2001年6月 中村祐司の教育日誌
01/06/04/Mon.
産業技術大学校「法学」(非常勤)
テキスト『公共を支える民』の第3章「地方議会と住民投票制度」。残念ながら最初の数人に尋ねた限りでは事前に目を通してくれた者はなし。やはりとっつきにくいのであろうか。しかし、休憩後の後半、これではいけないと思い、何とか関心を引き寄せようと身近な具体例を挙げつつ説明する。
行政学概論
テキスト『行政学』1章から8章までを範囲とする中間試験を別の大教室を借りて実施。普段の授業よりも相当大勢いるような感じで、人数を数えるとだいたい60名ほどであった。A3縦の解答用紙としたので、広々とした教室にしてよかった。原稿の締切が切迫し、小さなノート型パソコンを持ち込んで経壇上で「はじめに」の部分を修正する。何もしないでいると1時間はかなり長く退屈してしまうが、今回は原稿に集中したせいかあっという間であった。果たして受講生のできはどうだろうか。
行政学演習A
スクリーン立てがうまく固定できず、スタートが遅れる。発表を聞きながら、スクリーンを昨年無理して購入して本当に良かったと思った。いちいち紙を配っていたのではやり切れないし、その都度研究室ホームページにも掲載するので、他者もその気になればじっくり読むことができる。学生のレポートだけでなく、スケジュールや講義メモなど、パソコンという物理的空間の中にすべて入っているので大変便利である。一瞬にして消えてしまうこわさはあるものの、ネットワーク機能を活用して、こまめにバックアップをとることで対処していきたい。ジョイントの準備は今日あたりからゼミ生主体でやっていけそうな感触を得た。この学年は何か皆でやろうという時にとても良い雰囲気で、前向きに取り組もうとする空気が漂っており、そのことが大変うれしい。
卒論指導
4名が参加。何とかこうして1週間に一度の指導が成り立っていることの意味は大きい。できれば一段落ついた4年生には、ゼミにも積極的に顔を出してくれるように頼んだ。発表者が1名だったこともあり、あと僅かで終わる原稿のことも頭から離れず、時間どおりに切り上げさせてもらった。皆の就職先が決まってあかつきには一度、ゆっくりと飲みに出かけたい。
01/06/05/Tue.
修論指導(大学院)
自治体行政のサービス体制の在り方を、まさに逆転の発想から切り込んでいくようなレジメ発表を聞いておおいに刺激された。7月4日の中間発表会まであと1ヵ月。夏休み前に勢いづけるためにも、ぜひ気合を入れてほしい。原稿も一段落つきほっとしたこともあって、終了後、3人で夕食に出かけた。考えてみれば、初期セミナーで1年生と、専門教育で2年生と、そして演習で3年生と、卒論で4年生と、修論で社会人と学部卒業の院生と付き合っていることになる。若い世代とこれだけ接することができるというのは大変ありがたい。この仕事をやっていてよかったと思う一瞬だ。
01/06/06/Weds.
インターネットと政府情報(初期セミナー)
残念ながら、発表が当たっていない時は休まれてしまうパターンが定着してきたようだ。受講生の人数が少ないので、セミナーの成り立ちそのものが揺らいでしまう。1人でも2人でも何かを得てくれればと開き直るしかないであろう。授業は教える側の熱意と受け止める側の積極的な反応の双方向コミュニケーションが大切だとあらためて痛感している。
余暇政策論
今日で一人当たり2回目のノート報告が終了。当初の受講生から絞られて、結局今の人数に落ち着いたせいもあり、各々がやり方に納得した上でノート報告に取り組んでいるように感じられた。内容的にも個性豊かなものもある。自分の経験から、レポートを書く際に最後はノート(カード)が頼りになるということと、いかに勉強して得られたことを捨てたり削ったりすることができるかが大切であるということを、原稿を書いたばかりということもあって思わず力説してしまう。『公共を支える民』の自分の担当章を説明した際、時間がなかったこともあって咄嗟に章の内容ではなく、取材の過程での人々との出会いや印象に残ったことをしゃべっていた。自分でもこのような話をするとは全く予想していなかったので、授業の展開というのはその時々の状況で変わってくるものだと再認識した。
01/06/11/Mon.
産業技術大学校「法学」(非常勤)
テキスト『公共を支える民』第4章。どうしてもテキストの内容をストレートに説明しようとすると、受講生の理解との間にギャップを生じてしまう。何か分かりやすい身近で具体的な例を挙げる必要があるのだが、これがわりと難しい。ただ消化するだけの講義内容にはしたくないのだが。
行政学概論
テキスト9章と10章。先週の中間試験の結果に一喜一憂するのではなく、新鮮な気持ちで再びスタートするつもりでやっていこうと呼びかける。こう言った直後、普段より少ない出席者を見て、試験で出来の良くなかったと学生があきらめて受講を放棄したのではないかという思いが突然脳裏に浮かんだ。「そんな心配をする暇があったら先に進め」という声が脳の反対側から聞こえてきて、とにかく今日の内容を説明することに集中した。
行政学演習A
ノート報告も軌道に乗ってきて、今日は議論の時間が十分とれると楽しみにしていたが、何とスクリーン立ての取っ手が壊れたとのこと。しばらく悪戦苦闘したものの直らず。仕方がないので壁にそのまま映し出す形で進める。コンピュータ操作もそうだが共有するというのはなかなか難しい。そんな訳で今回も時間が押し、おまけに質問の矛先がこちらに向けられ、それに対する質疑応答があったりして、本日の担当の何名かが発表できないままで終わってしまった。
卒論指導
50分ほど遅れてスタート。資料室のスクリーン立ての故障がどうしても気になり、ムキになって直しにかかったからだ。昨年、研究費の大赤字を覚悟して、また、購入先や製品をインターネット上で相当な時間をかけて探し回った末に注文した貴重なものなのだ。困った時にはいろいろなアイディアが湧くもので、パソコン用の余ったねじを強引に通す形で何とか復旧に成功した。ただし、大きめのねじでそのまま支柱を固定しているのでいつまた壊れるか分からない。
そういうわけで卒論生には申し訳なかったと言い訳をして、指導に入る。本日の出席は3名。発表を聞いていて本人が自ら設定したテーマに夢中になれるかどうかが大切だとあらためて感じた。
01/06/13/Weds.
インターネットと政府情報(初期セミナー)
いよいよ3回目のノート報告。各々が等身大でノート作りに取り組んでいる点は大変いいことだ。本日は6名中5名が参加。これだけの人数なので受講生との間に距離を感じないで進められることに感謝しなければいけないのかもしれない。
余暇政策論
前の時間も何か変だと思っていたのだが、イメージラボ教室空調の冷房機能が故障。パソコン画面を大写しにするため暗幕を引かなければならず、教室の温度はどんどん上がってしまう。仕方がないので、送風機能でどうにかごまかしごまかし授業を進めた。この時間も3回目のノート報告。1人5分以内の発表時間となってはいるものの、発表者全員がこれをきちんと守るわけではないので、どうしても時間が足りなくなってしまう。加えて、途中から入ってくる者もいて、どうも運営上スムーズにいかないことに思わず苛立ってしまう。双方向の授業というのはまさに「言うが易く行うが難し」である。一方通行の授業の方がどんなに楽なことか。しかし、このやり方は自分が決めたこと。初志を貫徹・継続することの難しさを今の時期痛感している。
01/06/18.Mon.
産業技術大学校「法学」(非常勤)
テキスト「公共を支える民」第5章。最初に読んできた感想を聞くと、それなりの答えが返ってきたので力付けられた。なかなか受講生を引き付ける説明ができない。理想的には受講生が現在日々取り組んでいる自動車や機械などの分野を題材にして、これを現代社会の諸課題と結びつけるような形で授業レジメを作成すればいいのだろうが。
行政学概論
テキスト11章12章。どういうわけか今日はすんなりと説明が進む。25分ほど残して切り上げることができたのは初めてではないか。一方的な説明を聞いている方は苦痛かもしれないと常に省みてはいるものの、2章分消化するのが精一杯で脱線する余裕がない。今日のように時間が余った日は何か受講生のやる気を起こさせるような気の利いた余談を用意しておけばよいのだろうが、咄嗟に出てこなかったのが反省点。
行政学演習A
各校の代表者が集まる東京でのジョイントの打ち合わせ会が23日に迫っており、その準備に当てるため、ノート発表が早目に切り上げられ、予想外に時間が空いた。来週は丸々討議に当てること、レポートの体裁、ウイルスの注意、個人ページを積極的に作成してほしい旨について説明する。レポートを作成しながら、他者のノートを積極的に読んでくるのはきつい面もあると思う。しかし、ここはこの個々人の成果を上げるための正念場なので、ゼミ生なりにいろいろな事情はあるだろうが、これからの2週間、ぜひ気合いを入れてほしい。
卒論指導
卒論生のノート報告内容が6月以降ホームページに掲載されていないことに気づき、その旨を伝える。ホームページの改変作業は、常に走り続けていないとかえってしんどくなってくることに最近気が付いた。欠席の場合に事前のメールとレジメを送付するルールが少しずつ守られなくなってきている。出席は4名。夏休み前にどこまでできるかは大切なポイントだ。
01/06/19.Tue.
修論指導(大学院)
残念ながら社会人院生は急な仕事が入り欠席。1対1で来月4日の中間発表に向け、レジメの中身を検討。修正の注文をかなり出す。中間発表は修論の成否をめぐる一つの分岐点なので、ぎりぎりまで良質なレジメ作成に取り組んでもらえると思う。来週もう一回手直しの機会がある。
01/06/20.Wed.
インターネットと政府情報(初期セミナー)
1年生の場合、自分なりの文章を組み立てようとする姿勢が全面に出ている傾向にあり、その点は大変うれしいことだ。あとは問題追求への踏み込みがどこまでできるかがレポートの質を左右するように思われる。
余暇政策論
各々にそれなりの理由はあるのだろうが、途中から入って来るのは本当にやりにくい。スクリーンを利用するので「暗がり」が利用されるのだ。こういうことはやりたくないのだが、30分経過後、出席を取り、それ以上遅れた者は欠席扱いにすることにした。ところが昨日新聞か何かで読んだ一節の、「怒るよりも教えよ」という教育者の「名言」が頭に浮かび、穏やかならぬ気持ちを抑制気味にして後半の授業を進めることを心掛けた。そのせいか受講生も話を素直に聞いてくれたようで、この点はうれしかった。
01/06/25/ Mon.
産業技術大学校「法学」(非常勤)
「公共を支える民」の第7章。1回毎に1章ずつ進んできた。今日は後半に小テストを行うため、やや急いで説明する。説明を聞いている者は半数弱もいるであろうか。この本の各章はどれもが力作ではあるものの、このクラスの受講生を引き付けるにはどうしてもワンクッションとなる何かが必要なのだろう。そのための工夫と準備を怠っているため、手を抜いている気持ちは全くないものの、結果として消化型の授業になってしまっている。次回で最終回。
行政学概論
テキストの13章と14章。空調があるのが大助かり。昨年とはえらいちがいだ。何事も継続するのは難しい。テキストを丁寧に読みレジメにまとめるという作業も最初のうちは、一気に3,4章分やってしまおうなどと考えていたが、実際に始めてみると、他にやらなければならないこともあり、1週間に2章分で精一杯である。早いもので残すところあと2回。来週中には試験勉強のポイントを提示しなければ。
行政学演習A
いよいよ、レポート提出が来週に迫ってきた。今日は今までのノート報告を全員が目を通してきた上での議論。自分も口を挟める範囲で議論に参加した。疑問に思ったことはそのまま相手に表明することが大切だと思う。その意味でゼミの雰囲気がだんだんと引き締まったものになってきており、うれしいことだ。濃淡はあるだろうが、各々が今まで調べ考えてきたことに「プライド」をもってほしい。詭弁を使えとはまではいわないが、他者の感想や意見を跳ね返すぐらいの意気込みが欲しい。ジョイントに向けたゼミ生間での話し合いの雰囲気がとてもいいので安心してみていられる。
卒論指導
発表者2人が欠席。そこで、集まった3名に資料室に合流して、3年生のジョイントに向けた話し合いに加わってもらうように頼む。テーマの設定や勉強の進め方など有益なアドバイスをしてくれて3年生とってもありがたかったのでは。
01/06/26/Tue.
修論指導(大学院)
来週7月4日の中間発表会が迫ってきた。1名のレジメはほぼ完成。もう1名はこのままでは不安に感じたので、もう一度みせてもらうことにした。当日はプレゼンテーションの仕方も発表の良し悪しに直結するので、時間配分を考えて練習しておく旨を伝える。この点については昨年の学会発表において痛感しているので、繰り返し述べさせてもらった。
01/06/27/Weds.
インターネットと政府情報(初期セミナー)
欠席は1名のみで5名が出席。あくまでも印象だが、レポート作成に夢中になっている受講生がいるのがうれしい。来週、PDFファイル化する作業がうまくいくか、正直なところ未知数だがとにかくやってみよう。ホームページの掲載内容は失敗や試行錯誤を経て初めて良質なものとなることをこのごろ実感している。
余暇政策論
今日は受講生によるノート報告は1名を除きなし。口頭で簡単にレポート作成状況の経過報告をしてもらう。皆、それぞれの個性的なレポートが出てくることを期待している。来週までにテーマ表の枠とフロッピーで受け取ったファイルを取り込む際の段取りについて整理しておかなければ。