小学校における運動遊び・スポーツ指導に関するボランティア活動のニーズ調査 |
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−小学校教員を対象として− |
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T.調査の目的 |
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本調査の目的は,小学校教員を対象に大学生がボランティア活動として小学生と一緒に運動遊び |
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やスポーツを行うことの必要性などを調査することによって,そのボランティア活動の可能性を探 |
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ることである. |
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U.調査対象 |
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1)調査対象となった学校は宇都宮市立小学校全59校であり,その回収率は93.2%(55校)であっ |
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た.回答した教員は551名であった. |
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2)調査対象となった小学校と宇都宮大学との距離をみると,@2 km以内が7 校(12.7 %), |
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A2〜4 kmが10 校(18.2 %),B4〜6
kmが15 校(27.3 %)、C6〜8
kmが14 校(25.5 %), |
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D8〜10 kmが7 校(12.7 %),E10 km以上が2 校(3.6 %)であった. |
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3)調査対象となった教員が担当していた学年は,1 年生が78 名(14.2 %), |
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2 年生が73 名(13.2 %),3 年生が88 名(16.0 %),4 年生が77 名(14.0 %), |
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5 年生が88 名(16.0 %),6 年生が78 名(14.2 %)であった. |
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また「その他」として,クラスを受け持っていない教務主任教員や養護教諭などは |
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69 名(12.5 %)であった. |
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V.結果 |
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1.子どもの体力に対する満足度(質問A) |
2.小学校の位置別(宇都宮大学を中心とした) |
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にみた子どもの体力に不安を感じている教員 |
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の割合(質問Aの3又は4への回答率) |
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○子どもの体力が「十分」と答えた人はわずか |
○いずれの地区も70 %以上の値を示した.このこ |
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0.4%であり,「少し不安」又は「問題あり」 |
とから,市街中心,郊外地区などの学校にかか |
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と答えた教員は77.3%であった.このことから, |
わらず,教員は子どもの体力に問題があると |
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多くの教員は子どもの体力に問題があると考え |
考えている. |
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ている. |
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3.学年別にみた体力に不安を感じている教員 |
4.体力低下への対策をとっているか |
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の割合(質問Aの3又は4への回答率) |
(質問B) |
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○いずれの学年も70%以上の値を示した.これらの |
○74.8%の教員が体力低下に対して何らかの対策 |
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ことから,どの学年も同様に不安を抱えているこ |
をとっていた. |
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とがわかる. |
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*具体的な対策例は以下のようである. |
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<授業の工夫>・“サーキットトレーニング”“柔軟性がつくような運動”“走る運動”“固定施設 |
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(鉄棒,うんてい等)を利用しての運動”を取り入れる ・筋トレ ・運動量の確保 |
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<外遊びの奨励>・業間,休み時間,放課後は外で遊ぶよう声を掛ける ・一緒に外に出て遊ぶ |
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<学校としての対策>・「がんばり表」「鉄棒チャレンジカード」を用いる ・「スポーツ朝会」 |
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「ふれあいタイム」「ロング昼休み」「元気タイム」といった活動 ・週1回は |
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みんなで外で遊ぶ |
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5.計画への関心度(質問C) |
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6.学年別にみた計画に対して肯定的な教員 |
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の割合(質問Cの1又は2への回答率) |
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○「賛成」及び「やや賛成」を合わせると93.7% |
○いずれの学年も約90 %を示した.このことから, |
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であり,多くの教員がこの計画に関心を示した. |
どの学年の教員もこの計画に対して肯定的で |
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しかし,この計画に対して何らかの疑問を持つ |
あると考えられる. |
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教員もみられた(自由記述より). |
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*自由記述(やや反対および反対)からの具体的意見は以下のようである. |
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・不明な点が多い(安全面,責任の所在,計画の内容・主旨等) |
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・子ども達は忙しい(時間的制約が増える,自由に遊ぶ時間がない,ゆっくりと休ませたい, |
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子どもとのスケジュールが合うかどうか心配等) |
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・大学生は未熟である(学生は遊びだけで責任をとらない,どちらが主体なのかわからなくる, |
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学生の勝手な考えでやられると困る,教育実習での姿を見て不安になることが多々ある等) |
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7.希望する実施頻度(質問D) |
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8.希望する曜日(質問E) |
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○希望する実施頻度は,71.6%の教員が「週1日」 |
○希望する曜日等は「土曜日」(63.2%)が最も |
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又は「月2日」であった. |
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多く,次いで「長期休み」(35.2%)であった. |
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9.希望する活動場所(質問F) |
10.ボランティア活動を実施する場所として小学 |
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校を希望する割合 |
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○希望する活動場所は62.1%の教員が「小学校」 |
○大学からの距離にかかわらず,多くの学校が実 |
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であった. |
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施する場所として「小学校」を希望していた. |
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その中でとくに,大学からの距離が10 q以上の |
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小学校の約90
%の教員は,実施場所として小学校 |
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を希望した. |
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W.まとめ |
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@ 調査対象は宇都宮市立小学校全59校の教員であり,回答者が551名,回収率が93.2%であった. |
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A 教員からみた「子どもの体力に対する満足度」については,77.3%もの教員が子どもの体力 |
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に対してなんらかの不安を感じていた【1】. |
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B 「体力低下に対してなんらかの対策をとっているか」については,約80 %の教員が「はい」 |
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と回答した.その多くは「授業の工夫」「外遊びの奨励」「学校として対策をとっている |
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(行事やクラスごとの工夫)」であった【4】. |
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C 「本計画に対する関心度」については,93.7
%の教員が肯定的であった. |
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また一方では,この計画になんらかの疑問(安全面,具体的内容等)を持つ者もいた【5】. |
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D 計画を実施するにあたって希望する「頻度」や「曜日」については,週1日及び隔週 |
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(月2日)・土曜日及び長期休みが多かった.場所に関しては,小学校が最も多く,特に大学 |
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からの距離が10 km以上離れている小学校の教員の約90 %が「小学校」を希望した【7-10】. |
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自由記述より(代表的なものを記載した) |
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子どもの体力に対して肯定的(「十分」または「普通」)な教員の意見 |
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・外で元気よく遊んでおり,体を動かすのが好き. |
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・多少の個人差はあるものの全体では平均. |
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・体を動かす習い事が活発. |
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・学校が体力に関して対策をとっている. |
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子どもの体力に対して否定的(「少し不安」または「問題あり」)な教員の意見 |
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・室内遊びが好きで外で遊ばない. |
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・持久力,腕力,背筋,柔軟性が弱い.(鉄棒,持久走等を見て) |
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・体力テストの結果から. |
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・根性がない.(すぐ疲れたなどと言う) |
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・環境がよくない.(場所,時間,経験,生活,教育課程等) |
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・個人差が大きい. |
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・子どもの様子を見て.(体育の授業,運動嫌いの増加等) |
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子どもの体力低下に対して対策をとっていない教員の意見 |
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・時間,場所がない.(子ども・教師共に仕事が在る,塾・習い事で忙しい等) |
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・家庭.(過保護,体力低下に対する認識が薄い等) |
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・治安が悪い.(交通事情,不審者等) |
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本計画の実施場所として小学校を選んだ理由 |
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・近い.(集まりやすい,一人で行ける等) |
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・子ども向きの用具がある. |
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計画に対する肯定的意見 |
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・教員を目指す大学生の育成にも役立つし,週5日制に伴う子どもの土曜日の過ごし方にも役立 |
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つと思う. |
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・年上の人と遊べるといろいろな遊び方を身につけられると思う. |
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・核家族で一緒に遊んでもらえる大人がいない子どもや,普段の習い事などで遊べない子どもに |
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とってはとても良いと思う. |
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・異学年の友達と遊ぶ機会が少ないと思うので,こういった計画は良いと思う. |
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・大人と遊びたがっている. |
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・放課後「家で友達とゲームをする」子どもが多いので,このような機会を与えてくれるのは良 |
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いと思う. |
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・留守家庭(週5日制になったものの親が働きに出ている)の子どもへの対応. |
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計画を実施するにあたって参考となる意見 |
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・安全面,責任面の整備をしっかりとやった方がいい. |
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・体力の向上はもとより,その中で人との関わり方(コミュニケーション能力)や自主性なども |
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身につけられれば良いと思う. |
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・勝負にこだわらない運動が多く行われれば良いと思う.(運動嫌いの子どもへの対応) |
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・体を動かすことの楽しさを体感させてもらえたら良いと思う. |
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・人としてのけじめ(マナー,ルール等)をしっかりと遊びの中で身につけさせてもらいたい. |
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また,「いいよいいよ」ではなく,厳しい指導も望む. |
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・保護者の協力があればとても良い計画になる.親同伴だと参加率が低くなると思う. |
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・大学側で派遣される学生の指導をしっかりやった方がよい. |
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・目的,主旨をしっかりふまえてやってほしい. |
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・子ども達が自分たちで続けられるような運動を教えてほしい. |
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・「あそこにいけば友達が集まっていて,楽しい遊びが出来る」というような環境作りをしてい |
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ただきたい. |
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・専門性を高めるのではなく,仲間と心を通わせることをめあてとして活動してくれると良い. |
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・各学校に「子どもの家」(地区の子どもが誰でも参加できるシステム)があるようなので, |
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それとのタイアップを考えてみてはどうか. |
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・モデル校を作り実施してみてはどうか. |
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・「知らない人と遊ぶのは不安」という声が聞かれた.ある程度固定的なメンバー構成や指導者 |
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で人間関係を作っていくことから始めることも重要だと思う. |
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