010516yoka 講義メモ (中村祐司作成)
『公共を支える民』第5章
「アメリカの自治から学ぶべきこと・学ぶべきでないこと」
1 ピッツバーグ大都市圏の成り立ちと自治の仕組み
ペンシルヴァニア州
フィラデルフィア市(人口約140万人)
アレゲニー郡(人口約125万人):郡政府→福祉・公共衛生、裁判所・刑務所関係、空港などの運営。
ピッツバーグ市(人口約33万人):都市計画、ゴミ処理、警察など。
ペンシルヴァニア州ピッツバーグ大都市圏?
アレゲニー郡内の自治体数は130以上(人口規模数百人から2000人未満の自治体が数多く存在)
ピッツバーグ市対アレゲニー郡
ピッツバーグ市対他の郊外自治体
アレゲニー郡対他の3郡
「自治体の細分化状態と効率的な広域政府の欠如」
2 消防と福祉に見る自治の精神
ペンシルヴァニア州には約2000の消防署と消防団組織が存在(ピッツバーグ市周辺のほとんどがボランティアの消防団)
歳入の大部分は、住民からの献金や各種の募金活動
「消防のような、夜警国家に含まれるであろう最低限の公共サービスの一つがボランティアによっているという事実」
→@ 自分たちの町は自分たちで守るという自治の精神
A 納税者意識の高さ(潜在的反税意識)
福祉政策の重点が政府による給付から民間互助へ
「政府による福祉政策充実は福祉への依存を強めるだけ」
民間のボランティア組織の存在(反税・反政府思想の表れでもある)
3 公教育を支える民の力
「学校区・教育委員会のあり方も、ボランティア精神の発露」
ピッツバーグ市学校区:9人の無給の教育委員が選挙で選出。貧しい層
マウント・レバノン市:高学歴・高所得の保護者
「連邦教育省の権限が小さく、州政府の教育に関する権限も限られているため、教育委員会の責務は非常に重要」
「教育委員が政治家としての階梯の第一歩」の側面少なく、「市民として、あるいは保護者の義務として、この仕事を志している」
公立学校:保護者を主としたボランティアの活動領域の広さ
「ボランティア活動が教育の中枢に組み込まれているのが、郊外学校区の姿」
4 地域格差と排他主義
郊外自治体:裕福、ボランティア盛ん
大都市中心部:貧困、自治・参加の制度が機能せず
「貧しい層が住む地域の子どもたちは、小学校の時点ですでに不利な立場にたたされる。貧困の再生産である。」
教育環境平準化、直接的学校間格差解消は進まず
2000年4月のマウント・レバノン市での事件
「社会的・経済的に、アフリカ系アメリカ人や他の少数民族系アメリカ人が、郊外に住むことが困難」
ピッツバーグ市学校区では、アフリカ系アメリカ人が半数
「郊外住宅地では、アフリカ系・ヒスパニック系・アジア系の生徒はあわせて1-2%しかいない」
郡単位での平衡交付金制度の導入を。しかし、実現しないのでは。
「多くの郊外の『白人』にとって、『白人』のみのコミュニティの維持が至上の目的となっているから」
「アメリカの自治を理解するためには、人種分離・人種隔離という裏面にも注目しなければならない」
次回は第9章「スポーツ事業における公民協働の可能性」1節と2節
<ホームページ紹介>
SOHOという仕事の枠を越えて、働くことの意味や問題意識について考えさせられる。
上記、「ホームオフィスナビ」の下部バックナンバーに「活躍するSOHOママを紹介」のコーナーがあり、読みごたえあり。