021028gensei 現代政治の理論と実際 中村祐司作成メモ

 

ニューズウィーク日本版(20021030日号より抜粋。左端数字は頁)

 

24)

コロンビア

「数十年にわたって内戦が続いている。アメリカが政府軍特殊部隊の訓練に力を貸している」

アルジェリア

「イスラム過激派のテロが終息する兆しは見えない」

コンゴ(旧ザイール)

「内戦に介入していた外国軍隊が撤退した地域で、国内勢力が主導権争いを展開」

スーダン

19年前に内戦が勃発。停戦と戦闘が繰り返されるなか、多くの住民が殺された」

チェチェン

「ロシアはチェチェンを制圧したと主張しているが、紛争の火ダネが周辺へ飛び火するおそれも」

イスラエル

「パレスチナとの長引く紛争で、中東和平の希望は風前のともしび」

イラク

「戦争が起きるかどうかは、イラクが大量破壊兵器の査察を無条件に受け入れるか否かによる」

イラン

「『悪の枢軸』の1つ。国外のイスラム過激派の活動を支援しているとされる」

アフガニスタン

「タリバン政権は倒れたが、情勢は不安定」

カシミール

「この地域の領有権をめぐり、今年半ば、印パ間の緊張が戦争の一歩手前まで高まった」

北朝鮮

「核兵器開発計画を認めたことで、西側諸国との関係改善に一気に暗雲が立ち込めるか」

フィリピン

「最近のテロは、アルカイダと関連のある過激派が関与しているとされる」

インドネシア

「バリ島爆弾テロを受け、政府はイスラム過激派の取り締まりに本腰を入れるかもしれない」

 

25)「何カ月も前からイラクによる核開発の証拠を突きつけようと躍起になっているブッシュ政権が、なぜか北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核開発計画については、動かぬ証拠を握っていながら公表を遅らせていた。▼イラクとともに『悪の枢軸』を構成する北朝鮮が、核兵器製造のためのウラン濃縮計画を進めている事実に、米政府は夏の段階で気づいていた。北朝鮮側も103日にその事実を認めていたが、ブッシュ政権はあえて沈黙を守っていた。/////

26)「核武装した北朝鮮は、少なくともイラクと同程度、あるいはそれ以上に恐ろしい存在となりうる。北朝鮮は大陸間弾道弾に匹敵する射程をもつミサイルの発射実験を行っているが、イラクはまだ、スカッドミサイル以上の射程距離をもつミサイルの試射すら行っていない。///北朝鮮は韓国との軍事境界線に95万人規模の軍隊を集結させているし、その韓国には4万人近い米兵が駐留している」

27)「アメリカは2つの戦争を同時に戦えるのか。1つは対イラク、そしてもう1つの戦場は世界中にまたがっている」

「イラク占領には最大で陸軍の3分の1が動員され、その費用は年間160億jにのぼるという。また第2次大戦のときと違って、今の米軍には占領統治に必要な法律や行政の専門家もそろっていない」

 

30)「小泉にとって問題なのは、北朝鮮が核兵器用のウラン濃縮計画を進めていたことについて、9月の訪朝前に米政府から知らされていたという点だ」

 

33)「冷戦時代、ソ連と対峙するアメリカには軍事と政治という二つの戦略があった。前者では核兵器、代理戦争、秘密工作、後者では同盟国との連帯、第三世界のなかの非共産主義国への貿易促進や援助が重要な役割を果たした。▼現在の対テロ戦争は、軍事面ではなんとか成功を収めている。だが有効な政治戦略なしに、大きな成果は期待できない。このままでは原理主義者を殺すことはできても、原理主義自体をますます勢いづかせることになりかねない」

 


 

和田春樹「拉致解明と国交交渉は不可分―敵対の40年・失われた10年」を超えて(朝日新聞朝刊2002108日付)

 

「非常体制下に社会主義国家が見せる暴力性は知られている。////ソ連で大粛清の誤りが認められたのはスターリン死後のことで、その本格的解明の開始はペレストロイカ以後、全面的実現は社会主義終焉後である。▼朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の秘密性、対外緊張はソ連の比ではない。68年のゲリラ部隊の派遣について韓国に謝罪した以外は、テロも拉致も一切認めたことはなかった。そういう北朝鮮国家の指導者、金正日国防委員会委員長が自分の国家が犯した犯罪を認め、謝罪したのは大きな転換である」

「『強制連行』と慰安婦問題は大きな傷跡である。だが北朝鮮と日本の間では、日本支配が終わった45年当時はいかなる交渉もなく、植民地時代の対立と憎しみは清算されなかった」

「この国家は分断された国土の上で大韓民国と敵対し、武力で統一をはかった。朝鮮戦争がはじまると、アメリカは韓国の支援を決め、日本全土が北朝鮮と戦う米軍の基地となった。B29は横田と嘉手納を飛び立ち、北朝鮮全土に空襲を加えた。戦中も戦後も北朝鮮は日本を敵国と見ることをやめなかった。60年代からは満州での抗日武装闘争がこの国の国家神話とされ、全国民が『生産も学習も生活も抗日遊撃隊式で』やるように求められた。この国は『遊撃隊国家』となったのである。敵国とみる日本に工作船が近づき、工作員を上陸させ、情報収集をおこない、一時期は日本人拉致も平然と行った。▼日本は韓国と国交をむすび、長いあいだこの国を無視してきたが、ようやく91年から国交交渉を開始した。その交渉は拉致問題を持ち出したとたんに決裂にいたった。7年の空白ののちに2000年に再開された会談は、わずか3回でふたたび決裂した。▼敵対の40年、失われた10年の歴史をふりかえっても、北朝鮮が拉致問題を認め、謝罪し、調査に協力するという事態が生まれたことは、実に大きな変化である。このチャンスを逃してはならない」

「日朝国交樹立、日本の対北朝鮮経済協力によって東北アジア平和の土台を築くことは、日本にしかできない誇るべき国際貢献である」