2004年4月 中村祐司の教育日誌
04/04/14. Weds.
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「国際社会を見る眼を養おう」(初期セミナー)
シラバスの内容に関心を持ってくれたせいか20名以上の受講生が集まった。お互いに顔を見合いながら意見交換するために椅子の配置を車座にした。セミナーなのでリラックスして臨んでほしいと述べた後、一人一人に簡単な自己紹介をしてもらった。現在の問題に注目していこうということで、イラクにおける邦人拉致を取り上げ、自由に意見交換する。自衛隊派遣の是非や、海外における身の安全に政府がどこまで入っていくべきかといったことがテーマとなった。とにかく、教員側がしゃべり過ぎないで、受講生の力で構成していくようなセミナーにしたい。次回までに「田中宇の国際ニュース解説」のうち、「世界を動かすスペインの政変」を読んできて、これをもとに認識の共有と各自の見解を出すこととした。準備しておいた講義メモは次回に取り扱う。
余暇政策論
「余暇」に何らかの関心を持つ学生は意外と多いようだ。この時間も何とか受講生間で対面できるようにイスを配置しようとしたが、やや定員オーバーといった感じ。うれしいことである。何とか皆が向き合うようにイスを並べ、まずは固い内容ではあるものの、自分が担当する全授業の中でのこの授業の位置づけについて、シラバス画面をスクリーンに写しながら説明した。自分のHPを情報管理の中心に置いたらいいという野口悠紀雄氏の考えを記事にした新聞の内容も示した。受講生一人一人に自己紹介してもらった後、余暇をどのように捉えればよいか、いままで自分がやってきたスポーツ政策関係の研究内容を部分的に紹介しながら説明した。スポーツ以外の余暇政策領域についてはあまり言及できなかったので次回に補足したい。テキスト「公共を支える民」についてはとりあえず来週までに購入するようお願いした。用意した講義メモの説明が中途半端となってしまったのでこれについても次回に補いたい。
「地域社会と現代T」(大学院国際学総合研究B)
7名の教員(一人当たり2回分担当)によるオムニバス形式の授業。取りまとめ役ということもあって最初に自分が行うことになった。実は院生から授業を受講するという連絡が研究指導の1名だけであったので、その院生の問題関心に引き付けたような内容を考えていた。結局全部で5名が受講することが直前に分かり、急遽テーマを変更し、あわててスクリーンを用意して、地域における講演会用に用意したレジメを写しながら、分権と市町村合併について解説した。14回の最初の2回ということもあり、院生による意見の表明を次回も引き出すようにしていくつもりである。
04/04/19. Mon.
行政学概論
一コマ目に市町村合併に関して、栃木テレビの取材を受けたので、やや慌しかった。テキストの第1章の説明。教室がいっぱいでぎりぎりに詰めても数人は他の空き教室からイスを持ってこなければならなかった。大まかな進捗予定について述べた後、板書をしつつポイントを中心に教える。今回からの新しい試みとして、キーワードについての説明を講義メモに掲載するつもりだ。最初のせいか受講生はやや緊張して説明を聞いていたふうに感じた。次回は第2章。基礎トレーニング的な講義内容となるが、たとえ短い時間でも講義の合間に事例を盛り込んでいけたらと考えている。
行政学演習A
6名の新3年生が参加。4年生、院生、チューターの院生が1名ずつ。まずは自分の口からのこのゼミの全体像について説明し、その後、4年生やチューターがいろいろと補足してくれた。やってみなければ分からないというのが本当だろうが、新3年生には何となく頭の中にイメージを描けてもらえたのではないだろうか。ディベートに向けては来週からが実質的なスタートとなる。資料室のいらない冊子などの処分をおこなったせいか、だいぶすっきりした。次回までにディベートとはどういうものか各自がインターネット等で調べてきてくることにした。ゼミ生としての顔ぶれも来週には固まるだろう。早くも2名がパソコンへのログインを希望したのはうれしかった。そのための手続き作業を院生にまかせる。
卒論指導
久しぶりの顔合わせだ。皆元気そうでよかった。1回に2名ずつの発表でその日程を決める。できるだけ問題意識を文章化してくることで合意を得た。レジメはA4版1枚で、表裏と縮小文字で工夫してもらうこととする。現段階でのテーマについて述べてもらった。夢中になって取り組めるものであることが前提になるだけに、しばらくの間は試行錯誤してもよいから、書き手が納得できるものを自ら設定してほしい。3コマ目の資料室にあった不要な冊子の廃棄作業(院生が手伝ってくれ感謝)も含めて、朝から久しぶりのフル回転だったせいかさすがに疲れたものの、一仕事したという心地よい疲労感もあった。
04/04/21. Weds.
「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)
人数ががくんと減って一ケタになってしまった。とっつきにくいと思われてしまったようである。しかし、このぐらいの方がセミナーとしてはやりやすい。メールマガジンの「世界を動かすスペインの政変」(田中宇)を資料に取り上げ、意見交換を行う。また、イラク人質事件をめぐる日本の世論(とくに人質の家族の政府に対する訴え等をめぐって)や、アメリカのイラク戦略についても自由に述べてもらった。次回は「米イラク統治の崩壊」(4月13日付)と「イラク駐留各国軍の危機」(4月20日付)を読んできて、議論する予定。今後は受講生が紹介してくれた池澤夏樹のHPなども検討し、このセミナーとして関連のリンク集も作成していきたい。先週と今回用意した講義メモに言及することができなかったので、次回には必ず言及しなければ。
余暇政策論
だいぶ出入りがあったものの、結果的には前回よりも人数が増えた。壁にイスを接する形で何とかイスの配置は可能となった。「余暇」を取り上げることの意味について、先週用意した講義メモと、昨年のこの授業で自分が書いたレポート内容を紹介する形で前半の時間を使った。後半は、イラク人質事件をめぐる世論について、受講生の考えを尋ねた。次回は受講生一人一人に余暇政策に関わるテーマとして考えられものを2つか3つずつ挙げてもらうこととする。テキストについても6章1節〜3節を取り扱うことにする。
「地域社会と現代T」(大学院国際学総合研究B)
以前に個人的に書いたこの授業のシラバス内容も考慮して、The Japan Times Weeklyの4月17日付の”U.N. walls have ears”と題する記事を取り上げた。国連における情報管理がいかにお粗末かという内容で、これとの関連でイラクにおける主権譲渡において国連が担うであろう機能の脆弱性について述べた。その後、02年11月の学部主催のシンポジウム「21世紀における民主的な国際関係を目指して」で用いたペーパーの内容を紹介し、治安の回復や国の再生に地域社会こそが担う役割があるのではないかと個人的な問題提起をした。また、イラクの邦人人質解放をめぐる一連の世論の動態、さらには国家と個人、NGO・NPOと政府の相互連携の可能性と現状の限界について、受講生から意見を募った。最後に残された僅かな時間で、雑誌『科学』(岩波書店)4月号に掲載されていた原千秋「就職活動」のコピーを配布し、今後の院生の研究活動をめぐって自分の経験からアドバイスを与えた。オムニバス形式のため自分の担当はこれで終わりとなったが、機会があればぜひ後期の「比較政策研究」で再会したい。
04/04/26. Mon.
行政学概論
テキスト第2章。受講生の減少により教室の入り具合がちょうどよい状況に落ち着いたようだ。立法-行政の統制の規範と、政治-行政の分離の規範にポイントを絞って説明した。分かりやすい事例を紹介しつつ説明するよう心掛けた。受講生に質問を発するのをうっかりしてしまったので次は気をつけよう。次回はゴールデンウィーク対応の振替授業のため来週金曜となる。3章、4章と2章分ずつ進んでいくことになり、進捗のスピードを引き上げることとなるので、教える側も無駄のない説明に努力していきたい。
行政学演習
受講生が今日で確定した。7名(男子3名、女子4名)とゼミとしてはちょうどいいのではないか。前半はディベートについて各自が調べてきたことを説明してもらう。自分が用意したレジメも配布した。小学校の頃からディベートを経験したゼミ生もいて、具体的な細部等については今後詰めてはいくものの、大枠については認識を共有できたようである。後半はテーマ案を出し合う。積極的な提案が続き、12-13の案が出た。ちょうど、ディベートを行う相手先(田巻研究室)のゼミ生も2名いるので、2人に今日出た案をこの後の時間の田巻ゼミに伝えてもらうこととする。大まかなスケジュールとしては連休明けにテーマ案を絞り込み、6月中旬にゼミ内模擬ディベート、7月中旬に本番のディベートを行うこととなる。学内外にもPRして、来場者に判定してもらう方向で進めていきたい。
卒論指導
今回から本格的なスタート。5名+院生が参加して2名がレジメをもとに発表する。視点の設定はこれからだが、各々「漫画」と「競馬」を対象とするとのこと。共に夢中になって取り組める素材であろうことが窺われた。まずは関連の資料をどんどん検討して、だんだんと切り口を明確にしていけばいいと思う。授業レベル―ゼミレベル―卒論レベルと学年が上がるにつれて、自主性をどんどん身に付けてくれる姿を目の当たりにできうれしかった。卒論指導も今日の授業と同じく、振替のため次回は来週の金曜になる。とにかく1回1回丁寧に積み重ねていくことが大切だ。
04/04/28. Weds.
「国際社会を見る目を養おう」(初期セミナー)
イラク問題について、田中氏の「米イラク統治の崩壊」(04年4月13日付)と「イラク駐留各国軍の危機」(04年4月20日付)を取り扱う。後者については受講生に司会を務めてもらう。だんだんと各自の意見が活発に出てくるようになった。このメンバーでいろいろな視点を出し合い、たとえ机上の空論であっても、何らかの解決策の糸口や今後の展開の予想を共有していきたいと考えている。次回は連休をはさみ2週間後になるが、この問題についてのインターネット情報を各自が調べてきて、提供し合うことにした。
余暇政策論
授業の前に、前回討議したイラク問題に関わる人質の自己責任に絡んで、受講生の一人にインターネット情報を提供してもらう。授業では一人一人に余暇政策に関わるテーマ案を出してもらい、それをスクリーンに打ち込んでいった。連休を挟むのでその間にぜひアクセスしてほしいという思いもあって、後半は講義メモに用意しておいた余暇に関わるネット情報を紹介した。テキストについては受講生から感想を聞く時間がなくなってしまったが急いで進む。次回までに受講生から興味深いネットの情報を出してもらうことにする。次回テキストは6章の4節と5節。