gen001030講義メモ(中村祐司)

細野真宏『経済のニュースが面白いほどわかる本』中経出版、2000年から引用

239;-「小さな政府」と「大きな政府」について-

大きな政府:あまりに政府が仕事をしすぎる。

(無意味な仕事も含めて)

政府がたくさんの仕事をすることになるので

その分、税金が高くなってしまうんだ。←たくさんの仕事をするためには

                        たくさんのお金が必要になるので!

一般に、

「大きな政府」だと仕事の効率がとても悪くなるんだ。

例えば、

以前は国が運営していて大赤字だった国鉄は、

民営化されてJRになったんだけれど、JRになってからは

リストラなどをしたり仕事内容を大幅に見直したりして

できる限り無駄なお金をつかわないように努力をしたんだ。

その結果、JR全体では黒字にすることができた。

また、

以前は国が運営していた電電公社は、民営化されてNTTになった

んだけれど、民営化されたら「マーケット メカニズム」によって

競争原理が働くので、NTTになってからは サービスが良くなったり

電話料金が値下がりするようになったりしたんだ。

240;国が行う仕事は基本的に競争がないから

「マーケットメカニズム」が働かないんだ。

競争相手がいない状況では比較されることがほとんどないので、

仕事の効率が悪くてもあまり問題にならないんだよ。 

そんな状況だから、一般の会社がやっているような経営努力を

国に求めるのはムリなんだろうね。

 だから本当に借金を減らしたいのであれば

政府が(税金を使って)効率の悪い仕事をやり続けるのではなく、

JRやNTTのように民間にまかせられることはどんどん民営化して

政府の仕事を最小限にするべきなんだ。

「マーケットメカニズム」によって競争させれば

どんどん無駄遣いが減り仕事の効率が良くなっていくからね。

241;本当に借金を減らしていきたいのであれば

「小さな政府」に向かうべきなんだ。

 ////

しかも、日本はこれから「少子高齢化」が進んでいくので

働ける人が減っていきこのままでは日本経済の活力はどんどん弱まっていく

一方なんだよ。

つまり、これまでの日本経済の活力を維持していくためにも

自由競争を促進させていく「小さな政府」に向かうべきなんだ。

「小さな政府」に向かわなければ、発展していくどころか今の生活すら維持できなくなるんだね。 

 

だけど////

242;「小さな政府」に向かえば向かうほど政府の役割が減って、規制が減りマーケットメカニズムによって競争が激しくなっていくので、

成功する人(勝者)と失敗する人(敗者)が明確に分かれていく

ことになるんだ。

つjまり、

お金持ちと貧しい人の差がどんどん大きくなってしまうんだよ。

だから、あまり「小さな政府」に向かいすぎるのも問題があるんだ。

////

243;確かに「小さな政府」になれば国の赤字は減っていくし

僕らが国に納める税金も少なくてすむようになるだろうね。

だけど、その代わりに社会保障などがあまり受けられなくなるんだ。

 だって、国がやるべき仕事が減れば減るほど

僕らへの保障も減っていくでしょ。

つまり、

自分のことは自分で責任をもってやらなければならないという

自己責任」が今まで以上に求められることになってしまうんだ。

逆に、「大きな政府」だと税金はたくさん納めなければならないけれど

その分、手厚い保障を受けることができるんだ。

////// 

244;実際に「大きな政府」か「小さな政府」のどちらに向かうかは

選挙で勝った政党の方針によって決まるんだ。

だから、選挙のときには

自分の考えに合う政党に投票すればいいんだよ。


-参院選比例区の非拘束名簿式について-

*以下の2つの図は2000年10月27日付朝日新聞朝刊より

<参院定数はこうなる>2000年10月27日付朝日新聞

(カッコ内は改選数)

        現行      新制度
  総定数           252(126)          242(121)
  比例区           100( 50)               96( 48)
  選挙区           152( 76)          146(  73)

選挙区の内訳は、岡山4(2)→2(1)、熊本4(2)→2(1)、鹿児島4(2)→2(1)


以下、エンカルタ百科事典より

小選挙区比例代表並立制 しょうせんきょくひれいだいひょうへいりつせい 1994年(平成6)の公職選挙法の改正により抜本的改革がおこなわれた、現行の衆議院議員選挙制度。

導入の理由

従来の中選挙区単記投票制を変更して、新たに小選挙区比例代表並立制の採用にふみ切った理由として、次の点があげられている。

まず、1976年(昭和51)414日および85717日の2度にわたって、最高裁は、選挙区別議員定数をさだめた公職選挙法別表第1および同法附則第7ないし第9項の各規定が、憲法141項の法の下の平等に違反するとして、議員定数不均衡違憲判決をくだしていた。これにより、投票価値の平等を達成する選挙区画の改正問題が意識された。

また、政治腐敗事件の続発により、政治腐敗の原因となる金のかかる選挙を改善する必要が生じていた。中選挙区だと、選挙区が広くなっているため候補者の選挙運動に費用がかかること、同一政党から複数が立候補して共倒れとなり民意が反映されないこと、同時に、政党選挙よりも派閥選挙になり金がかかることなど、多くの問題点をかかえていると考えられた。

さらには、自民党対社会党といういわゆる55年体制が崩壊し、新たな政治再編の動向が影響していたことである。

制度内容

衆議院議員総定数500(*現在は480)を、小選挙区選出議員300と比例代表選出議員200(*現在は180)とにわける(公職選挙法4条)。

小選挙区は、定員1人に関して、有効投票の最多数をえた者を当選人とする。ただし、有効投票総数の6分の1以上の得票が必要である(951項)。

比例選挙は、全国を11ブロックに分割し、各衆議院名簿届出政党の得票をブロックごとに集計し、ドント式で獲得議席を決定する。当選人は、名簿登載者の上位から獲得議席数までとなる(13条第2項、95条の21項、別表第2)。

したがって、衆議院議員選挙において、有権者は2票をもつことになる。1票は、小選挙区の投票であり、立候補者の個人名を記入して投票する。もう1票は、比例代表に関するものであって、登録政党名を記入して投票する。

このように、小選挙区と比例代表が、ただ単純にあわさっているということで、小選挙区比例代表並立制と名づけられている。

小選挙区は、選挙区が小さいため候補者の人格や政策を知りやすく、立候補者にとっても金がかからず、二大政党制をうながし政権交代を可能にすることができるといわれる。

一方、比例代表は、現実社会の状況をもっとも合理的にあらわすことができ、また死票がかなり少なくなる制度である。

ただ、小選挙区選出議員数と比例代表議員数の割合については、選挙制度改革の目的に対する考え方の違いを反映することになり、現職議員の政治的配慮がはたらいた。現行制度においては、二大政党志向的要素が強くでているといわれる。