2001年5月 中村祐司の教育日誌

 

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01/05/02/Weds.

 

インターネットと政府情報(初期セミナー)

 

連休の谷間ではあったが、講義を行う。レポートの締切日を7月4日に設定。

再来週から発表形式でやっていくのでとりあえずその割り当てを2週間分ほど

決めた。少人数なので、セミナーの進め方等、良い考えはどんどん取り上げて

いきたい。

 

現行のサッカーくじについて調べ出すとどんどん面白くなり、このくじの運営

に関するノートを提示しながら説明する。このセミナーは出入りがなく、6名が

きっちりと出てきており、大変頼もしい。このまとまりを大切にしていきたい。

 

余暇政策論

 

同じくリポート締切を7月4日に設定。再来週以降の発表割り当てを決めるが、

多少受講生の出入りがあるのでやりにくい。出席者が定まってくるといいのだが。

いずれにしてもレポート作成については実質的に今日からスタート。

 

せっかく連休の合間に出てきているのだから、受講生にはそれなりの成果を得て

ほしいとつい力んでしまう。これからも自分の追っているテーマとは直接に関係なく

ても、広い意味での「余暇」の範囲で捉えられる質の高いホームページを、毎週1

つでも2つでも紹介していきたい。

 

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01/05/07/Mon.

 

産業技術大学校「法学」(非常勤)

 

9回に及ぶ講義が今日から始まる。『公共を支える民』をテキストとして用いる。4

クラスほどの合同授業のため、昨年と同様大教室で行う。

 

インターネット情報と紙媒体情報との比較について自分なりの考えを述べる。プロ

ローグの内容を板書しながら説明。今後もできるだけ受講生と「対面」しながら進め

ていきたいと思う。次回は5章を行うため予め目を通しておくようにと伝えた。

 

行政学概論

 

テキスト3章。アメリカ行政学のところを説明。受講生は漸減したようだ。理解して

もらいたいという気負いが先に立ってしまい、時間も気になるためどうしても口調が一

本調子になってしまった。少しでも質問して指すようにしなければ。それにしてもこの

テキストは読み返すたびに勉強になる。次回はペースアップして4章と5章をやる。新

版に対応したノート作りを自転車操業的に進めているので結構しんどい。

 

サブテキストでは6章「清掃行政と公民協働」の前半を説明。「現場」の視点がいかに大

切かを毎回の講義で強調していきたい。このサブテキストには何といっても実際の地方自治

活動に真剣に携わった者のみが発することができる、価値のある鋭い指摘が随所に見られる。

 

次回は後半の4節と5節。受講生にとってみれば、この時間のために二冊の本を持ち運ぶ

訳で、自分としても手を抜くわけにはいかない。そろそろ中間テストの日程についても考え

ていかなければ。

 

行政学演習A

 

院生が資料室でプロジェクターを使うために工夫してくれたものの、コードの長さがどう

しても足りず、各発表者はコードをくぐらなければならなかった。これからはだんだんと暑

さが気になってくるだろうが、昨年、研究費の赤字を覚悟で空調を入れたので心配ないだろ

う。

 

12名のゼミ生が各々これから調べていきたい内容を説明するのを聞いていて、各自の発表

ノートを毎週ホームページに掲載していこうと心に決めた。レポート作成過程での情報・知識

の共有と、Html文書のリンク機能を共有することは決して無駄にはならないと考えたからだ。

 

研究室ホームページの作成にもゼミ生は積極的に関わってもらいたい。今まで院生と二人三

脚で進めてきたが、もう少し多くの人にホームページ作りに協力してもらいたいという気持ち

が二人とも日に日に強くなっていった。毎回の発表レジメ(ゼミ生各自にとっては2週間に1

回)を掲載していくことは、一種の冒険的試みであろうが、まずは踏み出してみて、課題が見

つかればそこで立ち止まって考え直せばいい。

 

まずは、来週までにゼミ生が、今日のノートを掲載したページをどのように作成するのか見

守ることにしたい。

 

卒論指導

 

4名が参加。欠席したものの、この日発表に当たっていた卒論生のレジメが大変意欲的でとても

うれしかった。皆、厳しい就職活動の真っ只中でさすがに疲れているだろうが、どうかマイペース

で乗り切ってほしい。

 

この時間は、卒論指導はもちろんだが、4年生との貴重な情報交換の場でもある。午前中2コマ、

午後の演習とかなりハードだが、その分やりがいがあることも事実である。

 

卒論作成のためのレジメをホームページに掲載する作業を各自でやってもらうようにする。

 

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01/05/08/Tue.

 

修論指導(大学院)

 

7月4日か6日の中間発表会に向けた準備が当面の目標である。二人共、レジメではなく文章で提

示し、目次は後に修正するとしてもある程度完成させ、何節分かは書き出したといった状態まで持っ

ていきたい。

 

新公共管理論(NPM)やイギリスの「ベストバリュー」についての邦語文献が分かったり、今まで

の仕事の蓄積から湧き出てきた問題意識の提示は、むしろ自分にとって大変勉強になる。指導とはい

っても、研究者として半人前にも達しておらず、一緒に少しでも良質な論文を共同作業で作成してい

くというつもりで臨んでいきたい。

 

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01/05/09/Weds.

 

インターネットと政府情報(初期セミナー)

 

セミナー開始直前まで、レポート作成に至るノート段階でのホームページ掲載について迷った。しかし、

受講生による2週間分に相当する勉強の成果公表を行うことにより、他者のリンク先や知識の共有ができ、

本人次第ではあるものの、まさに「知」のアンテナを拡大できることは確かであろう。

 

そのメリットの方が、不十分な形での提示というデメリットを上回るはずだという思いが強く、思い切っ

て来週以降、各受講生のノート掲載に踏み切ることにした。何よりも、2週間に一度、計3回発表を行うだ

けでなく、それが掲載されるということになれば、レポート作成に向けた何よりの励み・原動力になるので

はないか。

 

余暇政策論

 

最初にテキスト『公共を支える民』の5章1節と2節を説明。

ホームページ掲載については、一度踏み出したら止まらないという感じで、当初は人数の少ない初期セミ

ナーのみでやるつもりだったが、20名ちょっとなら何とかなるのではないかという考えに講義直前になって

変わってしまった。

 

結局、この時間も来週以降、ノート掲載に踏み切ることにした。ただし、あらかじめ担当者の表とフォル

ダを作っておいて、発表者自身に発表時にその都度、フロッピーからファイルをコピーしてもらうといった

工夫をしなければ、とてもやり切れないだろう。

 

いずれにしても迷ったらGO!である。小さな締切と掲載という緊張感がレポート作成の原動力・推進力

となるような気がしてならない。空回りする恐れもあろうが、意欲さえ失せなければ何とかなるだろうし、

ホームページ掲載のための作業時間の短縮も達成できるだろう。しかし、一番大切なのは受講生のやる気で

あることに変わりはない。

次回から受講生のノート報告が開始。テキストは5章3節と4節。

 

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01/05/14/Mon.

 

産業技術大学校「法学」(非常勤)

 

テキスト『公共を支える民』第5章。大教室で行っていることもあり、板書しながら説明を進める。読んで

きた感想をきくと、「アメリカは社会的に素晴らしい」という答えがあり、これは読んでいないなと推測できた。

休憩をはさんで後半の節のポイントを押さえる。教育をめぐるボランティア活動と人種問題との絡み等、「生活

者」の視点が充満された大変読み応えのある章であった。次回は第1章。それ以後も各章順に進んでいきたい。

 

行政学概論

 

テキスト4章と5章。今日から2章分ずつ進んでいく。「集権」型と「融合」型との区別が具体例との関連で

よく分からないという質問があり、レジメに書いてあるのにと思いながら的外れの説明をしている最中に、集

権型の典型例をとばしてしまったことが分かった。集中して説明を聞いていたからこそあのような質問が出た

のである。しまったと思うと同時にうれしさも感じた。

 

行政学演習A

 

いよいよ今日からゼミ生によるノート報告が始まる。報告後、議論をしたかったものの時間切れ。ノート段階

での情報の共有は、各自の知識の幅を広げていく上で非常なメリットがあるのではないか。

 

研究室ホームページトップに掲載するゼミ生の全体写真を撮影。また、この機会に以前にキャンパス内で撮った

桜と井頭公園の新緑の写真を、ゼミ生写真をはさむ形で掲載することとした。ゼミ終了後、気になって資料室をの

ぞくと、ゼミ生は自分たちで掲載作業もどんどん進めている。

 

毎回のゼミの感想を分担で書いていこうということもゼミ生の発案によって決まった。来週のコンパについても3

年生が中心で企画しているようだ。男女のバランスもいいし、ゼミ3年生は積極的にいろいろとやってくれそうな予

感がする。

 

卒論指導

 

3名の出席。全員はなかなかそろわないものの、曲りなりにもこうしてレジメを切ってきて、この時期に少しずつ

ではあるが進んでいる意味はとても大きい。就職活動の進捗状況は、内定者も含め、個人によってさまざまだ。極端

な話、来年の卒業間際に決まることもあるのではないか。

 

各々がマイペースでやるしかないのだ。だからこそこの時間に何とか集まって顔を合わせることは大切だと思う。

卒論生の表情を見ていて、企業という民間セクターが「就職」の名の下で、実質的に「大学コミュニティ」にずかず

かと入り込んでひっかき回すような状況は改めて異常だと感じた。

 

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01/05/16/Weds.

 

インターネットと政府情報(初期セミナー)

 

今日からレポート作成のための受講生によるノート報告が始まる。とはいってもキーボードに触り始めて間もない

受講生や、そもそもインターネット情報の加工という経験も初めての学生がほとんどだ。それにしては各々のノート

作成意欲が伝わってきて、スタート時点としては上出来ではないかと感じた。少人数の良さを生かして、内容や問題

意識、操作上の課題など受講生と一緒になって取り組んでいきたい。

 

余暇政策論

 

同じく今日からノート報告。人数がだんだんと減っているようでやや心細い。だが、情報発信型のこの授業では、

受講生にとってみれば、各自がやった分がそのまま成果としてはね返ってくるし、授業成否の鍵もここにある。受

講生の問題意識こそが問われるわけで、人数の増減に一喜一憂するのはもうやめよう。

 

自分も含めて受講生にとって、この時間は他者の問題視点やリンク先などの有効な情報源を、まさに「聞き学問」

として学ぶことのできる絶好の機会になるのではないかと思う。内輪の世界にとどまるという前提ではあるものの、

ノートを掲載する有用性は予想外に大きいかもしれない。

 

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01/05/21/ Mon.

 

産業技術大学校「法学」(非常勤)

 

昨日、1昨日と京都で行われた行政学会にフルに参加した疲れのせいで、さすがに体力的にまいった。「公共を支え

る民」の第1章。総論のため噛み砕いて説明するのが難しい。具体例を挙げつつ何とか説明を進める。受講生は分か

ったようで分からないような顔をしていた。もう少し分かりやすい形での講義に工夫をこらさねばならない。

 

行政学概論

 

テキストの6章、7章の予定だったが、質量共にとてもこなしきれなかった。分権改革と中央省庁再編が盛り込まれ

ており、残念ながら7章を少し入ったところまで。再来週は試験となるが、果たしてどれだけの結果が出るだろうか。

この時期になって受講生の人数が漸減傾向のようだ。やはり、学部を問わず2年生にはこのテキストの内容は敷居が高

いのか。

 

行政学演習

 

レポート作成に向けたノート報告。少し遅れて資料室に入るとプロジェクターもちゃんと設定され準備万端といった

ところ。ちょっとした点だが、こういうところがうれしいものだ。議論が白熱しかけたところで時間が足りなくなった。

 

今年は幹事校であるため、12月のジョイント合宿の説明をするが、院生が事前にゼミ生に伝えてくれていたこともあ

って窓口もすんなり決まり、好スタートを切ることができた。慣れるまでは戸惑うかもしれないが、ホームページから

の発信をおおいに活用してほしい。

 

卒論指導

 

ジョイント準備の出発点となる連絡のためのトップページを作成した関係で、1時間ほど遅れて開始。4名の出席。

何となく顔ぶれが固定してきた。1月の下旬に発表の割り当てをしておいてよかった。これがなければ卒論指導の体

をなさなかったかもしれない。何事にも早め早めの準備が大切だということか。

 

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01/05/22/Tue.

 

修論指導(大学院)

 

7月4日の中間発表会まで1カ月半ほどだ。それまでに目次を作成し、序文やたとえ断片的であっても章の執筆に

まで至ってほしい。毎回の講義もそうだが人前に出て話すということは大変ありがたいことだと思う。自分の発表に

対する反応を体感できるからである。取り敢えず、この日をまさに「中間」の目標に設定して緊張感を持ってやって

いきたい。

 

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01/05/23/Weds.

 

インターネットと政府情報(初期セミナー)

 

いかんせん少人数ゆえに、全員が揃わないとどうしても盛り上がりに欠ける。それでもノート報告には意欲的なも

のがないわけではなく、うれしかった。ホームページや電子情報を活用して新しい授業スタイルを確立するという

「花火」を最初に打ち上げたものの、ある意味でプロ野球のシーズン直前の監督談話と同じで、実際に継続していく

には忍耐も地味な作業も必要になってくる。

 

インターネット情報を取り扱うということは、「花々しい」ものでも何でもなく、実は大変地道な思考や把握の仕

方が要求されることなのだ。授業も毎週毎週積み重ねていくしかないということが、研究室ホームページへの掲載作

業時やこの教育日誌を書いている時に実感として迫ってくる。

 

余暇政策論

 

メンバーがようやく定着したといってよいだろう。ノート報告を割り当てることでこれを面倒だと思う学生は残っ

ていないわけだから、このやり方でよかったのだと思う。各自がノート作成の過程で「これは面白い」と取り組んで

いるものは、聞き手にも伝わってくるものだ。そのような発表をしてもらえるとこちらも元気になってくる。それに

してもイメージラボのコンピュータにZIP機能があって大助かりである。これがなかったらホームページ掲載は断念

したかもしれない。

 

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01/05/28/Mon.

 

産業技術大学校「法学」(非常勤)

 

つくづく先入観を持つのはよくないことだと思った。今日は「公共を支える民」の第2章。先週の最初に受講生2、

3名に1章を読んだ感想を聞くと読まなかったという答えが返ってきたので、残念ながらこの合同クラスでは予めテ

キストに目を通してくる受講生はほとんどいない、と勝手に思い込んでいた。

 

そんな訳で今朝はやや重い気持ちで講義を開始する際に、一応は読んできたか質問しておこうという気持ちで尋ね

ると、何とその中の2名ほどが真剣に読んできたのでなければ言えないような鋭い感想を回答したのである。この受

講生の発言に力づけられ、内容はともかく前向きの姿勢でこの時間の講義を行うことができた。

 

最初に質問もしないで、一方的に講義を進めなくて本当に良かった。考えてみれば、講義というのは相手があって

初めて成立するものだ。その場を共有し、相方向の反応の積み重ねにより講義は成り立っていくものだということを

痛感した。次回は第3章。この日受けた感銘を忘れずに臨みたい。

 

行政学概論

 

時間前に慌てて印刷する必要のない効率の良さを実感する。テキストの7章の途中からと8章。どうしても急ぎ足に

なってしまう。内閣主導の在り方を問う内容となっており、まさに、今現在の日本の内閣が置かれている状況とだぶる

せいか、どうしても力が入ってしまう。

 

一方的なしゃべりになってしまったが、どうにか8章まで終える。来週は中間試験。予めポイントを提示しておいた

こともあり、受講生はぜひ高得点をマークしてほしい。

 

行政学演習A

 

ジョイント合宿の準備作業が始まったこともあり、ノート報告を早目に切り上げざるを得ないのが残念だ。しかし、

紙を使わずにスクリーンで発表し、しかもそれがホームページに掲載されるのだから、情報の整理・共有という点で

はこれほど便利なものはない。進み具合に個人差が出るのは仕方ない。各自がマイペースで7月2日の提出を目指し

てほしい。

 

ジョイント合宿の準備については、取り敢えず他大学の担当者を把握することがまず大切だ。ゼミ生(ジョイント

参加者)にとっては組織運営を実地に学ぶことになり、レポート作成との相乗効果は必ず出てくるものと確信してい

る。

 

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01/05/30/Weds.

 

インターネットと政府情報(初期セミナー)

 

出席者が3分の2。あくまでも結果論ではあるものの、どうも2週間に一回の発表に合わせてという感じがしなく

もない。まあ人数の多寡にかかわらず最良を尽くすのみだ。

 

今日から2回り目のノート報告となる。その前にpdfファイルについて説明。html文書と異なり、紙媒体のドキュ

メントがそのままの形で掲載されるので、いわば電子媒体と紙媒体とのつなぎのような役割も果たす、便利なファイ

ルである。Adobe社の独占に脅威を感じなくもないが、有用な技術はこれからもますます浸透していくのではないだ

ろうか。

 

インターネット情報を利用して気付いた便利な点は、出し惜しみせずにどんどん受講生に還元していきたい。ゼミの

場合のように、いずれは、自分の方が受講生から教えてもらうようになることを期待している。

 

余暇政策論

 

最終的にはそこそこの人数が揃うものの、授業開始時の集まりが週ごとに悪くなっている。スクリーンを用いるため

室内を暗くしていることと、皆の視線もスクリーンに向かっているし、最後尾のドアから入りやすいことも一因であろ

う。このあたりは受講生の自覚にまかせるしかない。

 

どうしても発表の時間がおしてしまい、自分が準備してきた内容がしゃべり切れなくなる。しかし、受講生の個性的

な発表内容は聞いていてうれしくなる。あと1ヵ月ほどでレポート提出なので、これからが佳境だ。

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