2000年12月の中村祐司教育日誌

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2000/12/25

<卒論指導>

 残念ながらこの時点で完成というわけにはいかなかったが、9割方は完成。書いている本人が夢中になってきたことがここ数回の指導でよく分かり、その意味でうれしさを感じた。

2000/12/19

<政治学>(作新学院大学非常勤)

 今年最後の授業。アメリカ大統領選挙(2000年12月14日付け朝日新聞)の記事をもとに、今回の混乱ぶりについて以下のメモを板書。

43代大統領の選出においては法廷戦術、メディア戦略、世論工作が駆使された。混乱の発端は「バタフライ・バロット」(チョウの形をした投票用紙)。投票のためにパンチする穴をはさんで、左右に候補者を並べる形であるが、候補者を一列にすると字が小さすぎるからと、フロリダ州パームビーチの民主党員がデザインした。ところが、「ゴア氏に投票したと思った人が、パンチする場所を間違えて、保守的な改革党候補ブキャナン氏に入れてしまった」という苦情が殺到。

当選者と次点の票差が投票総数の0.5%に満たない場合、自動的に計数機による再集計が実施されるという規程に従うことになった。

ゴア陣営は州法に基づき、パームビーチ郡など四郡で、手作業による再集計を求めた。これに対してブッシュ陣営は「差止め請求」を行う。しかし、連邦地裁は請求を棄却。ところがフロリダ州の州務長官の存在が大きく、州法「投票日から7日後に、開票結果を認証(確定)する」という規程にもとづき、機械による再集計の票を確定票にすることになった。

結果として、ブッシュ氏「291万492票」ゴア氏「291万192票」と確定。ところが、「米国では、州の決定に郡がやすやすと従う関係にはない」。ゴア陣営は手集計を認めるよう巡回区裁判所に提訴、しかし裁判所は州務長官の決定を支持。「海外不在者投票のブッシュ氏の上積みも630票にとどまり、元の300票とあわせて、リードはわずか930票」に。

フロリダ州最高裁の上訴審で、11月17日、州最高裁は、ハリス長官が18日に勝者を確定することへの「停止命令」を出した。翌日の判決「手作業による再集計結果を、確定結果に算入しなければならない」とした。しかし、マイアミデード郡が、「11月26日までに終えることができない」との理由で、手集計を取りやめ。州務長官が「537票差でブッシュ・テキサス州知事の勝利」を宣言。

ゴア氏は巡回区裁に、確定票に対する異議申し立て。しかし、フロリダ州が大統領選挙人を任命する期限は12月12日に迫っていた。ゴア氏は異議申し立ての迅速化が退けられると、再集計の即時実施を求めて上訴。

11月21日の州最高裁の判決で、法廷期限を越えた手作業集計を認め、投票結果に算入するよう命じられた。12月8日、州最高裁は「手作業の再集計を、全郡で、即刻始めよ」と命令。この時点でブッシュ氏のリードは僅か193票に。ブッシュ陣営は連邦最高裁に上訴。連邦最高裁は「手作業を停止せよ」と命令。12月12日、連邦最高裁は「フロリダ最高裁の判断は憲法違反」と判断。

ある政治学者の言葉として、「今回の出来事は、技術的な決定でさえ政治的忠誠から切り離しがたいということを思い知らされた。」(傍線太字中村)

 

<卒論指導>

 資料を要約・提示するコツはつかめてきたようだ。問題は知見を十分に展開できるかどうかだ。話し合って来週もう一度指導の時間を確保した。

2000/12/18

<現代政治の理論と実際>

今年最後の授業。レポート提出の日。順番に一人一人からフロッピーを受け取り、事前に作成しておいた各々のフォルダにファイルを入れる作業を行う。結構神経を使う作業で目がチカチカした。面倒な作業であることは確かだが、レポートを共有する意義を思えば大したことはない。司会2名も順当に決まる。

<地方行政論>

今年最後の授業。前の時間の「現代政治の理論と実際」よりも受講生が多いので、早目早目に作業した。きっちり形式を守って出してくれる受講生が多く助かった。それでも全員という訳にはいかないのは致し方ないか。ハードディスクに保存したファイルをZIPに移し、今度は研究室で作業に取り掛からなければならない。司会を募った時、自主的に手を上げてくれてうれしかった。

<行政学演習B>

 今年最後の演習。リンク集の作成に取り掛かってほしい旨と来年1月の活動について、ゼミ長に事前に説明しておき、今日は実質的に自主ゼミという形をとる。それでも気になって最後の方に顔を出したが、思ったより作業がはかどっているようで安心した。

2000/12/12

<政治学>(作新学院大学非常勤)

アメリカ大統領選をめぐる話題を再び取り上げる。投票後、1カ月も経過しているに未だに決着がついていない異常事態。本日の朝日新聞の記事をもとに、フロリダ州の得票再集計をめぐる連邦裁判所の停止命令を中心に説明した。

大統領選挙人の任命期限が12日ということはまもなく上訴審の結果が出るということか。州最高裁の再集計命令は判事4対3で決定、連邦最高裁の再集計中止命令は判事5対4で決定。朝日新聞6面の都丸修一氏の記事「救助方法巡り救助者も混乱」が面白かった。それによれば、今回の大統領選挙は、「救助法を巡って救助者まで混乱に巻き込まれた難破船」の様相で、「ハリウッド映画以上の、世紀末的喜劇」、「前代未聞の危機」だという。

手作業をめぐり、ゴア側「有権者の意思は公正かつ正確に反映されるべきだ」、ブッシュ側「手作業は機械のように客観的ではない」と対立。ブッシュ側「連邦よりも州の独自性を強調」する立場であるにもかかわらず、「連邦最高裁を頼み」にし、ゴア側「連邦の役割を重視する」にもかかわらず、「州最高裁こそ決定権がある」と主張することの皮肉。また、ゴア側「情報革命のけん引力を自認する」一方で、「機械への不信をあらわ」にし、ブッシュ側「みなさんを信頼する」と訴えつづけたにもかかわらず、「手作業は信頼できない」と人間不信を陥ることの両者の錯綜。

<卒論指導>

ここにきて全体像がはっきり見えてきた。厚生省に直接足を運んだことが大きい。微修正の期間がどうしても必要だと逆算すると今月の22日がぎりぎりのタイムリミットだろう。内容の充実と時間的締め切りとのせめぎ合いの様相を呈してきた。指導する側もベストを尽くしたい。

2000/12/11

<現代政治の理論と実際>

レポート中間報告。相当急いで発表させているつもりでもどうしても時間が足りなくなってしまう。

この中間報告についても「講義メモ」に掲載するため、ノート型パソコンを持ち込んでメモを取った。

ブラインドタッチが身に付いていないために暗がりの中でタイプするのがしんどかった。

<地方行政論>

  同じくレポート中間報告。講義の準備をしなくていいので楽かと思いきやとんでもない。受講生との間でキャッチボールしつつ、時間配分を気にしつつ、報告内容のメモを取るというのは思いのほかエネルギーが要る。コメントはあくまでもこちらの印象であって、主役はあくまでもレポートを作成する受講生であることを強調。

<行政学演習B>

来年、幹事校を務めるということもあり、今回のジョイント合宿で感じたこと、反省したことなどをざっくばらんに語ってもらう。学生なりにいろいろと考えているのだなと関心した。23日の高田馬場でのジョイント幹事の飲み会にも遠くて大変だができれば多くが参加してほしい。残りの30分余りでレジメをホームページに掲載するためにhtml文書にさせ、添付ファイルで研究室に送らせる。字   

ジョイントの感想もほとんどのゼミ生が寄せてくれたので、ゼミ終了後、一気にホームページ掲載作業に取り掛かる。手早く済ませたいのだが、まだまだ作成技術が未熟なため思いのほか時間がかかってしまった。しかし、ホームページで教育活動を発信していくということはこれからは大学教員として必要不可欠になってくることは間違いない。

2000/12/5

<政治学>(作新学院大学非常勤)

先週に続いて、「加藤政変」を中心テーマにした「朝まで生テレビ」を題材に日本の政治を考える。話は財政問題や地方分権、公共事業にも飛び火した。

<卒論指導>

だんだんと締め切りが迫ってきた。ここまでくると時間との戦いという感じもする。ジョイント合宿等スケジュールがここ数日きつく、頭がふらふらしていたせいか、1週間ぶりの卒論指導であったのを「2週間ぶりにしてはもっとやれたのではないか」と失言してしまい申訳なかった。

2000/12/4

<現代政治の理論と実際>

 実際にスクリーンを使った中間発表の前半。かなり意欲的に取り組んでいるようでうれしくなった。やはりホームページ上に掲載するということが一つの刺激になっていることは確かであろう。

<地方行政論>

 同じくスクリーンを用いた中間発表の前半。しっかりした問題意識を基点にした報告もだいぶ見られた。時間配分を相当気にして急いだつもりだったがそれでも足りなくなる。

        

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