200510月 中村祐司の教育日誌

 

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05/10/03. Mon.

 

現代政治の理論と実際

後期の共通教育、しかも1コマ目であるにもかかわらず、20名以上の受講生がやってきた。この状態が続くかどうか分からないものの、珍しい現象である。学部も様々。この授業の位置づけと双方向の授業を心掛けたい旨を強調した後、関心のあるテーマについて順番に質問していった。行革の問題や環境政策、日朝関係の今後などいろいろ出てきて頼もしかった。まずはリラックスした雰囲気で次回はいくつかのテーマについて話題提供した上で、意見らしきものを吸い上げていきたい。

 

地方自治論

学部の専門科目。2年生と3年生がほとんどである。同じくこの授業の位置づけを説明。最初にこれをやっておくことの意味はある。合併問題に関心のある受講生が多いように見受けられた。ここでも講義一辺倒にならずに、何とか対面式で進めていきたい。国際学部は学生の出身地が国内各地・国外と非常に幅広いので意見交換だけでも面白い授業が展開される可能性がある。また、この時間が学部同学年の学生同士、互いの考えをよく知り合えるようになる良い機会にもしていきたい。

 

卒論準備演習

研究室で卒論を作成する8名プラス韓国に留学していた1名でジョイント、ISFJに取り組んでいくことに決定。前期にやったことを振り返りながら、今後やるべきことの共通認識を皆で固める時間となった。7月中旬以来、資料室に足を踏み入れてなかったものの、部屋の雰囲気に全く違和感がなかった。12日の学内研究会に参加してはどうかと誘ったところ、7-8名が参加したいとのことで大変うれしかった。

 

卒論指導

 2名欠席となったものの、卒論生と久しぶりに顔を合わせた。夏休みの間に資料を集めておくという課題の達成はなかなか難しかったようだ。再来週までにできるだけ資料を集めるよう発破を掛けた。とにかく部分的でもいいから文章化したものをこの時間に提示させるような形で進めていきたい。暫定的な目次を皆が共有して、これステップにするようにすれば励みとなるかもしれない。いずれにせよ馴れ合いは禁物だ。

 

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05/10/04. Tue.

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リサーチ英語セミナー(学部必修)

背伸びして昨年に引き続きやると宣言してしまったリサーチセミナー。英字新聞を読み進めるスタイルは継続したい。受講者数の制限が15名とのことだが、上限集まったように見受けられた。英字新聞の社説の内容を正確に把握するというこの授業のねらいを説明する。ある種の「基礎トレーニング」となるので、辛抱の続く展開となりそうだが、楽しく明るくやっていきたい。最初ということで受講生は予習ができなかったせいか、教員の提供する構文把握や訳の説明に対する反応がなく、この点やや気掛かりだ。

 

公開講座(コミュニティ入門)

6回シリーズの初回がスタートした。受講生からは毎回若干名ではあるものの、どんどん意見を引き出していきたい。身近な地域社会の問題は当該地域内で決して完結している訳ではない点を最初に強調した。今回は自己紹介、実際に取り組んでいる活動、関心のある活動、さらには「コミュニティ」「住民」「市民」といった言葉からイメージするところのものを各々に語ってもらった。受講生の反応がさすが大人という感じでスムーズにスタートできた。

 

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05/10/11. Wed.

 

リサーチ英語セミナー(学部必修)

 自発的に訳にチャレンジする受講生はいなかったものの、前向きに学んでいこうという雰囲気はあった。できるだけ当てるようにしたものの、一定の量もこなさなければならない。”Nuke accord of sorts”を丁寧に読み終え、ややスピードを上げて”More Earthly concerns”も読み切る。次回は2枚目の”Learning curve”まで行けるか。

 

公開講座(コミュニティ入門)

町内会・自治会についてインターネットから用意した資料(存在意義や運営の課題、行政との関わり、ホームページ立ち上げなど)を配布して、3名の社会人の方々と講座を進めた。実際の経験から出てくる意見は大変興味深い。次回はコミュニティ活動の先進的実践例や、行政側によるコミュニティ政策、さらには中央省庁(総務省)の意図するコミュニティ振興などに関する資料を配布できればと考えている。

 

比較政策研究(大学院)

 いろいろな研究室所属の8名の受講生が集まる。最初に自分の研究に取り組むここ数年のスタンス(政策に関するものは貪欲に領域を問わず学んでいこうということ)について述べた後、各々自己紹介を兼ねて目下最も関心のあるテーマについて短く語ってもらう。今後の進め方と報告の日程を決めて終わる。回数は多くないものの、11回を充実させていきたい。成果はその都度研究室HPに掲載していく。

 

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05/10/17. Mon.

 

現代政治の理論と実際

1回目の受講生が激減し、数名が新規に入ってくる。落ち着くまではもう1回ぐらい必要か。イラク憲法草案に関してレジメを配布しながら話題を提供した後で意見交換。受講生から万遍なく意見が出てきたというわけではなかったものの、積極的に発言する者もいてまずは好調な実質的スタートといえるのではないか。次回はイラクに関連する問題を各自が調べてきて口頭で簡単に報告させた後、本日と同じようなスタイルにもっていきたい。椅子の並びを円形に近い形にするよう注意したい。

 

地方自治論

まずは話しの始めとしてイラク憲法草案における連邦制度導入について調べ切れた範囲で説明する。その上で地方自治制度が国の体系を形成する重要なものであること、各行政サービスをめぐる集権ないしは分権の度合いが私たちの生活や思考様式に大きな影響を及ぶすことを強調した。後半は教育分権なども含めた意見交換をと意気込んだものの、思うように手が上がらず苦戦した。それでも日本に限らず一国の地方自治制度をめぐる課題の重要性については認識してもらえたのではないか。

 

行政学演習B

 20数分遅刻せざるを得なかったものの、各勉強グループの報告を自主的に進めてくれて安心した。いずれのグループも非常に良い感じで進んでいるという印象を受けた。テーマや結論について大いに迷いながら進んでいくのが今の時期だ。1週間経過するごとにどんどん真剣味と迫力が出てくればいい。オーストラリアのちょっとしたおみやげを今日になってようやく皆に与えることができた。

 

卒論指導

3名からの報告があった。いずれも前回、教員が強調した文章作成に応えてくれ、この調子で行けば大丈夫であるという感触を得た。過去の指導の経験から、1220日過ぎあたりに一斉に出されるとパニックに近くなることが分かっているので、今年度は章や節の順番にはこだわらず文章の形でできるところからどんどん積み上げていくよう方針転換をした。どうやらこの手法で上手くいくと確信でき、幸先の良い実質的スタートとなった。次回は今日報告以外の4名が作成した文章の一部を示すこととなった。

 

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05/10/18. Tues.

 

リサーチ英語セミナー(学部必修)

前回やった“More Earthly concerns”の抜かしてしまった1パラを訳し、”Glimmer of hope, Spent force, Hint of schadenfreude?”と進むものの、予想外に時間を食ってしまった。できるだけ受講生主体で進めてほしいのだが、時間との関係でこのあたりにジレンマを感じる。残り時間が少なくなったものの、あきらめないで”Learning curve”に入るものの、3分の1ぐらいまでのところで時間切れ。次回は前半自分でできるところまで進んで、後半は受講生の頑張りに下駄を預けたい。

 

公開講座(コミュニティ入門)

 インターネット情報から上越市が作成したものと思われる報告書の一部である「コミュニティ行政の役割と組織」を取り上げ、これをもとに今後の町内会・自治会のあり方や包括的なNPOの可能性、コミュニティ施設の活用方策などについて話し合った。若者世代を地域活動にどのように取り組んでいけば良いのか。活動組織内での人々の役割分担と活性化に向けた仕掛けをどのように設定していけばいいのか、といった課題をめぐり議論が盛り上がった。学生を相手にするのとは異なる類の充実感を持った。

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05/10/24. Mon.

 

現代政治の理論と実際

イラク統治問題を取り扱う2回目。受講生各々からこの1週間で得た情報を紹介させ、これをもとに意見交換を行った。フセイン裁判のあり方や自衛隊駐留延長問題、米国の統治戦略や日米関係などについて話し合った。次回はイラク問題に絡む波及課題(自衛隊の存在意義や憲法問題、日本の中東諸国との関わり方)も含め、もう一度、各自が調べてきて報告した上で、もう少し突っ込んだ議論に持っていきたい。

 

地方自治論

今回から日本の地方分権の流れについて説明を始めた。レジメを配布してこれに沿って、93年の国会決議から95年の地方分権推進法の成立、翌年の地方分権推進委員会の設置、そして、中間報告総論のポイントについて講義した。国際化時代の分権の必要性、東京一極集中是正のための分権など分かりやすい論点を提示したつもりであったが、それに関する意見はあまり出なかった。指名するとそれなりの答えが返ってくる。次回からはレジメではなく「改革者」に執筆した拙稿や県内市町村合併について書いた拙稿をもとに進めていく手もある。

 

卒業論文準備演習

市のまちづくり提案関係の成果の提出が12月に早まった。ジョイント、ISFJの後、間を置かずに締め切りが設定されたことになる。ジョイントの共通テーマである合併しない小規模自治体の取り組みはともかく、他のテーマを連関させることはできないだろうか。今日のゼミは各勉強グループによる進捗状況の報告。来週はゼミ生の発案で報告というよりは打合せや調査の段取りなど作業の時間に充てることとした。ゼミ生にとってもこの時間は皆が顔を合わせることができる大切な時間であることが分かった。研究が面白くなってきたというゼミ生の発言は何とも頼もしいし、うれしい言葉だ。

 

                                                 卒論指導

今までの卒論指導ではやって来なかったやり方がうまくいっている。ある程度の目次ができたら、とにかく書けるところから文章を作成していく。そうすれば、卒論生にとってはプレッシャーが和らぐと同時に、自信とやる気と安心感が得られるはずだ。今日は4人からの文章提示、来週は3人という形でやっていきたい。この調子で行けば、学園祭あたりをも当面の卒論作成の目標時期に設定してもいいかもしれない。

 

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05/10/25. Tue..

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リサーチ英語セミナー(学部必修)

Learning curve”の途中から教員による訳で進めるだけ進んだ。”Plan to free Myanmar” を終え、”Exit Eisner”の途中まで。後半は受講生に託してこの続きから3パラグラフ分を訳して文章に記すようにした。英字新聞をしっかりと読むと解釈面だけでなく国際情勢をめぐる基礎知識も身に付けられるのではないか。次回も同じやり方で進めていきたい。今の段階では受講生の反応を把握できないものの、根気よくやっていきたい。

 

公開講座(コミュニティ入門)

あらかじめ岩舟町の基本構想を読んでおいてもらい、その内容をもとにディスカッション。いかにしたら自分たちが住んでいる地域に元気を注入することができるかについて考えた。様々な世代が交流しながら生活する、人々が集まってくる面白い仕掛けがなければいけない、地域外から人々を呼び込むことに一生懸命になるより、そこで生活している人々の幸せや充足感に重きと置いてはどうか、といった意見が出された。次回も教員側から事前に資料・データを提供しておいた上で、進めていきたい。

 

比較政策研究(大学院)

3名ずつ目下最も関心のあるテーマについて文章化したものを提出するというやり方で進める、その1回目。ドイツ都市計画、ドイツ戦後補償、中国(大連市)の環境政策についての報告で、一人15分から20分ぐらいの間で説明し、その後休憩を入れて質問や意見交換を行った。院生の場合、教員の意図をよりすばやく汲んでくれる側面があり、スムーズに進めることができた。回数こそ多くはないが、11回の中身を濃いものにしていきた。

 

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05/10/31. Mon.

 

現代政治の理論と実際

イラク問題に関連して受講生から簡単な報告後、自衛隊の存在意義なども含め話し合った。メディア報道と個人発のインターネット情報との違いや、石油利権をめぐる各国の思惑などにも言及した。まだ活発な議論の展開とはなっていないものの、少しずつ現時点での考えを伝えようという受講生の雰囲気は出てきた。次回は中国を対象に日中関係も含め各々がやりやすい切り口で調べてくることになった。

 

地方自治論

「改革者」1月号に掲載した短い論文をコピーして、制度的な分権の流れとその背景について説明した。自治事務、法定受託事務といっても受講生には分かりづらいようで、地方自治体の行政サービスは名称だけでなく、実際に体験してみないとなかなかピンと来ないのかもしれないと思った。あるいは日常生活で当たり前のようになっているので返って理解が及ばないのかもしれない。次回は後半を説明して、その次までには三位一体改革について補足レジメを作成しておかなければならない。

 

卒業論文準備演習

今回は作業や打合せということであったが、ISFJ発表班を除きゼミ生が揃ったので、小規模学校教育、合併をしない選択をした小規模自治体の取組みについて、現状の進捗具合と今後の詰めについて話し合った。数カ月ぶりに資料室のパソコンをいじったがどうも動きがおかしく急に不安になった。アップデートもしていないし、HP更新となると実質的には手付かずの状態だ。気心が知れたゼミ生とはいってもパソコンに限らず複数で資料室を共同利用するというのは、なかなか一筋縄ではいかないものかもしれない。次回は本番に向けた報告となる。

 

                                                 卒論指導

 観光政策、JFLサッカーチーム、派遣労働問題に関する報告。明日から11月に入ると卒論生にとっても正念場となる。例年とは異なり、文章を積み上げてきているので強烈な不安はないかもしれない。とにかく論文は自分次第だし、やった分の結果がそのまま曝け出されるシビアな部分もある。研究室として胸の張れる成果を生むためにも、皆で励まし合う前向きの雰囲気の中で作成に向けて加速していきたい。

 

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