2000年11月の中村祐司教育日誌
2000/11/28 <政治学>(作新学院大学非常勤) 11月25日放送(朝日テレビ)の「朝まで生テレビ」を教材に、今回の森内閣不信任をめぐる動きについて皆で考える。 <卒論指導> 自分の文章を組み立てていく姿勢はいい。資料収集に割ける時間はそんなには残されておらず、この1,2週間で勢いをつけることができるかどうか。 <修士論文作成指導>(大学院) 市町村合併を統計データを分析することで評価しようとするこころみの成果が出てきた。ユニークな視点に自分の方が勉強させてもらっているように感じた。 <比較行政研究>(大学院) 2名による発表。対象は町の祭りと行政サービスのアウトソーシング。前者についてはどのような題材であれ、現場の中から得た知見には説得力があるということ、後者については研究の基本的枠組みはしっかりしているので、後は具体的な対象事例をめぐるモデル政策の立案に今後1年間かけて取り組んでいくという方向が固まってきた。 |
2000/11/27 <行政学演習B> 学祭の後片付けのため授業はないものの、自主ゼミという形で演習のみ行う。各グループとも結論やまとめをどのように書くのか苦慮している。しかし、ここが肝心だと思う。借り物でない自分達の言葉で表現し締めくくればよい。 |
2000/11/20 <現代政治の理論と実際> 口頭での仮テーマの発表。予想外にしっかりしたテーマが多かったように思えた。こちらのメモの取り方が不十分だったかもしれないが、今日から受講生各自のレポート作成が実質的に始まったということもあり、「講義メモ」に掲載することとする。 <地方行政論> 同じく口頭での仮テーマの発表。受講生が1コマ目と比べて多いと同時に、国際学部専門科目ということでテーマ掘り下げの度合いも強い。時間的にやや窮屈な形になってしまったが仕方ないか。再来週、事情で30分ほど早く切り上げなければならないのが痛い。 <行政学演習B> 毎回感じることだが、グループごとの取り組みの個性が出て面白い。グループ内の構成メンバーの熱意にも温度差があるようだが、そのあたりをどう調整していくか、グループ間での話し合いも含めて演習生にとってはゼミという「組織」について実地に学ぶいい機会なのではないか。 |
2000/11/14 <政治学>(作新学院大学非常勤) アメリカ大統領選をめぐる問題を話した後、この日の朝日新聞朝刊を題材にして、自民党の加藤派が森首相に対する不信任決議に賛成するかもしれないとう事態について整理する。基本的なな認識のために役立ったのが3面の以下の記事。 それをまとめると、内閣不信任案は、衆院投票総数の過半数で可決。総定数480だから全員投票と仮定すると、議長が1名抜けるため240票で成立する。加藤派・山崎派の各々45人、19人のため計64人。野党4党(民主129人、自由22人、共産20人、社民19人)の合計は190人であるため、両派のうち50名が賛成に回れば不信任案が可決される。両派が全員欠席の場合は、480−64=316で、この過半数は208票。不信任案可決のためには18票足りないが、「21世紀クラブ」9名、無所属8名、無派閥12名の動向がかぎをにぎることになるという。もちろん、加藤派・山崎派に対する橋本派60人、森派39人、江藤・亀井派35人による切り崩しも考えられるし、河野派グループ12人、旧河本派12人も存在する。ちなみに公明党は31名、保守党は7人。 <卒論指導> あくまでも暫定的ではあるが、設定した目次に具体的な内容を入れ込んでいく段階にきた。卒論生の数が多いほど教育負担が重くなると考えがちであるが、少なければ逆に一人あたりの卒論作成過程により一層深く関わることになるので、どちらが大変だとは言えないであろう。いずれにしても教員側にもこの過程を通じて新しい知識のみならず、やる気と今までにない視覚について学ぶことができるのは非常にありがたいことだ。 <修論指導> 景気動向指数によるデータ評価に依拠するような形で、市町村合併をめぐり10年後の人口増など7系列を設定した集計結果がほぼ出揃った。これはいい修士論文になるのではないかと直感的に思った。市町村合併を評価する際の斬新でユニークな切り口の提示ではないだろうか。 <比較行政研究>(大学院) 修士1年生と自分の発表。この時間のスタイルがいい感じで確立しつつある。やはりたとえノートやレジメ段階であっても期限を定めてホームページに掲載していくというやり方は、研究に対する各々の緊張感を維持していく上で間違っていないのではないか。 今日はさすがに疲れ、夕食を受講生3名ととった後そのまま帰宅。 |
2000/11/13 <現代政治の理論と実際> ワードを用いてhtml文書形式でノートを作っていくように奨励する。要するに多少行や段落がずれてもかまわない、レポート内容さえしっかりしていれば恐れることはないということを言いたかった。レポート作成についてここでやや丁寧に説明しておかないと間に合わなくなる。テーマ例として栃木県知事選挙を取り上げ、下野新聞の「企画」を題材にしたノート作りの例を提示。希望的観測かもしれないが、今年の受講生の雰囲気からしてかなりやってくれそう。 <地方行政論> 最初の30分ほど時間をとって、この講義に参加している宇都宮市職員の方から市の戸籍サービスについて話をしてもらう。「住民票の写し・戸籍の交付窓口が6市町村に拡がる-広域行政窓口サービスのご案内」というパンフレットをわざわざ受講生分持ってきてきてくれた。やはり現場で働かれている行政職員の話は貴重で、受講生も熱心に耳を傾けていたようだ。 その後、ノート作りのやり方についてはほとんど省略して、米大統領選のフロリダ州の集計作業に注目し、投票の仕方、投票用紙をめぐり生じた問題などを説明する。やはり教える内容について、教員側が面白くなければ、当然、受講生の関心も集められないと思う。また、テキストを頭から構えて勉強するやり方ではなく、今回のように情報の断片をつなぎ合わせ、興味関心の湧くところから入っていくやり方があってもいいだろう。 <行政学演習B> ジョイントゼミ勉強会も残すところあと2,3回。各班とも実際のインタビュがレジメの柱となりつつあることがうれしい。グループごとの個性もはっきりしてきた。残りの30分で合宿の運営に関する話し合いがなされたが、つくづく主催校(早稲田大学)の担当者は大変だなと思った。主催校を引き受けたことがない(あるいは引き受けられなかった)宇大としては、発表内容の充実で恩返しするしかないだろう。あと2週間は胸突き八丁だが、何とか乗り切ってほしい。 |
2000/11/7 <政治学>(作新学院大学非常勤) アメリカ大統領選についての論点整理。(2000年11月6日23:00からの)BSニュースの録画ビデオを題材にする。 このニュースによれば、ゴアとブッシュはこの2週間で各々1,500万ドルをTVコマーシャルに費やした。しかし、コマーシャルによって影響を受ける有権者は1%しかいないという分析もある。史上まれにみる大接戦であるが、多くの有権者はしらけている。選挙への関心は31%がないと答えている。10月のギャロップ調査から考察するに、ゴアとブッシュによる政策アピールと有権者の関心がずれている。すなわち、有権者は、@教育、A経済、B税金、C社会保障、D健康保険、E国際情勢、の順で関心を持っているにもかかわらず、ゴアはD位の健康保険を重視し、ブッシュはB位の税金を重視している。テレビ討論では決着はつかなかった。ここにきてブッシュは白人の有権者に、ゴアは黒人、ヒスパニック、女性に働きかけを絞っている。また、24年前におけるブッシュの飲酒運転がスキャンダル論争を生じさせている。大統領選は嘲笑合戦の様相を帯びており、この段階でも投票を変更する可能性のある有権者が多い。ゴアを投票するつもりの有権者のうち16%、ブッシュへ投票つもりの有権者のうち13%が他候補に入れる可能性がある。 |
2000/11/6 <現代政治の理論と実際> 最初に一人一人おぼろげとしたテーマでもいいからと言って、その場で考えさせる。この時間は暗幕を引いてスクリーンを映し出す形でやっているので、たまには明るく太陽を浴びて対面方式でやってみたいという思いもあった。レポート作成のスケジュールをとテーマ例を提示。昨年度や今年度前期との違いとして強調したかったことは、レポートの原点に戻ろうということ。自分の文章が「主」で、インターネット資料はあくまでも「従」であるということ。 <地方行政論> ここでもでも前の時間と同じことを強調。ただし、経験者も多少いるため、ややテーマ例について詳しく説明。学部の学生からなるこの時間と複数学部の学生が集まっている前の時間帯とでは雰囲気が違うなとあらためて実感。 <行政学演習B> ジョイント合宿に向けた勉強会も本格化してきた。問題意識をはっきりと打ち出す班がでてきたことは大変うれしいことだ。結局自分たちはどう考えるかというのが大切。 |