してくるのでセミナーが成り立つ。司会者も迷いながらも頑張っていた姿が良かった。次回はレポート作成要領の提示と口頭でのテーマ設定報告とする。 レポート提出は1カ月後の628日としたので、まずはこの日を目指してスタートしてほしい。67日と14日は中間報告の予定。

 

余暇政策論

8名からのレジメ報告。司会者が場の雰囲気を読むのが巧みで意見交換がおおいに盛り上がった。このような時間は教員にとっても貴重に感じた。次回は初期セミと同じくレポート作成要領の提示と口頭でのテーマ設定報告とする。携帯電話の料金支払いをめぐる世代間の違和感など今日の話は大変興味深く、意見交換の時間をぜひ次回も確保したい。

 

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06/05/25. Thurs.

 

体育社会学(白鴎大学)

 サッカーのW杯ドイツ大会に選出された日本人副審についての記事を紹介。その後、オフィシャルパートナーの広告面(東芝と富士通)を紹介して、市場としての価値の高さについて説明した。次回もできればワールドカップの話題を取り上げたい。

 

スポーツ行政論(白鴎大学)

 栃木SCのJリーグ参入に向けての記事とイタリアのユベントス不正疑惑事件の記事を取り上げた。後者は目下イタリア国内の最大の関心時であり、スポーツ界の影の側面を映し出している。迫力のある新聞報道を次回もピックアップしていきたい。

 

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06/05/29. Mon.

 

法学概論(産業技術大学校)

日経新聞の記事から栃木県鹿沼市のイケヤフォーミュラ、群馬県太田市の三菱電機群馬製作所、来年10月にF1が開催される富士スピードウェイの経済効果を取り上げた。以前用いた資料を焼き直すのではなく、自分にとっても毎回ものづくりに関する新しい情報を仕入れるよう心掛けていきたい。来週は休みで次回は再来週(昨年は間違えて教室まで行ってしまった)。

 

行政学

1993年以降の分権改革の流れについて説明したものの、どうしても話しが長くなってしまった。議院内閣制における与党機関の横槍とこれを崩そう(崩した?)とした小泉改革に言及。残りの時間で話題を変え、法の盲点を埋めるべく検討されている消費金融改革とその背景について新聞記事から整理した。そろそろ7月の試験を見据えたポイントのWeb掲載を気にし始める時期になってきた。

 

行政学演習

ISFJについての事前の情報収集をしてこないゼミ生がほとんどだったのは誤算。宇都宮まちづくり提案の申し込みについてもじっくりと全員で取り組む姿勢は良い一方で、もう少し機敏さが欲しい気もした。ジョイントについても動き出した。前期は710日の発表会を目指し、2グループでサブゼミもスタートするだろう。研究室の目標に至るスタイルや道筋は毎年異なっていい。教員としては時には辛抱強く見守っていこう。

 

卒論指導

2名から報告(食育政策と図書館行政)。就職活動等で3名が欠け、ややさびしかったものの、前期はとにかくこのスタイルでやっていこう。話題提供するにはそれなりの準備が求められ、その作業が論文作成につながっていくはずだ。毎週月曜のこの時間帯は、疲れで出ているだけで精一杯という状態に近いが、授業とは異なる楽しみを味わえる時間帯でもある。

 

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06/05/30. Tues.

 

国際学英書講読

“Another bloody day”, One man’s crimes”, “Moussaoui loses”, “Peru’s two evils”, “Nuestro Himno”, “Facing up to the past”,そしての”Blair gambles on last-gasp Cabinet shuffle”の途中まで。5番目の社説において皆で考えても分からない(文章そのものではなく前後関係)箇所があった。あまり煮詰めても仕方ないものの、どうも気になった。やはりネイティブ(アメリカの新聞)な社説をすんなり読解するというのはなかなか難しいものの、逆にやりがりがあると捉えて、次回も前向きにやっていこう。

 

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06/05/31. Weds.

 

「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)

レポート作成要領を配布して丁寧に説明。以後のスケジュールが固まった。67日と14日が中間報告。621日は口頭でのレポート作成進捗報告と教員からの話題提供。628日が提出日。そして、75日と12日の2回にわたってレポートをめぐる自由討論会となる。いよいよセミナーも本番というか佳境を迎える。ぜひ自分も1本作成したい。

 

余暇政策論

同じくレポート作成要領を配布して説明。中間報告、レポート提出日の日程は初期セミナーと同じだが、その後の自由討論会を3回実施する。携帯電話・メールがフリーターなどの雇用の場で用いられている新聞記事を紹介。仕事の裏返しとしての余暇との関連で、前期に9コマも持っていることを話した。受講生にはぴんと来なかったかもしれない。良否はともかく、どうしても月曜から木曜まで授業コマが詰まってしまっているため「流す」感じの過ごし方になっている。

 

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