20031月 中村祐司の教育日誌

 

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03/01/08.Wed.

 

現代政治の理論と実際

水曜日ではあるが、月曜日授業の割り当てのため最初の授業となった。受講生に口頭でレポート作成の進捗状況を述べてもらう。来週以降のスケジュールについて説明する。ポイントは他者のレポートを批判的にじっくり読んで、レポートの主題に直結する質問を提示し、議論に積極的に参加することである。段階を踏んで進めてきたつもりなので、来週どのようなレポートが出てくるのか楽しみである。

 

地方自治論

形式は同じで受講生による口頭での進捗報告。レポート作成に取り組む積極的な姿勢を受講生の発言から感じ取ることができ、やはり来週が楽しみ。体裁についてはあまりこだわらず、とにかくオリジナルな論理展開を期待している。一方通行の授業ではなく、受講生によるノート報告などを通じて、一人一人の物事の見方に関する個性を薄っすらとではあっても把握できたことがこの授業の一つの収穫である。

 

行政学演習B

1月20日の卒論発表会の運営について話し合ってもらう。4年生の卒論題目を1枚の紙にまとめる時間がなく、10名分の名前と題目をゼミ生に口頭で伝え、書き取ってもらったが、かえって4年生の卒論題目に対する記憶が深まる効果を生んだようだ。昨年のジョイントやISFJの経験を生かして批判的な視点から積極的な質疑を行ってほしいと強調した。20日のスケジュールについてのHP掲載をゼミ生にまかせ、作業に入ってもらった。

 

卒論指導

卒論がほぼ出揃い、ほぼ無事に提出してもらった。この瞬間が教員としては何ともほっとする瞬間である。卒論発表会の開催や副査からのコメント取得など、これで卒論指導が終わったわけではないが、昨年4月以来何とか継続してきたことが、一つの成果として実を結んだことを実感するからである。4年生にはさっそくHP掲載作業に取り掛かってもらう。3年生も4年生も他者の卒論をじっくり読み込んでほしい。そこから見えてくるものが必ずあるはずだ。来週は就職活動経験を積んだ4年生が、これから活動を開始する3年生に対するアドバイスや意見を提供する合同の「情報交換会」を行う。

 

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03/01/14.Tue.

 

現代政治の理論と実際

レポート提出日。自分も含め6名のレポートが出揃う。今日の授業は作業時間と割り切っていたので、まずは個々のレポートファイルを集め、その場でレイアウト等を受講生に見てもらいつつ、表を作成し、テーマとの関連で順番も決め、トップページの背景を適当に設定するなどの作業を行った。司会者も決まり、来週は6本のレポート全部を対象とすることとした。少人数での授業のメリットを最大限に生かしていきたい。

 

地方自治論

同じくレポート提出日。前の時間と同様、月曜授業を行う振替日。先週の水曜日に続いてなので、何となく詰まった感じがする。結果的に12本のレポートが出揃う。Web表示がうまくいかないレポートがいくつかあり、予想外に受け取り作業に戸惑う。来週と再来週の割り当てとその順番についても受講生からは意見がなく実質的に自分の裁量で決めざるを得なかった。駆け込み的にテキストの1節分に触れる。来週は率直な意見交換をぜひ行ってほしい。

 

行政学演習B・卒論指導

別教室を借りての合同の「情報交換会」。研究室の3年生と4年生の交流を少しでも図ってほしいというねらいもある。教育学部の社会・文化コースでゼミを持った1993年以来、このような企画で演習と卒論指導の合同会を行ったことはなかったが、これからは取り入れていきたいと思わせるような内容であった。4年生もその結果には濃淡があり、現実社会の厳しさや壁に直面したのも事実であったが、各々がそこから貴重な社会的教訓を得ていることが興味深い経験談やアドバイスから伝わってきた。それぞれが社会に出るために貴重な経験を積んでいたのだ。3年生にも大きな刺激になったはずだ。このような場を過去設けてこなかったことを少し悔やんだ。

 

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03/01/15.Wed.

 

比較政策研究(大学院)

 

うれしい誤算というのか、本日の大学院は当初、発表者が自分1人なので2時間分話題提供する材料を寄せ集めるのに直前になって四苦八苦したが、小論ないしはレジメを用意してきた2名が加わり、一転、盛りだくさんの内容となった。5名ぐらいで賑やかにやるのもいいものだ。市町村合併については自分が用意したものと関連したこともあって、急遽、話題提供のやり方を変えたりした。残すところあと1回であるが、修士論文作成に向けた強い意欲が伝わってくるような発表を期待したい。

 

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03/01/20.Mon.

 

現代政治の理論と実際

 

 ようやく月曜日の時間割に戻ったという感じであった。個々のレポートをめぐる意見交換。やはり各々がしっかり文章にしているために、そこに書き切れなかった内容も含めて比較的活発な意見交換がなされた。今後はレポートの技術的な書き方等を整理する必要はあるものの、やはり最終的にはレポートを作成させるという授業スタイルにはそれなりの意味があることをあらためて確信した。コメントを文章化するのは思いのほか時間もかかるが、このやり方も継続していきたい。

 

地方自治論

 個々のレポートをめぐる意見交換の前半。やはりコメントの作成に苦慮している最中であったが、レポート作成に対する受講生への応答として必要な行為だと自分に言い聞かせている。ただ、学生の文章ばかり読んでいるとどういうわけかかたい内容の研究書を読みたくなってくるのも事実である。授業では聞き役に徹したが、他の受講生のレポートをしっかり読んでいるかどうかがそのまま受講生の発言内容の質に直結しているように感じた。

 

行政学演習B・卒論指導

卒論発表会。昨日、一昨日の入試センター試験業務の疲れがさすがに出てきて、月曜に授業があることの辛さを感じた。4年生や演習生の中には他の人の卒論をしっかり読んで、ノートに質問項目やメモをとってきている者があり大変うれしかった。このような姿勢を全員が持ってくれればいいのだが。2週間ぐらいの間で10本の卒論をじっくり読むというのはかなり大変だったと思う。読んでこなければポイントに絡む質問は出てこないであろう。考えてみればほとんどの4年生とは実質2年がかりでここまできたといっていいだろう。何はともあれご苦労様といいたい。曲がりなりにも指導してきた自分にとっても大きな区切りのついた卒論発表会となった。

 

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03/01/27.Thurs.

 

現代政治の理論と実際

北朝鮮問題の今後をめぐるフリートーキング。やはり誰もが先は読めないという感じだった。この授業としての取扱いは終わるが、今後も各自がこの問題を継続して考察していこうということで締めくくった。振り返ってみると一定の成果を残すことができたと思う。

 

地方自治論

 レポートをめぐるフリートーキングの後半。各自が考えていることを授業の場で率直に語る機会は貴重である。受講生には地方自治に関わる問題が極めて多岐に及ぶことも理解してもらえたであろう。来週は社会人3名による話題提供とそれを受けた質疑応答。おそらくいい形でこの授業も締めくくることができると思う。

 

行政学演習B・卒論指導

 1610分から1期生の岡田正明君を招いての情報交換会。金利とその流動性、不良債権と貸し渋り、会社で働くことの意味など、4月から社会人となる卒論生にとっても、再出発する卒論生にとっても、そしてこれから就職活動を本格化する3年生にとっても貴重な話を具体的に分かりやすくしてくれたことに感謝したい。わざわざレジメまで用意してくれた。なかなかできることではない。質疑応答も率直になされ、こうした機会を設定して良かったと思った。終了後、少数ではあったが岡田君を囲んで研究室で慰労会を行う。ここでの情報交換も大変貴重であった。

 

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03/01/29.Wed.

 

比較政策研究(大学院)

 

 今年度最後の大学院の授業。今年度もレジメ作成を割り当ててこれをもとに議論していくというスタイルをとったが、これがうまくいったようだ。研究室HPに掲載するという決まりが適度な緊張感となって良い方向にいった。いずれにしても、この授業が来年度以降本格化する修論作成に少しでも生きるようになってほしいと願っている。不思議なもので学部にせよ大学院にせよ、最終回となるとうれしいような寂しいような気持ちになる。

 

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03/02/03.Mon.

 

地方自治論

 社会人受講生3名にお願いして各々の仕事や海外協力活動の経験について話をしてもらう。他の受講生もこうした機会は珍しいらしく、真剣に耳を傾けていたようだ。講義の準備、ゼミ運営、卒論指導、コメントの作成などに追われていると、学生と距離を置くというよりはどんどん学生と同じ輪の中に入って回っていくような思いを抱いていただけに、今日の時間は自分にとっても貴重な機会であった。これからも人の話に真剣に耳を傾ける機会を意識して増やしていきたい。成績をつけたり、来年度のシラバスを作成したりと、まだなかなか授業関連の作業から解放されないものの、講義に関しては今日で一段落ついてほっとしている。この教育日誌も無味乾燥な表現の羅列のようにも見えるかもしれないが、思いがけない発見もあった。授業を振り返ることで、教育活動をめぐる自己評価を知らず知らずに行っていたことになるし、次の授業に新鮮の気持ちで向き合えたことも確かである。また、たとえ少しでも進度に関して具体的なことを記しておくと、どこまでやって次に何をやるかについての実質的なメモとして役立った。それにしても毎年度痛感するのは、やはりまめに書き続けなければいけないということである。まさに「筆まめ」にならなければ続かない。少し油断するとあっという間に12週間が経過し、遅れれば遅れるほど書く作業がしんどくなってくる。どんな文章でも、ある種の「無」から「有」を生み出す作業だけに簡単にはいかないのであろう。修士論文や卒論の副査としてのコメントについても文章として通すとすればかなりの時間がかかる。そのかわりに、読み手がじっくり読んでくれれば、書き手としては説明する必要はない。文章として書き込んだものの情報量はテレビやラジオと比べて格段に多いと思われるし、物理的な面でも頭の中においても「痕跡」がしっかりと残るのである。筋道を立てるという点でも論理的思考の訓練になるようだ。継続は力なりで、たとえ体裁や見栄えは大したことはなくても、テキスト(文字)中心で来年度(まずは前期)も続けていきたいと考えている。

 

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