gen001023.htm

講義メモ(中村祐司)

先週取り上げたユーゴスラビア状勢に関する補足の記事に注目→

 

政党のホームページを読む

そもそも「政党」とは何だろうか?

五五年体制(Parties System Scince 1955)〔政党〕

一九五五(昭和三〇)年に発足した日本の戦後政治の大きな枠組み。自民党と社会党の二つの政党によって運営される政党政治のシステムであった。同年一〇月、左右両派に分裂していた社会党が統一され、議会の三分の一を確保することとなった。保守陣営では、吉田自由党と鳩山民主党とが対立していたが、過半数を確保する保守政党の誕生という財界からの要求もあり、一一月に二大保守政党の合同となった。しかし、当初から社会党は自民党の二分の一以下の議席しか確保しておらず、政権交代に結びつくような逆転は難しく、11/2(一と二分の一)政党制ともいわれることになる。九三年総選挙を契機として、自民党が分裂。九四年には自社さきがけ連立内閣が誕生し、五五年体制は崩壊した。同年、新進党が発足し、自民党、社会党とともに三大政党体制が誕生。しかし、鳩山由紀夫・菅直人らによる民主党の出現、また九八年の参院選で自民党が惨敗し、自民党は不安定な状況となっている。当分の間、自民党対民主党の対立軸となるが、現在、自民党は自自連立に公明党を加え、自自公連立政権で政局の安定を企てている。

(現代用語の基礎知識2000年版から)

以下、政党のホームページから特に注目できるものを一つ挙げてみる。


<自民党> http://www.jimin.or.jp/jimin/title.html

*自民党のホームページから、左サイドの「政策のトピックス」から「平成12年の情報」をクリックすると、

  「政策に関する情報」の項目一覧が出てくるが、

  この中で特に公共事業の抜本的見直しに関する三党合意 http://www.jimin.or.jp/jimin/title.html

  に注目。その内容を以下に貼り付けた。ただし、色付けは中村→

 

公共事業の抜本的見直しに関する三党合意
平成12年 8月28日
自由民主党
公 明 党
保 守 党


 わが国の社会資本整備の歴史は欧米諸国と比べて浅く、整備水準も依然として立ち遅れている現状にある。社会資本の整備を図る公共事業は、安全で豊かな国民生活の実現や、均衡ある国土づくり・地域づくりを推進し、人・もの・情報の流れを円滑にする等、効率的な経済活動を営むためのものとしてこれまで大きな役割を果たしてきた。
 21世紀を迎えるにあたり、情報通信基盤や教育・研究機関の施設整備の促進など新たな役割も期待されており、都市と地方が共生できる活力ある社会を築くためには、今後とも社会資本整備を計画的にかつ着実に進めていく必要がある。
 しかしながら、公共事業の配分比率の硬直化事業の長期化などにより、経済社会の変化や時代のニーズに必ずしも適応したものになっていないとの強い批判があることも事実である。そこで、現在の公共事業のあり方を効率化・透明化、さらには事業の重点化を進める根本的な見直しを行うことにより、21世紀にふさわしい公共事業の姿を求めることが肝要である。
 自民党・公明党・保守党の三党は、これらの現状を踏まえ、公共事業の見直しについて鋭意検討した結果、以下の通り合意した。今後、政府においてはこれらを十分に尊重し、具体的な検討・実現がなされるよう強く要望する。

1. 計画・既着工事業の抜本的見直し
   計画段階にある事業及び既に着工している事業について、「時のアセス制度」を活用して、環境や周辺利用への影響等の視点も含め総合的に勘案し、以下に該当する事業は、中止を前提に抜本的に見直すこととする。
 
(1) 採択後5年以上経過して、未だに着工していない事業
(2) 完成予定を20年以上経過して、完成に至っていない事業
(3) 現在、休止(凍結)されている事業
(4) 実施計画調査に着手後10年以上経過して、採択されていない事業
    ※ 具体的な事業数、総事業費などについては、別紙参照

「吉野川第十堰改築事業」について
 現在、建設省が計画している吉野川の可動堰建設について、民意が二分されているが、現堰の改築の必要性については、ほとんどの人が認めるところである。 膠着したこの現状を打破するためには、政府の現行計画を白紙に戻し、新河川法の趣旨にのっとり地元住民の意見を反映しつつ、洪水防止、水利用の観点から新たな計画を策定する。
中海本庄工区干拓事業」について
 中海の本庄工区干拓事業は、時代のニーズ・地域事情の変化等を勘案し、鋭意検討した結果、「中止」すべきであるとの結論に達した。 その際には、地方負担金の問題や江島架橋の前倒施行、道路整備等の地域振興策など地元からの要望に対し、国が責任を持って対応すべきである。

. 事業評価システムの厳格化と情報公開の徹底
(1) 現在、政府の行っている再評価システムをより厳格に制度化し運用するとともに、公共事業の評価システムも含めた「行政評価法」(仮称)の制定を目指す。
(2) また、事業の透明化を図るために、インターネット等を積極的に活用して情報公開を徹底する。

3. 公共事業予算の重点化と新たなニーズに対応する社会資本整備の推進
(1) 投資効果が極力早期にあらわれるよう、事業に優先順位を付け、工期の短期化を図る。
(2) 公共事業のシェアの固定化をもたらし、予算配分の硬直化の一因となっている「長期計画」のあり方の見直しを検討する。
(3) 公共事業の予算配分にあたっては、従来のシェアの壁を超えて、IT関連、環境対策、少子高齢化対策、まちづくり・都市基盤整備等に重点的に予算配分を行う。
(4) 21世紀にふさわしい社会資本整備として、情報通信基盤教育・研究機関の施設の整備促進が不可欠であり、予算編成過程において「公共事業関係費」の範囲を見直し、その予算の充実を図る。
(5) PFI(民間資本主導の社会資本整備)を有効に活用した公共事業の展開の促進に努める。

. 地方への補助事業の見直し
(1) 地方分権促進の観点から、地方補助事業については、国家的事業や先導的な施策に関連する事業など真に必要なものに限定する。
(2) 地方がその地域の特性、住民などの要望に応じて計画的に行うことを可能とするため、統合補助金を拡充する。
(3) さらには、(1)以外の補助事業については、国と地方の役割分担・費用負担のあり方について見直しを行い、段階的に地方に移譲し、地方自治体の単独事業とすることを検討する。

5. 公共事業の入札の改善、談合の排除
(1) 入札に関する申請、請負契約等の手続きのIT化を進めコストを削減する。
(2) 誰もが落札・発注等の入札情報をインターネット等で閲覧できるよう情報公開を拡大する。
(3) 談合等の不正行為に対するペナルティの強化を図る。

. 地元住民とのコンセンサスの重視
 これからの公共事業は、地域住民とのコンセンサスを得ながら行うべきであるが、一方、地方議会の決定を覆すことは民主主義の否定につながりかねないこともあり、これらを総合的に考慮し、そのあり方を慎重に検討していくことが肝要である。

7. 法整備の検討
 公共事業の透明度を高め、国民の信頼を得るために、公共事業の目的、使命を明確 にするとともに、請負契約の適正化の基本原則、契約プロセスの透明化、公正な競争 の促進などを内容とする「公共工事請負契約適正化法」(仮称)の制定を検討する。

8. 与党公共事業改革プロジェクトチームの設置
 今回の公共事業見直しを受け、そのフォローアップとさらなる改革を行うために、与党政策責任者会議の下に、「公共事業改革プロジェクトチーム」を設置する。


公共事業見直し基準に該当する事業
(億円)
  (1)採択後5年以上経過して、着工していない事業 (2)完成予定を20年以上経過して、完成していない事業 (3)現在、休止されている事業 (4)調査に着手後10年以上経過して、採択されていない事業  




事業数 45(直轄9) 事業数 なし 事業数 44(うち直轄5) 事業数 13(うち直轄5) 102件
総事業費 10,305 総事業費 総事業費 7,709 総事業費 6,300 24,314
既投資額 413 既投資額 既投資額 893 既投資額 214 1,520
残事業費 9,892 残事業費 残事業費 6,816 残事業費 6,086 22,794
主な事業名 主な事業名 主な事業名 主な事業名  
58号沖縄西海岸道路那覇北道路(沖縄県)
一の谷川基幹河川改修事業(香川県)
木曽川導水(愛知県)
土浦駅前北市街地再開発事業(茨城県)
市川町特定環境保全公共下水道(兵庫県)
  都島阿倍野線(大阪府)
飛鳥ダム(奈良県)
吉備町公共下水道(和歌山県)
大原公園(大分県)
高遊原地下浸透ダム(熊本県)  




事業数 25(うち直轄5) 事業数 なし 事業数 36(うち直轄4) 事業数 なし 61件
総事業費 1,070 総事業費 総事業費 2,895 総事業費 3,965
既投資額 23 既投資額 既投資額 378 既投資額 401
残事業費 1,047 残事業費 残事業費 2,517 残事業費 3,564
主な事業名 主な事業名 主な事業名 主な事業名  
長崎港(小江地区)防波堤南
岡山港(正儀地区)廃棄物海面処分場
両津港(夷地区)国内物流ターミナル
  千葉県営鉄道北千葉線(本八幡〜小室)
臼杵港(諏訪地区)マリーナ(大分県)
津居山港(気比地区)旅客Lターミナル(兵庫県)
新石垣空港(白保地区)(沖縄県)
   




事業数 事業数 23(うち直轄5) 事業数(*1) 41(うち直轄12) 事業数 なし 70件
総事業費 約75 総事業費 約4,510 総事業費 約1,059 総事業費 5,644
既投資額 約3 既投資額 約3,483 既投資額 約276 既投資額 3,762
残事業費 約72 残事業費 約1,027 残事業費 約783 残事業費 約1,882
主な事業名 主な事業名 主な事業名 主な事業名  
栗原台畑地帯総合整備(茨城県) 中海本庄工区国営干拓(島根県) 猿払国営かんがい排水(北海道)
福富西条農免農道整備(広島県)
佐野・則松線補助林道(岐阜県)
栃山木組線補助林道(三重県)
玉江漁港漁港漁村整備(山口県)
   
*1 41件のうち2件は(2)にも該当するため、金額は(2)のみに計上
対象事業 233件
対象事業の残事業費約 28,000億円
既投資額 5,683億円

 

民主党は公共事業についてどのような考えを持っているのか。

民主党のホームページ http://www.dpj.or.jp/

の最上部にある「サイト検索」に「公共事業」と打ち込んで検索すると、

関連のサイトが279個出てくる。この中からいくつかピックアップしたい。→

まず、 http://www.dpj.or.jp/xdata/100/q%26a/13-kokyojigyo.html を以下に提示。

民主党は公共事業をどのように改革するのですか。

(答)

○現在の公共事業には、抜本的な改革が必要です。

○公共事業の第一の問題点は、一度決定してしまったら二度と止まらないことです。社会状況が大きく変化し、事業の当初の目的を失ってしまっても、公共事業が途中で止まることはほとんどないのです。最も顕著な例が、諌早湾干拓事業です。終戦直後の食糧難の時代に計画された事業が、コメ余りの現在でも継続されているのです。

○さらに、当初から目的が疑わしい公共事業も数多くあります。行政の縦割りの弊害や強引な景気対策で公共事業を膨張させたために、国道と並走する農道や釣り堀としてしか利用されない港ができるのです。公共事業を官僚と族議員に支配されているために、誰もチェックできないのです。

○第三の問題点は、環境への影響です。わが国は戦後の荒廃から立ち直るために多くの公共事業を行ってきましたが、これが人間の生存基盤である自然環境を大きく傷つけたことも事実です。私たちの子孫に貴重な遺産を遺すためにも、21世紀の公共事業には環境保全という視点が大変重要になります。

○第四の問題点はそのコストの高さです。建設省が平成6年に行った調査においても、日本の公共事業のコストがアメリカに比べて3割から4割高いことが明らかになっています。公共事業に関する情報公開が十分でないこと、政官業の癒着、業界の談合などがこのコスト高を招いています。

○このような問題点を解決するため、民主党では次のような方針で取り組んでいます。

○第一は公共事業における地方分権の徹底です。自治体が権限と財源を背景に自己決定権を持っていれば、住民のニーズに柔軟に対応できます。公共事業に対する自治体の責任を明確にすれば、透明性が高まるとともに住民の監視が有効になります。

○国に残る事業については、国会が監視することとします。公共事業の多くは5年程度の計画に則って推進されていますが、この計画を事前に国会が承認し、また事後的にもその事業による効果や環境に対する影響などをチェックすることとします。

○公共事業のコスト削減のために、公共事業に関する情報を徹底的に公開することとします。インターネットなどを通じて入札に関する事前、事後の情報を誰でも入手可能とすることにより、誰もが公共事業のチェックを行えるようにします。また入札そのもの改革として、原則として一般競争入札とします。公共事業に競争原理を導入することによりコスト削減を実現します。

 

http://www.dpj.or.jp/news/200004/20000425_1koukyojigyo.html (一部抜粋)

 公共事業コントロール法案は公共事業のムダをなくし、環境への影響をチェックするためのもので、骨子は、(1)バラバラの公共事業をひとまとめにし、二重投資をなくす(2)一定基準以上の公共事業は国会の承認案件とする(3)時のアセスメントを導入する(4)2年後の費用対効果と10年後の環境影響評価の実施――など。

 

http://www.dpj.or.jp/news/200006/20000614_koukyojigyo.html (一部抜粋)

吉野川可動堰など3公共事業中止を提唱=鳩山代表が会見で


 民主党の鳩山由紀夫代表は14日、徳島県松茂町で記者会見し、大型公共事業の中止を含めた見直しについて具体策を発表した。
 (省略中村)

 民主党は、公約の中で、公共事業については「5年で2割、10年で3割の削減を行う」としている。このため、まず、その具体策として、大型公共事業の中止を含めた見直しを提案する。


1.大型公共事業を見直す。

(1) 無駄な公共事業、中海干拓、吉野川可動堰、川辺川ダム建設については、計画及び事業を中止する。

[1] 国営中海土地改良事業「本庄工区干拓事業」については、事業の継続の中止と堤防の開削を求める。ただし、地域の振興方策については、「中海・宍道湖」及び周辺域を活用する方向で、地元と国が白紙で検討するものとする。

[2] 吉野川第十可動堰改築事業(=吉野川可動堰)については、既に実施された徳島市民による住民投票結果をも踏まえて、計画を白紙に戻し、再検討する。

[3] 川辺川ダム事業については、事業を中止する。ただし、事業の中止が既に積み重ねられてきた関連事業や補償などに重大な影響を及ぼすことを考慮し、国策によって翻弄され続けてきた住民に対して、国が責任をもって十分な事後対策を講ずるものとする。

(2) 諫早湾干拓については、防災目的の必要を認めつつ、計画と運用の全面的見直しを行う。干拓地の農用地利用計画を大幅に縮小するとともに、排水門を開けて、干潟の再生に必要な措置をとる。また、防災対策上必要と思われる潮受堤防の嵩上げや排水ポンプの整備を推進する。

(3) 長良川河口堰については、すでに稼動している水門の運用を弾力化し、川に自然の状態を取り戻す。

2.公共事業の見直しに伴う手続を整備する。

(1) 一部が進行中の計画及び事業を中止する場合の手続き、その際発生する不利益に対する補償措置などを整備する。

(2) 住民投票制度を整備する。

(3) 長期にわたる計画事業についての「時のアクセス」制度を導入する。

 


 http://www.dpj.or.jp/seisaku/syakai/BOX_SY0018.htm

2000年8月28日

「公共事業の抜本見直しに関する三党合意」について(談話)

民主党政調会長  菅 直人
本日、与党三党は島根県・中海干拓事業の中止などを含む233の公共事業の見直しについて取りまとめ、政府に要望を行った。

今回の見直しは、先の総選挙で民主党が掲げた「公共事業抜本改革」の主張を有権者が支持したのを見て、与党が駆け足でまとめあげたものであるが、我々の主張を一部受け入れたことは評価する。

しかし、わが党が少なくとも5年で2割、10年で3割の公共事業費削減という中・長期的目標を打ち出し、そのための具体策として「公共事業コントロール法」の制定をはじめとする一連の政策を用意しているのに対し、与党三党の政策は具体的数値目標もなく、単なる目先の改革ではないかという疑念がぬぐえない。

そもそも先の総選挙で亀井政調会長は「バラマキの何が悪い」と発言し、今回の検討会の発足に際しても、公共事業費の総額については見直さない旨を明言している。国・地方自治体の財政状態が逼迫する今日において、質的転換のみならず量的削減は公共事業改革の主要課題である。にもかかわらず総額の温存を前提とする自民党の姿勢は、到底理解することができない。

自民党が本気で公共事業の抜本見直しを行うのであれば、まず、来年の参議院選挙でムダな公共事業官庁の象徴である建設省や農水省出身者の比例名簿登載を取りやめるべきである。これができないのであれば、自民党の公共事業見直しは単なる選挙目当ての見せかけにすぎないことが、あらためて明白になるであろう。

 http://www.dpj.or.jp/news/200010/20001012_siminkikan.html

2000年10月12日 

代表直属の諮問機関「公共事業を国民の手に取り戻す委員会」が初会合


 民主党は、鳩山代表直属の諮問委員会として「公共事業を国民の手に取り戻す委員会」を設置することになり、12日朝、第1回の会合が国会内で行われた。

 鳩山代表は会議の冒頭で、「公共事業についてのわれわれの提起が正しかったことは、選挙後の自民党の路線変更でも明らかになった。見直しも質の議論がこれから最も重要。ただ削減すればいいという話ではなく、それがどのように日本の未来を変えていくかという議論が真剣になされなければならない」とあいさつ。引き続いて、出席した各委員からのそれぞれの専門分野についての現状報告と、今後の運営についての議論が行われた。

委員会のメンバーは次の通り。(五十音順)
○座長=五十嵐敬喜(法政大教授・公共事業論)
○委員=天野礼子(アウトドアライター)、宇井純(沖縄大教授・環境科学)、荏原明則(神戸学院大教授・行政法)、大熊孝(新潟大教授・河川工学)、河野昭一(京都大名誉教授・植物生態学)、嶋津暉之(東京都環境科学研究所研究員)、藤原信(宇都宮大名誉教授・森林計画学)、高田直俊(大阪市立大教授・土木工学)、保母武彦(島根大教授・財政学)、松永勝彦(北海道大教授・水産環境科学)、水口憲哉(東京水産大助教授・増殖学)、山口二郎(北海道大教授・政治学)○事務局長=仙谷由人(党企画委員長)

 http://www.dpj.or.jp/seisaku/sogo/BOX_SG0015.html

2000年6月6日

民主党の「15の挑戦と110の提案」解説版 (一部抜粋中村)

11.吉野川可動堰、川辺川ダム、中海・諫早干拓については、中止を含めて見直します。

 共産党のホームページ http://www.jcp.or.jp/

に公共事業批判あり→ http://www.jcp.or.jp/akahata/20010/1021/201021_yosinogawa_hukkatu.html

 

吉野川第十堰 可動堰化

推進派が計画復活の動き

 中止まで運動の連携強める

市民の会が総会で決意

2000年10月21日(土)「しんぶん赤旗」

 

 与党三党が八月の公共事業見なおしで「白紙・再計画」と発表した徳島県の吉野川第十堰(だいじゅうぜき)の可動堰化計画。しかし、円藤寿穂知事が現在開会中の県議会で「白紙とか中止で現在の問題が解決するわけではない」(四日)とのべるなど、推進勢力による計画復活の動きも出ています。住民運動をすすめてきた人たちは、推進派の動きに十分な警戒を払いながら「『計画の白紙撤回(=中止)』までさらに運動団体の連携を強めよう」(七日の可動堰反対市民の会総会)と、「中止」に向けてさらに活動を強めていく決意を固めています。

知事はいまも推進の立場に

 円藤知事は所信表明でも「三党合意でもご指摘がありましたように、現在の第十堰をこのまま放置することができないという点においては、十分ご理解いただけたものと認識しております」(九月二十七日)とのべています。

 土木部長も県議会土木委員会で「堰は白紙に戻ったが、再度検討した結果、原案に戻るということをも否定したものではない」(徳島新聞九月二十三日付)と発言しています。

 知事は「対話」を強調しますが、住民運動に対立して建設省が打ち出した可動堰計画を前提に「話し合い」を進める吉野川懇談会を「支援していく」(三日、県議会答弁)という態度をあらためて示しました。

 この懇談会については、建設省のパンフレットでも「可動堰について、住民のみなさんと合意形成を目指す」と目的を明確にのべています。

 このように、「白紙・再計画」の発表後も県の計画推進の立場は強まりこそすれ決して弱まってはいません。

 県など推進勢力の強固な姿勢を後押ししているのが自民、公明、保守の「三党合意」の文言です。「合意」は、「可動堰建設について、民意が二分されているが、現堰の改築の必要性については、ほとんどの人が認めるところである」とのべています。

民意は明確に反対が多数

 しかし、これは事実と違います。「民意が二分されている」としているどころか民意は反対が多数です。一月の徳島市の住民投票は、投票者の九〇・一%が可動堰計画に反対(投票率五五%)しました。全有権者の四九・五七%にあたります。マスコミの世論調査でも反対が多数です。

 「現堰の改築」の必要性について「ほとんどの人が認めるところ」としている点も違います。

 吉野川第十堰建設事業審議委員会の二回公聴会(九七年六月)では、改築計画反対の立場から公述した八人が明確に、現堰の「補修」や「補強」を主張。また、可動堰計画の説明会で「県民のみなさんから質問が多かったのは『現在の堰を補修して使えないのか』『堤防の補強で対応できないのか』ということでした」(県政だより「アワーとくしま」九九年三月十日号)と県自身が現堰の改修を求める声が多数ということを認めているのです。

 「可動堰計画の中止」という民意を反映してこれまで反対の態度を示していなかった政党も相次いで反対を表明しました。民主党は住民投票の直前に反対を表明。これまで推進の立場であった公明党も「三党合意」にさきがけて「現計画はなくなるが、可動堰自体をつくらないということではない」という中途半端ではあるが「白紙撤回」を表明せざるを得ませんでした。

 住民投票の結果を受けて、可動堰計画反対を表明した小池正勝徳島市長も「三党合意」発表後の九月定例市議会で、「いかなる可動堰案にも反対」する意思をあらためて明らかにしています。

 徳島市議会は九月十三日、九七年に可決した「可動堰促進意見書」の撤回を求める請願・陳情を賛成多数で採択しました。

 一貫して可動堰に反対し、市民団体と力をあわせて住民投票運動を成功させる一翼をになってきた日本共産党は住民投票後は結果を尊重して計画を中止するよう建設省や県に要請。ムダな公共事業の典型である可動堰計画の中止を実現するために力を尽くしています。

徳島県・米沢正博記者

 


 

市民の意思は白紙撤回

 可動堰反対徳島市民の会の小林俊彦代表委員 (三党合意は)現状認識の間違いもはなはだしく、直ちにその誤りを指摘し、抗議しました。計画の白紙撤回こそ住民投票で示された徳島市民の意思なのです。「白紙」に名を借りて可動堰にしがみつく知事ら推進派の強引さと厚かましさにはあきれかえります。

 「吉野川第十堰の未来をつくるみんなの会」世話人の姫野雅義さん (与党三党の「見なおし」は)中止もありうるというところから出発したわけで、住民投票の結果が影響していることはまちがいない。しかし問題の先送りという色彩が強いものです。可動堰計画を中止することがまず先決です。