―地方自治の基礎勉強―浜島書店編集部『最新図説政経』浜島書店、2000年より

<地方自治の本旨>

 憲法第92条<地方自治の基本原則>

「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。」

@団体自治:国家の干渉を受けず、地方公共団体独自の立場で方針を決定し、運営する。→憲法第94条「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」

A住民自治:地方公共団体はその住民の意思によって運営されている。→憲法第93条「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

<直接請求制度>

請求の種類 必要署名数 請求先 請求の処理
条例の制定・改廃 有権者の50分の1以上 首長 議会にかけ議決(過半数で成立)、結果を公表
事務監査 有権者の50分の1以上    監査委員 監査の結果を首長・議会に報告し、その結果を報告
議会の解散 有権者の3分の1以上  選挙管理委員会 住民投票にかけ、過半数の賛成があれば解散または解職
議員・首長の解職 有権者の3分の1以上 選挙管理委員会 住民投票にかけ、過半数の賛成があれば解散または解職
役員(副知事・助役など)の解職 有権者の3分の1以上 首長 議会(3分の2以上出席)にかけ、その4分の3以上の賛成があれば解職

 

以下は同書、155頁を一部(「地方公共団体の財源」と「補助金による統制」を撮影)


(*今回のインターネット情報を用いたレポート作成では固く考える必要はないが参考のために)。

 

保坂弘司『レポート・小論文・卒論の書き方』講談社,1993年より

 

1 レポート−その内容規定と現実

  学生が教師の要求に応じて提出する学術的な調査報告書+意見・主張

 

2 テーマ−与えられたものの方向づけ

  「現代の世相について」→(自分自身の関心の深い問題にしぼる)→主題文:「現代政

 治と大企業の癒着がいかに政治不信と社会不安を呼びつつあるか」

  「現代女性の生き方」→主題文「女性は果たして主婦業を脱出できるか」

  「国公立大学入試の改革について」→主題文「今般の国公立大学の共通テストは必ずし

 も受験者の能力を正しく評価するものではない」

 

3 資料はどう探し,どう活用するか

  @図書館の利用:カード。「日本十進分類法」による<主綱表>→細目へ

  A資料の購入:始終身辺に置いて首っ引きしたいものだ,と感じた資料

  B資料の読み方:ア)ためし読み(その資料が自分のテーマに関係があるかどうか,ある

  として,どの程度に必要性をもっているか,を測定するための読み方)。イ)捜し読み

    (資料のすべてが必要でなく,その中にある部分だけが必要だと考えられるものを読

   む場合)。ウ)精読

  C抄出:メモのとり方=なるべく簡明な表現でメモする。引索の必要上,原典のページ

  数を書き入れる。資料の順序などにこだわらず,気づいたことは,即刻メモして置く。

    メモは一冊にまとめ,常に携行する。

  D新聞・雑誌の切抜き:予備資料,補助知識

 

4 辞書はどう選び,どう活用するか

 

5 アウトラインをどう設定するか−その現実,構成と実例

  @アウトライン(文の構成):

    起(前提)=前置き。承(発展)=説きひろげ。転(転換)=角度を変えての説きひ

  ろげ。結(結論)−主張して結ぶ。

  A設定の現実と実例

    「国際社会と日本」:

    起)最近日本の貿易収支の黒字問題→友好国たる米国からの内政干渉ともいうべき交

    渉。(まず,最近の国際社会における日米関係から説き出す)。

    承)敗戦後の日本の復興→土地も狭く資源も乏しく人口の多い日本→忍従と勤労の長

    い過去→結果は電気製品・自動車の増産,高度経済成長の国。(ついで,米国を

        刺激した日本の高度経済成長に説き及んで,理由づけを行う)。

    転)米国製品への圧迫→米国労働者の失業問題の発生→わが貿易の体質が問題。(一

    転して,そうせざるを得ない米国の内部事情を説く)。

    結)日本も一流国の仲間入り→近隣諸国と発展途上国に接する態度の反省→外交力だ

    けでなく,外交・政治・文化交流のあり方→友好の精神,平和主義に徹すること。

        (それならば,日本は国際社会にいかに処すべきかを述べる)。

 

6 書く上でのルール−現実に即した欠陥

 

7 引用・統計・図表のルール

@  引用文について:論展開の流れにぴったりと沿うものであること。引用は「」。引用

 した文は注で著者,作品名,出版社,発行年を明記。

A  統計・図表について:その表が自作でなく,ある著書からの引用である場合には出典

 を明記。

 

8 レポート作成の現実−その要件は何か

@  仕上げまでのプロセス:文題の理解→主題の決定→材料の収集→構想を練る→構成の

 決定

A  書き出しと書き進め:題名=原稿用紙2行目の,左から3マスから5マスあたりから

 書く。氏名=原稿用紙4行目の13マスあたりに書く。本文=原稿用紙6行目から書く。

B  作成の要件と実際:ア)論の構築にバランスが取れているかどうかの検討(読んで行っ

 て,スカッと爽やかなものが感じられる)。イ)書き出しの段章に魅力を感じさせるよ

 うな表現の工夫。ウ)同音異議語を誤りなく使い分ける。エ)類義語から最適語を選択

 

9 文章の推敲について−何を点検するか

(1)  主題を的確に中心的に抑えているか。 (2) 構成からみて段落の立て方は妥当であ

 ろうか。(3) センテンスの長さは,適当であろうか。(4) 主語・述語・修飾語にねじれ

 ているところはないか。(5) 用語は適切か,よりよい表現はないか,言いまわしは効果

 的か。(6) 誤字がないか,表記に誤りはないか。(7) 符号は効果的に用いられているか。

 +1日か2日置いて,もう一度読み返してほしい。

 


斉藤孝『学術論文の技法』日本エディタースクール出版部、1977年

 

序章 学術論文とは何か

  @一冊の書物や、一篇の論文を要約したものは研究論文ではない

  A他人の説を無批判に繰り返したものは研究論文ではない

  B引用を並べただけでは研究論文ではない

  C証拠立てられない私見だけでは論文にならない

  D他人の業績を無断で使ったものはひょう窃であって研究論文ではない

第1章 論文への出発

  1)テーマの設定

    「狭いテーマ」を選ぶ

    テーマの条件:テーマの持つ内容上の意味と、テーマに接近するための物質的事情

    自分の条件:自分の力と事情に応じたテーマ

  2)テーマの修正と決定

  研究しながらテーマを次々に絞って行き、しかもこの間に文章化が進められる過程

  3)論文の分量

    或る問題について自分が得た知識が100であるとしても、論文としてまとめる場合

  には40ぐらいになる

第2章 資料の蒐集と記録

  資料とは座して与えられるものではなく、「発掘」という言葉がふさわしい労働によっ

  て初めて獲得される

  文献目録作成(その文献がどこにあるのかを記入しておくこと)

  資料を集める作業と、資料を整理し、吟味する研究過程との同時進行

  図書館の利用

  ノートの記載:@引用文は正確に書くこと「ママ」 A引用文と自分の文章の区別を明確

 にすること「かの偉大な哲学者〔カント〕は・・・・・」。どの文献の何頁からとったかを

 明記しておく

第3章 論文の構成と体裁

  序論(研究史の要約と問題の所在についての簡潔な説明)・本論・結論

  論文の体裁

@  論文の標題 A執筆者名 (Bはしがき) C目次 (D要約) E本文(章や節

   など) F註 G図表など H文献目録

  論述の学術性

    資料の読みこなし。概念の首尾一貫性。わからないことはわからないと率直に書く

第4章 論文の文章

  「である調」が標準的。引用文中の省略についてなど(原文の意味を歪めないように)

  法令用語・技術用語について:「AもしくはBまたはCもしくはD」、「A及びB並び

  にC及びD」、「A、B及びC並びにD、E及びF」

    「以上・「以下」、「を越える・未満」、「4月1日以前」「以後」

  文章作成:@言葉の意味を正確に捉えること A主語と述語の関係を正確に書くこと  

A  なるべく修飾語や比喩などを使わないで文章を書くこと C自分で勝手に新しい言

  葉を発明してはいけない D短い文章を書くこと E重複をさけること(同じ単語や

  同じ言い回し、類似の音が続くことを避ける)

第5章 論文の註

  @本文の或る個所について説明を補足しようとする場合(説明のための註)

  あれもこれもゴタゴタと本文に盛り込んでは本筋の話の流れが悪くなると思った時に

  は、註という形を活用して本筋の流れを良くすることを心掛ける

  A本文中の引用や材料の出所を明らかにする場合(出所ないし出典の註)

    孫引きを避ける=原典主義(しかし、不可能である場合はそのことを明記)

 

 <和書の場合>

    升味準之輔『現代政治と政治学』(岩波書店、1964年)245頁。

  同じ文献を何回にもわたって註として挙示する場合

    升味、前掲、142頁。

  同じ著者による書物が2冊以上あってまぎらわしい場合

    升味、前掲『現代政治と政治学』98頁。

  雑誌や論文集などに掲載された論文について註記する場合

    斉藤孝「学術論文の技法」(3)(『エディター』27号、37頁)。

      *刊行年月日は記入する必要はない

 <洋書の場合>

   書物(印刷され、刊行された本或いは雑誌):書名・雑誌名はイタリックで示す(タイ

   プライターや手書きの場合は下方に傍線を引く)。また、出版社名ではなくてロンド

   ンとかパリとかの刊行地を記せば十分

    Alexander Dallin, The Soviet Union at the United Nations, an Inquiry into

  Soviet Motives and Objectivies(New York,1962),p.65.

   雑誌や論文集に掲載された論文の場合

     論文名に " " を附け、雑誌ないし編著の標題をイタリックにする。巻数はローマ数

   字の大文字によっって現わし、頁数にはp.を附けない。510とあるのこの雑誌の第32巻

1927年)の通し頁の510頁という意味

    John Knight, "Matchless Magellan: The Story of a Voyage," The Middle's State

  Historical Journal, XXXII(1927),510.

  共著や編著などの形で刊行された書物

    George M. Trevelyan, "The Age of Johnson," in A. S. Turberville ed.,

    Johnson's England(Oxford, 1993), I, 12.

   著者名の表記

     ヨーロッパ系の人である場合には普通、ファースト・ネームを初めに書き、次にファ

     ミリー・ネーム(ラスト・ネーム=姓)の順で書く。なお、文献目録や索引などで著

     者名をアルファベット順に並べる場合には、ファミリー・ネームの頭文字で揃え、そ

     れぞれ姓の後にコンマを打つ。

   欧文の略語

    ibid., p.105.

    Schuman, op. cit.,p.105.


レポートテーマ例:

2002年ワールドカップサッカーのキャンプ候補地申請と町づくり

http://www.city.arai.niigata.jp/worldcup_camp/

http://www.city.arai.niigata.jp/worldcup_camp/

http://www.town.shiunji.niigata.jp/worldcup/index.html

http://www.city.tottori.tottori.jp/worldcup/worldcup.htm

World Cup training site in Tokamachi

http://www.town.kuriyama.hokkaido.jp/mainwaku.html

http://www.city.sakata.yamagata.jp/wccs2002/indexj.htmなど