011112gen  中村祐司 (*下線やカッコ内斜体文字等は中村)

 

イランの映画監督モフセン・マフマルバフ氏の「アフガニスタン・リポート」:

 

20年前には人口2,000万人だったアフガニスタンで、旧ソ連占領時代には約250万人のアフガン人が殺されたり死んだりしたとされる。イランやパキスタンに逃れた難民は、630万人にのぼるという。

 私は人口が死によって10%も減少したり、難民のせいで30%も減ったりする国を聞いたことがないし、それに対して世界がこれほど無関心なことにも直面したことがない。

 私はヘラートの町中で、2万人が飢えて死んでいくのを目の当たりにした。彼らは歩くこともできず、運命の時を待ちながら地面に放り出されていた。

 映画撮影中のある夜、懐中電灯を持って砂漠を歩いていた時、取り残された羊の群れのように集団で死んでいる難民の姿を見た。最初はコレラで死んだと思ったが、餓死であることに気がついた。私は自分が食事をとることを許せなかった。

 飢餓で死に瀕しているアフガン人は100万人2歳以下の子どもの死亡率は1820に達する。平均寿命は34歳を下回ったとも言われている。

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 対ソ戦の時、アフガンは国家として抵抗したように見えるかもしれない。しかし、実際は、それぞれの部族が自らの住む谷を守っていたというだけのことなのだ。

 アフガンは他国の干渉よりもむしろ、無関心に苦しんだ。クウェートのように石油が豊かだったら話は違ってくる。しかし、天然資源はなく、代わりに1,000万個もの地雷が埋まっている。隣国の人々はアフガン労働者に満足な賃金も与えず追放している。ケシの実の栽培による麻薬の生産がわずかに人々を支えているが、利益の大半はマフィアや支配層のものだ。

 残された道は難民になること、タリバーンに参加すること、あるいは飢えて街角に倒れることくらいなのである。」

(『AERA』20011015日号、p.12

 

 

「ビランディンの徹底抗戦宣言」:

 

「全能の神により米国はその中枢組織を攻撃され、最も大きなビルが破壊された。神へ祈りと感謝の気持ちを捧げる。  

(ビル破壊と神への祈りや感謝がどう結びつくのか。)

 米国中が恐怖におののいている。米国民が今味わっている恐怖は、これまで我々が味わってきたものと同じものだ。我々イスラム国家は80年以上も同様に苦しみ、屈辱を受け、名誉を汚されてきた。信者たちは殺され、血を流し、尊厳を踏みにじられてきたのだ。

(同じ恐怖とは言い切れないはず。)(だからビルに旅客機を突っ込ませていいのか。)

 

 神は、米国を破壊したムスリム(イスラム教徒)の先兵たちを祝福なさった。神よ、彼らを天国の至上の地にお招き下さい。

(なぜ先兵は祝福されるのか、天国に招かれるのか。)

 

 彼らが、パレスチナや他のイスラム国家に住む弱き子供たち、信徒たちを守るために立ち上がった時、世界中は騒ぎ出し、異教徒たちは偽善者に従った。今こうやって話している間にも、多数の子供たちが死んでいく。イラクでは何の罪もない子供たちが殺されているのだ。それなのに、それを弾劾する声は聞こえない。イスラエルの戦車がパレスチナを侵略し、多くのイスラムの地において破壊行為を続けているというのに、誰も抗議の声を上げない、反応もしない。

(ビルを破壊し多くの人々の生命を奪うテロ行為が、信徒たちを守るための行為となぜ結びつくのか。)(偽善者と決める根拠はどこにあるのか。)(誰も声を上げないことはテロ行為を正当化することになるのか。)

 

 しかし、剣がアメリカに振り下ろされると、偽善者らは頭を高く持ち上げ、悲しみを表明する。80年もの間、ムスリムの血を、名誉と尊厳を弄んできた殺人者たちに対して。

 偽善者らは間違った道を行く背教者である。犠牲者らを生み出す虐殺者、罪なき子供たちの迫害者たちを、支持しているのである。

(このような断定的な物言いの根拠はどこにあるのか。)

 

 事態は明白である。すべてのムスリムたちよ、この事件の後、米国の政府高官たちは世界中の異教徒の指導者たちと手を組み、ブッシュと仲間たちは、国の総力をあげて虚栄を誇示し続けている。イスラム教の国々を我々に敵対させようとさえしているのだ。

(米国の対応は虚栄の誇示なのか。)

 

 米国はテロに立ち向かう、と世界に向けてをつき続けている。最果ての国、日本では(原爆投下により)何十万もの人が殺されたが、米国はそれを国際犯罪とは呼ばない。イラクの多くの子供たちが苦しんでいることも、彼らにとっては明白な問題ではないのだ。

(なぜ、嘘なのか。)

 

 しかし、ナイロビとダルエスサラームにおいて10人ばかりの米国人が殺されると、アフガニスタンやイラクに爆弾を落とす。異教徒の国々の指導者や、現代世界のシンボルである偶像崇拝、米国及びその同盟国の背後にあるのは偽善なのだ。彼らに言っておく。これらの事件により、今や世界は二つに分けられた。信仰を持つ者と、異教徒ととに

(何をもって偽善と言っているのか。)(どのような認識をもとに世界が二つに分けられたと言っているのか。信仰を持つ者と異教徒との違いはどこにあるのか。)

 

 すべてのムスリムは信仰を守るため、立ち上がらなければならない。信仰の風が吹いている。預言者ムハンマドの地、アラビア半島から悪魔を追放し、平和をもたらす、変革の風が吹いている。

(信仰を守るために立ち上がるという行為が、なぜテロ行為と結びつくのか。)(悪魔と断定する根拠は何か。)

 

 米国民よ、私の言うべきことはこれだけだ。パレスチナに平和が訪れない限り、ムハンマドの聖なる地より異教徒の軍隊がすべて出て行かない限り、米国に平和は訪れないだろう。偉大なる神よ、イスラムに栄光あれ。」

(『AERA』20011022日号、p.17