2002年7月 中村祐司の教育日誌

 

02/07/01.Mon.

行政学概論

テキストの15章と16章。15章の説明に時間を取り過ぎた。授業評価アンケートのための時間も気になり、本来はもっと時間をかけるべき16章の説明を端折らざるを得なくなってしまった。サブテキストに触れられず。来週は16章の「稟議制の組織基盤」と、少し戻っても補足した上で、17章、18章と進んでいきたい。サブテキストの進度は1週分ずれることになる。たとえ、1,2回でも受講生に質問するようにしなければ。来週は、木曜も教えることとなっているので、前期の胸突き八丁を向かえることになる。

行政学演習A

レジメ発表も最初のころと比べてかなり堂々としたものになってきた。意見交換もスムーズにできる。少人数教育を地でゆくとはまさにこのことだ。レポート提出日がだんだんと迫ってきて、ゼミ生にとってはしんどい時期かもしれないが、一つのテーマを追いかけていく勉強の醍醐味を感じている様子も垣間見えて、そのことが教員としては何よりもうれしい。今年はジョイントなど、少数精鋭で乗り切るものの、そのことがかえって頼もしく思えてくる。

卒論指導

先週の顔ぶれと同じ3名が出席し、そのうちの2名による発表。就職活動等、各々のペースで進めつつ、あたふたとしない雰囲気が今年の卒論生にはある。最後の10数分、研究室HPの更新について、日頃の思いをぶつけると、その後すぐに掲示板を立ち上げてくれた。このように素早く対応してくれると、その分次の段階に勢いよく進むことができるので、おおいに助かる。日頃、研究室HPの更新にあたっては孤軍奮闘しているという思い込みもあり、また、なかなか時間もとれず、多少のストレスが溜まりつつあったことも事実であり、今日のような4年生の取組みから前向きな姿勢をもらったような気がした。

02/07/02.Tue.

公開講座(地方自治体入門)

 レポート提出日。自分の巻頭言も含めて、3名で文章のチェックを行った。やはり「3人集まれば文殊の知恵」で、センテンスの修正箇所をいくつか見出すことができた。後はこれを持ち帰ってファイル上で手直ししてから、これをPDFファイルにする予定である。文章を積み上げていくというのは何年やっても容易ではないものだ。しかし、四苦八苦しながらも書いたものは、その分、活字としての価値を発揮し続けることになる。当初、予想外の受講生の少なさに戸惑ったことが今となっては恥ずかしい。残り2回となったが、密度の濃い意見交換をしていきたいと考えている。Web上に公開することの意味も決して小さくないであろう。

02/07/03. Weds.

 インターネットと政府情報(初期セミナー)

前期の講義の準備としては、ある意味で昨晩と今日の早朝がもっとも苦しい思いをした。というのは余暇政策論のレポート集に加えさせてもらう自分の文章作成を全くやっていなかったのと、昨夜になってテーマを変えざるを得なくなったため、時間的な切迫に直面したからである。しかも、大学に向かわなければいけないぎりぎりの時間になって何とか書き上がり、フロッピーに保存しようとうすると、あろうことかパソコンが機能停止となってしまった。まずいことにハードディスクに保存していなかったため、消滅か!と落胆しつつ、あきらめきれずにイメージラボのパソコンで読み込むとちゃんと読み出してくれるではないか! フロッピーのみを使ってファイル保存することは避けなければいけないということは分かっていたものの、Windows2000(研究室と自宅のコンピュータ)と98(イメージラボのコンピュータ)のZipドライブのフォーマット形式の違いによる読込みの不可などが遠因となって、今朝のようなあぶない事態を招いてしまった。紙媒体こそが最後の最後には頼りになるのかもしれない。

初期セミナーのリンク集作りも本格化してきた。来週完成を目指す方向で、そのための体裁や作業の進め方について話し合った。結局フレーム方式でやろうということに落ち着いた。このやり方は相当前に研究室HPのトップページ作成の際に、フロントページを用いて自力で行った経験はあるものの、うまくいくのかやや不安である。心配するよりはまずは取り組んでみよう。    

余暇政策論

レポート提出日。じっくり読むのはこれからとなるが、一見した印象では意欲作が多いという感じで、読むのが楽しみだ。フリーディスカッションの対象となるレポートの順番がそのまま掲載順となることもあって、司会者の選出とともに、今後の進め方について決めていった。司会者の役を受講生が自主的に引き受けてくれたことがうれしかった。昨年あたりから口癖のようになってきたが、レポート作成以外の他の2本柱は、他者のレポートを批判的にしっかり読んでくることと、議論に積極的に参加することである。来週以降、2回にわたる活発な意見交換を期待したい。

02/07/08.Mon.

行政学概論

テキスト17章18章の予定だったが、17章の予算編成過程の説明に時間がかかってしまい、18章が終わらず。サブテキストは8章の前半まで最後に駆け込むように説明する。今週の木曜日に授業をやるのはしんどいが、こういう時に試験範囲との兼ね合いでは助かる。出席しているだけでは力は付かないが、自分なりに苦しんで予習をしてきて、この授業で理解を深め、試験勉強で中身を自分のものにしていくということが大切で、これを貫徹している受講生に教えるやりがいを感じている。

行政学演習A

 早いものでレポートの提出が来週に迫ってきた。演習は授業とは異なる思い入れがあり、特に前期ではレポート集の作成がメインとなる。エッセーとなるのはまずいが、完ぺきな内容を求める必要はない。調査力、考察力、展開力などまさにこれから力を付けていけばいいのであって、課題状況を積極的に観察しようとする意欲こそが求められる。考えてみれば、社会科学の勉強に取り組む者には年齢による上下関係などない。12月の政策フォーラムの参加をめぐっては、慎重意見が大勢を占めたようで意外な思いがした。時間がないといって先延ばしにしてきたが、昨年の各大学のゼミ毎の学生作成論文がWebに掲載されいるので、まずはこれに目を通さなければ、自分としてもどうのこうのと言えないことに気づいた。

卒論指導

 参加者3名、そのうち発表者1名。顔ぶれが固定化してきたようだが、皆それぞれ「就活」の事情があるのも分かる。ただ、そこに投じたエネルギーをぜひ、卒論や就職活動メモの作成にも費やしてほしい。卒業の条件として嫌々取り組むのではなく、大学生活の集大成のつもりで皆それぞれに「意地」ないしは「覇気」を見せてほしいと思う。また、各々のテーマは一見ばらばらだが、研究を進めていくにつれて視点や分析、テーマからの波及課題などの点で交錯してくることは間違いなく、さらにここから知見の共有などの相乗効果が生み出されてくるだろう。

02/07/09.Tue.

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公開講座(地方自治体入門)

 先週の段階でHPへの掲載を終えることができたので、本日は少し余裕を持つことができた。書き終えてしばらくたった段階での感想を話してもらい、やや脱線もしたものの、関連する課題について話し合った。また、参考資料として、市町村合併についてまとめた自作の資料を提示し、これを次回に利用することにした。受講生と教員の持っている問題意識の共有が回を重ねるごとに深まっていっている。教員として、学生相手とは違う類のやりがいを感じることができるのもうれしい。

02/07/10.Weds.

インターネットと政府情報(初期セミナー)

自分が担当するリンク集作成に予想外に手間取った。リンクを紹介する中身にも関連のリンクを提示したことで混みいったものになってしまった。事前のフレームの作成にまで手が回らなかったので、今回はこの時間を使って共同作業で何とか分割フレームを作成しようと試みた。作り方を完全に把握できたわけではなかったが、来週の完成に向けて見通しがついた。はじめての試みとはいえ、リンク集作りも決して楽なものではない。

余暇政策論

先週の段階でレポートが出揃い、今週と来週は各々の内容をめぐるディスカッションとなる。主役は受講生で、教員は口を挟まないように心掛けたが成功だった。司会者の的を射た指摘も多く、率直な意見が交わされた。大教室では決してできない展開となりよかったと思う。来週もう1回、さらに一層議論を深めてもらい、前期のこの授業の締めくくりとしたい。

02/07/11.Thur

 行政学概論

年間を通じて月曜の授業がつぶれる回数が多いことから、変則的に本日は月曜の時間割が適用された。今まで、何とか水曜日まで乗り切って、木曜に研究面でも教育面でも「リフレッシュ」するというスタイルをとってきたことから、当初は決して気乗りできなかったものの、結果的には試験範囲までの説明を終える見通しをつけることができた。やはり、1章分だと、多少余裕を持って、枝葉の説明を加えることができる。授業評価でも指摘されたかもしれないが、1回2章分進むのはやや強引であったかもしれない。しかし、完結型の授業として、テキストを曲りなりにも読破したという自信を受講生に持たせることも大切だと考えている。

行政学演習A

締め切りは来週月曜となっていたものの、事前にセンテンスのチェックをし合う作業を避けてとおる訳にはいかず、ゼミ生にとってハードスケジュールとなるのを承知で、本日までできたところまで、人数分コピーしてきてもらうことになっていた。やはり、複数でチェックし合う意味はあった。また、政策フォーラムへの参加については、今朝、各論文に目を通した上で得た感想を率直に述べた。確かに無謀とチャレンジとは紙一重な側面がある。しかし、ゼミ生にとっては、大学生活において学ぶという点で、現在が最も「旬」な時期であることも確かである。政策提言は決して官僚や政治家、専門家の専売特許ではない。

卒論指導

2名の参加で残念ながら発表者は集まれず。ゼミ生に教えるメール送信の件で席をはずしてしまい、スタートが遅れたこともあって、前回、パスワードの関係で再設置が必要となった掲示板の作成に取り組んでもらった。ゼミ以外の時間に資料室に入ったのは久しぶりとなった。おそらく自分一人では時間が倍以上かかったであろう掲示板を手早く作成してくれた。ゼミ生や卒論生に対して「研究室HPの充実を!」と抽象的に述べるのではなく、今回の掲示板のように具体的な掲載項目を設定した上で働きかけた方が効果があるのかもしれない。あとは、資料室をもっと積極的に使ってもらうような具体的な「仕掛け」が必要かもしれない。

02/07/15.Mon.

行政学概論

何とかテキスト20章まで終わり、全体の概要についても説明する。サブテキストも急ぎ足ではあったものの、予定の範囲までいった。残るは来週の試験のみとなる。しっかりした解答を出してくれる受講生が一人でも多くなることを願うばかりである。

行政学演習A

委員会のために10分ほど遅れて資料室に入っていくと、何となく神妙な雰囲気。どうしたのかと聞いてみると、政策フォーラムへの参加の是非をめぐって話し合っているとのこと。ジョイントとの兼ね合いで過剰負担となるという意見、せっかくの機会なのだから積極的にチャレンジしてみようという意見が主なものであったが、結局、緩やかな形で院生も加えてチームを組み、ゼミ生全員ができる範囲でサポートし、トライしてみることになった。このような結論となって個人的には大変うれしい。ジョイントにしてもフォーラムにしてもゼミ生にとっては初めての体験であり、研究の成果が対外的に晒される初めての機会でもある。しかし、何ごとも経験である。軸が定まったことで実質的に今日がジョイントとフォーラムに向けた始動の日となった。

卒論指導

4名の参加でそのうち発表者は3名。前期における卒論指導も残すところあと1回。当初、意図していたことと比べて、達成感5割、悔しさ5割といったところか。卒論生の自主性を尊重することと、時には強引に研究を進めさせることとの狭間で悩んだ期間であった。10月以降のスケジュールを作成しなければいけない。

02/07/16.Tue.

公開講座(地方自治体入門)

 最終回。テキストを読み、感想を述べ合った。関連の話題がいろいろと広がっていき、多くの人生経験を積んでいる受講生の物事に対する深い捉え方を垣間見る思いがした。後半は市町村合併についての説明。生活レベルからはどうしても遠い事象のように感じてしまうというのが率直な捉え方のようであった。合計10回の講座は自分にとって、僅かながらも地域社会との接触が図れたという点でも大変貴重な経験であった。

02/07/17.Weds.

 インターネットと政府情報(初期セミナー)

こつこつとリンク集作成に励んできたが、遂に完成にこぎつけた。後半は行政学資料室で研究室HPへの掲載作業を3名で行う。フレーム形式での操作に戸惑ったものの、めでたく掲載となった。このように共通の目標を設定して進めるやり方も悪くはない。学部毎に負担することになってから初期セミナーは曲がり角に来ているが、少人数で回を追うごとに互いに気心が知れてきて、リンク集作成に向けた一体感が強くなってきた。受講生にとって、毎回一度も休まずこのセミナーに出席した経験は一つの財産となったのではないか。このセミナーでの成果が、これからの大学生活における勉強に少しでも役立つことを願っている。

余暇政策論

レポートをめぐるディスカッションの後半。各々が書いたレポート内容について相当な問題意識を持つようになったせいか、中身の濃い意見交換が続いた。ワールドカップという巨大スポーツイベントがもたらした諸課題に受講生が知的刺激を受け、これに関するレポート作成を経たがゆえに、突っ込んだ議論が展開されるようになった。言葉を挟まずに聞いていて思ったのは、仮に議論を公開したとしても、かなりの人々を引き付けることができたのではないかということであった。この授業でのワールドカップは終了したが、大会の影響は今後も様々な領域に及び続けるであろう。受講生には各々の問題関心からこの問題を注視し続けてほしい。

02/07/22.Mon

行政学概論

期末試験。会場が重複しかかったものの事無きを得る。この試験に臨む受講生の多くはテキストの内容をしっかりと勉強しているような雰囲気であった。終わってみれば早いが、今後の社会科学系の研究に入るにあたっての基礎トレーニングとしての任務を果たすことはできたのではないか。

行政学演習A

演習も授業評価の対象になるのかという思いもしたが、決まりは守らなければならない。先週、先々週と忘れてしまったので、今日はこの時間の最初に記入してもらって、そのまま事務に持ち込んだ。レポートに関するディスカッションが長引き、3本分は来週やることに。政策フォーラムのテーマの方向がほぼ固まる。自分が取り組んでいる共同研究とも関連してくるので、何かしらのアドバイスはできるだろう。ジョイントの具体的なテーマについても来月2日に話し合うこととなる。夏休みにやっておくべきことが見えてくれば、ジョイントにしても政策フォーラムにしてもチームとしての動きが具体的に出てくるであろう。

卒論指導

いよいよ前期ラストである。といっても全員参加という訳にはいかず、5名。10月以降も月曜は休日でつぶれる日が多く、振り替えがあるとはいうものの、卒論締め切りまであっという間であろう。夏休み中の奮起を期待したい。ほぼ毎回出席した3名の卒論生がいたことで、卒論指導の中身が多少とも締まったものとなったのは幸いであった。

02/08/02.Fri.

行政学演習A

8月に入ったものの、レポートをめぐる意見交換を終え、政策フォーラムとジョイントに向けた夏休みにおける作業分担を決めておく必要があった。政策フォーラムについては、RDFその他のごみ処理に関するレジメを下限で10枚、上限は定めないで作成してくることとし、ジョイントについては、環境、教育、民間委託の各々の担当者が、当面関心のあるテーマで調べてくることとにした。次回は9月末となるので、2カ月間、各々可能な範囲で積極的に取り組んでもらえると思う。6日のオープンキャンパスで公開セミナーがあるものの、これを持って、前期の教育活動については一段落した。後期は大学院の授業もあるし、卒論の追い込みが待ったなしとなる。もう一つの公開講座も10回分ある。夏休みにじっくり英気を養って後期に備えることとしたい。何はともあれ、前期の授業に穴をあけずにやり通したことには満足している。何事も継続するのは大変であるが、この教育日誌についても、後期から新たな気持ちで取り組んでいきたい。

 

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