011112jichi 講義メモ 中村祐司作成

 

寄本勝美編著『公共を支える民―市民主権の地方自治』(コモンズ、2001年)

 

プロローグ 二つの公共性と官、そして民

公共の担い手=官(行政)→公的公共性

民(市民、民間企業)→私的公共性

公共政策=「市民、企業、それに行政の役割の分担と組合せの図式を実現」

役割相乗型の公共政策の追及

「官僚もまた民」「公務員市民」「企業市民」

「官僚化」「民僚化」

 

 

第3章「地方議会と住民投票制度」4、5

 

4 住民投票の登場

 

「市町村の合併の特例に関する法律」(市町村合併特例法)→合併協議会設置の請求(第4条)

Q:p.82の8行目に「受益と負担の関係について真剣に考える機会を失った」とあるが、その意味するところは何か。

住民投票が注目されるのは、議会への批判の裏返しだから」

「住民投票を受け入れた議会は、政治のプロとしての内実を示すために、地域実態に応じた住民投票制度の設計を行っている。そして、それが、条例づくりという、議会が本来もつべき機能を再構築するきっかけになっていることは明らかであり、議会と住民投票はこの点で並存すべきものなのである。」

「全住民に関係がある市町村合併は、住民投票にもっともふさわしいテーマである。しかし、現在の国の案では、合併賛成か反対かを問うだけであり、住民投票がもつ最大のメリットである、投票に至る過程での住民の学習の機会が失われかねない。

 そこで、仮に住民投票を実施するとすれば、多少のコストはかかっても二つの段階に分けた実施が、もっとも望ましい方式と考えられる。すなわち、まず、合併の検討をすすめるための任意の合併協議会を設置することの可否についてだけ住民投票を行う。そして、任意の合併協議会での検討結果を議論の素材として公表したうえで、合併手続きとしての『法定合併協議会』に移行するかどうかを第二段階として行うのである。」→「市町村合併の全手続過程において、『住民の自己決定権の拡充』をめざした地域政治復権の筋道が明らかになっていく」

 

5 地方議会の改革方向

 

地方議会の運営は、国会に類似したものとなっているのである。すなわち、ほとんどの地方議会では、首長を支持する議員と支持しない議員が、首長与党と野党に分かれて争う。」→オール与党体制となった地方議会

「地方議会については、議員報酬だけは各自治体で定め得るものの、議員定数や議会の運営、議会事務局の組織などについては、全国画一的に地方自治法と拘束力のない標準議会規則によってしばられている。同時に、議員の選出方法については、国会議員と同一の公職選挙法にしばられている。」→

地方自治法、地方財政法、公職選挙法など関連諸法を改正するように、各議会が働きかけを始めるべきであろう。」

議会が条例づくりが可能な間接民主主義の実践機関であることを実績で示していく必要がある。」

議会の情報公開議会の議事(本会議、委員会)の公開が必須

小規模町村:議会事務局職員の共同採用や独自採用が必要、ある程度の規模以上の市:議会事務局職員の独自採用が必要

「地方議員は、首長部局の計画策定過程や首長の諮問機関としての各種審議会への参加に禁欲的であるべき」

住民投票も含めた多元的な異議申し立てルートの確立

「多元的な異議申し立てルートを用意したにもかかわらず、それが、使われなかった場合に初めて、「その程度の住民」ということができる。」


 

次回は同書、第4章の1。