021219gensei 現代政治の理論と実際 講義メモ 中村祐司作成メモ

 

朝日新聞朝刊20021223日付けから抜粋→

 

「国際原子力機関(IAEA)は、(*12月)21日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が同日、米朝枠組み合意で凍結されていた寧辺の核施設の一つである5千キロワットの黒鉛実験炉にIAEAが設置していた封印を一方的に撤去、監視カメラにも覆いをかけたことを明らかにした」「90年初頭から約8千本の燃料棒が貯蔵されてきた使用済み核燃料用プールの封印も撤去された」

 

「米朝、危険な神経戦開始」

北朝鮮の戦略的狙いは体制存続と経済再生であり、それには、超大国米国の『体制認知』が欠かせない。当面は『核』をカードに米朝協議再開不可侵条約締結を求めていくだろう。//////その施設は小規模な実験炉・研究炉であり、稼働させても少量の電力しかできない。だいいち、そこからの送電線もないから、稼働目的は言い訳に近い。/////これは米韓日各政府は織り込み済みだろう。▼北朝鮮のさらなる選択肢としては、国際原子力機関(IAEA)要因追放、核不拡散条約(NPT)からの脱退宣言、凍結した核施設への燃料棒装填、新原発の建設再開が考えられ、国際社会では、国連安保理での討議、議長声明・決議、経済制裁・・・・・と進んでいく可能性もある。▼/////それぞれの役回りで神経をすり減らす展開が続いていくだろう」

 

封印:「核施設の凍結のため、原子炉や関連施設の重要部分を動かすことができないようにワイヤなどの装置で固定している。▼最も簡単なものは、ワイヤと留め金からなり、ループタイのような形をしている。締め付けた後、留め金部分を壊すか、針金を切らない限り外せない。一度外してつけ直しても、留め金に変化が残るため、チェックできる。移動させると自動的に感知して記録を残す封印や、外された日時・時刻を記録できる封印も開発されている。▼原子炉や核燃料の容器燃料搬入用の出入り口原子炉稼働のために操作が必要なバルブやボルト、スイッチ類などに、封印が施されていると見られる」

 

「北朝鮮が今回の実験炉だけでなく、燃料再処理施設でも再稼働に動きだし、密封されている使用済み燃料棒を取り出せば、ただちに兵器用プルトニウムの抽出に直結する。そこまで踏み込めば、米国は黙っていないとの見方が一般的だ」

 

「IAEAは、世界に800台の監視カメラを設置し、原子炉内部、原子炉への燃料搬入搬出口、燃料の貯蔵施設などで核物質の出入りを監視している。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の寧辺では、黒鉛実験炉と関連施設計5カ所に20台のカメラが設置されている。▼カメラは縦横15センチ、長さ40センチほどの金属製の箱に収納され、外部から触れられないように封印され、電源コードなどにも細工をされぬよう金属製のパイプで保護される。電源が切れても電池で3日間は動く仕組み。▼査察官は常時、映像を見ているわけではない。固定式で、一定間隔で自動的に作動し、動くものがあった場合に映像が保存される」

 

「(*12月)19日の韓国の大統領選挙で、北朝鮮に融和的な盧武鉉氏が当選したことも、北側が今回の作業に踏み出した背景にあると見られる」

「北朝鮮が寧辺の核施設の封印と監視カメラを撤去し、一段と緊張を高めたことは、19日の韓国大統領選で勝利した盧武鉉氏にとっては当選最初の試練になる」

 

鈴木典幸氏(談。ラヂオプレス理事)

「北朝鮮からは最近、電力事情の逼迫が再三伝えられていた。だが、停止された重油提供は北朝鮮が必要なエネルギーの約1割で、国家存立を揺るがすほどではない『再稼働は電力供給のため』という口実が欲しかったとみられる。▼韓国大統領選で太陽政策の継続を訴える盧武鉉氏が当選し、北朝鮮には韓国が米国との橋渡し役になるとの期待が高まっている。安保理で拒否権を持つ中ロが仲介に動き出せば、さすがのブッシュ政権も無視はできないだろうとの『読み』が北朝鮮にあるはずだ」

 

以下は同日付の朝日新聞朝刊から→