2002年10月 中村祐司の教育日誌
02/10/01.Tue.
公開講座(コミュニティ入門)
前期の「地方自治体入門」に続いて、後期は「コミュニティ入門」と題した10回シリーズの公開講座がスタート。受講者数は若干名ではあるものの、多彩な顔ぶれが揃い、自分もおおいに学ばせてもらおうと思う。進捗予定について説明。テキストの講読、各受講生の関心事についての報告、用意したレジメにもとづいた講義の3本立てで進めていきたい。
02/10/02.Wed.
比較政策研究(大学院)
研究室の院生も含めて3名でスタート。各々の修士論文につながるようなテーマで発表していくこととする。自己紹介や関心のあるテーマについて話してもらった後で、発表のスケジュールを設定する。自分の発表も盛り込ませてもらうこととした。大学院ということもあり、授業のなかではこの時間が最も研究色の強いものとなるであろう。
02/10/07.Mon.
現代政治の理論と実際
後期がスタート。月曜日は祝日と重なり、その分振替があるもののやりにくいのは確かだ。学会出張などの翌日、朝一番で授業を行わなければならないのも辛い。しかし、やりようによっては週の後半を有効に使うことができる。何よりも数年来、月曜授業でやってきており、ようやく慣れてきて何となく学期中の1週間のリズムがとれるようになってきたのが大きい。
受講生は若干10名ちょっとか。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を取り上げることとする。この10名でたとえ少しずつでも着実に知識を深めていきたい。
地方自治論
受講生は15名程度。前期の行政学概論を受講した学生が多く履修すると思い込んでいたが、何となく顔ぶれが違うように感じ尋ねたところ、何と概論の受講経験者は1名だけ。これは予想外だった。概論で教えた内容を前提にして進められないとなると、だいぶ授業内容を変えざるを得ない。受講生の理解の反応をみながら、数回程度は基礎知識を伝えていきたい。考えようによっては、地方自治体のサービスにより一層の関心を持ってもらうよい機会となるかもしれない。テキストの紹介と進捗予定、授業のねらいとするところについて説明する。
行政学演習B
ISFJ政策フォーラムとジョイントに向けて、先月30日から本格的にスタート。サブゼミも金曜に行われている。新メンバーも2名加わり、体制が整った。
どれだけチームワークを発揮できるかが鍵となる。このゼミ内での活発な議論と知的刺激の相互提供を積み重ねることができれば、発表は必ず成功すると思う。広域行政組合のごみ処理施設設置問題の研究に携わっており、発表テーマそのものとは適合しないものの、関連するものについては資料提供など側面からサポートしていきたい。
卒論指導
卒論も待ったなしの時期を迎えた。10名中7名の参加。なかなか全員揃わない。卒論生のなかには就職活動を継続しながら取り組まざるをえない者もおり、確かにきついだろうが、何とか両立していってもらいたい。10名からなるチームが互いに刺激し合いながら完成に向けて進んでいく雰囲気を作っていきたい。そのために自分ができることについては労を惜しまないつもりだ。
02/10.08.Tue.
公開講座(コミュニティ入門)
2回目。テキストをもとにごみ問題について話し合う。率直な感想が出てきて興味深かった。関心のあるテーマについても各々の輪郭がみえてきたので、来週具体的に話してもらうこととする。用意したレジメを説明する時間がなくなってしまうほど、受講生からは活発な意見を聞くことができた。一応、レジメは配っておき、来週触れることにする。
02/10.15.Tue.
公開講座(コミュニティ入門)
身近な視点からごみ問題について話し合う。口頭でではあるが、関心のあるテーマについてもさらに掘り下げた話を聞くことができた。現代の時代状況の中でコミュニティを位置づけるために、地方分権推進委員会の中間報告に関するレジメを配布し来週までに読んできてもらうこととする。また、前期の「地方自治体入門」の成果である2名のレポートを提示したい。少しずつレポート作成に向けた前向きな環境が整いつつある。
02/10/16.Wed.
比較政策研究(大学院)
うれしいことに昨年度の修論生で社会人の方が参加してくれる。今日発表の2名が事前にレジメを送付してくれたので目を通すことができた。市民参加と無投票当選に関する発表で、率直な意見交換を行った。枝葉の議論も多くなったが、耳学問で知識を得られるのがうれしい。留学生もいるので、出身国の地方行政についても勉強していきたい。まずは好スタートを切ることができたという印象を持った。
02/10/19.Sat.
放送大学第1日目(地方自治論。面接授業)
多様な年代層からなる30数名を相手に宇大図書館内の放送大学栃木学習センターでの面接授業。2日間からなり、初日は午後から2時間15分を一コマとして2コマ分を行った。地方分権の流れとテキスト前半をまとめたレジメなどを一コマ毎に事前に配布し、プロジェクターやOHCも用いた。テキストについてのレポート試験も行う。学部、大学院の授業、公開講座、自治研修などとまた違った雰囲気があり、緊張したが授業そのものはやりやすかった。ぶっ続けではもたないと思い、一コマの中に休憩を入れたが、次の準備のためほとんど休めなかった。さすがに体力勝負だということを痛感した。
02/10/20.Sun.
放送大学第2日目(地方自治論。面接授業)
今日は3コマ分で午前中から開始。市町村合併、テキスト後半、自分の原稿を配布する。テキストと午前中の内容に関するレポート試験も実施。出席者の受講姿勢は真剣でやりがいを感じた。最後のコマはグループ討議の後に模擬グループプロジェクト発表を実施。年代層が異なるグループ内受講生間での活発な討議が展開されうれしかった。受講生にとってこのように単位獲得を積み上げていくことは決して容易ではないだろうが、高等教育機関で学ぶということはこのようなことではないかと感じた。疲労困憊の2日間ではあったものの、教える側にとっても大変貴重な経験だった。
02/10/21.Mon.
現代政治の理論と実際
前回、北朝鮮について調べていくことになり、まずは基礎知識を得るために作成したレジメを紹介。レポート作成に向けてまずは情報源からの抜粋でも良いから、貼り付けはなしで、自分で入力するというこの授業でのルールを強調する。受講生のやる気次第だが、何とか個々の積極的な取り組みを相乗させ、授業の質を高めていきたいと思う。次回までにまずはできる範囲でメモを作成し、これをフロッピーに保存し紹介してもらうこととする。
地方自治論
ほぼ確定したスケジュールを提示し、用意したレジメを説明する。当初は入門的なテキストの要点をつまみ食いして紹介しようと思っていたが、これではやっていて自分自身が面白くない。やや方針を変えて、自治研修における講義などと重複はするものの、90年代以降の地方分権の流れと市町村合併、地方ガバナンスの事例について説明していこうと思う。講義を数回やった後で小試験を課すことも決めた。受講生にはその後にレポートに取り組んでもらうこととする。次回までにテキストと指定箇所と地方分権推進委員会中間報告の第1章第2章を読んでくることとした。
行政学演習B
政策フォーラムとジョイントに向けた準備が本格化してきた。こちらからあれこれ指示しなくても自分たちでどんどん進めているので大変ありがたい。残念ながら政策フォーラムの準備状況については発表者から直接説明を受けることができなかったが、インタビューをもとにしたレジメが用意されており、このような取り組み姿勢である限り、今週土曜の中間発表は大丈夫だと確信した。
卒論指導
1名を除いて全員が揃った。ようやくにしてというのか、とにかくこれからはこうありたいものだ。研究室では手狭であることは隠しようがないものの、他に教室を借りるほどでもないだろう。紙媒体だけでなく研究室HPに掲載されるという緊張感を卒論作成への真剣な取り組みの追い風にしてほしいと願う。卒論は大学4年間の集大成の意味合いもあることは確かだ。
02/10.22.Tue.
公開講座(コミュニティ入門)
3部構成での展開が定着してきた。最初に事前に読んできてもらったテキストについての感想を述べ合う。そして、レポート作成に向けて、口頭での問題意識の提示をしてもらう。うれしいことに受講生それぞれのテーマが徐々に浮かび上がってきた。短くなった残り時間で町内会・自治会についての身近な資料を提示する。 このパターンで続けていきたい。次回までにテキストと前期の地方自治体入門におけるレポートを読んでくることとし、さらに各受講生のテーマについてメモ書きを提示してもらうことにした。
02/10/28.Mon.
現代政治の理論と実際
とりあえずノート作りからということで、作成してきたノートをもとに受講生に説明してもらう。概ね積極的な取り組みが伝わってきてうれしかった。有用な情報源の紹介もあった。この調子なら次回から今回の分も含めてどんどんHPに掲載していこう。自分が用意した分を説明する時間が足りなかったのはやや残念だった。受講生間で情報を共有できることの相乗効果が次回以降明確になってきそうな気がする。次回までにノート発表スケジュールの表を作成しておき、今日の分も含めて掲載していきたい。次回はレポート提出のスケジュールについても述べておいた方がいいだろう。
地方自治論
詰め込みぎみになってしまったが、基礎知識をめぐる講義も次回のみなので仕方がないか。地方分権推進委員会による勧告の主眼が国の地方自治体に対する関与の縮減・緩和にあったことに重点を置いて説明する。今はなき機関委任事務の具体例について旅券交付を挙げるだけではさすがにマンネリかと反省した。官官分権と揶揄されたように、今回の分権改革の意義を実感として理解させることの難しさを痛感した。次回までに中間報告第1章(今日までに読んできた受講生がほとんどいなかったため)を読んでくるようにいう(できれば第2章も)。テキストについても次回は今日のところも含んだ形で感想を聞くこととする。
行政学演習B
26日の政策フォーラム中間発表の感想を聞く。人数こそ少なかったものの、最終発表に向けて良いスタートを切ることができたのではないかと感じた。サブゼミもちゃんと継続しているし、この時間はゼミ生の自主性にまかせてももう大丈夫なように思われた。チームワークもいい。あと実質1カ月弱ということで、緊張感を持ちつつも大胆に積極的に論文・レジメ作成に取り組んでほしい。
卒論指導
卒論の方は実質あと2カ月強か。さすがに職業柄、レジメをみると卒論生の取り組みの深度がだいたいは把握できる。一人一人に踏み込んだ指導ができるのか、また、今までのなかで最も卒論生が多く目が行き届かないのではないかという不安も正直なところある。しかし、このメンバーの間で完成に向けた何かしらの相乗効果が生み出されるのではないかという期待もある。いずれにせよ、いたずらに迷わず残り少ない一回一回のこの時間を大切にしていきたい。
02/10.29.Tue.
公開講座(コミュニティ入門)
テキストの講読。内容そのものから脱線しがちであることは確かだが、枝葉の部分での話の広がりには学部学生では到底及ばないものが多く、逆に受講生から「聞き学問」をさせてもらっているような気さえする。大変ありがたいことだ。今日までに用意してもらった受講生の各ノートをもとにした説明もいずれも興味深い。僅かな残り時間で自分が用意したレジメについて述べる。次回はテーマを見据えた受講生による口頭での補足を行う。レポートへの道筋が着実に見えてきた。
02/10/30.Wed.
比較政策研究(大学院)
2名ずつ2週間ごとに発表というペースは決して緩やかなものではない。発表者にとっては、意外とあっという間に順番が回ってくる。自分にとっても研究レベルの話を直にぶつけることができる貴重な時間だ。研究室OBが仕事の時間を割いて参加してくれるのもうれしい。何はともあれ院生レベルの問題意識の交換を多いに行ってくれるものと期待している。残り時間が少なくなったが、自分が書いた原稿をもったいぶって次回に回すのも何だかしっくりとしなかったので、駆け込み的に説明させてもらった。研究をする上では他人から見たらどうかと思うほど、常に「前のめり」になっていないと停滞してしまうという怖さがそのようにさせた理由かもしれない。