2003年10月 中村祐司の教育日誌
03/10/01. Weds.
比較政策研究(大学院)
本日から後期がスタートし、キャンパスに学生が戻ってきた。これから実質、教育面でも来年の1月いっぱいぐらいまではハードとなるが、一つ一つ目の前のことをこなしていこうとあらためて覚悟する。遅れての受講生の参加もあって日程調整にやや戸惑ったものの、社会人の受講生の便宜を考慮し、結局、隔週で月曜の18時からということに決定した。修士論文の一章あるいは一節に相当するような内容の発表を一人当たり1カ月に1回のペースで行ってもらう。レジメあるいは小論の内容はHP上に掲載する。6名での取組みとなる。自分もメンバーの一人に加わるつもりで、皆で充実した授業にしていきたい。さっそく、発表の日程表を作成しておこう。
03/10/06. Mon.
現代政治の理論と実際
予想外に多くの受講生が集まった。衆議院議員総選挙が近いこともあり、小選挙区比例代表並列制について説明する。基本的なしくみは分かってもらえたようだ。インターネット情報の利用と研究室HPの紹介も行った。紙媒体の新聞をとっている受講生が多く、携帯電話にばかりのめり込んでいるという思い込みを反省した。次回までに総選挙関係の新聞記事に目を通しておくように指示する。選挙後は、国際政策についての現況を学んでいきたい。
地方自治論
この講義が目指すところを大まかに説明。身近な生活圏域と国・国際的な問題とは連動していることを強調した。テキスト「公共を支える民」を紹介し、次回までに第1章3節まで読んでくることとする。全部が国際学部の学生でこちらも受講生は多めだった。他の授業科目との兼ね合いもあるのか、年によって受講生の人数がだいぶ違う。選挙制度と下野新聞の企画を題材に県内の雇用や景気、地方自治体の財源、医療費、中心市街地の空洞化などをめぐる問題を指摘し、この講義で取り上げる素材が多岐に及ぶことを強調した。
行政学演習B
ジョイント合宿とISFJ政策フォーラムに向けて、今日から本格的にスタート。今後のレジメ発表の日程について皆で話し合って決める。まだまだ間に合う。とにかく悔いの残らないように準備を進めてほしい。サブゼミの設定もうまくいったようだ。他のグループによる勉強の進み具合を皆が把握できるように、「環境」「まちづくり」「教育」「都市計画」といったそれぞれのフォルダを作成し、途中経過を随時、他のメンバーに公開していくことにした。
卒論指導
卒論指導も研究室内締め切りを考えると実質的にあと2カ月ちょっとである。今日は卒論生全員から、夏休みにおける調査の報告や今後の進め方について話を聞いた。レジメを提出した卒論生もいた。まだまだ試行錯誤もあり、すんなりとはいかないと思うが、あきらめずに、大学時代の勉強面での集大成である卒論に取り組んでもらいたい。
03/10/07. Tue.
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公開講座(コミュニティ入門)
10回シリーズの公開講座が始まった。受講生は少人数だが、しっかりやっていきたい。自己紹介の後、地域社会において関心のある課題等についても話をしてもらう。テキスト『公共を支える民』を紹介し、次回までに6章1節2節を読んでくることとした。成り行きで衆院選の投票方法に若干触れ、町内会・自治会をめぐる基本的な話題を提供した。
03/10/14. Tue.
公開講座(コミュニティ入門)
テキストの6章1節2節を読んだ感想を聞く。法律のインターネット検索や執筆者のHPを紹介し、意見交換する。衆院選のやり方についてコラムに書いたことを補足して、地方自治の考え方に関わる新聞からの抜粋(「国民主役は現場から」)を説明する。後半は日本都市センターの報告書「自治的コミュニティの構築と近隣政府の選択(サマリー)における考え方を紹介。その後はフリーディスカッション。町内会HPとコミュニティ新聞のHPも紹介する。次回はテキスト6章の3節4節5節。町内会・自治会に関する課題について話題提供する。
03/10/20. Mon.
現代政治の理論と実際
人数が一気に半減。どうしたのだろうか。まあ気を落とさずにやっていこう。衆院選の投票方式についての補足説明の後、具体的な争点についてどのようなものがあるか問いかけた。受講生がそれなりに関心を持っていることが分かった。内容に入っていく前に争点として、経財政運営、国と地方の税財政改革(三位一体改革)、郵政・道路公団改革、金融、外交防衛、治安、政治改革、年金、子育て、憲法、マニフェストなど。日常生活の目線から政策争点に興味を持ってもらうよう質問したつもりだ。次回は各々の争点の中身について、紹介し、意見交換をしていきたい。事前に準備したHP掲載のメモはについても、次回は簡単に触れておこう。
地方自治論
こちらは人数がむしろ増加気味でうれしい思いがした。衆院選の補足説明を忘れてしまった。テキストを読んだ感想を聞く。読んでこなかった受講生が数人いたのが残念。次回は1章4節5節6節。地方6団体、地方自治体における二元代表制、議院内閣制との違いなどに触れる。その後、地方分権のここ10年間の流れの説明(国会決議や地方分権推進法の成立、地方分権推進委員会の設置など)に入る。分権推進委員会の中間報告の総論におけるポイントを提示。やや調子に乗って急いでしまったか、道州制との絡みで、市町村合併をめぐる国のねらいにまで言及してしまった。次回はもう少し落ち着いて、講義メモのやり切れなかった部分についても補足しておこう。
行政学演習B
今回から、一グループが模擬発表を順次行っていく。まずはISFJ担当班がパワーポイントを使って、「宇都宮市の中心市街地開発をめぐるモデル事業の提案―LRTを例として―」を発表。これをもとに他のゼミ生から質問やアドバイスがなされた。自分としては、宇都宮市の概況、交通量増加などの具体的データ、LRTの導入概念図などを盛り込んだ方がいいと述べた。いよいよこれからは準備の本番となるので、お互いに切磋琢磨していってもらいたい。ジョイント共通テーマをめぐる担当班の調整も行った。
卒論指導
実質あと2カ月弱である。メンバーが全員参加。毎回の発表の質にすべてがかかってくる。調子の波の起伏はあるだろうが、コンスタントな積み上げを心掛けてほしい。卒論のテーマに関わるコーヒーについてのアンケート質問用紙や電子メールを用いた業者への質問などについて、皆で知恵を出し合う。方法論は何とかなる。問題意識を持って、徹底的に探求していってほしい。それができるのは今の時期しかない。
比較政策研究(大学院)
受講生の日程の都合上、やむを得ないとはいうものの、一日の中でこれだけ続くとさすがに頭の中の芯が痛くなってきた。しかし手を抜くわけにはいかない。院生相手に集中力を維持するように心掛けた。3人が15分から20分程度で発表した後に、ざっくばらんに意見交換を行う。自分が少ししゃべり過ぎてしまったかもしれない。発表テーマはそれぞれ「地方自治体の国際協力」「インドネシアにおける大統領制考察」「地域経済活性化(韓日比較研究分析)」である。院生間で共有する知識をぜひ深めていってもらいたい。そこに自分も参加させてもらうという姿勢で臨んでいきたい。大きく見れば、社会科学領域の研究において、他分野の研究のエッセンスを吸収していくことは後で必ず生きてくることになると思う。
03/10/21. Tue.
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公開講座(地方自治体入門)
早くも3回目。事前のコピーを生涯学習教育研究センターのスタッフの方がしてくれるので大変助かる。まずはテキストをもとに意見交換。受講生が、関連で治安をめぐる多摩での試みである「たまたまパトロール」などを紹介してくれたりして興味深かった。その他にも身近なレベルからの情報交換ができた。1週間程前に購入したシグマリオンVを使って、内容をメモにとっていたのだが、操作を誤って削除してしまったらしい。今後は気をつけたい。滑り込みという感じではあったが、用意しておいた町内会・自治会に関する論文のまとめも提示。次回はテキスト7章の1〜3節まで。町内会・自治会関係でもう少し調べてみたい。いずれ市町村合併についても話題にしたい。
03/10/27. Mon.
現代政治の理論と実際
この1週間で、衆院選の争点に関する新聞記事等を見てきたかどうか聞くと、受講生2名から反応があった。各々が年金問題と外交問題について話題提供してくれた。年金に関する基礎知識について説明する。意見交換までにはいかなかったが、若い世代にとっては月1万3,300円という負担の問題は決して小さくない。朝日新聞の取材が来週も入るとのこと。次回は前半で年金保険料の負担をめぐる率直な意見交換、後半で外交問題について取り扱っていきたい。
地方自治論
テキスト1章の後半。質問に対し答えられる範囲で応答する。真剣に読んできた受講生ほどいろいろな疑問点が出てきたのかもしれない。次回は2章1,2節まで。地方分権推進委員会の諸勧告のポイントについて説明。できるだけ具体例を出すようにしたものの、うまく理解してもらえたかどうか。機関委任事務の廃止、自治事務と法定受託事務の設定など、受講生にとってはなかなか取っ付きにくかったかもしれない。合併特例債や年金については触れられなかった。迂闊にも先週に続いて、質問した受講生をチェックするのをまた忘れてしまった。
行政学演習B
宇都宮市国際化推進改定基本計画策定懇談会の終了が延びたため、大幅に遅刻。レジメをみると、山梨県の事例を取り上げた特区についての勉強も本格的にスタートしたようだ。ISFJの中間発表も無難にこなしたようでよかった。ジョイントもISFJもいよいよこれから準備が本格化してくる。活躍というか発表の機会なり環境を教員が与えれば、あとは手取り足取り指導しなくても、このゼミの学生は自分でどんどん切り開いていけるたのもしさがある。
卒論指導
PFIについての発表。イギリスにおける導入の状況と日本におけるプロジェクトファイナンスの事例が紹介された。途中、地域貢献事業の謝金の件で事務に行ったため中座したが、研究室に戻ってきてからも卒論生の間で活発な話し合いがなされていた。月曜日は過密スケジュールで、16時以降になると辛くなってくるが、それはこちらの事情。できるだけ頭をフレッシュにリセットして今後とも臨んでいきたい。
03/10/28.Tue.
公開講座(コミュニティ入門)
町内内・自治会についての本が読めず、準備不足となってしまった。しかし、テキスト7章の1,2,3節に関連する話題で盛り上がる。介護保険をめぐっても理想と現実のギャップをどう埋めるのかが最大の課題だ。次回は7章の4、5節。休憩中に研究室に戻り、11月8日のスペシャルオリンピックスのチラシと紀要論文を持ってくる。NPO活動で自分が身近にしている課題を伝えたかったのと、基本的な情報を提供したかったからである。前者については、あくまでも情報提供として、後者については、NPOを取り巻く状況について書かれた新聞記事を紹介した。最後に10月11日の朝日新聞の記事「メディア 広がる『草の根ネット新聞』」をコピーしたものを配布し、電子媒体とコミュニティ活動の連携の可能性について話題提供した。