2003年4月 中村祐司の教育日誌

 

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03/04/14.Mon.

 

行政学概論

新年度の授業がスタート。テキストの理解に焦点を当てるので、何はともあれ、第1章の説明を行う。受講者数は例年通りか。テキストを購入した学生がほとんどいなかったようなので、板書しながら進めていった。来週以降は何人かに質問をして少しでも双方向の授業を心掛けていきたい。次回からは時間配分もしっかりしていかなくては。全学の就職指導委員会に頼まれたインターンシップ関係のアンケートの説明が長くなってしまったのが反省点。来週忘れずに回収しなければ。

 

行政学演習A

初回の3年生の参加者が10名と多く手応えを感じる。ロシアからの研究生と院生、大学院志望の学部の4年生が加わり、顔ぶりも多彩で大変楽しみである。ゼミの概要やジョイント合宿、ISFJ政策フォーラムに向けた活動内容など大枠について説明する。しかし、いくら説明したとしても、やはりゼミ生自身による実際の活動を通じてこのゼミは形成されていくのであろう。他の4年生2名が顔を出してくれたこともうれしかった。資料室のパソコン利用のためのログインの設定など、こまごましたことが多少あるものの、要はゼミ生のやる気が大切。

 

卒論指導

実質4名+院生1名でスタート。4年生5名が1名ずつ当該週にローテーションで発表していくというやり方は成功かもしれない。テーマが一つに絞れるので、議論が中途半端なまま終わることがないし、発表者にも「担当週」を持つことでより一層の責任感が出てくるように思われる。毎年痛感するのは前期の「貯金」が卒論作成の追い込み時にものすごく生きてくるということである。一回一回の指導を大切にしていきたい。

 

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03/04/16. Weds.

 

インターネットと政府情報(初期セミナー)

  農学部、工学部、国際学部の1年生が10名弱。非常にやりやすい人数だ。各々の話を聞くと全体として政府情報よりもインターネット情報に関心があるようだ。高校時代のインターネット環境もそれぞれ異なり、授業を受けた高校の教師によるインターネット利用の度合いにも影響を受けているように思われた。初回ということで、自分の今までの研究室HP作成をめぐる取組みや経験も織り交ぜながら、インターネット利用の陰陽両面の影響力について説明した。次回は「政府情報」に焦点を絞って話題提供したい。

 

余暇政策論

最初からやや堅苦しい説明となってしまったが、まずは自分が担当する他の授業やゼミと、この授業との関連について述べた。受講の理想的な流れとしては、1年次の初期セミナーや「現代政治の理論と実際」はともかく、2年前期の行政学概論で行政学の学問的基本体系を把握した上で、2年後期の地方自治論を通じてより踏み込んだ個別テーマを勉強してもらう。そして、3年前期の余暇政策論ではもう少し個人的な選好に引き付けたテーマを選び、それについていろいろな角度から考察する。地方自治論や余暇政策論ではレポートという一つの成果が電子媒体上に掲載されることになる。行政学演習ではインタビュなど、現場に足を踏み入れることで、文献研究やインターネット情報の分析だけでは見えてこない現実の課題を捉えてもらう。もちろん、成果は研究室HPに掲載する。概略このような流れを力説したのだが、説明の途中でかえって受講生を混乱させるのではという懸念が頭をよぎった。というのは、実際にはこの授業で初めて顔を合わせる者がかなり多く、ましてや行政学概論→地方自治論→余暇政策論と受講してきている学生は極めて少ないことに気が付いたからだ。授業では「余暇」の意味合いを広範に捉えるということと、にわか勉強ではあったものの、話題提供として取り上げた東京ディズニーリゾートを対象にいくつかの考察の切り口を提示してみた。テキスト『公共を支える民』については、昨年の概論と自治論の受講生には重複する箇所があり申訳ないと思ったものの、来週から6章以降を1章ずつ読んでいくこととした。

 

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03/04/17. Thurs.

 

総合演習

 教員免許取得を希望する学部の学生に対するオムニバス形式の演習。5月20日、27日、6月5日、12日と4回担当するが、初回ということで顔見せを行った。自分が担当するこの4回分のテーマは「国際市民協力のすすめ」。草の根レベルから一市民として行うことができる国際協力を考えた場合、実際に何ができるのかを追求してほしいと述べた。短いレポートを書いてもらうこととなる。

 

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03/04/21.Mon.

 

行政学概論

テキストの第2章。ほとんどの受講生はテキストを購入済みのようであったが、研究室HPからレジメをプリントアウトした者はそう多くはないようであった。説明の仕方が分かりにくかったのであろうか。1、2章はいわば導入部分なのでやや辛抱が必要だ。この時点で行政学に対する興味関心を失われては困るので、ポイントを中心に丁寧な説明を心掛けたつもりである。受講生の反応は今のところまだ分からない。いよいよ次回から3,4章と2章分ずつ進んでいく。月曜時間割の振替で5月9日(金)に授業があることを忘れずに指摘しておこう。

 

行政学演習A

 先週参加したメンバーのほとんどが顔を揃えた。多過ぎもなく少な過ぎもなくといった感じで非常にやり易いのではないか。ゼミ長は決まらなかったが、ゼミ生の中から司会役を自ら買って出た者がいたのはうれしかった。また、パソコン・研究室HPの管理者(アドミニストレータ)についても自ら手を上げてくれるゼミ生がいて心強い思いがした。まずは各々関心のある問題について述べてもらう。在日外国人に対する行政サービス、市町村合併、中心市街地の居住空間化、大規模公共施設の管理運営、日独、日英の政策比較、環境問題といったような政策課題に取り組みたいとのことであった。3〜4グループでスタートを切るのは連休明けとして、とりあえず、もう少し時間を取って来週までに本日挙げた各自の関心領域について、A4版1枚程度のメモを用意してくることとした。その後、インターネットへのアクセスと電子メールの利用ができるようゼミ生に任せる形で残りの時間を与えたが、これが大変スムーズに進んだようだ。名簿や在室表の作成などの細かい手続きは残っているものの、とりあえず、本日、実質的なゼミ活動のスタートを切ることができた。

 

卒論指導

 発表者が事前に送付したレジメをもとに行うが、やはり直接向き合った形ではないため、時間がもたないというほどではなかったものの、なかなか難しかった。次回はレジメの量を増やしてもらい、作成者には想定される質問に対する回答を予め用意してもらうくらいの方がいいかもしれない。就職活動も本格化しつつあるようだ。卒論指導と就職活動との両立は大学が抱えている共通の問題なのだろう。来週の指導は少人数となってしまうものの、その分中身の濃さでカバーしていきたいし、HPに掲載することで、参加できない者からも意見を求めることにした。

 

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03/04/23.Weds.

 

インターネットと政府情報(初期セミナー)

 前回、インターネット情報をめぐる光と影の部分について、その両面性の大枠を説明した。今回はこの授業で最初に紹介するのにふさわしいインターネット情報を提示した。これから大学生活を送っていく受講生に知的刺激を与えられるような題材を選んだつもりだ。インターネット情報と書籍(紙媒体)とを比べた場合、その受容をめぐる蓄積の歴史は後者の方が圧倒的である。今までの体験ではどうしても「インターネット情報―思考」という組み合わせよりも「書籍―思考」の組み合わせの方がしっくりする感じを持っているが、今後、果たしてこれが逆転するのであろうか。受講生数は多少の出入りはあったものの、プラズ・マイナスで微減といったところか。セミナーとしてはちょうといい人数だ。次回までに何かしらの情報にアクセスし、それについて感想を述べてもらうことにした。

 

余暇政策論

サッカーくじ施行後の状況について勉強する必要性もあって、テーマ例として取り上げる。余暇領域といっても非常に広いことを強調する。受講生は何かしら余暇政策に関心のある者が多いようだ。やはり行政学概論→地方自治論→余暇政策論という流れは間違っていないことを確認した。対象年次を3年前期に設定してよかった。さらに、就職活動をしつつもこの授業に参加したいという4年生もいて大変うれしかった。受講生の数もレポート作成から評価までじっくり検討するには最適である。テキスト『公共を支える民』も読み始める。しっかりと読んできていて自分なりの視点から感想を述べた者がかなりいた。次回はこうした感想を受けた後での意見交換の時間も設けたいと思う。また、どのあたりの余暇のサブ政策領域に関心があるのかも聞いてみたい。

 

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03/04/28.Mon.

 

行政学概論

テキスト第3章と第4章。いよいよ今回から2章分ずつ進んでいくことになる。少し気負いが出てしまったか、3章の説明に時間を費やし過ぎてしまった。途中で受講生は果たしてちゃんと理解しているのかという不安も感じた。ラインとスタッフの考え方は大丈夫だろうか。予習はしっかりしてきているのであろうか。サブテキストがないため昨年よりは負担は減るはずだが、年々、教員と受講生の間での年の差が拡大していくというのも現実で、試行錯誤は毎回なくなりそうもない。

 

行政学演習A

ゼミ生に口頭で現在最も関心を持っている政策領域について聞く。温度差は多少あるものの、各々が意欲的で頼もしさを感じた。一瞬、昨年と同様に個人研究という形態にするのも悪くないと思ったが、チームを組んで共同研究するのもこのゼミの大きな意義であり、何とか工夫してグループ分けをするよう促した。なかなか難しい面もあったものの皆で知恵を絞り、結局はうまい具合に大まかではあるが、「在日外国人に対する行政サービスの課題」「公共事業とPFIをめぐる課題」「交通システムと環境をめぐる課題」「まちづくりと公共施設を課題」の4グループに分けることができた。人数も3グループが2名、1グループが3名とバランスをとることに成功。今後は各グループ単位での調査活動と、グループ間での意見交換へと移っていく。そのための出発点を今日固めることができてよかった。ゼミ長も決まり、パソコン習熟者もいてHPの更新にも期待が持てる。次回は連休明けとなるが、1回のゼミで2グループずつ発表していくことになる。お互いの研鑚を期待したい。

 

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03/04/30.Weds.

 

インターネットと政府情報(初期セミナー)

最初、Windowsに関する自分なりの接し方を話しているうちに止まらなくなってしまった。XPに対する拒絶反応を強調し過ぎてしまったかもしれない。真意はOSを有効に使っていこうということだったのだが、日頃コンピュータ利用において感じている思いが噴出してしまった。いずれにせよ、このセミナーは人数も数名なので皆でリラックスして進んでいきたい。ワードでのWeb作成とその保存についても説明したため、準備しておいた総務省統計局の「なるほどデータforきっず」を紹介する時間が少なくなってしまい残念。次回は各自が皆に紹介したいインターネット情報を7,8分程度で説明してもらうことにする。そして当該HPのアドレスをフロッピーに保存してくることの了解も得た。

 

余暇政策論

テキストの第7章。時間を多めにとって感想を聞き、意見交換を行ってもらう。いろいろな受け止め方があって興味深かった。やはりこの講義ではできるだけ受講生による発言の機会を増やしていこうと思った。現在関心のある余暇政策領域について聞く。今はテーマ捜しの段階で慌てることはないものの、そろそろ何を調べるのか気にし始めてもいい。時間が迫り、用意してきたサッカーくじに関するメモと7章関連のHPについて駆け足で説明した。次回はテキストの第8章と、受講生による口頭での関心テーマの提示。

 

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