2004年7月 中村祐司の教育日誌
04/07/05. Mon.
法学概論(産業技術大学校)
来週で最終回だが、今日を入れないであと2回はあると勘違いしていた。慌てて、前半にテキスト7章の説明を入れて、後半は試験代わりの小論作成に充てた。第1章から第7章までの一つの章を選び、自分なりの考えを書くというもの。欠席者には次回までの課題とし、出席回数が足りない者にはこの課題を2つ提出ということにした。担任の先生のうち、一人が授業をずっと見てくれている(ご苦労様です)ので連絡がスムーズにいって大変助かった。次回は参院選投票日の翌日となるので、この話題を取り上げよう。
行政学概論
来週が試験。今日はテキスト第19章、第20章で、試験ポイントを中心に説明。何とか最後まで行った。詰め込み型の講義内容となったのは致し方ない面がある。理想は教員自身が教科書を作成することであろうが、力量が及ばないのが現実。今後、どのような行政学教科書を用いればよいのか、来年に向けて少しずつ検討していきたい。しかし、その前にまずは今度の試験で一人でも真剣に準備する受講生を増やしたいという思いから、「今、やらずしていつ勉強する」と発破を掛けた。あきらめなければ必ず成果は出るはずだ。試験問題を早目に用意しておきたい。
行政学演習
7月16日に本番を迎える「年金制度改革」をめぐるゼミ試案の検討。だいぶ深まってきたような気がした。要は会場からの質問に対して自分たちの言葉でしっかりと答えられればそれでいい。そのためには、受け売りの知識ではなくて、いろいろな情報を集めつつも、自分たちの頭の中でぎりぎりまで考えることが必要だ。残りは実質あと1週間程度。来週、どのような内容のものを出してくるのか楽しみである。
卒論指導
久しぶりに大勢集まった感じで活気があった。ペットボトルとビンに注目したリサイクル・リユースのあり方についてと、化粧品業界の流通について。月曜のこの時間帯は午前中の疲れが蓄積されるのか、年々きつくなってくるものの、卒論生間の意見交換に耳を傾けていると、思いかげない視点があったりして興味深い。早いもので前期はあと2回。夏休みにやっておくべきことを明確にし、後期から好スタートを切るためにも気を緩めないで一回一回大切に臨んでいきたい。
04/07/07. Weds.
「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)
レポート提出日。全員分が出揃ったのは喜ばしかったものの、ワード文書の形式が不統一で調整に戸惑い予想外の時間を食ってしまった。また、ぱっと見た限りでレポートというより、箇条書きのメモノートのようなものがあったのが気になった。気を取り直して、掲載の順番を決めた後、HPに掲載するこの時間のレポートのトップページを作成する。何とか時間内に体裁が出来上がりほっとしてしまったのか、トップページファイルをメモリーカードに保存するのを忘れてしまい、暑い中、後で研究室から戻らなければならなくなった。いずれにせよ、来週、再来週の討議がこのセミナーのメインイベントとなる。司会者担当も積極的に手を上げてくれすんなりと決まり感謝。
余暇政策論
3回シリーズの討議の1回目。前日、コメントを書くためにじっくり読んできたので、受講生の発言内容の把握が容易であった。改めて、口で喋ることと、実際に書くこととの密度の違いを感じた。何かを成し遂げるという側面では、後者の方がより実践・実行的な色彩が濃い。やはり、言うだけで書かなければ、研究者に限らず、学生にとっても課題に対して真摯に向き合ったことにはならないように思われる。1回目よりも2回目、2回目よりも3回目という感じで、討議の充実度が高まっていくことを期待したい。そのためにはまず定刻通り始めることだ。また、時間前にやってきた、やる気のある受講生が遅れてくる受講生のためにイスを並べ替えている光景には矛盾を感じてしまう。
04/07/12. Mon.
法学概論(産業技術大学校)
9回シリーズの最終授業。前回の小論のうち、印象に残ったものをピックアップして読み上げる。ごみ問題と高齢者福祉問題が多かった。予想外だったのは、受講生の親がヘルパーをやっていたり、祖父母が介護保険サービスの対象となっていたりして、身近の問題として福祉に直面していたことだった。ごみ問題にしても、アルバイト先での経験談と、そこで実感として捉えた問題がいくつか見られ、非常に参考になった。やはり実際の現場での経験から出た問題提示には説得力がある。後半はテキスト8,9,10章の概要を説明した後、昨日の参院選について言及した。
行政学概論
前期期末試験を中間試験と同じく農学部の教室を借りて実施。授業評価アンケートもこの時間にやらざるを得ず、時間を10分ほど延長した。この授業は一方形式の講義で、試験に備えて理解した上で暗記することを課している。受講生が今後、他の学問領域の勉強を進める上でも役立つ視点を整理して提供してきたつもりである。教員としてはその成果をどうしても試験の出来具合で判断せざるを得ないので、一人でも多くの受講生が高得点を挙げてほしいと思う。採点は日数をおけばおくほど苦しくなってくるので、早目に取りかかるようにしたい。
行政学演習
年金制度改革案として、ゼミ生が作成した試案の法案を一文ずつ検討した。その根拠となる資料もこれから数日で用意するという。コンパクトにまとめた骨子も提示してはどうかと提案した。完璧なものではないだろうが、学生が条文作成に真正面から取り組んだ意義は大きいと思う。あとは試案の一つ一つについて、参考にした政党や関係団体、専門家などの案の援用部分と、ゼミ生によるオリジナルな部分とをはっきりと区分けして、質問に対してよどみなく答えられるように全力を尽くしてほしい。ISFJからの連絡がゼミ生に全く伝わってないことが判明。やはり窓口は一本化しておかなければいけない。
卒論指導
今回と再来週の次回で前期の卒論指導は終了となる。今日は、4本の発表で構成。テーマは、「大型店進出による地元商店街に対する影響」、特殊法人としての中央競馬会の特徴、「市町村合併がといかけるもの」「広域連携物流特区」。一つのテーマをめぐる意見交換の時間は通常より短かったものの、その分、内容の吟味が間延びせずかえってスムーズに進んだ印象を受けた。ゼミと同じでこの時間は卒論生の発言に耳を傾け、教員にとっても何らかの発想や視点のヒントが得られるよう心掛けている。
04/07/14. Weds.
「国際社会を見る眼を養おう」(初期セミナー)
自由討議の前半。単に意見を交換し合うだけでなく、イラク問題をめぐる何かしらの解決策を共同で見出そうとする真剣な雰囲気があった。言いたいことを遠慮し合う必要がなくなったほど、このセミナーを通じて気心が知り合えたといえるのではないだろうか。大変うれしいことである。現代世界を知るためには学ばなければいけないことがたくさんあることを、教員を含め皆が認識した時間になった。次回はさらにグレードアップして締め括ってもらいたし、受講生にはおそらくそれができるように思われる。
余暇政策論
3回シリーズの自由討議の2回目。スタートがどうしも遅れてしまう。昨日、じっくりレポートに目を通してきたせいか、作成者がいわんとする内容について、口頭でのやり取りの中でさらにはっきりと把握できた。やはりコメントを文章化しておく作業はしんどいものの、教員の側にとっても読み流すだけとは異なり、やったなりの成果が自分にはね返ってくることが実感できた。受講生にとっても自分の考えをコンパクトに口頭で説明する貴重な機会のはずだ。座っているだけでは意味がない。次回は発言を全くしない受講生が一人もいないように期待したい。
04/07/21. Weds.
「国際社会を見る眼を養おう」(初期セミナー)
第2回目の自由討議。参加者は9名。人数的に余裕があるので、1本のレポートに対して十分な意見交換の時間を確保できた。イラク問題に限らないであろうが、調べれば調べるほど考察の前提として押さえておかなければならない事項が増えてくるし、別の視点も浮かんでくる。ようやく考察のスタート地点に立てたという思いもする。しかし、このセミナーで毎週1回、受講生間で知恵を出し合ったことは決して無駄ではなかった。10名の受講生が今後、何らかの形でこの経験を生かし、他の勉強においても飛躍してほしい。
余暇政策論
第3回目の自由討議。教員からの発言はほとんどないものの、この日に合わせてコメントを作成してきているので、受講生の発言を聞いていると、他者のレポートの読み込み具合が分かり面白かった。やはり、コメントといえども文章化しておくことの意義はある。レポートの内容には温度差があるのは免れないものの、受講生によるテーマ設定において、余暇政策が包含する新しい領域の拡大を毎回発見させてもらえるのがうれしい。もっと講義内容には改善の余地があったのではという思いと、これで何とか最終回までたどり着いたという安堵感とがないまぜになった。
04/07/26. Mon.
行政学概論
子どもの頃は、今の時期といえば南伊豆の海で泳いでいることが多かった。そのころの体験が強烈に焼きついているせいか、さすがに仕事とはいえ、この日に授業を行うとは何となく変な感覚である。テキストを概観して総まとめを行った後、自分が今、取り組んでいることを具体的に話した。話しながら、いろいろなことに足を突っ込んでいるなと我ながら呆れるような思いであった。このような教育・研究のスタンスを無謀に終わらせるのか、研究面で体系化を達成するのか、何とか後者に持っていけるよう努力したい。その意味では授業もゼミも、卒論指導もすべてに積極的にやっていきたいし、そのことが土台となるような気がする。
行政学演習
年金制度をめぐる発表を振り返って、今年度前期の活動として一つの財産となったことを皆で確認した。後期以降の大まかなスケジュールを説明し、ISFJとジョイントに備えるゼミ生の基本姿勢についても確認した。前期に達成した自信をぜひ、後期にもつなげてほしい。形式的にはこの演習は本日で最後であるが、大変うれしいことにこのメンバーが後期の演習も中心で動いてくれることになりそうだ。気持ちが優しく、チューターや院生も含め、大らかな連中ばかりに囲まれてゼミの指導に当たることができたのは教員として幸せであった。
卒論指導
卒論指導も今日で前期はひとまず締め括りとなった。毎回、ほぼスケジュール通りに発表を積み重ねてきた。今日は2本の発表で、内容は中国における化粧品市場の拡大と、ゼロエミッションや循環型社会形成基本法を取り扱ったもの。卒論生にやる気がなければ、教員がいくら発破を掛けても、「笛吹けど踊らず」となってしまう。その点、適度な緊張感を保ちつつ、毎回、内容のある発表を継続できたことは大きい。ここでも、卒論間の活発な意見に支えられ、ゼミと同じくとても良い雰囲気であった。10月の最初のこの時間に各自が夏休みに行ったことをレジメ1枚で報告してもらい、その後のスケジュールを固めることとした。研究室内の卒論締め切りは12月15日-20日のどれかあたりになりそうだ。