2001年1月の中村祐司教育日誌(日付を昇順とします)
2001/01/5
卒論指導
結論部分をもう少し書き加えたいとのこと。締切が切迫しているため一時はこのまま提出した方がとも思ったものの、本人の意思を尊重する。書き加えた箇所を9日に目を通すことにした。提出締切日の存在が逆算的な執筆のエネルギーを生むという事実は自分に限ったことでないとあらためて認識した。
政治学(作新学院大学)
中央省庁再編の枠組みを以下のレジメを配布し説明。
<中央省庁改革>
4本柱→@政治主導の確立A縦割り行政の弊害排除B行政の透明化・自己責任化Cスリム化目標の設定
明治維新、戦後改革以来の大改革=「第三の改革」
1府22省庁から1府12省庁へ
官房・局を128から96に。1166の課・室を995に削減
郵政事業を除く国家公務員数を10年間で25%削減。このうち、2001年1月から2005年度末までに、現在、84万691人の国家公務員定員を4万3130人減らす計画。
独立行政法人→「中央省庁の仕事から現業やサービス部門を分離し、独立した組織として運営する制度。移行が決定済は、文部、農水、通産省関連の研究所、博物館、美術館のほか、国立病院・療養所、大蔵省の造幣所など90の機関・業務。運営内容については、所管する所管する省庁と総務省にそれぞれ設置する評価委員会(総務省は第三者で組織)が毎年、二重にチェックする。
政務次官(32人)を廃止し、副大臣(22人)と大臣政務官(26人)を新設。
政策評価制度:各省庁の政策を「計画」「実行」「終了後」の各段階で、コストや成果など
を客観的に評価・点検し、公表する制度。○「事業評価」→費用対効果などを分析○「実
績評価」→行政機関が設けた施策目標の達成度をチェック○「総合評価」→大規模公共事
業の見直しなどを対象に事業の問題点などを総合的に評価。
2001年1月6日以降(斜体は外局)
内閣府 |
新設(旧総理府・経済企画庁・沖縄開発庁を統合)。内閣官房のブレーン役。特命担当大臣(○行革、沖縄・北方対策担当○経済財政・情報技術担当○国家公安、防災・危機管理担当○総合科学技術担当○金融担当)、経済財政諮問会議、総合科学技術会議、中央防災会議、男女共同参画会議等。 内閣官房:内閣官房長官、内閣官房副長官(3人)、内閣危機監理監、内閣官房副長官補(3人)、内閣広報官、内閣情報官。首相補佐官(5人以内)、首相秘書官(5人) 「ほとんどの政策を企画、立案し、総理大臣を直接補佐する権限が与えられる。」 金融庁 |
環境省 |
旧環境庁 |
国土交通省 |
旧建設省・運輸省・国土庁・北海道開発庁 海難審判庁、海上保安庁、気象庁、船員労働委員会 |
経済産業省 |
旧通産省 中小企業庁、特許庁、資源エネルギー庁 |
農林水産省 |
水産庁、林野庁、食糧庁 |
厚生労働省 |
旧厚生省・労働省 社会保険庁、中央労働委員会 |
文部科学省 |
旧文部省・科学技術庁 文化庁 |
財務省 |
旧大蔵省 国税庁 |
外務省 |
|
法務省 |
公安調査庁、公安審査委員会、司法試験管理委員会 |
総務省 |
旧自治省・郵政省・総務庁 消防庁、郵政事業庁(2003年に郵政公社へ移行)、公害等調整委員会、公正取引委員会 |
防衛庁 |
防衛施設庁 |
国家公安委員会 |
警察庁 |
卒論指導
加筆された箇所に目を通す。これによって内容がだいぶ締まったようだ。本人が最後まであきらめなかったことが最後の最後になって生きた。未着手の検討課題は残ったものの、胸を張って提出できる内容になったと思う。
2001/01/10
修論指導
修士論文を受け取る。もちろん、その成果は書いた本人に帰せられるが、自分としても何かなし遂げたような安堵感を持った。
2001/01/15
現代政治の理論と実際
レポート内容をめぐる全体討議の前半。ここに至るために講義を進めてきたといっても過言ではない。司会も受講生にやってもらい、口を出さないことにした。当初はかなりの忍耐が必要だったが、結果的にはこれがよかった。予想していた以上に受講生の間で真剣・活発な討議がなされた。この仕事をやっていてよかったと思うのはこういう時である。
自分も各レポートに時間をかけて読んだのでその感想一言を討議内容と合わせてホームページに掲載することにする。
地方行政論
やり方は「現代政治の理論と実際」と同じ。ただし、残念ながら議論がさほど盛り上がったとは思えなかった。司会者は十分に準備し一生懸命やっていた。来週は受講生間での意見交換が盛り上がることを期待したい。
行政学演習A
リンク集作成と29日のゼミ説明に向けた作業を、その進め方も含めてゼミ生にまかせる。残り僅か。自分たちでゼミ運営を行っていく力量は既についたと思う。
2001/01/10
卒論指導
卒論をホームページに掲載する作業を終えなければならない。図表をスキャナで取り込むのはあっさりできたものの、htmlとして掲載する過程で取り込んだjpegファイルを同行させなかったため混乱してしまった。しかし、2時間程検討し何とか自力で解決した。
2001/01/16
政治学(作新学院大学)
来週試験のため最後の講義。新中央省庁のうち、内閣府、経済産業省、総務省を取り上げ、各省庁のホームページから政策の概要を把握した。あとは試験を行い、成績をつければ自分の役割を終えることになる。もう一息である。
比較行政研究(大学院)
2名による3回目のレジメ発表。そのうち1名は自分だがやや息切れ。しかし、こうして発表時期を確定していくことは大切。たとえ「やらされる」姿勢でも意味はあると思う。そうでもしない限りなかなか踏み出せないものだし、「内圧」だけでなく「外圧」もなければ論文は書けない。
2001/01/22
現代政治の理論と実際
全体討議の後半。昨日、一昨日の入試センター業務の疲れを引きずったまま出席した。議論が先週と比べてやや盛り上がりに欠けたか。
地方行政論
同じく全体討議の後半。先週とは打って変わって、質問が次から次に出たし、活発な議論もなされうれしかった。そのために時間内に終わり切れず来週に持ち越すことになった。受講生にとってもこうした討論形式は、珍しさと適度な緊張関係があっていいのかもしれない。
行政学演習A
ゼミ運営について最初に苦言を呈す。その後は自分達でリンク集の設定、来週のゼミ紹介の準備、ゼミ長の選出など精力的に取り組んだようだ。
2001/01/23
政治学(作新学院大学)
試験の実施。採点作業は残るものの、今日で実質的に終了である。2年間、同じ県の4年生大学で教える機会を持てたことは大変貴重な経験であった。
2001/01/29
現代政治の理論と実際
地方行政論との共通メモとなってはしまったが、昨日、かなりムキになって授業の準備をする。この授業を振り返って思ったところを10項目に分けて紹介した。授業構成、レポート評価、発信の工夫など、まだまだ課題は残るものの、インターネット情報を積極的に利用する方向性は間違っていなかったと思う。大学が決定した授業評価用紙に最後に記入してもらう。
地方行政論
先週やりきれなかった分のレポートについての全体討議が予想外に長引き、自分の持ち時間があまりなくなってしまった。それでも議論が活発になされたことがよかった。「講義メモ」としてホームページに残しているので、ほとんどの受講生は後で目を通してくれるだろう。最後の30分ほど、ゼミ生に研究室紹介をやってもらう。ジョイント合宿の経験から人前での説明には慣れていると思って見ていたが、同じ学部の後輩達を前に多少緊張していたようだ。今年はジョイントの幹事校になっていることもあり、4月にはやる気のある者がひとりでも多く入ってきてほしい。研究室からの情報発信も今以上に積極的にやっていこう。
行政学演習A
卒論発表会。残念ながら修論発表会はできなかったものの、社会人の院生が駆けつけてくれた。発表者のプレゼンも抑制をきかし、ポイントを押さえたいい発表だった。質疑応答もじっくりできたように思える。これで卒論指導は完全に終了。満足感と脱力感が入り交じった気持ちになった。しかし、厳しいもので今日は来年度の卒論・修論作成に取りかかるスタートの日でもある。4月以降前期いっぱいの発表日程を組んだ用紙を配布し説明する。今までの経験から、ここで何も決めておかないと4月以降どうしても出遅れてしまうからである。何はともあれ皆と自分にご苦労様と心から言いたい。
2001/01/30
比較行政研究(大学院)
残り2名による3回目の発表。1月の後半から入試業務、卒論・修論の査読などで追い立てられるような日々が続き、さすがに疲労感が頂点に達した。しかし、2名の意欲的な発表をきいて元気をもらったような気がした。4月以降の進捗に確かな手応えを感じた。これをもって、学部も大学院も授業としては一区切りついた。終了が午後8時半近くになっていたが、3名で近くの店に行き、ビールを飲み、スパゲティを食べ、ささやかな打ち上げをおこなった。こういう時に飲むアルコールは本当に美味いし、会話も楽しかった。4月以降もこの日誌を続けていきたい。